子供の理想の生活リズム~乱れると才能が潰れる!?6つの改善策
生活リズムを正すことは、子供の健全な成長に欠かせない親の重要課題。文部科学省も「早寝早起き朝ごはん」と、国民運動として働きかけていますが、その一方で「具体的な生活リズムの整え方が分からない」「共働きだと難しい」といった声もきかれます。
こちらでは幼児期の子供を持つママやパパに、子供への生活リズムのしつけの必要性や乱れによる悪影響、年齢別の理想の生活リズム表、6つの改善策などをご紹介しますので、ぜひ子供の生活リズム改善に役立てて、発揮できずに埋もれてしまう子供の才能を開花させてあげましょう。
なぜ必要?子供への生活リズムのしつけ
子育て中のママやパパの中には「親が子供の生活リズムを整えたり、しつけたりするのってそんなに必要なこと?」という人がいます。
確かに共働きやシングルマザー、不規則な勤務でママの帰りが遅いご家庭などでは、子供の生活リズムを整えることが親の負担になりがち。「親が時間を気にして怒るより、遅くなってもニコニコしている方がいいんじゃない?」と思う気持ちはよくわかります。
けれど生活リズムが乱れると、子供の健全な成長に大切な「体内時計」「ホルモンの分泌量」「脳」に悪影響を及ぼしてしまうのです!
子供の問題行動は本人の責任?
生活リズムが乱れると全身の様々な機能が低下し、本人の資質とは関係なく心身ともに健全な成長や生活が困難になります。子供の問題行動に困っている場合、生活リズムの見直しで軽減することも多く、乳幼児期は親が意識して子供の生活リズムを整え、年齢と共に自主的に行うようにしつける必要があるのです。
1体内時計を正常に保てる
体内時計という言葉は耳慣れた言葉だと思いますが、人間には体内時計が2つあることを知っていましたか?
一つ目は体温・血圧・ホルモン分泌などのリズムをコントロールするメイン時計。これは地球周期の24時間と異なり、一日20~30分長い周期になっています。二つ目は寝起きのリズムをコントロールするサブ時計。
生活リズムが整っている子供は朝日を浴びるなどにより、毎日2つの体内時計が地球周期と同じ24時間周期に調整されます。ところが生活リズムが乱れると2つの体内時計がバラバラになるため、不調和を起こして不調に悩まされやすくなってしまうのです。
2ホルモンが正常に分泌される
子供の成長や健康には「セロトニン」「メラトニン」「成長ホルモン」など、様々なホルモンの正常な分泌が必要不可欠です。ところがこうしたホルモンの分泌は生活リズムと密接にかかわっているため、生活リズムが乱れている子供はこうしたホルモンが正常に分泌されにくくなってしまいます。
そのため生活リズムが整っている子供と異なり、ホルモンの作用が十分に行われないために体調を崩しやすくなったり、本来の力を発揮できなくなったりする危険性があるのです。
代表的なホルモンとその役割
- セロトニン
血圧・心拍・体温などを調整して覚醒状態を維持すると共に、過剰な興奮状態や衝動を抑えて精神状態を安定させる - メラトニン
体温を下げて眠りを誘い体内時計の調整を行うと共に、抗酸化作用により酸化から細胞を守る - 成長ホルモン
免疫力を高め、脳や体の成長を促す
3脳の働きが良くなる
多くのママが子供の記憶力の悪さに「何度教えてもすぐ忘れる」と嘆いたり、イライラしてつい怒ってしまったりした経験があるでしょう。
けれど生活リズムを整えて必要な睡眠時間をとることで、記憶力を司る脳の海馬が成長したり記憶が定着したりと、子供の記憶力がUPしやすくなることを知っていましたか?
