ステップファミリーがうまくいかない原因&崩壊させない知恵6つ
日本の家族形態は目まぐるしく変化していて、今や3組に1組の夫婦が離婚し、そのぶん再婚率が上昇してステップファミリーが急増しています。芸能人でも谷原章介さんやハーフタレントのユージなどは有名ですね。平成26年度の厚生労働相による人口動態統計では、26.4%の新婚カップルが、男女どちらか、もしくは両方が再婚者という結果が出ていて、今、子供を連れて新しいパートナーとの生活に踏み切る人が増えています。
「夫婦の場合は愛情で結びついてはいるけれども、その子供達までを無条件に愛せるかというとそうではないのが現実。子供のつらさや後々のトラブルを考えると、再婚することを躊躇してしまう…」という人も少なくありません。今回は、子連れ再婚が生み出すステップファミリーの実状や課題について解説をしながら、家族を崩壊させないための対処法などについてご紹介していきます。
「ステップファミリー」とはどんな意味?
皆さんは「ステップファミリー」という言葉を、ご存知でしょうか?親の子連れ再婚によってできた、前の配偶者との子供を含んだ新しい家族関係のことで、「ステップ」とは、「継子関係」を意味する言葉です。近年の離婚率・再婚率の上昇から、日本でもこういった家族関係が増えていて、最近はステップファミリーという言葉もよく耳にするようになりましたね。
一言にステップファミリーといっても、
- 前の配偶者との子供を連れて、結婚歴のないパートナーと再婚する
- 前の配偶者との子供を連れて、離婚歴のあるパートナーと再婚する
- お互いに前の配偶者との子供を連れて再婚する
といったパターンがあります。
ステップファミリーは、連れ子である子供の年齢や性別、人数、家族構成によっては、子供が辛い思いをすることや、家族の中がギクシャクして生活に支障が出ることも多い家族関係であるため、強い覚悟が必要な関係ともいえますね。
ステップファミリーが難しい関係である原因
血のつながりがあってさえ難しいのが家族関係ですが、ステップファミリーの場合は全く別々の家庭で培ってきた価値観を持つ大人と子供が一つの家族になることで、家族関係はより複雑化してバランスがとりにくいものです。ちょっとした拍子に家族関係が一気に崩れてしまいがちですので、ステップファミリーがうまくいかない原因をよく理解して対処していくことが大切です。
1価値観や感覚のギャップが大きい
日本のステップファミリーの多くは「代替家族モデル」と言われ、再婚によってできた継親が実の親代わりになって子供を育てる関係が多い傾向があります。新しい継親と子供が一緒に生活を共にするために、短期間で親密な付き合いをしなくてはならないので、大人も子供も戸惑うことが多いようです。
大人も子供も頭では家族になるということを理解していても、それまで別個の環境で培ってきた価値観や感覚のギャップを埋めることは容易なことではありません。そのため、お互いに気を使いすぎて顔色をうかがうようになり、ギクシャクとした関係になりやすいのです。
2以前の家族と比べてしまう
ステップファミリーになってはみたものの、家族関係に不安があると、ついつい元の配偶者との生活や、再婚前の環境を思い出して比較をしてしまいがちです。今の環境にネガティブなものを感じていると、急に「再婚した後の方が窮屈だ!」などと感じ始めて後悔することも多いようです。
継子と継親の関係も、はじめのうちは良い関係を築きたいと思っていたのに、以前の家族環境と比べて挫折感や失望感を感じやすくなっていて、ちょっとうまくいかないことがあると、「こんなはずじゃなかった!」と思ってしまう人が多いようです。
3血のつながりを意識してしまう
再婚した夫婦同士で赤ちゃんを作り家族を増やすことは、家族の絆を深める良いことでもありますが、子連れの再婚の場合は、継子の気持ちやこれから生まれる実子への愛情と継子への愛情を秤にかけて不安になるあまり、ステップファミリーの関係がギクシャクしてしまうことも多いようです。
付き合いの浅い継子とへの気持ちと、自分の血を分けた実子に向ける気持ちに違いがあるのは当たり前のことですが、気持ちの差を持つことに罪悪感を抱き、苦しんでしまう継親もいます。また、実親と継親の間に赤ちゃんが生まれることで、継子が自分の居場所がなくなってしまうような喪失感を感じ、自暴自棄になって家庭を荒らしてしまうこともあります。
4継子が再婚を受け入れられない
