お雑煮の違いは、ばらばらに覚える必要はありません。汁の味、餅の形、餅の火の入れ方、その土地の特徴的な具。この4つの軸で見ると、全国の違いがすっきり整理できます。
お正月に欠かせないお雑煮。おばあちゃんからお母さん、そして子どもへと受け継がれてきた大切なお雑煮の作り方。これからも伝えていきたい料理ですが、たまには違う味も食べてみたいと思う時がありますよね。
ここでは、北海道から沖縄まで、全国の方が教えてくれた、それぞれの家庭で食べている伝統のお雑煮の作り方をご紹介します。あわせて、なぜ地域によって違うのか、東西の境目はどこを通るのか、北海道と沖縄はなぜ他と性質が違うのかという点も整理していきます。いつものお雑煮に飽きたらぜひ試してみてください。遠くに住む家族のお雑煮を味わってみるのも、素敵な発見になるのではないでしょうか。
お雑煮とは
お雑煮は、新しい年にやってくる年神様(歳神様)にお供えしたお餅(鏡餅)を下ろしていただく(お下がりをいただく)という風習から始まりました。これにより、年神様の力が宿ったお餅を家族で分け合い、今年一年、家族が平和で健康に暮らせますようにと願いながらいただきます。豊かな実りに感謝する気持ちも大切にしたいですね。
「雑煮」という名前の由来
雑煮という名前は、いろいろなものを煮合わせるという意味から来たと言われています。「烹雑(ほうぞう)」という呼び方があったとも伝えられていますが、はっきりした由来については諸説あります。
名前の通り、決まった具材の組み合わせがあるわけではありません。その土地で手に入るものを一緒に煮るという料理なので、地域ごとに中身が違うのは当然のことでした。この点が、地域差の大きさにつながっています。
具材に込められた意味
お雑煮に入る具材には、縁起にちなんだ意味づけが伝えられているものがあります。
- 里芋:親芋に子芋がたくさんつくことから、子孫が続くようにという願いをかけたと言われます
- 小松菜や菜っ葉:「名を上げる」の語呂に重ねたという説があります
- 鶏肉:「取り」に通じるとして、福を取り込む意味に重ねられました
- 大根:丸く切って「家庭円満」に重ねる地域があります
- かまぼこ:紅白の色を祝いの色として使います
こうした意味づけは、地域や家によって説明が違います。後からつけられた語呂合わせも多いので、正しい意味を覚えなければいけないというものではありません。お子さんに話すときの小さな話題として使うと、お正月の食卓が少しにぎやかになります。
お雑煮が地域によって違うのはなぜ?4つの軸で整理する
「地域によって違う」と言われても、何がどう違うのかが見えにくいものです。違いは次の4つに分けられます。
| 軸 | 分かれ方 | おおまかな傾向 |
|---|---|---|
| 汁の味 | すまし仕立て/白みそ仕立て/小豆仕立て | すましが広く見られ、近畿を中心に白みそ、山陰の一部に小豆 |
| 餅の形 | 角餅/丸餅 | 東日本は角餅、西日本は丸餅とされる |
| 餅の火の入れ方 | 焼く/煮る | 焼いてから汁に入れる地域と、汁で煮る地域がある |
| 特徴的な具 | その土地で採れるもの | 海のもの、山のもの、土地の野菜が入る |
この4つを組み合わせると、たとえば「すまし仕立て・角餅・焼く・いくら」で東北の一例、「白みそ仕立て・丸餅・煮る・里芋」で近畿の一例、という形で読み解けます。
餅の形が東西で分かれた理由
角餅と丸餅の違いには、餅の作り方の違いが関わっていると言われています。
丸餅は、ついた餅を手で丸めて一つずつ作ります。鏡餅の形に通じる、より古い形とされています。一方の角餅は、ついた餅を平らに伸ばして四角く切り分けます。一度にたくさん作れて、運びやすく、数えやすいという利点があります。
この切り分ける方式が、人が多く集まる都市や、餅を大量に用意する必要がある土地で広まったと考えられています。東日本に角餅が多いのは、こうした事情が関わっているとされています。
ただし、県境ではっきり分かれているわけではありません。同じ県内でも地区によって違い、家庭によっても違います。実家が丸餅で、嫁ぎ先が角餅、という話はよく聞かれます。
汁の味が分かれた理由
汁の味は、大きく3つに分かれます。
すまし仕立ては、だしに醤油や塩で味をつけたものです。もっとも広い範囲で見られる形です。体験談でも、秋田、宮城、岩手、関東、新潟、山口、長崎、沖縄と、各地でこの仕立てが挙がっています。
白みそ仕立ては、近畿を中心に見られる形です。体験談のさゆりさんは大阪の方で、「関西のお雑煮の味付けは白みそです」と書かれています。白みそは甘みが強いので、里芋や大根の甘さと重なって、まとまりのある味になります。
