赤ちゃんの寝相が悪いのはなぜ?土下座・大の字の理由と安全な寝冷え対策
「180度回転して、赤ちゃんに思いっきり顔を蹴られて目が覚めた」「夜中に布団を飛び出して床で寝ていた…」小さな赤ちゃんのダイナミックな寝相に驚かされることは、子育て中の「あるある」エピソードです。しかし、赤ちゃんの寝冷えを心配して何度も布団をかけ直しているうちに、ママやパパが寝不足になってしまうこともありますよね。
寝ている間に動き回ってしまうのは、赤ちゃん特有の生理的な理由があります。こちらでは、そんな赤ちゃんの寝相が悪い科学的な理由と、寝冷えを防ぐための安全な対策、そして寝相を利用したアートや性格診断をご紹介します。
赤ちゃんの寝相が悪い科学的な理由
赤ちゃんの寝相の悪さを見て、「行儀の悪い子なのでは」と思うママやパパもいますが、それは間違いです。赤ちゃんの寝相の悪さには、健やかな成長を支えるためのきちんとした理由があるのです。
1体温調節のために熱を逃がしている
大人の平均体温が約36.0~37.0℃なのに対し、赤ちゃんの体温は平均して37.0℃前後と比較的高めです。また、体格に占める体表面積の割合が大人より大きいため、熱しやすく冷めやすい特徴があります。大人は暑くないと感じる室温でも、赤ちゃんにとっては暑すぎることがあるのです。
さらに、赤ちゃんの睡眠中には成長ホルモンが活発に分泌されます。実は、この成長ホルモンの分泌は、体の深部体温が下がることによって促進されます。そのため、赤ちゃんは体内の熱(深部体温)を外に逃がそうと、布団を蹴ったり、手足を広げたり(大の字の寝相)して、熱を放散するためにたくさん動き回ります。寝相の悪さは、生理的な体温調節の一環なのです。
2レム睡眠(浅い眠り)の時間が長い
赤ちゃんの睡眠は、大人と比べてレム睡眠(浅い眠り)の時間が多いことが特徴です。総睡眠時間のうち、大人のレム睡眠が約20%であるのに対し、新生児の睡眠は約50%がレム睡眠の状態です。
レム睡眠中は脳が活発に動いており、体も動きやすい状態にあります。この浅い眠りの間に寝返りを打ったり、体勢を変えたりすることで、赤ちゃんは体のあちこちの疲れやコリ、緊張をほぐしていると考えられています。また、寝返りは窒息防止や体の歪みを防ぐ役割も果たしています。そのため、月齢が低いほど、赤ちゃんは睡眠中によく動くのです。
3脳が日中の経験を定着させている
赤ちゃんの脳はスポンジのように、毎日新しい情報や体験を吸収しています。日中に体験したことや、新しく学んだ運動機能(寝返りやハイハイなど)を、睡眠中に整理・復習しながら脳に定着させていくのです。脳が活発に働いているレム睡眠時には、それに伴って手足がよく動くことがあります。
赤ちゃんの寝相が悪いのは成長の証!安全確保の重要性
睡眠中に赤ちゃんがダイナミックに動き回るのは、心と体が順調に成長している証拠といえます。成長とともに睡眠のパターンが大人に近づき、寝相も落ち着いてくるので、睡眠時無呼吸症候群などの疾患がなければ特に心配はいりません。
しかし、動き回ることで思わぬ怪我につながることがあります。ベッドから落ちないようにベビーベッドのフェンスをきちんと上げたか忘れずに確認する、ベビーベッドガード(クッション性の高い柵)を敷き詰めるなど、怪我をしないように安全な環境を整えて、伸び伸びと寝かせてあげましょう。
睡眠時無呼吸症候群が心配なママやパパは、赤ちゃんなのにいびきが大人のようにひどくはないか、呼吸時に胸がベコベコへこんでいないか(陥没呼吸)、苦しそうに寝汗をかいていないかをチェックし、おかしいと思ったら早めに医療機関に相談しましょう。ただし、単なる寝相の悪さや寝汗だけで心配しすぎる必要はありません。
ダイナミックな寝相を利用【寝相アート】
赤ちゃんのダイナミックな寝相を活かし、子供の成長の記録を残す寝相アートが、近年人気を集めています。掛け布団を外し、赤ちゃんの周りをタオルや調理道具、スカーフなど色々なグッズを利用して飾り付けて、絵画のような世界を作り出し写真に収めます。
安全を確保し、赤ちゃんの健やかな眠りを妨げないことに注意して、今しかない可愛さを記念に残してみてはいかがでしょうか。特に、うつぶせ寝(土下座ポーズ)の時など、その寝相を活かしたユーモラスなアートも人気です。
赤ちゃんの寝相に合わせた安全な4つの寝冷え対策
いくら暑がりとはいえ、朝方気温が下がったら寝冷えして風邪を引いてしまうのではないかと心配になりますよね。こちらの4つの寝冷え対策で、布団をかけ直す心配を減らし、ママやパパも赤ちゃんを心配せずゆっくり休んでくださいね。
1寝始めの室温と発汗対策を徹底する