ステップファミリーがうまくいくかどうかを考えたとき、子供の年齢は重要なポイントです。一般的に、子供の物心のつかない幼少期であるか成人に近い高校生になっている場合は、親の再婚を受け入れやすく、うまくいくことが多いようです。逆に、子供が思春期や、受験を控えて多感な時期だと、再婚や継親の存在などの環境の変化を受け入れられず、家族がうまくいかないことが多いようです。
継子が実親と死別したのか、離別したのか、実親との離婚後の関わり方によっても、子供が新しい家族と向き合う姿勢に差が出ます。子供は実親と別れて暮らすことで大きな喪失感を抱えていますので、そのケアをしっかりとしておかないと、再婚により自分の居場所がなくなることに不安を感じ、実親への思慕を募らせて、新しい家族を拒否してしまうようになります。
5継子と継親の相性が悪い
「10人中2人とは何もしなくても仲良くなれ、1人とは何をしても仲良くなれない。残り7人はそのどちらでもない」とアドラー心理学でも言われていますが、どれだけ努力をしても、気が合わない、相性が悪い人間関係というものはありますよね。新しく家族になる継親と継子の相性が悪く、どうしてもお互いに打ち解けることができずに、子供も大人も相手を攻撃して家族関係を維持できないことも多いようです。
人との相性ばかりは変えることはできませんが、お互いをよく知らない場合は、これから打ち解けて話をすることで、問題を解決することができるかもしれません。そうでない場合、同居によってステップファミリーが崩壊するという致命的な状況になるリスクも高いので、早急に対処をする必要があるでしょう。
ステップファミリーへの悩み…先輩ママ・パパの体験談
新しく家族になる大人も子供も複雑な心を抱えているステップファミリーが円満に生活をするには、さまざまな問題がつきまとい、普通の家庭以上にトラブルが起こりやすいようです。ステップファミリーのパパやママ達はどのような悩みを抱えているのでしょうか。
血のつながりは難しい
2年前に当時12歳の娘を連れて、子連れ再婚しました。相手にも4歳の男の子がいて、夫婦2人、2人の子供と一緒に暮らすようになりました。最初のうちはやはりお互いの子供がうまく再婚を受け入れてくれるかどうか不安で、相手の子の方ばかりをかまってしまったり、娘に対して遠慮ばかりをしたりして、家族がギクシャクしている期間は1年以上続きました。
家族4人がお互いの顔色をうかがいながらスタートした生活でしたが、2年がたってようやく子供達が「お父さん」「お母さん」と呼んでくれるようになり、ちょっとしたことでも相談ができるような家族になることができました。
子供は欲しいけれど…
5年程前に子供2人を連れた妻と結婚しました。私は初婚です。妻には当時5歳と3歳の娘がいたのですが、まだ小さかったのですぐに私になついてくれ、私も子供好きでしたのですぐに家族で仲良くなれました。ただ、自分の子供を作ることはヤッパリ不安です。
もちろん小さい頃から一緒にいるので、血がつながらなくても娘への愛情は変わらないとは思うのですが、実子ができてしまった場合やはり実子の方が可愛くなってしまい、扱いに差が出るような気がします。妻は気にしなくてもいいと言ってくれていますが、自分としては子供を作ることに不安を感じてふんぎれていません。
まさか学校で…
小学2年生の息子と3歳の娘を連れて夫と再婚しました。ステップファミリーとなった当初、下の娘はすぐ夫に懐いたのですが、上の息子は前の夫が好きだったためか今の夫を警戒していたようです。そんな矢先、学校で個人面談があり「最近ご家庭で何か問題がありますか?実は学校で落ち着きがなくなり、乱暴な言動も増えていますし、勉強も頭がいいお子さんなのにテストの点がかなり下がっていて…。」と先生に言われました。
私達夫婦は共働きですが、昼間はおばあちゃんが見てくれていますし、夫は休みの日には子供達と遊んでくれたり遊びに連れて行ってくれたりして、頑張ってくれています。それでもやはり上手くいかない影響がでて、私自身とても落ち込みます。焦らず時間が必要なのですね。
ステップファミリーへの子供の悩み体験談
親が再婚すると知ったととき、親に「おめでとう」と言ってくれる子も入れば、「ヤダ!絶対認めない」と拒否する子もいて、やはり親としては再婚が子供に与える影響などを不安に感じてしまうものですね。親の再婚やステップファミリーに対して、子供はどのような思いを抱えているのか、実際の体験談をご紹介しましょう。
仲良しです