朝もすっきり起きられるようになるため、日中の集中力も高まります。さらに朝食をきちんと摂れる時間ができるため、脳と体に栄養補給ができ、一日を活発に過ごすこともできるようになるのです。
乱れるとどうなる?子供への3大悪影響
夜更かしをして生活リズムが乱れた子供は、夜遅くまで明るい部屋にいるため光の影響を受けてしまい、体が「夜だ!」と認識しにくくなります。また夜運動をしている子供も体が睡眠モードになりません。
そのため本人は寝ようと思っても夜眠れなくなってしまい、日中は軽い時差ぼけ状態なり、毎日続くことで知らず知らずのうちに健やかな成長が阻害されてしまうのです。
1心が乱れる
生活リズムが乱れると「セロトニン」が分泌されにくくなるため、怒りや興奮、衝動といった感情を抑えるのが困難になるため、心が乱れやすくなります。
例えば、理由もなくイライラする・癇癪を起こす・キレる・落ち着きがなくなるなど集団行動では問題となりやすい行動をしたり、ボーッとする・鬱っぽくなる・泣く・暗くなるなど落ち込み気味になったりすることがあります。
2健全な発育や健康維持ができなくなる
生活リズムが乱れると睡眠不足や睡眠の質の低下を招き、「成長ホルモン」が十分に分泌されなくなります。すると正常な発育が行えなくなり、健康維持にも悪影響を及ぼしやすくなります。
例えば、身長が伸びにくくなる・肌が荒れやすくなる・肥満になる・風邪をひきやすくなる・疲れやすくなる・高血圧や糖尿病などの深刻な病気になりやすくなるなどの体への害を及ぼしてしまう恐れがあるのです。
3学習効率が悪くなる
生活リズムが乱れているため朝起きられずに朝食を抜く、あるいは睡眠時間が短い子供は特に要注意です。朝食抜きや就寝時間が9時以降の児童には学力の低下が見られます。睡眠に関して言えば、就寝時間が遅くなればなるほど学力低下が見られるとの結果もあります。
生活リズムが乱れると才能が潰れる!?
子育て中の親は子供の成長に伴い「きちんと」や「才能・能力・学力」を求めがちになりますが、乳幼児期から乱れた生活リズムで育てられ、自分の意思で正しい生活リズムを作るしつけを受けてこなかった子供は、心身への悪影響で自分の能力や才能を十分に発揮できません!
ですから入園後に「早くしなさい!静かにしなさい!」とイライラしたり、入学後に「勉強しなさい!宿題しなさい!」と怒ったり、勉強やスポーツなどで成果が出ないことを嘆いたりするのはナンセンスなのです!
年齢別!理想の子供の生活リズム表の例
子供の生活リズムを整えたいと考えるパパママは少なくありません。その一方で、具体的にどのような生活リズムが理想なのか分からないのとの声も。
こちらでご紹介する年齢別理想の生活リズム表はあくまでも“理想”の一例です。実際にこの通りの生活をすれば、幼児はパパと夕食や入浴ができない日が多くなりますし、共働き家庭やシングル家庭ではほぼ不可能。ただし参考にして子供の生活リズムを見直してみれば、無理をさせていないかの再確認に役立てられますし、理想に近づけやすくなります。
理想の生活リズムに近づけるには?