小豆仕立ては、山陰の一部で伝わるとされる形で、ぜんざいのような見た目になります。範囲が限られるため、他の地域の方が最も驚く形かもしれません。
なぜ味噌の地域とすましの地域に分かれたのかについては、味噌が身近な調味料だった土地と、醤油やだしの文化が広まった土地の違いが関わっていると言われています。ただ、これも明確な線を引ける話ではなく、諸説あります。
餅を焼くか、煮るかの違い
見落とされがちですが、餅の火の入れ方も地域で分かれます。
焼いてから入れる場合は、表面が香ばしくなり、汁が澄んだままに保たれます。体験談でも「焼いたお餅をおわんに入れ」(しおりさん)、「カリッと焼いたお餅」(きょんママさん)、「香ばしい焼き餅」(まあさん)と、焼く方が多く挙がっています。
汁で煮る場合は、餅から出るとろみが汁に移り、全体がやわらかくまとまります。体験談のAzuさんは「白みそを入れて、お餅を入れて煮ます」と書かれています。白みそ仕立てに丸餅を煮る形は、とろみが味噌の甘さと合う組み合わせです。
どちらがよいというものではなく、汁の澄み方を大事にするか、とろみを大事にするかの違いです。同じ具材でも、この一手で仕上がりの印象がかなり変わります。
具材が違うのは、土地で採れるものが違うから
もっともわかりやすい違いが具材です。理由も単純で、その土地で手に入るものが入っているというだけです。
体験談を見ると、この点がはっきり出ています。岩手と宮城と新潟からはいくら、北海道からは甘エビと数の子、新潟からは塩鮭、香川からはあん餅。海に近い土地では海のものが入り、餅や芋の産地では芋類が入ります。
そぼろさんは「いくらは岩手県の特産物です」と書かれています。特別なものを入れているのではなく、その土地でふつうに手に入るものを入れている、という感覚が伝わってきます。
全国お雑煮マップ:地域別の特徴一覧
地域ごとの傾向を一覧にまとめます。同じ地域でも家庭や地区によって違うため、あくまで傾向としてご覧ください。
| 地域 | 汁 | 餅 | 特徴的な具の例 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | すまし | 角餅が多い | 各地の出身者の味が混ざる。海のものを入れる家庭も |
| 東北 | すまし | 角餅・焼く | いくら、せり、鶏肉、きのこ、根菜 |
| 関東 | すまし | 角餅・焼く | 小松菜、鶏肉、大根、人参、かまぼこ |
| 中部・北陸 | すまし・白みそが混在 | 角餅と丸餅が混在 | もち菜、里芋、根菜。地域差が大きい |
| 近畿 | 白みそが多い | 丸餅・煮る | 里芋、大根、人参、かつおぶし |
| 中国 | すまし。山陰の一部に小豆 | 丸餅 | 根菜、鶏肉、三つ葉、地域により小豆 |
| 四国 | すまし・白みそ | 丸餅 | 香川にはあん入り餅の仕立てが伝わる |
| 九州 | すまし | 丸餅 | かしわ(鶏肉)、ごぼう、しいたけ、具を多く入れる |
| 沖縄 | 本州とは位置づけが異なる | 家庭により異なる | 正月に別の汁物を食べる家庭が多いとされる |
北海道・東北:いくらや海のものが入る
東北で目立つのがいくらです。体験談では宮城のいっちんさん、岩手のそぼろさん、新潟のきょんママさんが挙げています。
そぼろさんの「いくらは温めると皮が白っぽくなります。最後に乗せると色がオレンジで綺麗です」という一言は、実際に作るときに効く情報です。煮込まず、仕上げにのせるのがコツということになります。
秋田のみおんさんは、せりと舞茸を使っています。せりは根まで使う地域があり、香りが立つ具材です。
関東:すましに角餅、青菜を添える
関東の傾向は、だしに醤油で味をつけたすまし仕立て、焼いた角餅、そして小松菜です。体験談のみかんさんは「お味噌は入れません」と明記されていて、味噌を入れない仕立てが定番であることがうかがえます。
みかんさんが使っている金時人参も、季節を感じる工夫です。「赤い金時人参が入っているお雑煮は、よりお正月らしさが出る」とのことで、味というより色で正月らしさを出すという考え方です。
中部・北陸:もっとも地域差が大きい
中部と北陸は、東と西の要素が入り混じる地域です。すましと白みそ、角餅と丸餅の両方が見られます。
体験談のののさんは、小松菜を「私の地域ではこの時期になるともち菜と呼ばれるようになります」と書かれています。同じ野菜が地域で別の名前で売られるというのは、この地域の面白いところです。
近畿:白みそに丸餅
近畿の定番が白みそ仕立てです。さゆりさんは「関東出身の主人は、最初こそ抵抗があったものの、白みその方が美味しいと言ってくれるまでになりました」と書かれています。
