見捨てられ不安の子供への接し方~子供の不安を取り除くには?
子供には十分に愛情を注いでいるつもりなのに、子供の不安感が強く、「すぐ愚図る」「ママから離れない」などの行動が目立ち、何となく育てにくいと感じることはありませんか?
そのような特徴が見られる場合、お子様は「見捨てられ不安」に陥っているかもしれません。
見捨てられ不安の子供は、上手に対処しないと不安がより強くなり、周りとの人間関係がうまくいかなくなってしまう恐れがあります。
今回は、見捨てられ不安の基礎知識として、行動の特徴や対処法などをご紹介します。「子供の情緒不安定なのでは…」とお悩みのママは、ぜひ参考にしてください。
見捨てられ不安とは
「見捨てられ不安」とは、特定の相手に対して抱く「見捨てられるのではないか」「嫌われるのではないか」という不安のことを指します。
子供の場合、周囲の大人にお世話をしてもらわないと生きていけないことから、養育者に対して見捨てられ不安を抱きやすくなるのです。
幼児期にみられる見捨てられ不安は、ママやパパなどの親がその対象となり、一般的に子供の心の成長とともになくなっていきます。
見捨てられ不安はいつからいつまで?
1歳前後の時期は、自分のお世話をしてくれるママと離れることに不安を感じる「母子分離不安」が強くなる時期のため、見捨てられ不安も激しくなります。
それが、子供が2歳くらいなり、ママとの間に「愛着」という心の絆がしっかり形成されると、それまで親への依存心が強かったのが、自分で考えて行動しようとする「自律性」が身に付くようになるのです。
通常、見捨てられ不安は、3歳~4歳の幼児期後半までの子供が一度は体験する心の状態ですが、消失しないまま大人になってしまうと、周囲の人とトラブルの原因になる場合もあるため注意が必要です。
見捨てられ不安にみられる行動の特徴5つ
子供の見捨てられ不安が強い場合、親はどうすれば気づくことができるのでしょう?親は次のような行動から子供が発するサインを感じ取り、不安感を取り除くよう対処することが大事です。
1しがみつき
しがみつきは、子供がママから離れることに不安を感じてとる行動の一つです。「泣きながらしがみつく」「しがみついて離れない」などの行動は、ママに見捨てられまいとしてママの気持ちを自分に向けようとしている気持ちの表れ。
子供は、ママにそっけなくされたと感じると、特にしがみつきが強くなる傾向があります。急にしがみつきがひどくなったと感じたら、少しスキンシップの時間を増やしてみましょう。
2後追い
赤ちゃんが、ハイハイができるようになり、人見知りが始まる時期になると後追いをするようになります。ママの姿が見えなくなると、「ママがいなくなってしまう」と強い不安を感じて、この世の終わりのように激しく泣くことも。
ママから片時も離れたがらないため、ママはトイレに入るだけでも一苦労です。毎日の後追いでイライラが募りますが、長い期間続くわけではないのでご安心ください。
3試し行動
試し行動とは、親の愛情を確かめるために、わざといけないことや親が困ることをすることをいいます。2歳前後のイヤイヤ期に入る頃になるとよく見られます。
親としては、子供の困った行動に「どうしてそんなことを…」と思いがちですが、自分が何をしても許してもらえることで、親から無条件に愛されているということを実感したい心の表れなのです。
4「ママ嫌い」と言う
見捨てられ不安が強ければ強いほど、それに比例して子供の怒りの感情が強くなります。しがみついても後追いをしても、何をやってもダメと感じると、不安や恐怖をうまく処理できなくなってしまうのです。
「ママ嫌い!」「あっちに行って!」と怒りの感情をぶつけるのは、「ママに好かれたい」「そばにいてほしい」という気持ちの裏返し。本当にママが嫌いで言っているわけではありません。
5いい子を演じる
子供の「親に嫌われたくない」という気持ちが強すぎると、子供がいい子症候群になる恐れがあります。見捨てられ不安からで親が困る行動を取る子がいる一方、親の前でいい子になろうとする子もいるのです。
常に親の顔色をうかがい、親の言うことをよく聞くことによって、自己主張や自立心の芽生えが妨げられることも…。また、親から見ると聞き分けがよく扱いやすい「いい子」なので、親が問題に気づきにくい傾向にあります。
いい子症候群とは?
親に好かれるために「いい子」を演じることによって、さまざまな症状を引き起こすことをいいます。「親のいいなりになる」「親離れできない」「反抗期がない」など、親への依存が高いのが特徴です。
見捨てられ不安の子供への対処法
子供の見捨てられ不安は、親がしっかりと対応をすれば、決して問題のある行動には発展しません。子供の不安な気持ちを理解して、適切に対処しましょう。
子供に接する際は、次のようなことに気をつけてみてください。
愛情を言葉で明確に示す
子供は、親からの無条件の愛情を感じることで、安心感が得られます。子供に対する愛情は、分かりやすい言葉ではっきりと伝えて、子供の不安を取り除きましょう。
ただし、例えば、「いい子は好き」という言い方には要注意です。「いい子にしなければ好きにならない」という条件付きの愛情のため、子供の不安が煽られることに…。子供の行動に関係なく、好きだという愛情を示すことが大切です。
アイコンタクトを取る
アイコンタクトとは、目と目で見つめ合うコミュニケーションの一つで、アイコンタクトによって言葉では伝わらない愛情を伝えることができます。子供とコミュニケーションを取るとき、アイコンタクトを意識してみるとよいでしょう。
「黙って見つめる」「語りかけながら見つめる」「スキンシップをとりながら見つめる」などのバリエーションを楽しんでみてはいかがでしょう。意識的にアイコンタクトをとるうちに、子供と気持ちが通じやすくなりますよ。
ママとパパの信頼関係を深める
見捨てられ不安の子供に対して、親がおどおどしたりはっきりした態度をとらなかったりすると、不安がますます強くなることも。子供の試し行動や怒りの感情がエスカレートした場合は、毅然とした態度で接することが大事です。
子供に見捨てられ不安がみられる場合は、夫婦で一貫性のある態度で接しましょう。特に、子供への対処のしかた夫婦できちんと話し合って決めておくことで、冷静に接することができますよ。
見捨てられ不安が改善されないまま大人になると…
子供の頃に親から十分な愛情が得られないと、大人になっても見捨てられ不安を抱えた状態になることがあります。周囲の親しい人や恋人などに、「しがみつき」「後追い」「試し行動」などの問題行動をとってしまうかもしれません。
さらに、見捨てられ不安が激しくなると、常に情緒が不安定な「境界性パーソナリティ障害」や人とのコミュニケーションが苦手な「愛着障害」などを引き起こす可能性があります。
子供に愛情を伝えているつもりでも、うまく伝わっていないと感じる場合は、子供への愛情表現について見直してみてはいかがでしょう。