20時就寝が難しい場合は、21時までには眠らせて朝7時には起こしましょう。
入浴と夕食のタイミングは逆でもOK!ただし就寝直前の食事は睡眠が休息ではなく消化に使われる時間が増えるため、睡眠の質の低下に繋がり理想的ではないことを知っておき、できるだけ早めに済ませましょう。
また入浴後は体温が上がっているため寝つきが悪くなります。入浴は就寝時間の1時間半前までに済ませるのが理想ですので、意識して調整するとよいでしょう。
1歳児の理想の生活リズム
乳児から幼児期へと変化したばかりの1歳児。幼児になったとはいえ、一日の望ましい睡眠時間は11~14時間。お昼寝もまだまだ必要です。
生活リズムが安定しにくい時期ですが、焦らずゆっくり理想の生活リズムに近づけましょう。
1歳の理想の生活リズムの例 | |
---|---|
6時 | 起床 |
8時 | 朝食 |
11時 | 昼食 |
13時~15時 | 昼寝 |
15時 | おやつ |
17時 | 夕食 |
18時 | 入浴 |
20時 | 就寝 |
2歳児の理想の生活リズム
2歳児も1歳児と同様に一日の望ましい睡眠時間は11時間~14時間です。翌年の幼稚園入園に向けて生活リズムを意識し、お昼寝の時間帯やしすぎに注意しましょう。
2歳の理想の生活リズムの例 | |
---|---|
6時 | 起床 |
8時 | 朝食 |
11時 | 昼食 |
13時~14時 | 昼寝 |
15時 | おやつ |
17時 | 夕食 |
18時 | 入浴 |
20時 | 就寝 |
3歳児(入園前)の理想の生活リズム
幼稚園入園直前です。徐々にお昼寝時間を減らしましょう。一日の望ましい睡眠時間は10時間~13時間。子供が疲れないようでしたら、昼寝をしなくても問題ありません。
夕方は体温が下がって眠くなりがちです。夕方のお昼寝防止のために入浴を夕食前にするのも一つの方法。入浴や激しい運動によって体が温まっていると、早く布団に入ってもなかなか眠くなりません。運動は寝る時間の3時間前までとし、入浴時間は就寝時間の2~3時間前が理想です。
3歳の理想の生活リズムの例 | |
---|---|
6時 | 起床 |
7時30分 | 朝食 |
12時 | 昼食 |
15時 | おやつ |
17時 | 夕食 |
18時 | 入浴 |
20時 | 就寝 |
3歳・4歳・5歳の理想の生活リズム
3歳・4歳・5歳の幼児に必要な睡眠時間は10~13時間、入学直前の6歳になると9~11時間です。朝食・昼食・おやつの時間は、園によって異なります。
入園直後の年少時は体力もなく生活リズムが乱れることもありますので、帰宅後の遅い時間にお昼寝してしまいがちですが、たとえ生活リズムが乱れても怒らず、園に慣らすと共にゆっくりと整えていきましょう。
入園後の理想の生活リズムの例 | |
---|---|
6時 | 起床 |
7時30分 | 朝食 |
12時前後 | 昼食 |
15時 | おやつ |
17時 | 夕食 |
18時 | 入浴 |
20時 | 就寝 |
子供の生活リズム6つの改善方法
大人にとっての睡眠は体と頭を休めるものですが、子供にとっての睡眠は、体と頭などを発達させる時間でもあります。特に幼児期は自分でコントロールしにくいため、親が意識して正しい生活リズムに改善できるようにこころがけまよう。
1早起きから始める
早寝をするよりも、早起きから習慣化した方が生活リズムを整えやすいと言われています。カーテンを開けお日様の光を当てることで視覚的に朝だと伝えることができます。まずは日の光をキャッチできるようにし、体内時計を正しくリセットさせましょう。
日の光を浴びることが難しい曇りや雨の日も、電気をつけるだけで変わります。
2朝と夜の習慣を作る
朝ならば起きてすぐ服を着る、夜なら寝る前に本を読むなど、朝と夜の習慣を作ってあげましょう。習慣化することで子供が服を着ながら「朝だ。起きなきゃ。」と頭が認識し、寝る前に本を読むことで「もう寝るのだな。」と寝る体制になるなど無意識に体が覚えてくるのです。
3昼寝を減らす
3歳未満の幼児にとって昼寝はとても大切です。夜の睡眠がが、年齢や個人差があり、昼寝をすることで夜寝るのが遅くなるとの声もきかれます。