味の面では、白みその甘さが野菜の甘さを引き出すという点が挙げられています。さゆりさんは「大根や里芋が苦手な子どもは多いですが、白みそで味付けをすると非常に甘くなり、苦手な子でも食べやすくなります」とのことです。
中国・四国:丸餅に、香川のあん餅
山口のなおなおさんは「醤油味が一般的で、カツオや昆布で取った出汁に、丸いお餅」と書かれています。すまし仕立てに丸餅という組み合わせで、餅の形は西日本の傾向、汁は東日本にも共通する形です。
四国では、香川のあん入り餅の雑煮がよく知られています。あいかさんは「あん入り餅をお雑煮に入れると言うと、他の地域の方には驚かれますが、まるで甘味のようなこのお雑煮は、白味噌とあん餅の相性が良くとても美味しいんです」と書かれています。
白みその甘さと、あんの甘さが重なる仕立てです。里芋や大根と一緒に煮るので、甘さだけでなく野菜の風味も入るのがこの椀の特徴になります。
九州:具を多く入れる仕立て
長崎のカンママさんの椀には、かしわ(鶏肉)、しいたけ、人参、かまぼこ、ささがきごぼう、白菜が入ります。具の数が多いのが特徴です。
九州では鶏肉を「かしわ」と呼ぶ地域があり、体験談にもその呼び方が出てきます。カンママさんは「あっさりしていて、お餅が何個でも食べられる感じで子どもに大好評です」とのことで、具が多くても汁はさっぱりという組み合わせです。
岐阜のお雑煮は、東と西の境目にある
お雑煮の東西の違いを語るときに、必ず出てくるのが岐阜です。
角餅と丸餅の分かれ目が通る地域
角餅と丸餅の境目は、岐阜県の関ケ原周辺を通るとされることが多くあります。ここから東が角餅、西が丸餅という説明がよく使われます。
ただし、これは目安として語られているもので、線の上に立てば切り替わるという性質のものではありません。境目の周辺では、同じ市内でも家庭によって違い、両方を用意する家もあります。岐阜県内でも、地域によって東寄りの形と西寄りの形が混在しているとされています。
境目の地域だからこその特徴
境目にあたる地域には、他の地域にはない特徴があります。
- 両方の形が身近にある:角餅と丸餅の両方が売り場に並ぶ
- すましと白みその両方が見られる:家庭によって仕立てが分かれる
- 結婚で味が混ざりやすい:どちらの実家の形も珍しくないため
岐阜のお雑煮として語られるものには、だしに醤油で味をつけたすまし仕立てに、もち菜や小松菜を入れて、具をあまり多くしないという形が挙げられます。角餅を使い、具を絞ってすっきりと仕上げる椀です。
体験談のののさんが書かれている「もち菜」という呼び方は、この周辺の地域で使われるものです。小松菜が正月の時期だけ違う名前で並ぶという点も、境目の地域らしい話題です。
北海道と沖縄のお雑煮は、なぜ他の地域と性質が違うのか
全国の傾向を見ていくと、この2つの地域は他とは別の扱いになります。理由が明確なので、分けて説明します。
北海道:決まった型がないのが特徴
北海道のお雑煮には、「これが北海道の形」と言える定番が定まっていません。これは情報が少ないからではなく、成り立ちによるものです。
北海道には、明治以降に各地から人が移り住みました。東北から来た家庭、北陸から来た家庭、四国や九州から来た家庭。それぞれが元の土地のお雑煮を持ち込んだため、家庭ごとに違う形が並ぶことになりました。
つまり、北海道のお雑煮は全国のお雑煮の集まりという性質を持っています。「うちのお雑煮はよそと違う」という状態が、そのまま地域の特徴になっているわけです。
そこに、土地の食材が加わります。体験談のりょうはるさんは、甘エビでだしをとって数の子をのせるという椀を紹介されています。「グツグツと煮だつ前に甘エビを入れます。すると、甘エビからいい出汁がたくさんでてきます」とのことで、味の面でも工夫が効いています。
りょうはるさんの椀には、興味深い点があります。味付けにめんつゆを使っていることです。「甘エビの出汁をそこなわないように、めんつゆで薄めに味付けをします」とあり、素材のだしを立てるために調味を軽くしています。伝統の形にとらわれず、味の組み立てで考えられている椀です。
沖縄:正月の汁物の位置づけが本州と異なる
沖縄については、そもそもお雑煮を食べる慣習が本州とは異なるとされています。
沖縄の正月には、豚を使った汁物を食べる家庭が多いと言われます。中身汁やイナムドゥチと呼ばれる汁物が、正月の食卓に並ぶ料理として知られています。餅を年神様のお下がりとしていただくという、本州の雑煮の成り立ちとは別の流れがあると考えられています。
