離乳食に水菜はいつから?調理のポイントと冷凍保存、栄養を解説
冬が旬の緑黄色野菜は夏に比べて種類が少ないため、離乳食作りで「同じ野菜ばかりで栄養が偏っていないかな?」と、心配になる方もいらっしゃるかもしれません。そんな時におすすめしたいのが、京野菜としても知られる水菜です。昔は独特の辛みがありましたが、最近の品種は辛みが少なく、赤ちゃんでも比較的食べやすい野菜になっています。
この記事では、離乳食に水菜を使う際の開始時期、含まれる栄養素、冷凍保存の方法、そして初期・中期・後期・完了期それぞれのおすすめレシピや調理のポイントを詳しくご紹介します。水菜は冬場に便利な緑黄色野菜ですので、赤ちゃんの離乳食やご家族の栄養補給にぜひ活用してみてください。
離乳食の水菜はいつから?初期の葉からスタート
水菜は比較的アクが少なく、離乳食初期(生後5~6ヶ月頃)から与えられる野菜です。ただし、最初は必ず加熱して、葉の柔らかい部分をペースト状にして少量からスタートしましょう。
初めて水菜を食べさせる際は、他の食材と同様に一さじから始め、赤ちゃんの様子をよく観察してください。もし食べさせた後に普段と違う様子が見られた場合は、自己判断せずに医師に相談するようにしてください。
水菜の茎はいつから食べられる?離乳食後期からが目安
水菜の茎は食物繊維が多く、初期・中期の赤ちゃんには硬くて消化しにくい部分です。この時期は、柔らかく茹でてすり潰したり、細かく刻んだりした葉の部分だけを使用しましょう。
離乳食の後期(生後9ヶ月頃)以降になると、咀嚼力や消化能力が発達してくるため、茎の部分も与えられるようになります。初めのうちは、茎の部分をさらに細かく刻み、柔らかく長時間茹でて使用すると食べやすいでしょう。赤ちゃんがきちんとモグモグとすり潰して食べているか確認しながら進めてください。
生の水菜はいつからOK?離乳食期は必ず加熱を
シャキシャキとした食感や、品種によっては残る辛みがあるため、生の水菜は乳幼児には食べにくい食材です。また、一般的に1歳未満の赤ちゃんには生の食材は避けることが推奨されています。離乳食期は、必ず加熱して柔らかく調理してから使用するようにしましょう。生で与えるのは、他の野菜を生で食べられるようになってからがおすすめです。
水菜に含まれる離乳食に嬉しい4つの栄養素
水菜は、色の濃いホウレン草や小松菜と比べると見た目は薄いですが、実は赤ちゃんの成長をサポートする栄養素を豊富に含んだ緑黄色野菜です。様々な栄養素をバランスよく摂るために、離乳食に積極的に取り入れていきましょう。
ここでは、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」を参考に、水菜(ゆで)10gあたりに含まれる主な栄養素をご紹介します。
1鉄分と葉酸
離乳食開始の頃から、赤ちゃんは母体から受け継いだ鉄分が徐々に少なくなるため、食事からの鉄分摂取が重要になります。鉄分は血液を作るのに欠かせない栄養素です。レバーなどの動物性食品からも摂取できますが、野菜からもバランス良く摂ることが大切です。
ゆでた水菜10gに含まれる鉄分と葉酸
- 鉄分: 0.2mg
- 葉酸: 12μg
※文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より、水菜(葉、ゆで)の数値を基に算出。
水菜は、血液の材料となる鉄分だけでなく、同じく造血に関わる葉酸も豊富に含んでいます。乳幼児期は特に、成長のために葉酸を意識して摂りたい時期です。納豆が苦手な赤ちゃんや、様々な食材からバランス良く栄養を摂りたい場合に、水菜は葉酸源としてもおすすめの食材です。
2β-カロテン(ビタミンA)
β-カロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変換される栄養素です。ビタミンAには皮膚や粘膜の健康を維持する働きがあります。乾燥が気になる秋冬の季節に、離乳食でしっかりと摂らせてあげたい栄養素の一つです。
ゆでた水菜10gに含まれるβ-カロテン
- β-カロテン: 170μg
※文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より、水菜(葉、ゆで)の数値を基に算出。
β-カロテンは熱に比較的強い栄養素で、油と一緒に摂ることで吸収率が上がるとされています。離乳食では、お粥やパンなどの炭水化物、肉魚に偏ると不足しがちになりますので、緑黄色野菜である水菜などの野菜を積極的に取り入れましょう。
3カルシウム
カルシウムは、ご存知の通り歯や骨を形成するために不可欠なミネラルです。また、筋肉の動きを調整する機能など、様々な生命活動に関わっています。乳幼児期は、体の成長が著しいため、カルシウムを意識して摂りたい時期です。
ゆでた水菜10gに含まれるカルシウム
- カルシウム: 25mg
※文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より、水菜(葉、ゆで)の数値を基に算出。
カルシウム源として牛乳を思い浮かべる方は多いですが、牛乳を飲みすぎると、かえって他の栄養素の吸収を妨げることが指摘される場合があります。牛乳は便利なカルシウム源ですが、適量を守り、野菜や魚など様々な食材からバランス良くカルシウムを摂取することが大切です。離乳食に水菜を摂り入れることで、野菜から効果的にカルシウムを摂取できますね。
4食物繊維
