子供にとって戦隊ものは社交の手段!悪影響はプラスに変えよう
子供が幼稚園や保育園などの集団生活を始めると、特に男の子は戦隊ものや戦隊ヒーローに興味を示し、戦いごっこを始めることが多いです。
するとこれまで弱弱しかった我が子が急にやんちゃになるため、「戦隊ものを見せるのをやめさせるべき?」「子供が乱暴になる!?」と心配するママも。その一方で子供はますます興味を持ち、実際に園で戦いごっこによるトラブルを起こしてしまう子もいます。
ですから子供が戦隊ものを見ることで受ける影響や、見せない影響、子供に戦隊ものを見せる際の家庭教育のポイントを知っておくことは大切。子供の意思を否定せず、バランスの良いしつけを行っていきましょう。
子供が戦隊ものを見ることで受ける影響
幼稚園入園前後の3歳頃から、戦隊もののTVやDVDを見だす子供が徐々に増えてきます。中にはパパが自分の時代の仮面ライダーやウルトラマンを見せる家庭も。ママが苦笑いする悪影響もありますが、実は悪い影響ばかりではないのです。
1友達と共通の話題ができる
親がTVや戦隊ものを見せる家庭は多く、集団によるごっこ遊び全盛期ですので、自然に戦隊ものが好きな子が集まってグループを作り戦隊ヒーローを真似て遊んだり、縦割り保育の幼稚園や保育園では早い段階から戦隊ものが共通の話題になったりします。
「昨日の○○かっこ良かったよね」「○○が一番好き。A君は誰が好き?」など、丁度大人がTVの話題をネタにするように、子供の社会でも話のネタとして使われます。つまり戦隊ものは、子供同士のコミュニケーションツールの一つ。
しかも結構盛り上がりますので、かなりのウエイトを占めます。ですから知識があればお友達と円滑なコミュニケーションがとりやすくなり、この時期に重要なコミュニケーション能力の発達に大いに役立つのです。
2正義感を育める
それまでは守られるばかりだった幼児に、「弱い者は守る」という意識が芽生えやすいという良い影響力があります。
戦隊ものは登場人物やストーリーが比較的パターン化しています。正義のヒーローと悪役がいて、最後は悪役を正義のヒーローがやっつけてしまいます。途中子供達の大好きなヒーローが悪役に痛めつけられるシーンなどもあり、子供達がハラハラしながらヒーローを応援したくなるシーンが盛り込まれているため、自然に悪を憎み正義に憧れるストーリー展開になっています。
そのため公園などで知らない未就園児に優しく接する子供も増え、喧嘩をして泣いている友達をかばうなど、戦隊ヒーローに憧れが強い子供は特に、正義感をどんどん育んでいくのです。
3仲間意識が芽生える
戦隊ものは、仲間と一緒に力を合わせて戦うところが見どころの一つ。ちょうど同世代のお友達との交わりや集団に興味を持つ時期ですので、園でも仲間意識の芽生えに大いに役立ちます。
そのため「A君とB君とCは仲間だから」などと口にし、自分だけの力で気の合う友達を作ったり、深く付き合う友達を作ったりする様子を、ママやパパも家庭内でも耳にする機会が増えるでしょう。
4おもちゃを欲しがる
「戦隊ものを見せたくない!」とママ達が感じる原因の一つが、子供の戦隊おもちゃへの物欲を刺激してしまうこと。戦隊ものの番組の間にあるCMは、ほとんどが戦隊もののおもちゃのCMと言っても過言ではありません。また園でも持っているお友達が自慢話をすることがあります。
そのため「○○ちゃんは買ってもらったよ!僕も欲しい」と、多くの先輩ママ達もねだられて困った経験がある、男の子ママ達のいわば登竜門。
どのような家庭教育を行って子供の我慢する力を成長させることができるかが、親のしつけの見せどころでもあります。
5言葉使いが悪くなる
戦隊ヒーローの言葉使いも勿論ですか、悪役の言葉使いが悪いので子供が影響されることも事実です。この時期の幼児は、人が過剰に反応する言葉に敏感。戦隊ものに限らずワイドナショーなどで繰り返し流れる政治家や芸能人の悪い言葉遣いもすぐマネするため、園内で流行したという経験のあるママは多いでしょう。