ただし、これも家庭によって異なります。体験談のまあさんは沖縄出身の方で、「お正月におせち料理はありませんでしたが、えびや豚肉などを使った豪勢な料理と、ぜんざいとお雑煮を食べていました」と書かれています。おせちはなく、豚肉を使った料理があり、そのうえでお雑煮も食べていた、という形です。
まあさんの椀は、しいたけと昆布と鰹節をたっぷり使った濃い目のだしが中心です。「出汁が濃い目なので子ども達はお代わりを何回もして食べます」とのことで、具は控えめにしてだしで食べさせる組み立てになっています。
この椀のもうひとつの特徴が、食べ方です。「香ばしい焼き餅は、そのまま食べてもいいのですが、だしをまとわせたまま最後に残しておいて、砂糖醤油をつけて食べて楽しんでいます」。汁の中で完結させず、途中で味を変える食べ方です。
お雑煮の具材:地域で分かれるものと、全国で共通するもの
体験談15人分の具材を並べてみると、共通するものと分かれるものがはっきりします。
| 分類 | 具材 | 登場した人数 |
|---|---|---|
| ほぼ全国共通 | 大根 | 10人 |
| ほぼ全国共通 | 人参 | 9人 |
| ほぼ全国共通 | 鶏肉 | 9人 |
| 広く見られる | 三つ葉・せり・小松菜などの青菜 | 11人 |
| 広く見られる | かまぼこ・笹かまぼこ | 6人 |
| 地域が分かれる | 里芋 | 5人(近畿・四国・関東) |
| 地域が分かれる | いくら | 3人(宮城・岩手・新潟) |
| 地域が分かれる | しいたけ・干し椎茸 | 5人 |
| その土地ならでは | 甘エビ・数の子 | 1人(北海道) |
| その土地ならでは | 塩鮭 | 1人(新潟) |
| その土地ならでは | あん入り餅 | 1人(香川) |
| 家庭ならでは | 生麩・手毬麩 | 2人 |
この集計から見えるのは、大根、人参、鶏肉、青菜という4つがほぼどの地域にも入っているということです。この4つを土台として、そこにその土地のものが加わる、という構造になっています。
他の地域の味を試すときの入り口
土台が共通しているということは、試しやすいということでもあります。いつもの椀から、一箇所だけ変えてみる形なら、大がかりな準備は必要ありません。
- 汁だけ変える:いつもの具材のまま、白みそ仕立てにしてみる
- 仕上げだけ変える:椀に盛ってから、いくらやかつおぶし、おぼろこんぶをのせる
- 餅の火の入れ方を変える:焼いていたのを煮る、煮ていたのを焼く
- 甘みを足してみる:さつまいもを加える、あん餅を1個だけ入れてみる
体験談のゆかりさんは、ご自身の実家と夫の実家のお雑煮を「合体させた」椀を作られています。どちらかに揃えなくてもよいという考え方は、味の違いで悩んでいるご家庭の参考になります。
お雑煮の具はこれが定番!北海道から沖縄まで伝わる作り方15
秋田はあっさりとしたお醤油味
秋田県に住んでいます。家族構成は夫と子どもが2人です。いつも作るお雑煮の味付けは、醤油と塩を入れたシンプルな味です。作り方は、醤油と塩を入れた出汁汁に鶏肉や舞茸、せりを入れて煮て、具材に火が通ったら、最後にお餅を入れて完成です。
最後に海苔とかまぼこを入れるのですが、海苔とかまぼこを星形にしたりして、子どもが楽しく食べられるように工夫しています。あっさりとしたお醤油味なので、子どももお雑煮を食べやすいようです。ゴボウをささがきにしたものを一緒に入れて煮ると、さらにゴボウの風味が出て美味しいお雑煮ができると思います。
お餅が食べられない小さなお子さんの場合は、お餅の代わりにうどんを入れてもとても美味しいです。小さな子どもがいても、家族でお雑煮を楽しめるのでとてもおすすめです。
砂糖をまぜて食べる
結婚して実家を出て、今は東海地方に二人の娘と主人と暮らしています。お正月にはなるべく自分の実家に帰りたいのですが、主人の仕事の都合で帰れないときも多く、そんな時は自分でお雑煮を作るのですが、お餅は結構高いですよね。
私も主人も生まれはもともと関西なのですが、お互いの実家のお雑煮が全く違うため、主人用と子ども用(私の実家のお雑煮)と二種類作り分けています。
主人用は、シンプルなお吸い物のようなお雑煮です。義理母に確認したところ、毎年そうだと言っていたので、根菜を一緒にいれて白だしで味付けしています。私の実家のお雑煮は、母方の祖母が福井生まれなので、白みそに丸もちを使います。昆布でだしをとり、白みそを入れて、お餅を入れて煮ます。
ここまでは普通のお雑煮なのですが、「子どもたちがおいしく食べられるように」と母が考えたのが「砂糖をまぜて食べること」だそうです。それぞれのお椀に盛り付けた後は、好きなだけ白砂糖を入れて、仕上げに鰹節を振って出来上がりです!甘くてデザートのような感覚なので、結構な数が食べられます!