私の母は兄が5歳、私が2歳の時に父と離婚して、しばらく親子3人で暮らしていたのですが、私が15歳の時に今の義父と再婚しました。母は私たち2人を連れた子連れ再婚でしたが、義父は別れた奥さんが子供を引き取っていたので、5年前から母と義父と兄と私で生活をしています。
ウチの場合は義父が私たちの生活の中に加わっただけという印象なので、それほど抵抗はありませんでした。義父も口数が多い方ではありませんが、特に私たち子供に気を使いすぎるという感じではないので、受け入れやすかったのかな。でも、それまでは学校の行事に母しか来てくれなかったのに、義父が結構マメに参加してくれたので。嬉しかったですよ。
今は、兄は大学で県外に出てしまったので、母と義父と3人で暮らしていますが、母も仕事をしているので、家事を3人で分担して仲良くやっています。
妹は仲良くやっているけれど…
私の母は私が小さい頃に亡くなり、しばらくは父と私、3歳下の妹とで家族3人で暮らしていました。10年ほど前に父は今の義母と再婚して、家族4人のステップファミリーになりました。再婚当時私は14歳でしたが、頭では父の再婚は良いことだと思っていましたが、やっぱり不満でした。妹は小さかったからかすぐに義母に打ち解けていましたは、私はあんまり仲良くなれず、今でも義母がいろいろと気を使ってくるのが負担です。
仲が悪いという訳でも、義母が嫌いという訳ではありません。父と義母と妹は親子という感じで、私だけが浮いているような気がして、私は大学入学を期に1人暮らしをはじめて、一定の距離を置いています。
ステップファミリーを崩壊させない!6つの知恵
家族は私たちの生活の基本となるもの、よりどころとなる大切なものですが、どんな家族でもトラブルはつきもので、血縁があっても必ずしも家族円満に暮らしていけるという保証はありません。信頼し合い、支えあう良い家族関係は、一人ひとりが「仲良くしよう」と考えて努力をすることによって得られるのです。
家族の関係作りが難しいステップファミリーではありますが、ステップファミリーであることを否定的に考える必要はありません。ステップファミリーの皆さんは、今まさに家族関係を築く努力をしている人達です。問題を解決するポイントをしっかり理解して、前向きに関係づくりに取り組んでいきましょうね。
1間違った思い込みは捨てましょう
昔から「継母は意地悪」などと言われていますね。けれど、そのような思い込みが、ステップファミリーの関係を壊してしまうことがあります。他にも、「実親に合せない方がいい」「夫を愛しているから子供も愛せる」「実の子供と同じ親子の絆を作るべき」「気を遣うと仲良くなれない」など、様々な思い込みをしている人がいますよね。
何事も相手によって状況は変わります。例えば、継母でも実親以上に継子を大切にする人は大勢いますし、実の親子でも相性が悪く毒親に苦しむ子どもも大勢います。また、気を遣われて息が詰まる子供もいれば、揺れている時期にそっと見守ってくれたことに感謝する子供もいます。間違った思い込みは捨てて、じっくりと時間をかけて目の前の相手を理解するようにしましょうね。
2問題から目を背けない
「一緒に暮らせば、幸せな家族になれる」という考えは現実的ではなく、ステップファミリーの難しさ、複雑さから目を背けていては、問題を解決することはできません。今まで全く違う環境で生活してきた継子と継親が、うまくいかないのは当たり前のことです。家族が抱え込んだ問題から目を背けず、トラブルを一つ一つ解決していく努力をすることが大切です。
ステップファミリーが抱えている問題を把握するためには、まず相手のことをよく知っておく必要があります。継子の実の親の情報など繊細な事情は再婚相手から聞いておき、当たり障りのない話題から始めて、積極的に継子に話しかけて、新しい家族のことを理解していきましょう。
3焦ることはやめましょう
「一日も早く、仲良くなりたい」と思うことは大事ですが、焦りは禁物です。親の再婚を受け入れはしても、子供の中にはさまざまな不安や葛藤がありますから、大人が焦って距離を縮めようと張り切ると、逆に警戒感が強くなって反発心を生んでしまう可能性が高いのです。
ステップファミリーは家族全員が一緒になって、狭く長い階段を一緒に昇っていくような関係です。大人も子供も焦って上に行こうとすれば、つかえて登れなくなってしまいますよね。ステップファミリーの関係では、「お互いに相手のことを考えること」「譲り合うこと」「ペースを合わせること」の3つはとても大事なことですので、相手の様子を見ながら、徐々に距離を詰めていくよう心掛けましょう。