例えTV番組を制限しても、言葉使いが悪くなる原因は戦隊ものやTVの影響だけではありません。子供の世界が広がるにつれて、幼稚園のお友達などの周囲にも影響されてくるのです。
友達の影響⁉
幼稚園がバラバラなママ友とのランチ会に参加しました。その中で子供の言葉使いが悪いと言う悩みが話題になりました。「子供と言い合いになると、すぐ子供に『〇ね』と言われる」とのことでした。
友達同士の喧嘩でもすぐに使い困っているとの話が、色々なママから出てきました。「最初は戦隊ものの影響なのかな?と思ったのだけど、どうやら違うみたい」とあるママが話し出しました。「上に小学生の乱暴なお兄ちゃんがいるお友達が、輸入先だと思う」とのことでした。
他のママも思い返せば同じような環境のお友達がいる子供は、言葉使いが荒いとの結論になりました。そのような友達がいない我が子は「〇ね」を一度も言ったことはありません。どうやら言葉使いが影響されるのは、戦隊もののだけではないようです。
6暴力的になることがある
戦隊もののごっこ遊びはママから見れば暴力的に見えることがあります。けれど子供にしてみれば、女の子がおままごとをしているのと同じ。男の子はこの時期の自然な発達で行われる「興味のある物=戦隊もの」のごっこ遊びをしているだけなのです。
初めはごっこ遊びが下手で、実際に叩いたり蹴ったりしてしまうなどのトラブルが起こりやすいのですが、まだ幼児期ですので入学後にやるほどの大きなトラブルにはなりにくいです。
逆に大人しい幼児期に親が介入したため、怒られるのが怖くて大人しくしている子が、思春期に加減が分からず大暴れすることもあります。
7今までの玩具で遊ばなくなる
これまでママやパパが与えた知育玩具で遊び、「この子天才⁉」と親を喜ばせていたわが子が、突然戦隊ものにハマってしまい、おねだりされて「一つぐらい買ってもいいなか」と与えた戦隊おもちゃに夢中になって、家にある知育玩具に見向きもしなくなってしまうことが、幼児期の子供にはよくあります。
特に男の子は集めることが大好きな傾向がありますので、次から次へと別の戦隊おもちゃを欲しがりやすいのですが、24時間戦隊ものに集中してヒーローや戦いのことばかり考えているわけではなく、面白いものがあればそちらにも興味は示します。
気になる場合は、戦隊ものの悪役をブロックでたくさん作って親子で敵を倒す、積み木でヒーローを作る、戦隊もののテーマソングを楽器で演奏するなど、親子で今までの玩具を使った違った遊び方をする工夫をしてみてもよいでしょう。
親が子供に戦隊ものを見せない影響
戦隊ものの話題やごっこ遊びが幼稚園や保育園では流行っている場合、子供本人は戦隊もののテレビが見たいのに、親が見せないように制限する家庭もあります。そのような場合、お友達との話題についていけず、寂しい思いをするだけでなく、親が考える以上に深刻な発達への悪影響を受けることがあります。
本当に悪いことではないのに自分の意見が尊重されず、お友達との会話や遊びを楽しめなくなるため、子供は一緒に遊びたくても遊べないジレンマを感じやすくなります。また親の価値観にそぐわないとアレコレ制限される環境の結果、思春期以降に子供の自信や自主性が乏しくなる、親子関係が悪くなるという問題に親が悩まされる家庭もあります。
もちろん戦隊ものに全く興味を示さない子供もいて、親が子供のコミュニケーション能力を育てるために、無理に見せようとする家庭もありますが、そのような子に無理に見せることも悪影響を与えかねません。
子供に戦隊ものを見せるか見せないか、どちらを選ぶにせよ、子どもの失敗に先回りしたり、子ども自身の課題に介入し過ぎたりしないことが大切です!