わが子にも好きになってほしくて毎年作ってあげますが、「おいしい~!パパも食べればいいのに~」と言っています(主人は抵抗があるようで食べてくれません)。
いくらを乗せる東北ならではの楽しみ方
宮城県に住んでいる我が家は、私たち夫婦と、小学生を筆頭に子どもが3人の5人家族です。我が家では、毎年夫の実家で年越しをするのですが、そこで私が作るお雑煮が、子ども達に大人気なんです。
それほど大きな特色のないお雑煮だと、自分では思うのですが、食べる前に入れるいくらを子どもたちは大好きな様子です。彩のつもりで入れているいくらですが、子ども達にとってはプチプチとした食感がとても楽しいみたいです。
しょうゆ味のお雑煮には、いくらの他に、鶏肉、せり、大根、ニンジンなどを入れています。お餅は、夫の実家でみんなでついた、つきたてのお餅を使用するので、これがまた美味しくなるコツなんです。我が家のお雑煮が、子ども達にとってお母さんの味になるといいなと思っています。
赤い金時人参でお正月らしさを演出
関東地方に住んでいます。家族構成は、自分と夫、子どもの3人家族です。お雑煮は昆布とかつおぶしでとったお出汁に、お酒、みりん、お醤油、お塩を入れて味付けします。お味噌は入れません。
お雑煮に入れる具は大根、人参、鶏肉、小松菜の4種類です。昆布とかつおぶしでとったお出汁に鶏肉と調味料を入れ、半月切りやいちょう切りに薄く切った大根と人参を入れて、やわらかくなるまで煮ます。最後に4センチくらいに切った小松菜を入れ、一煮立ちさせたら出来上がりです。小松菜は、少しシャキシャキ感を残すのが自分流です。
人参は、年末年始になると売り場に並ぶ、金時人参を使うようにしています。普通の人参でももちろん良いのですが、赤い金時人参が入っているお雑煮は、よりお正月らしさが出るのでおすすめです。
岩手はイクラを入れるのがお決まり
東北に住んでいます。家族は夫婦と子ども二人の核家族です。味付けは醤油です。出汁は煮干しが多いです。お雑煮に入れるのは大根と人参、鶏もも肉と温めたお餅です。そして、トッピングに三つ葉といくらです。
出汁をとって野菜と肉を入れ、味付けは酒、醤油です。そして、必ず入れたいのがいくらです。いくらは岩手県の特産物です。ご飯に乗せて丼はもちろんですが、岩手ではうどんやそばに入れることも多いです。いくらを入れるとまた良い出汁が出て、つゆが美味しくなるんです。
いくらは温めると皮が白っぽくなります。最後に乗せると色がオレンジで綺麗です。さっと火が通るくらいで十分です。ぜひ県外の人にも試して欲しいです。つゆが醤油ベースなので、いくらとよく合います。
山口県は醤油味
山口県に住んでいます。山口県でお雑煮といえば、醤油味が一般的で、カツオや昆布で取った出汁に、丸いお餅と鶏肉、大根、人参などの野菜を具だくさんに入れて、最後に三つ葉を乗せるのが定番です。また、竹輪やかまぼこを入れても美味しいです。
私は主人と娘の3人家族です。去年、お正月にお雑煮を作りましたが、娘はまだ1歳でお餅は食べられなかったので、お餅以外の具材を小さめに刻んで、お餅の代わりにうどんを入れて食べさせました。
普段の娘は好き嫌いが多く、嫌いな鶏肉も入っていたので食べないかもと思っていましたが、予想に反してパクパク食べて、おかわりまでしてくれました。それからは、お正月でなくても娘のために作って食べさせています。今年のお正月も娘の大好きなお雑煮を作ろうと思います。
おすすめはサツマイモ
現在は関東に住んでいますが、出身は東北のため、私が作るお雑煮は東北風だと思います。家族は主人と4歳の娘の三人家族ですが、お雑煮を食べる年始は主人の実家に帰省しているため、両親、義姉、義弟の7人で食事をすることになります。
昨年末は、私がお雑煮作りを担当しましたが、主人の両親にも3歳の娘にも好評でした。味付けはシンプルな醤油味です。具は鶏肉、人参、大根、高野豆腐、干し椎茸、笹かまぼこ、三つ葉、餅です。
だし汁の中に千切りにした野菜、高野豆腐、戻した干し椎茸を千切りにして柔らかくなるまで煮ます。煮えたら鶏肉、笹かまぼこを加えて醤油で味を付けます。焼いたお餅をおわんに入れ、野菜と汁を入れて三つ葉を添えて完成です。
ポイントは野菜をくたくたになるまで煮ることです。甘みが増して柔らかくなり、子どもでも食べやすくなります。また、3歳の子どもにはお餅はまだ早いので、ご飯と片栗粉を軽くつぶして混ぜたものをフライパンで焼いてお餅代わりにしました。
定番の食材以外に入れるとお勧めなのが、サツマイモです。甘みが増して子どもも大好きな味になります。また、子どもが大好きなウインナーも意外とお雑煮に合います。普通の雑煮に飽きてきたら試してみてください。
新潟では塩鮭の切り身を入れます
新潟県に住んでいます。八歳と一歳の息子がいます。だし汁に醤油と塩で味を調節したお雑煮を作ります。定番の材料といえば、大根、里芋、人参、こんにゃく、ごぼう、ねぎ、かまぼこ、しいたけ、お餅です。
お餅とかまぼこ以外をだし汁に投入して、野菜が柔らかくなるまで煮ます。そして、野菜が柔らかくなった頃に、かまぼこと塩鮭の切り身を入れるんです。そこで、鮭の塩分も出るので味を見ながら醤油と塩で調節していきます。