水菜には、食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維は、お腹の調子を整える役割を果たすため、母乳から離乳食に移行している時期の赤ちゃんや、便秘になりがちな赤ちゃんにおすすめしたい栄養素です。
ゆでた水菜10gに含まれる食物繊維
- 食物繊維総量: 0.8g
※文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より、水菜(葉、ゆで)の数値を基に算出。
水菜に多く含まれるのは、主に不溶性食物繊維です。不溶性食物繊維は、水に溶けずに便の量を増やし、腸を刺激して蠕動運動を活発にする働きがあります。ただし、水分が不足していると便が硬くなってしまうこともありますので、水菜を食べさせる際は、必ず水分も一緒にとらせるように心掛けましょう。
離乳食の水菜の冷凍方法|柔らかく茹でて小分けに保存
水菜は冷蔵庫で保存していても、すぐにしんなりしたり、葉先が傷んできたりしやすい野菜です。離乳食作りの手間を減らし、鮮度のいいうちに使い切るためにも、まとめて調理して冷凍保存するのがおすすめです。
離乳食用の冷凍保存手順
- 購入した水菜は、できるだけ葉がシャキッとした新鮮なものを選びます。
- 当日中に洗い、月齢に合わせて葉の部分を柔らかくなるまで茹でます。
- 月齢にあった大きさに刻んだり、すり潰したりします。
- 製氷皿や小分け用の保存容器に入れ、蓋をして冷凍庫で凍らせます。
- 凍ったら冷凍用保存袋に移し、空気を抜いて密閉して保存します。
冷凍した水菜は、電子レンジで解凍したり、汁物やおかゆにそのまま入れて調理したりして活用できます。一度調理・冷凍することで、使いたい時にすぐに使えるようになり、離乳食作りが格段に楽になりますよ。残った分は大人の加熱用としてカットして冷凍保存することも可能です。
離乳食初期の水菜おすすめレシピ&調理のポイント(生後5~6ヶ月頃)
離乳食初期は、水菜の柔らかい葉の部分だけを使用します。短い茹で時間で柔らかくなるので、忙しい時にも助かりますね。水菜を初めて食べさせる際は、すり潰してお粥に混ぜると、食感や香りがまろやかになり食べやすくなります。
こちらでは水菜入り10倍粥のレシピをご紹介します。水菜に慣れてきたら、ブレンダーですり潰した水菜を野菜スープでのばして水菜ペーストにしてみるとよいでしょう。また、ペーストを竹串などで少量のお粥やポタージュに飾り付けのように使うと、離乳食が少し華やかになります。
水菜入り10倍粥のレシピ
材料: 水菜(葉の部分)、10倍粥
調理のポイント:なめらかなペースト状にし、水分を加えてポタージュくらいの飲み込みやすい固さに調整してください。
離乳食中期の水菜おすすめレシピ&調理のポイント(生後7~8ヶ月頃)
離乳食中期になると、食材の形態を舌で潰せるくらいの粗めのペーストやみじん切りにステップアップします。水菜も柔らかく茹でた葉の部分をみじん切りにして食べられるようになります。
赤ちゃんがみじん切りにした水菜を食べにくそうにしている場合は、片栗粉などでとろみをつけてあげたり、だし汁を多めにして汁物として食べやすくしたりするとよいでしょう。たんぱく質が豊富な豆腐と合わせることで、栄養バランスも良くなります。
こちらでは、彩りのよい水菜と豆腐のだし煮のレシピをご紹介します。
水菜と豆腐のだし煮のレシピ
材料: 水菜(葉の部分)、絹ごし豆腐、人参、だし汁
調理のポイント:豆腐は舌で簡単に潰れるくらい、人参や水菜は柔らかくなるまでしっかり加熱しましょう。必要であれば、とろみを加えても食べやすくなります。
離乳食後期の水菜おすすめレシピ&調理のポイント(生後9~11ヶ月頃)
離乳食後期は、食事回数が1日3回に進み、食材の形態も歯ぐきで潰せるくらいの粗みじん切りや5~8mm程度の長さに変わります。この時期から、柔らかく茹でた茎の部分も細かく刻んで試してみましょう。
水菜はうどん、そうめん、スパゲッティなど色々な麺類にトッピングしても美味しく食べることができる野菜です。冷凍ストックを上手に使えば、パパッと手軽で栄養価の高い麺メニューが作れますよ。
こちらでは、水菜としいたけのにゅう麺のレシピをご紹介します。
水菜としいたけのにゅう麺のレシピ
材料: 水菜(葉と茎)、生しいたけ、素麺、だし汁
調理のポイント:そうめんは塩分が高いため、必ず茹でてから水でよく洗って塩分をしっかり取り除いてください。水菜やしいたけは、赤ちゃんが歯ぐきで潰せるくらいの柔らかさに煮込みましょう。
離乳食完了期の水菜おすすめレシピ&調理のポイント(生後12~18ヶ月頃)
離乳食完了期になると、ほとんどの食材を大人と近い形で食べられるようになり、大人の料理からの取り分けも増えてきます。冬場は、大人が食べる鍋料理から味付け前の具材を取り分けて、幼児向けの優しい味付けで離乳食に活用できます。
こちらでは、お鍋メニューの日におすすめしたい、水菜と豚肉の水炊きのレシピをご紹介します。
豚肉の赤身も鉄分が豊富ですが、加熱しすぎると固くなりやすいです。豚肉を嫌がる場合は、片栗粉を薄くまぶしてから調理したり、加熱時間を短くしたり、細かく刻んで団子状にしたりすると食べやすくなることがありますよ。
水菜と豚肉の水炊きのレシピ
材料: 水菜、豚薄切り肉、豆腐、白菜、人参、昆布だし
調理のポイント:大人の鍋の具材とは別に、味付け前の昆布だしでしっかり煮込んで取り分けます。人参などの硬い野菜は、柔らかくなるまで時間をかけて加熱しましょう。豚肉は細かく刻むなど、赤ちゃんが食べやすい工夫をしてください。