親としては子供に失敗させないように先回りしたり、自分色に染めたくなったりすることもあるのですが、海外ではそうした親をカーリングペアレントと呼ぶ国もあり、親の先回りによる子供への悪影響は、近年日本でも問題視されています。
子育て中は将来の学習や就労、生活に重要な自信や自主性を損なわせることのないように、子供への過干渉に気をつけることが大切。
幼児期の子育ては「失敗もまた良い経験」と大きな視野で見守ることが、将来の大きなダメージの回避に繋がるケースもあることを知っておくと、子供の自立やバランスのよい子育てに大いに役立ちます。
親の感情を押し付けるのは…。
入園前まではとっても仲良く遊んでいたA君。幼稚園に入り遊ばなくなったなぁと思い、久しぶりに公園で会ったA君に「最近一緒に遊ばないね。習い事で忙しいの?」と聞くと、A君が「僕は、戦隊ヒーローが大嫌いなの。だから皆と遊ばない!だってパパが戦隊ヒーローはつまらないから見ちゃダメって言うから。だから僕は見ないんだよ。」と言うのです。
本人が「怪獣が怖い」「戦いが苦手」などの理由で「嫌い」と言っているのであれば良いのですが、明らかにパパが理由なのは、可哀そうな気がしました。
戦隊ものを見なくても仲良く遊ぶお友達はたくさんいますし、家庭の教育方針で見せないのは分かります。しかし理由に「戦隊ヒーローはつまらないから」と親の価値観を押し付けてはいけないのでは?と思ってしまいました。因みに現在A君は皆と上手に遊べず、ママがとても悩まれています。
ルールを教えよう!戦隊ものへの家庭教育
暴力や言葉遣い、物を欲しがるなどの戦隊ものの悪影響は、家庭教育のあり方次第で教育の機会へと変わります。
家庭内のルールを親子で話し合って決め、親子揃って全員で自主的にルールを守ることが大切。パパが甘やかしてルールがいい加減になったり、ママが静かにさせたいから例外的にルールを破ったりするのは好ましくありません。なぜなら親の都合による家庭内の例外は、子供には通用しないからです。
まだルール決めは困難だと思われる場合も、親が決めたルールを両親揃って守り、子供にも毅然した態度で守らせることが大切です。
1おもちゃの購入へのルールを決める
意外とねだられてすぐ買うのがコンビニやスーパーのお菓子コーナーの食玩(お菓子と玩具が入っているもの)。ギャーギャー売り場で騒がれるぐらいなら、「安いし買ってしまおう」と思うパパが多いです。
戦隊もののおもちゃを幼児が欲しがるのは仕方のないこと。しかし何でも買い与えていると、子供はいつまでたっても我慢することや物を大切にすることを覚えず、次第に与えられた喜びが乏しくなり、どんなに与えてもすぐに飽きてしまい、次々と新しい刺激を求めて欲しがるようになります。
例えば…
- 大きい玩具は、クリスマスや誕生日に買う
- 食玩は、お手伝いをしてポイントを貯めたら買う など
家庭内でおもちゃへのルールを決め、戦隊おもちゃよりも努力して手に入れる喜びを子供に与えてあげましょう。
2夫婦で言葉遣いへのフォローをする
幼少期の子供は、どの言葉が良い言葉でどの言葉が悪い言葉なのか、語彙力や想像力、経験が乏しくて判断がつきません。そのため大人がしっかりフォローをしてあげることが大切です。
例えば…
- 「ハゲって〇〇が言うと、パパは悲しくなる」
- 「ママはその言葉を聞くと、嫌な気持になる」
- 「バカって言葉は、お友達が悲しくなる悪い言葉だよ」など
一緒に戦隊もののテレビを見て、気になる言葉遣いを伝えてあげてもよいでしょう。何よりも重要なことは、家の中で親がきちんとした言葉を遣うこと。特に男の子の将来像(目標)となるパパが言葉遣いを正すことが大切ですので、ぜひ夫婦で話し合って心がけていきましょう。
3正しい戦い方の指導をする
戦隊ごっこを禁止しても、子供は親の目の届かない所でやりたいことをやります。ですから正しい戦い方(戦隊ごっこ遊び)のルールを教え、しっかりと守らせましょう。
戦いごっこのルールの具体例
- 玩具でお友達を殴らない
- 同じ子にばかり悪役をさせない
- 上に乗ったり首を絞めたりしない
- 叩いたり蹴ったりせず、真似るだけ
- 狭い場所で戦わない など
これらは全て戦いごっこのルールを知らない幼児が、実際に行いがちなことです。ルールは子供が遊ぶ前にしっかりと伝え、遊んだ後も守れていたかどうかを振り返らせることが大切です。
またママ同士が知り合いで親しくしている場合は、「叩かれて痛い。」「叩いて友達を泣かせちゃった。いけないことをしたんだ。」と学ぶチャンスになるため、多少ケンカをしてもどちらかがケガをしない範囲で見守り、泣いたら慰めに入るくらいにすると、子供の自主性がより育まれます。
ただし知らないお友達と戦隊ごっこをする場合、ママ友トラブルへの注意が必要!自信がない場合は、お友達のママに「うちは戦いごっこで多少叩いたり叩かれたりのケンカになっても見守るようにしていけど、〇〇くんは大丈夫?」と一声かけ、お互い合意して遊べない場合は、別の遊びをさせるなどして調整しましょう。
見せて良かった!子供の戦隊もの体験談
トラブルを考えると子供に戦隊ものを見せることを躊躇してしまうかもしれませんが、実は良い影響を実感しているママもたくさんいます。戦隊ものは若手イケメン俳優が続々と輩出されることでも有名ですので、中には嫌がっていたママが一番ハマってしまう家庭もあり、親子で一見の価値ありです!