ここはお好みですが、私も子どもも薄味が好きなので、鮭の塩分だけでも充分だったりします。最後にお椀に盛って、カリッと焼いたお餅といくらを乗せます。この鮭といくらは新潟ならではのようですが、見た目的にもとても豪華になり、美味しいのでおすすめです。長男はこのいくらが目当てでお雑煮を楽しみにしています。
北海道は甘エビの味噌が大好き
北海道在住です。配偶者と7歳の小学生の息子、2歳になる娘の4人暮らしになります。味付けは、めんつゆです。具はシンプルに大根、人参、三つ葉、甘エビ、数の子です。
最初に20匹くらい用意した甘エビを軽く洗い、ひげや足を切って水気を切ります。次に、大根と人参を子どもたちが食べやすい一口サイズに切り、鍋に水と一緒に煮始めます。グツグツと煮だつ前に甘エビを入れます。すると、甘エビからいい出汁がたくさんでてきます。
野菜に火が通ったら、甘エビの出汁をそこなわないように、めんつゆで薄めに味付けをします。焼いた餅を先にお椀に入れ、汁と野菜をかけます。食べる直前に三つ葉と数の子をトッピングします。ちなみに甘エビは別皿に出して、長男と主人が頭の味噌を吸って身と食べてしまいます。甘エビのかわりなら、鴨肉を入れても絶品です。
毎年新作の出る生麩が大人気
夫と息子2人の4人家族で関東に住んでいます。我が家のお雑煮は、私の実家のお雑煮と夫の実家のお雑煮を合体させたものです。私の実家も夫の実家も関東なのですが、私の実家は鰹と昆布ダシで具は大根、お餅、三つ葉、生麩、柚子、干し椎茸とあっさりしたもの。それに対して夫の実家は、鶏のもも肉、里芋、大根、人参など田舎汁のようなお雑煮なのです。
我が家では、それを合体させて、鶏のもも肉、大根、里芋をサッと炒め、そこに鰹だし、お酒、味醂、お醤油で味付けして、焼いたお餅と生麩を入れ、茹でておいた三つ葉や松葉切りにした柚子を飾り、お雑煮にしています。
我が家で特にお気に入りでおすすめなのが生麩です。生麩は美味しいだけでなく、毎年、生麩の形に新作が出るんですね。例えば、それまでは梅や松・竹だったのが、茄子や富士山など。一昨年の時にはハート型の生麩が出て、毎年お正月には目でも楽しませてもらっています。
香川のまるであんみつ!あん餅入り雑煮
私は香川県出身で四国に住んでいます。家族は夫と子どもの3人暮らしです。我が家で子どもが好きなお雑煮は、香川県でよく食べられている「白味噌あん入り餅雑煮」です。「あん入り餅をお雑煮に入れる」と言うと、他の地域の方には驚かれますが、まるで甘味のようなこのお雑煮は、白味噌とあん餅の相性が良くとても美味しいんです。
作り方は簡単です。まず、だし汁で里芋、人参、大根が柔らかくなるまで煮たら、白味噌を加えて味を整えます。これを器に入れ、焼いたあん餅を入れるだけで完成です。体が芯から温まるので、寒いお正月の季節にぴったり。
私は、ぜんざいよりもこのお雑煮の方が好きで、これを食べると、「今年もお正月を迎えたな」と実感できます。他にも、カブの葉などを入れてもおいしくいただけます。
長崎はお醤油で味付け
長崎在住の2児のママです。生まれた時からこの味で慣れ親しんでいるので、この味しかしりませんでした。その長崎ならではの、お醤油仕立てのさっぱりとしたお雑煮です。あっさりしていて、お餅が何個でも食べられる感じで子どもに大好評です。
お雑煮の中身はといいますと、かしわ(鶏肉)、しいたけ、人参、かまぼこ、ささがきごぼう、白菜です。定番の他に、卵焼きを入れるのも美味ですよ。さらに七味をふりかけていただくと、旨味が増します。
長崎の島原地方に、具雑煮の専門店で姫松屋というお店がありまして、具雑煮の定番と言えばそこというお店で、いつもお客様で賑わっています。食べてみたいと思われる方、ぜひ一度足を運ばれてみてはいかがでしょう。長崎独特のお雑煮が味わえますよ。一度長崎のお雑煮、お試しあれ!
沖縄は濃い目に出汁をとる
私の家族はみんな沖縄出身で、お正月におせち料理はありませんでしたが、えびや豚肉などを使った豪勢な料理と、ぜんざいとお雑煮を食べていました。私は今、旦那さんと娘と息子の四人家族ですが、お雑煮は家族みんな大好きなお正月料理です。
味付けは、しいたけと昆布と鰹節をたっぷり使って濃い目の出汁をとって、最後に醤油を少し入れて味を整えながら作ります。お雑煮に入れる材料は、かまぼことほうれん草と鶏肉としいたけと焼き餅です。すっきりとした味のお雑煮で、出汁が濃い目なので子ども達はお代わりを何回もして食べます。
子ども達には、やわらかく湯がいた鶏肉が人気です。一度湯がいているので、余分な油が落ちてあっさりとして食べられます。香ばしい焼き餅は、そのまま食べてもいいのですが、だしをまとわせたまま最後に残しておいて、砂糖醤油をつけて食べて楽しんでいます。
1歳の子にはご飯を潰して入れる
市在住の主婦です。3歳と1歳の子供がおり、まだお餅をそのまま食べるのは無理なので、3歳の子には切り餅を2.5cm四方に切って焼いたものを、1歳の子にはご飯を軽く潰して丸めて焼いたものを入れています。
味付けは、私がかつおぶしをたっぷりきかせたおだしが好きなので、かつおだしにお醤油を少し足したものにしています。具は定番の小松菜(私の地域ではこの時期になるともち菜と呼ばれるようになります)、子供が好きで見栄えもよい手毬麩、にんじんや大根はクッキーの型で星やハートの形にすると子供が喜びます。
