子どもの名前は、子どものことを考えた漢字を使いたい
日本人の名前には欠かせない漢字。日本の名付けでは、読みの音だけでなく、漢字の持つ意味も非常に重要です。漢字の字体には、悪い意味を持つものもあります。子どもが成長して自分の名前の漢字を調べたとき、悪いイメージのある漢字が使われていたら、どう思うでしょうか。
名前を考えるときには親の思いも大切ですが、子どもの立場になって使う漢字を決めることも必要です。
また、私たちは日常的に多くの漢字を使っていますが、名前に使える漢字は法律で定められています。「この漢字を使いたい!」と思って届け出ても、認められない場合があります。
今回は、名付けの際に考慮したい「漢字の持つ意味」や「バランス」など、いくつかのポイントをご紹介します。
人の名前に使える漢字

常用漢字と人名用漢字は、名前に使える漢字です。これらは法務省のホームページで確認できますし、最近では使いたい漢字を入力すると、使用できるか判別してくれるサイトもあります。必ず確認してから出生届を提出しましょう。
名前に使えない漢字
たとえば、「死」「泣」「敵」「悪」など名前にふさわしくない漢字や、電話で説明しにくい漢字などは、使用できません。
一見使えそうでも、実際には使えない漢字もあります。
たとえば:
- 薔薇(ばら)…美しく華やかな花の名前ですが、名前には使えません。
- 杞(き)…クコの実を表す漢字。紀・記など似た漢字があるので、使用の際は注意が必要です。
漢字の意味も考えてみよう

最近は【キラキラネーム】が話題になることも多いですね。幼少期はひらがなで書くため問題なく過ごせることが多いですが、小学校以降、年齢を重ねるごとに名前に関する支障が出てくることもあります。
特に、漢字で名前を書く機会が増え、自分で書くには難しすぎたり、画数が多いと大変です。子どもにとって、自分の名前が苦痛なものになるのは避けたいですね。
また、見た目が良い漢字でも、意味を調べると悪いイメージを持つ漢字が含まれている場合もあります。
- 涼…「すずしい」というポジティブな印象がありますが、「物寂しい」などのマイナスの意味もあります。
- 斗…単位を表す漢字で、「物事を分別できる子に」という願いを込める場合がありますが、「つまらない人間」といった印象もあります。
- 空…広大な空を連想させる良い意味の反面、「から(空っぽ)」と読まれることも。
- 乃…女の子の名前によく使われますが、「ぐにゃっと曲がったさま」という意味も。
- 亜…多くの女の子の名前に使われますが、「古代中国の貴族の墓」を表す漢字です。
- 優…「優しい」「優秀」などの意味がありますが、「にんべん」を取ると「憂い」となり、悲しみを連想させる場合もあります。
漢字には良い意味と悪い意味の両面があることを理解しながら、慎重に選びましょう。すべてが完璧な漢字を見つけるのは難しいですが、ひとつでも良い意味を込めたり、悪い意味を他の漢字で打ち消すようなバランスを工夫するとよいですね。
漢字一文字の名前

最近では、漢字一文字の名前を持つ子どもが増えています。男の子なら【蓮】、【翼】、【翔】、女の子なら【凛】、【葵】、【彩】など、人気の名前ランキングにも多く見られます。一文字に思いを込めることで、漢字を選びやすいという点もあります。
ただし、姓とのバランスには注意が必要です。たとえば、姓が一文字で名も一文字だと、全体のバランスが悪く見えることがあります。逆に、姓が長ければ一文字名とのバランスが取りやすくなります。
一文字名は男女どちらにも使える
漢字一文字の名前は、性別を問わず使えるものも多いです。
たとえば:
- 光(ひかり・ひかる)…「光り輝くように」という願いが込められます。
- 翼(つばさ)…「将来の飛躍」を願う名前です。
- 望(のぞみ・のぞむ)…「人望のある子に」などの思いが込められます。
性別がわからないうちに名前を考えたい場合、こうした漢字を使った名前を準備しておくのもひとつの方法です。
ただし、一文字名は読み方が複数ある場合が多いため注意が必要です。たとえば、【光】は「ひかり」「ひかる」、【翔】は「しょう」「かける」など。周囲に読み方をきちんと伝えておきましょう。
子どもが自分の名前に誇りを持てるように
名前は、子どもにとって一生の宝物です。親としては、「かわいい」「かっこいい」漢字を使いたいと思う気持ちもあるでしょう。しかし、名前が人生に影響を与えることもあるということを忘れてはいけません。
必ずしも良いイメージの漢字だけを使うのは難しいですが、子どもが成長して自分の名前の意味を調べたり、「どうしてこの名前にしたの?」と聞かれたとき、しっかりとした思いを伝えられるようにしましょう。親の願いが伝われば、子どもは自分の名前に誇りを持って成長してくれるはずです。