お昼寝で気をつけなければいけないのは、お昼寝の開始時刻と昼寝時間の長さです。幼児が午後4時以降や1時間半以上昼寝をすると、夜寝つきが悪くなり眠る時間が遅くなる傾向がありますので注意しましょう。ただし個人差があるので、昼寝をたくさんしても生活リズムが乱れないのであれば、昼寝をさせてあげましょう。
4目標を子供と一緒に立てる
「7時に起きよう」など生活リズムが整うような目標設定を、子供と一緒に立てましょう。達成できた日は、カレンダーに丸印をつける、シールを貼るなどして子供の目に見える形で残してあげます。
子供はできたことを褒められるのが大好き!自主的に頑張って生活リズムを整えるように、少しずつしつけを行いましょう。
5運動をさせる
文部科学省が実施したアンケートでは、運動を週5回する児童の26.0%は朝スッキリと目が覚めるのに対し、週1回も運動しない児童は12.0%しかスッキリ目覚められないとの結果が出ています。運動を行うと成長ホルモンやセロトニンの分泌量が増え、疲労回復効果が高くなり、睡眠の質が良くなるのです。
特に入園前の幼児は積極的に公園などで外遊びをさせたり散歩をしたりと、親が意識して毎日の運動を生活の中に組み込みましょう。
6朝食を食べさせる
朝ごはんを食べる子の方が食べない子より学力が高いのは有名ですが、その一方で睡眠が少ない事と朝ごはんを食べない事のどちらが学力低下に繋がるかを比較した結果はあまり知られていません。実は朝ごはんを食べない方が、学力低下は著しいとの結論が出ており、それだけ朝食は重要なのです。
幼児期に朝食を食べない子供は少ないのですが、休日に「子供が起きるのが遅くなったから朝昼兼用でいいや。」と考えるママは注意が必要です。
起こしても起きない子供への対応
いくら起こしても起きない子供に悩まれるママは少なくありません。朝、カーテンを開けても起きない時におすすめの方法を知っておきましょう。
- 夜は部屋を暗くして寝る
- 寝る前はスマホやタブレット、パパと激しい遊びはしない
- 朝起こす声は優しく
- 抱っこして寝室からリビングに移動させる
- 起きてすぐに服を着替える
- 朝食を食べる
これら6つのことに気をつけてみてください。朝スムーズに起こすためには、まずは寝る前に子供を興奮させず深い眠りにつかせることです。そして優しく「朝が来たよ」と伝えることで、今日も楽しいことが始まると感じさせてあげることが大切。
寝ぼけていても体を使うことで脳が起きてきますので、自分でできるようになるまでは、ママも手伝ってあげましょう。
生活リズムを乱すパパへの対応
「寝かしつけの最中にパパが帰宅して子供が眠れなくなった」「帰りが遅くなるのでパパにお願いしたのに、深夜まで寝かしつけていなかった」という経験があるママは少なくありません。
大人の都合と子供の生活リズムは関係ありませんので、就寝時間が遅ければ生活リズムは乱れてしまいます。
寝かしつけ時間に帰ってきた場合や生活リズムを整える重要性を一度パパとしっかり話し合い、子供とママは部屋から出ないことや食事は自分で温めてもらうなど、パパに事前にお願いしておきましょう。
子供の生活リズムはママだけ頑張るもの?
残念ながら子供は楽な考え方に流されやすく、例外のあるしつけや夫婦で異なったしつけの場合、正しいしつけが身に着きにくい傾向があります。そのためママだけ頑張る、条件付きで例外を作るというブレはしつけにNG。
思春期を迎える頃までにしつけられないと、親がコントロールすることが困難になり不登校や睡眠障害なども心配されます。夫婦揃ってブレないしつけを行いましょう。
パパが理解してくれない場合~専業主婦編
理論的に説明しても、全てのパパが理解してくれるわけではありません。そのような時はパパの気持ちを受け入れつつ、パパはパパ、子供は子供と割り切り、「先に寝させてもらうね。」と自分たちの生活リズムを整えることに専念しましょう。
またパパには子供に対して生活リズムの乱れを許す発言や「ほら、ママが怒るから寝なさい」などといった発言をしないようにお願いしましょう。
パパが理解してくれない場合~ワーママ編
深刻になるのは共働きのママの場合です。保育園に通う子供はママがどんなに頑張っても夜が遅くなりがちなのに、パパが協力的でないと子供の生活リズムを整えるのはより大変になります。そんな場合は園の先生や実家の両親などの第三者に口添えしてもらい、一日のスケジュール表をつくなどして夫婦で協力しましょう。