食べる直前に、かつおぶしとおぼろこんぶをかけていただきます。我が家ではお正月になるとお雑煮用のおだしが入ったお鍋と、ぜんざいのあずきが入ったお鍋がコンロに常駐していて、食べたくなった時にすぐ食べられるようにしてあるので楽です。
関西は白みそが定番
大阪府に在住です。主人と私、そして2歳になる娘の3人家族です。関西のお雑煮の味付けは白みそです。関東出身の主人は、最初こそ抵抗があったものの、「白みその方が美味しい」と言ってくれるまでになりました。
お正月になると、小学生になる姪っ子達の分まで大量に作りますが、具はにんじんや大根、里芋を入れます。すぐにお餅に火が入るように、お餅は電子レンジでチンをしておいて、柔らかくしてから入れます。大根などの野菜に火が通ったら、白みそと塩少々で味付けをします。
大根や里芋が苦手な子どもは多いですが、白みそで味付けをすると非常に甘くなり、苦手な子でも食べやすくなりますのでおすすめです。他にも鶏むね肉などもいい出汁が出るので、おすすめです。
体験談15人から見えた5つの発見
15人分の作り方を並べてみると、地域の傾向だけでは見えてこないものが浮かび上がってきます。
1「地域の味」は、住んでいる場所とは一致しない
これが最も目を引いた点です。今住んでいる地域の味を作っているとは限らないのです。
しおりさんは関東在住ですが、「出身は東北のため、私が作るお雑煮は東北風だと思います」と書かれています。Azuさんは東海地方在住で、関西出身、そのうえ祖母が福井生まれという背景から白みそに丸餅を使われています。あいかさんは香川出身で四国在住、香川の形を守っています。
つまり、お雑煮は場所ではなく家系についてまわるということです。「全国お雑煮マップ」の線引きが実際にはあいまいになるのは、この移動があるからでもあります。
2二種類作り分けている家庭がある
夫婦の実家の味が違う場合の対処法が、体験談に2通り出てきました。
作り分ける:Azuさんは「お互いの実家のお雑煮が全く違うため、主人用と子ども用(私の実家のお雑煮)と二種類作り分けています」とのことです。
合体させる:ゆかりさんは「私の実家のお雑煮と夫の実家のお雑煮を合体させたもの」を作られています。あっさりした実家の形と、田舎汁のような夫の実家の形を組み合わせ、生麩と柚子を加えた椀になっています。
どちらかに合わせなければならない、という前提を外すと、選べる形が増えます。味の違いは、譲るか譲らないかの話にしなくてもよいということです。
3子どもに向けた工夫が、味ではなく見た目に集まっている
子どもが食べやすいようにという工夫を集めると、味を変えるより見た目を変えていることがわかります。
- 海苔とかまぼこを星形にする(みおんさん)
- 人参と大根をクッキーの型で星やハートにする(ののさん)
- いくらをのせてプチプチした食感を楽しませる(いっちんさん)
- 手毬麩を入れる(ののさん)
- 形の変わる生麩を選ぶ(ゆかりさん)
- 金時人参で赤みを出す(みかんさん)
いっちんさんは「彩のつもりで入れているいくらですが、子ども達にとってはプチプチとした食感がとても楽しいみたいです」と書かれています。大人が彩りだと思って入れたものが、子どもには食感の楽しみになっていたという発見です。
4甘みを足す工夫が、複数の地域から出てきた
意外に多かったのが、甘みに関わる工夫です。
Azuさんの家では、椀に盛ってから白砂糖を好きなだけ入れて、鰹節を振るという食べ方をされています。「甘くてデザートのような感覚なので、結構な数が食べられます」とのことです。あいかさんの香川のあん餅雑煮も、甘みが主役になる椀です。しおりさんはさつまいもを加えて甘みを出しています。さゆりさんの白みそ仕立ては、味噌そのものの甘さを使っています。
まったく別の地域の話なのに、甘みが子どもの食べやすさにつながっているという点で共通しています。汁物に甘みを足すことに抵抗がある方も多いと思いますが、椀に取り分けてから足す形なら、家族の中で分かれても対応できます。
5だしの取り方が地域で分かれている
具材ばかりに目が行きますが、だしの素材も地域で違います。
- 煮干し:そぼろさん(岩手)「出汁は煮干しが多いです」
- 昆布とかつおぶし:みかんさん(関東)、なおなおさん(山口)
- 昆布:Azuさん(白みそ仕立て)
- しいたけ・昆布・鰹節:まあさん(沖縄)
- かつおぶし主体:ののさん、ゆかりさん
- 甘エビ:りょうはるさん(北海道)
- めんつゆで調味:りょうはるさん(北海道)
白みそ仕立てに昆布だしが使われているのは、味の組み立てとして理にかなっています。味噌の香りを立てたいときは、かつおの香りを抑えるという考え方です。逆にすまし仕立てでは、かつおの香りが汁の主役になります。
お餅がまだのお子さんと一緒に食べる仕立て方
小さいお子さんがいるご家庭では、餅をどうするかが悩みどころになります。体験談から、同じ椀を家族で囲むための工夫が4通り出てきました。
1うどんに替える
もっとも手軽な方法です。みおんさんは「お餅の代わりにうどんを入れてもとても美味しいです。小さな子どもがいても、家族でお雑煮を楽しめるのでとてもおすすめです」と書かれています。
なおなおさんも同じ方法で、「お餅以外の具材を小さめに刻んで、お餅の代わりにうどんを入れて食べさせました」とのことです。結果として「予想に反してパクパク食べて、おかわりまでしてくれました」となり、その後はお正月以外にも作るようになったそうです。
