離婚の流れから弁護士に依頼するメリットやタイミングを見る
一言に「離婚したい」といっても様々なケースがあり、離婚にも種類があります。段階的に
- 協議離婚
↓ - 調停離婚
↓ - 審判離婚
↓ - 裁判離婚
このような流れになります。
まずは、当事者同士が話し合う「協議離婚」です。この時点で納得のいく話し合いができたのなら問題ないのですが、そう簡単にはいかないケースも多いです。離婚を急ぐあまり不利な条件で判を押してしまった、なんてことにならないように注意しなければなりません。
協議離婚(話し合い)で話がまとまらなかった時の流れ
話し合いで折り合いがつかない、又は話し合いに応じない時の段階として「調停離婚」があります。調停離婚が裁判離婚と違う点は、
●非公開
●弁護士が不要
●相手との直接交渉なし
という点です。双方が納得のいく形で離婚できるように調停委員といわれる方々が間に入り、合意へ向け手助けしてくれます。
この2つのケースの離婚の場合、当事者のみで進めていくことが可能です。特に弁護士を付ける必要もありません。しかし、これから先の段階になっていくと専門的な知識や効力を持つ弁護士が必要になる可能性があります。
弁護士を付けるメリットは相手に「離婚をする固い意思」を伝えられる
弁護士に相談するという事で、一番心配なのは費用ですよね。離婚したいとはいえ、その後の生活を考えると高額な弁護士なんて無理だと思うかもしれませんが、やはり専門家である弁護士に依頼すると、裁判期間も短くなりトラブルを心配することなく、自分の負担も軽く済むようになります。
弁護士を立てることにより、精神的にも守ってもらえているという安心感と、相手に離婚の意思が固い「本気」が伝えられます。今まで、どんなに「離婚したい」と伝えても話し合いに応じてくれなかった相手でも弁護士が出てくるとさすがに無視はできないでしょう。
弁護士に依頼するタイミング
「離婚問題が発生してから、どの段階で弁護士に依頼するか」悩みどころです。初めの法律相談費用は、基本的に相談の時間により料金が加算されるケースがほとんどで、地域や弁護士事務所にもよりますが平均的には1時間5,000円~1万円程度です。
やみくもに早い段階で相談すれば、費用はどんどんかさみます。様々な離婚理由がある中で、一概に「今が以来のタイミング!」と明確に決められませんが、自分の気持ちに迷いがなく離婚問題に対し相手が譲る、または応じる気持ちが全くないという場合と協議離婚は無理と、調停委員に間に入ってもらっての解決も難しいであろうと判断した場合は弁護士に依頼するタイミングだと言えます。
最初の相談の段階で
●離婚理由は有効か(勝機があるか)
●どの様な主張が有効か
●どのタイミングで依頼するべきか
●案件による費用はいくらかかるか
●準備するべきものの有無
以上の点を抑えて相談すると、より明確で具体的に次に進むべき道が繋がります。
弁護士費用のおおよその相場
弁護士費用は、弁護士が自由に決めることが出来ます。そのため一律で決まっていないのですが、おおよその相場というものはあります。まず、離婚の相談から成立するまでの弁護士費用は「相談料」「着手金」「報酬金」という3種類になっています。
●「相談料」・・・弁護を依頼する以前の法律相談の金額
●「着手金」…結果の合否に関わらず、弁護士が手続きを進めるために支払う金額(依頼金)
●「報酬金」…結果が成功したときに支払う金額(成功報酬)
報酬金は、勝訴したときに支払うものなので、全面敗訴になった場合は支払う必要はありません。おおよその相場は
●離婚+親権者指定のみ請求する場合
「着手金 40~60万円」
●離婚+親権者指定+慰謝料300万円+財産分与2,000万円を請求する場合
「着手金 40~60万+30~100万円」
これらに勝訴すると、着手金とほぼ同程度の金額の報酬金が発生します。
他にも「収入印紙」「交通費」「通信費」「コピー代」「保証金・供託金」などの実費もかかります。離婚だけの実費なら
●「印紙代 13,000円」+「切手・6,500円」=19,500円
程度の負担で済みます。
※これらの金額はあくまで目安であり裁判所ごとに違いがあります。
紹介した弁護士費用はおおよその相場であるのを念頭におき、実際依頼するときには弁護士に直接確認することを忘れないで下さい。
心強い救世主!民事法律援助
しかし、お金には代えられない離婚理由もたくさんあります。そんな時に助けてくれるのが「民事法律援助」です。経済的理由から弁護士費用が支払えない時に利用できる法テラス(日本司法支援センター)が行っている制度です。
案件にもよりますが、離婚の場合では「着手金+報酬金20万円程度」で済むこともあります。また、弁護士費用の立て替えもしてくれます。援助開始決定後から月々5,000円~1万円を返済していくことも可能です。もちろん利用できる条件がありますので、自身の案件が当てはまるか、詳しくは居住している自治体の法テラスにご相談されてみては如何でしょうか。
弁護士を選ぶときは「相性と信頼関係」が大切
たくさんいる弁護士の中からどの弁護士を選ぶべきか悩みどころです。間違いないのは身内や友人など信頼できる人からの紹介ですが、普通に生活していたらあまり弁護士さんとの接点はないでしょう。
そこで自分で弁護士を探すときの押さえるポイントは、
- 「離婚弁護士」というように、離婚案件を多数経験していること。
やはり、経験が多いという事、実績があるという事は、それだけのノウハウがあるという事。 - 費用の説明を明確に最初に話してくれる。
リスクをきちんと話してくれたうえで、問題に取り組むという姿勢は、安心してまかせられます。 - 色んな見解パターンを提示できる
筋書通りに事は、進まない時にあらゆる方面からのアプローチを提示できるか。これは、経験値にもよりますね。
やはり最終的には、弁護士との「相性と信頼関係」が大切です。「話しやすい」「親身になって聞いてくれる」など信頼関係がないと、離婚という選択をした自身のつらい気持ちを理解してくれなければ、一緒に戦っていけません。最初の「法律相談」で違和感や話の食い違いを感じるようなら別の弁護士を当たりましょう。
長引く離婚問題を解決するには弁護士に依頼することも視野に入れる
性格の不一致や信頼関係の崩壊により表面化する離婚問題を全て円満に解決できることは不可能に近いのかもしれません。もし離婚したいという意思が固いのであれば、一つ一つの問題点をクリアにしていくことで、新たな人生のスタートラインが見えるということは確実です。
離婚問題が長引き、自分の力が及ばない部分が出てきた時には弁護士に依頼するのも一つの離婚問題の解決策と言えます。