夏でも冬でも、寝始めは体温が高いため、赤ちゃんが大量の汗をかきやすい時間帯です。寝始めの汗が冷えて風邪を引くこともあるため、室温を適切に調整することが重要です。夜寝る時間の少し前にエアコンで室温を調整したり、首の後ろや背中にガーゼタオルを挟んだりして、汗がひいてから布団をかけるなどの工夫をし、寝始めを涼しくするようにしましょう。
赤ちゃんの寝室の適切な室温は、一般的に夏場で26~28℃、冬場で20~23℃程度を目安としますが、赤ちゃんの様子を見て調整してください。
2スリーパーや腹巻きを着用させる
動き回る赤ちゃんには、スリーパー(着る布団・着る毛布)を着せてあげましょう。動いても脱げないため、寝冷えを防ぐことができます。夏場用にタオルケット素材のスリーパーもありますが、寝汗をかいて冷えては意味がないので、室温とスリーパーの素材・厚さに気をつけましょう。
また、お腹が出ないように注意して、ロンパースや腹巻きを着せるのもよい対策です。お腹を冷やさないことが、寝冷え対策の基本です。
どうぶつ・お花・くるま柄☆タオルスリーパー
メーカー:ミキハウス ファースト(MIKIHOUSE FIRST)
価格:5,000 円 + 税
夏用のタオルスリーパーです。寝返りが打てるようになる生後3ヶ月以降の赤ちゃんの寝冷えが心配なママは、ぜひ一着用意したい優れものです。お風呂上がりにも使え、表はガーゼ素材で裏がパイル地の吸水性抜群の優れもの!新生児から3歳まで長く使えます。
3衣類と布団の枚数を調整する
スリーパーは、嫌がったり、寝ながら器用に脱いでしったりする赤ちゃんもいるようです。赤ちゃんの服は大人より一枚少なめが推奨されていますが、基本的には大人と同じ枚数を着せて、掛け布団を薄いものにしたり、毛布を一枚減らしたりして調整するのが現実的です。
また、少しの寝返りでは布団からはみ出さないように、大きめの布団を掛けてあげるのもよいでしょう。大切なのは、布団を蹴っても体が冷えすぎないように、衣類で調整しておくという考え方です。
4手足は出して、お腹を温める
赤ちゃんは手足から熱を出して体温を調整しています。特に夏場は、布団やタオルケットは手足だけ出してお腹の上にかけてあげるようにしましょう。布団ごと蹴り上げてしまう心配も少なくなります。手足が冷たくても、お腹や体が温かければ寒さを感じていないので大丈夫です。逆に背中やお腹に汗をかいていれば、着ているものを一枚少なくしましょう。
安全な睡眠のために:温めすぎと「うつぶせ寝」に注意
ついつい心配で着せすぎたり、布団を掛け過ぎたりするママやパパもいますが、赤ちゃんの体温が上がりすぎることは避けるべきです。また、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを減らすためにも、仰向け寝で寝かせることが推奨されています。うつぶせ寝で寝かせることは、特に生後1年間の赤ちゃんには避けるようにしましょう。厚生労働省は、赤ちゃんの顔の周りには何も置かず、硬めの布団に仰向けで寝かせ、保護者が目の届く範囲で寝かせることが安全のために重要であると指導しています。安全な睡眠環境の確保を最優先に考えてください。
寝相で分かる!赤ちゃんの性格診断(エンタメ要素)
無意識に見る夢や、寝ている間に自然にとる寝相には、人間の深層心理が現れるという考え方もあります。
アメリカの精神分析医サミュエル・ダンケルは、著書「スリープ・ポジション」の中で4タイプの寝相から、4つの性格に分類しました。ここではエンターテイメントとして、その分類をご紹介します。
赤ちゃんの寝相と4つの性格分類
- 胎児型(膝を抱え横向きに丸まる)
→警戒心が強く、自分の殻に閉じこもりがち - 王様型(仰向けで大の字)
→開放的で自信家、寛大 - 横向き型(横向きで体は真っ直ぐ)
→常識的で協調性に富む - うつぶせ型(土下座ポーズなど)
→几帳面、自己中心的、独占欲が強い
寝相は睡眠のサイクルや時間帯によって変わりますが、普段どんな体勢で寝ていることが多いかによって、性格の分類ができるかもしれません。また、心の中の変化によっても、寝相は変わると言われています。
普段、大の字や横向きで寝ていることが多い子でも、疲れている時や不安なことがあった時は体を丸めて眠ることがあるようです。「最近寝相が変わったな」と思ったら、お子様の様子を注意深く見守ってあげるのも良いでしょう。
生まれたばかりの赤ちゃんは、仰向けで寝かせることが推奨されていますが、王様型(大の字)で寝ていることが多いです。寝返りをうつようになると、寝相にも好みが出てくるため、お子さんはどのタイプに当てはまるか、親子で楽しんでみてはいかがでしょうか。