2ご飯を丸めて焼く
ののさんの方法です。1歳のお子さんには「ご飯を軽く潰して丸めて焼いたもの」を入れているとのことです。
焼き目がつくので、見た目が焼き餅に近くなるという利点があります。家族と同じ椀の中に、同じような形のものが入っている状態になります。
3ご飯に片栗粉を混ぜて焼く
しおりさんの方法です。「ご飯と片栗粉を軽くつぶして混ぜたものをフライパンで焼いてお餅代わりにしました」とのことです。
片栗粉が入ることで、ご飯だけよりもまとまりが出ます。汁の中で崩れにくくなるので、最後まで形が残ります。
4餅を小さく切って焼く
ののさんは、3歳のお子さんには「切り餅を2.5cm四方に切って焼いたもの」を入れています。寸法が具体的に書かれているのがありがたい情報です。
切り餅を4つか6つに切り分けると、だいたいこの大きさになります。焼いてから入れるので、汁の中でも形が保たれます。
あわせて使える工夫
餅以外の部分でも、小さいお子さんが食べやすくなる工夫が体験談に出ています。
- 具を小さめに刻む(なおなおさん)
- 野菜をくたくたになるまで煮る(しおりさん)。「甘みが増して柔らかくなり、子どもでも食べやすくなります」
- 鶏肉を一度湯がいてから使う(まあさん)。「余分な油が落ちてあっさりとして食べられます」
- 一口サイズに切る(りょうはるさん)
- 型抜きで形を楽しくする(ののさん、みおんさん)
こうして並べてみると、お子さんに合わせた椀は、他の家族にとってもおいしい椀になることがわかります。くたくたに煮た野菜の甘み、油を落とした鶏肉のあっさりした口当たり。どれも味の面での工夫として成り立っています。
お雑煮についてよくある質問
Q1.夫と実家のお雑煮が違います。どちらに合わせるべきですか
どちらかに決めなくても構いません。体験談では、二種類を作り分けている方と、両方を合体させた椀を作っている方の2通りが出てきました。作り分けは手間がかかりますが、それぞれが慣れた味を食べられます。合体させる方法なら1回で済み、その家の新しい形になります。お子さんが大きくなったときに「うちのお雑煮」として覚えるのは、その合わせた形です。
Q2.お餅は焼くべきですか、煮るべきですか
どちらでも構いません。焼くと表面が香ばしくなり、汁が澄んだまま保たれます。煮ると餅のとろみが汁に移って全体がまとまります。白みそ仕立てなら煮る形が味噌の甘さと合い、すまし仕立てなら焼く形が汁の澄み方を保ちます。体験談では焼く方が多く挙がっていました。
Q3.他の地域のお雑煮を試すには、何から変えればよいですか
汁だけ変えるのが一番わかりやすい方法です。いつもの具材のまま、白みそ仕立てにしてみる、あるいは逆にすまし仕立てにしてみる。それだけで印象がかなり変わります。もっと軽く済ませたい場合は、椀に盛ってから仕上げにのせるものを変えます。いくら、かつおぶし、おぼろこんぶ、七味など、体験談に出てきたものを試すだけでも違いが出ます。
Q4.岐阜のお雑煮はどんな形ですか
すまし仕立てに角餅、そしてもち菜や小松菜という青菜を入れて、具をあまり多くしない形が挙げられます。角餅と丸餅の境目が関ケ原周辺を通るとされる地域なので、県内でも東寄りの形と西寄りの形が混在しているとされています。境目にあたるため、家庭による違いが特に大きい地域です。
Q5.沖縄にはお雑煮の習慣がないと聞きました
沖縄の正月には豚を使った汁物を食べる家庭が多いとされ、本州の雑煮とは位置づけが異なると言われています。ただし家庭によって異なり、体験談のまあさんは沖縄出身の方で、おせちはなかったけれどぜんざいとお雑煮を食べていたと書かれています。地域全体で一律ではない、というのが実際のところです。
Q6.具材の意味を子どもに説明したいのですが
里芋は親芋に子芋がつくことから子孫が続くように、青菜は「名を上げる」の語呂、鶏肉は「取り」に通じて福を取り込む、という説明が伝えられています。ただしこうした意味づけは地域や家によって違い、後からつけられた語呂合わせも多くあります。正確さを気にせず、食卓の話題として使うくらいがちょうどよいでしょう。
お雑煮は、その家の形でいい
15人分の椀を並べてみて、はっきりしたことがあります。同じ椀はひとつもありませんでした。いくらをのせる椀、甘エビでだしをとる椀、砂糖を振る椀、あん餅を入れる椀、うどんを入れる椀。それぞれが、その家の事情と好みでできています。
地域の傾向を知っておくと、他の土地の味を試すときの手がかりになります。汁の味、餅の形、餅の火の入れ方、その土地の具。この4つの軸で見れば、どこを変えれば別の椀になるかもわかります。
そして、正しいお雑煮を作らなければいけないという決まりはありません。もともと、その土地で手に入るものを一緒に煮る料理でした。うどんを入れた椀も、ご飯を丸めて焼いたものを入れた椀も、その考え方からすればまっすぐに雑煮です。
いっちんさんの「我が家のお雑煮が、子ども達にとってお母さんの味になるといいなと思っています」という一言が、この料理の性質をよく表しています。受け継がれていくのは、決まった作り方ではなく、その家で毎年食べてきた味なのだろうと思います。