子供の戦隊ものTV番組放送時間
- ウルトラマン〇〇
テレビ東京系*毎週土曜日*朝9時~ - 仮面ライダー〇〇
テレビ朝日系*毎週日曜日*朝9時~ - 〇〇レンジャー
テレビ朝日系*毎週日曜日*朝9時半~
カタカナを読んだ!!
ウルトラマン大好きな息子(2歳と3歳)は、お下がりで頂いた「ウルトラマン大図鑑」が大好きです。毎日読んでとねだられ、私が長い怪獣の名前を読むのにうんざりしてしまいました。間違えて読んだ時には「ママ、違うよ。」と言われていました。
そのうち、子供達が怪獣の名前を憶えてしまったのか、二人で眺めるようになったのです。「楽になったなぁ。」と思っていたある日、ガソリンスタンドの前で長男が「セルフって何?」と聞くのです。「どうしたの?」と聞くと「あそこに書いてある。」と言うではありませんか。次男も負けじと、スーパーの前に出ていた旗を見て「セールって書いてある。」というのです。私は驚いてしまいました。
「なぜ読めるの?」と聞くと「ウルトラマン大図鑑に書いてある」と言うではありませんか。「うちの子凄いかも!」と思い、ママ友に話したところ、ママ友の子供もウルトラマン図鑑を見ていただけでカタカナを読めるようになったそうです。
パパがイクメンに⁉
子供の面倒を見るのが苦手なパパはイクメンには程遠く、子供と二人でお出かけなんてもってのほかでした。
幼稚園に入った頃、仮面ライダーに息子が夢中になりました。私は家事がしたかったので、その時間は毎週パパにお任せしていると、パパまで仮面ライダーに夢中になっていました。
子供と一緒に仮面ライダーの話をし、変身ベルトを手作りし、二人で「あ~でもない。こ~でもない。」と反し合うようになりました。
最近では二人で仲良く映画に出かけ、楽しそうに過ごしています。息子も以前よりパパが好きになったようで、「パパ大好き」と言うようになりました。するとパパはますます子供と過ごす時間を大切にするようになってくれました。仮面ライダーさまさまです。
工作をするようになった
息子は図画工作がお世辞にも上手とは言えない子でした。幼稚園でも集中力も無く適当に工作の時間を過ごしていたようでした。そんな息子が、戦隊ものに夢中になりました。最初は「玩具買ってほしい。」と言っていましたが、買ってもらえないことが分かると、色々な物を作成するようになりました。
段ボール、紙コップ、牛乳パックやペットボトルなど作るものによって素材を選び、本物により近づけるために試行錯誤しています。集中力も高くなったのか、作成を始めると何時間でも作っています。
満足がいくものが出来上がると公園に持っていって、友達と品評会をしています。一通り品評会が終わると友達たちと作った玩具でヒーローごっこをしています。最初は戦隊ものを見せたくありませんでしたが、見せたことで集中力もコミュニケーション能力も上がり、「見せてよかったなぁ」と今では思っています。