4チーム意識を持ちましょう
新しく家族ができて、環境の変化に一番戸惑うのは子供です。いきなり「家族」として意識するのはやはりむずかしいので、むしろスポーツチームのような「一つのチーム」であることを意識しましょう。
「お父さん」「お母さん」と呼ぶこと、「くん」「ちゃん」を付けずに名前で呼ぶことは、家族関係を意識するために重要ですが、受け入れにくい場合には無理をせず、まずは生活を支えあう一緒のチームとして生活することを意識して、信頼感を高めることを優先させましょう。
子供の年齢にもよりますが、新しい家族で一緒に行動を共にすることも大事です。子供が拒否さえしなければ、学校行事には夫婦でできるだけ参加しましょう。「荷物を持つのを手伝って」など、買い物などのちょっとした機会でも家族で行動をするように促して、共有できる部分を増やしていけるといいですね。
5一対一の関係も大事にしましょう
家族全員が仲良くなることは大事ですが、対人関係の基本は一対一の関係です。大人数のグループで話すときよりも、一対一で話をした時の方が親密度は増しますので、お互いの様子を見ながら、勇気をだして継子と継親、継子同士が二人で交流できる機会を作っていきましょう。ゲームや宿題などを一緒にやることに誘うのは、良いきっかけになりますよ。
継子と継親だけでなく、血を分けた自分の子供との関係を大事にすることも重要です。関係が壊れるのを恐れるあまり、自分の子を後回しにしてしまいがちですが、それでは子供が家族内に自分の居場所を持ちにくくなってしまいます。年上で聞き分けの良い子は特に後回しにされやすいので、実子とも一対一になる機会を充分とって、「あなたが大好き」と愛情を伝えていきましょう。
6悩みは夫婦で共有しましょう
ステップファミリーとなって起きるトラブルや悩みは、一人で解決すべきことではありません。さまざまな問題が起きるリスクを承知で、夫婦で再たわけですから、不安や悩みはお互いに相談をして、一緒に解決をしていくことを心掛けましょう。
ステップファミリーを繋ぎ合わせるのは親子の愛情ではなくて、子供を連れた夫婦の愛情です。子供との関係を重視しておろそかにしてしまいがちですが、お互いのパートナーとは十婚に踏み切っ
分会話をする機会をとり、愛情を深めましょう。子供にとって自分の親は大切な存在ですから、自分の親を相手が大切に扱い、信頼し合う様子を見ると安心して、子供にも継親に対する愛情が生まれてくるはずです。
悩みを相談できる強い味方!ステップファミリー支援団体とは
初めはうまくいくつもりで再婚をしても、ステップファミリーとして暮らすうちにさまざまな悩みを抱え込んでしまうことは多いですね。家族に対する不満や悩みは相談する相手がなかなか見つけられず、一人で抱え込んでしまうケースが多いのですが、そんな時には、SAJなどの子連れ再婚家族のための支援団体の力を借りることもよい選択です。
SAJ(Stepfamily Association of Japan)とは、ステップファミリーをサポートする非営利団体で、ステップファミリーの良い関係を維持するための専門的な情報や、サポート情報をわかりやすく提供してくれます。悩みを抱えるパパやママが、同じような状況の人と交流できるグループ活動の支援もしているので、悩みを解決する良いヒントを得ることができますよ。
ステップファミリーの生活には、事前に知っておいた方が対処しやすいというものも多いものです。子連れ再婚を考えてはいるものの不安で踏み切れない場合には、こういった支援団体の力を借りて情報を得ることで不安をなくし、ステップファミリーとなることを前向きに考えていけるといいですね。
不安を乗り越えてステップファミリーの良い関係を作りましょう
ステップファミリーは血のつながりだけに頼らない、新しい家族の形態です。トラブルが起きやすいのは事実ですが、新しい家族と信頼関係を築く努力をし、お互いに尊重し合うことで築かれた絆はとても強く、良好な家族関係を長く維持している家庭も数多くあります。
子供を連れての再婚にはさまざまな不安がつきまといますが、再婚はお互い信頼する相手を得てメンタルを安定させ、生活を支えあうためにも素晴らしい選択です。継子と継親という関係はすぐに打ち解けられるものではありませんが、お互いの距離感を大事にしながら、良い関係になれるようにゆっくりとでも歩み寄っていけるといいですね。