小学生の通知表の評価方法は?見方に注意!子供を伸ばす声かけ
「夏休み」という言葉を聞くと、小学生のママが気になりだすのが「通知表」「自由研究」「昼ごはん」ではないでしょうか。子供を通知表だけで評価するのは適切ではないと思いつつも、やはり評価内容が気になるママは多いですよね。特に、新1年生や高学年の児童のママは、期待と不安で胸が膨らみ、「え!テストの点がいいからもっと良いと思っていたのに…」なんて、子供以上に落ち込んでしまうこともあります。
今回はそんなママに向けて、小学生の通知表の評価方法、保護者の見方や受け止め方、子供を伸ばす通知表への声かけなどをご紹介します。お子様の能力を伸ばしてあげるために、先生と協力して家庭教育を充実させていきましょう。
小学生の通知表の評価方法とは?
ママの時代と今とでは、小学生の通知表の評価方法が変わっています。「相対評価」「絶対評価」という言葉を聞いたことがあるママも多いのではないでしょうか。評価方法が変わっていますので、ご自身の頃の通知表と同じ見方をするのは適切ではありません。まずは、現在の評価方法についてしっかりと把握しておきましょう。
小学生の通知表!昔と今の評価方法の違い
ママ達が小学生の頃、通知表は「相対評価」でつけられていました。相対評価とは、クラス全体の中で自分がどのあたりに位置するのかで評価されるという評価方法です。
例えば「クラスの上位5%にA、下位5%にC、その他にBをつける」という方法です。これだと、能力の高い子が集まるクラスでは、他のクラスの子よりAをとりにくくなってしまうことがあります。また、同じ学年でもクラスによって平均値に差が出てしまい、優秀な子が多いクラスではよい成績をとりにくくなる傾向がありました。
相対評価は、子どもたちが今後の努力でいくらでも明るい未来が待っている小学生にとっては、モチベーションが下がり能力を開花しにくくなってしまう可能性もある評価方法でした。そこで、2002年(平成14年)度より、小・中学校の指導要録(通知表の基礎資料)に「絶対評価」が導入されました。現在の小学校では絶対評価で通知表がつけられるようになっています。
絶対評価って何?
小学生の通知表で用いられる絶対評価とは、クラスの中での相対的な位置づけとは関係なく、児童一人一人の学習状況を、文部科学省が定めた「学習指導要領」に示された目標(「目標を達成できたかどうか」)に対する達成度で評価したものです。多くの場合、A、B、Cなどの三段階で評価されます。
小学生の通知表3段階評価の目安
- 「A」「◎」「3」
十分満足できる程度に達成している - 「B」「◯」「2」
おおむね達成している - 「C」「△」「1」
努力を要する
これらの評価は、原則として各教科を次の3つの観点を元に行われます。通知表に記載される「学習のめあて」「観点」などの項目の内容は、学校や学年により違いがありますが、基本的には次の3つの評価観点を元に評価項目が決められています。
小学校の通知表3つの評価観点(平成23年度以降)
- 知識・技能
- 思考・判断・表現
- 主体的に学習に取り組む態度
以前は「意欲・関心・態度」という観点がありましたが、現在は「主体的に学習に取り組む態度」として評価されます。そのため、日常のテストなどからは想像できない結果になることもあります。
例えば、テストの点は良いけれど、授業に真剣に取り組んでいなかったり、課題の提出が遅れたりすると、「主体的に学習に取り組む態度」の評価が低くなり、最高評価がとれないことがあります。
逆に、クラスメイトの多くが100点で自分の子が95点だったとしても、日頃から熱心に授業を聞き、積極的に発言や発表を行い、一生懸命考えたり宿題をきちんと提出したりしていることから、「主体的に学習に取り組む態度」の評価が高いためAや二重丸をもらえることもあります。
絶対評価では、他の児童の成績が原則として関係なくなります。頑張れば良い評価がつきやすい絶対評価の方が、子供のやる気が成績に反映されやすく、子供が自分の評価を受け止めやすいのです。また、能力を向上させるために何が課題となるかを理解しやすいというメリットもあります。
さらに、評価する先生側も児童一人一人の状況を他の子と比較せずに把握しやすいため、一人一人に合う指導をしやすくなるというメリットもあります。
小学校の通知表を軽視するのは危険!
中学生になると評価の段階が5段階に細分化されますが、原則として小学生と同じ3つの評価観点(知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度)で評価されることに変わりはありません。そして、中学1年生からの3年間の通知表のトータルが、高校受験の内申点へと結びつきます。そのため、保護者が小学生の通知表の評価を軽視することは、子供の学習習慣や態度に影響を与え、将来の進路に間接的に影響を与えることになりかねません。
塾の成績はいいけれど、通知表の評価が悪い子は特に要注意です。中学以降、授業態度や提出物の提出状況が悪く、学力に見合った内申点がとれないために、希望の高校を受験できないケースもありますよ。
小学校の通知表で文部科学省が知識や思考力と同様に重要と考えている「主体的に学習に取り組む態度」とは、子供の学習への意欲や粘り強さの部分ですよね。小さい頃は親に言われるままに勉強してテストの点数が良い子でも、学習の楽しさや勉強の面白さがわからず、宿題をしなかったり、忘れ物が多かったり、一生懸命学ぶ教室の空気を乱す態度で授業に臨んでいれば、いずれ反抗期になり自分の意思が強くなったとき、学習への意欲が低下してしまう可能性があります。
小学校の通知表とは、そういった子供の内面や将来までしっかりと見据えて、本当にその子がその学習課題をクリアできているかの評価を行っているものなのです。
子供の相対的評価を知る方法はないの?
絶対評価は子供のモチベーションアップには効果の高い評価基準ですが、親にとっては「結局うちの子できるの?できないの?」と、内心周囲と比べてどの辺に位置するかが気になりますよね。実は、小学生の通知表の特定の欄に、必要に応じて集団の中での相対的な位置づけが記載されることになっています。どのような見方をすればよいのでしょうか。
うちの子はクラスでどれくらいできるの?
相対評価に近い情報として、「総合所見及び指導上参考となる諸事項」の欄、つまり先生からのコメントの部分に、親に伝える必要があると判断した場合のみ、集団の中での様子が記載されることがあります
小学校の通知表は、本当に公平?
「本人に聞いたら、意欲もあるし授業態度も特に注意されない。授業参観でも頑張っていたし、テストの点数もいいのに、どうして最高評価じゃないの?」と、通知表の結果に疑問を持っていたら、子供からも「あの先生はひいきするから」なんて言われてしまった…というママもいますね。最高評価とまではいかなくても、納得いかない成績をとってきたら、「もしかして公平ではないのかも?」と親子で先生に不信感を抱いてしまうこともあるでしょう。
全国の小学校の先生全員が、公平で納得のいく評価をするのは難しいことです。やはり、先生の心証は大切です。先生も人間ですので、どんなに公平に評価しているつもりでも、明確な評価基準があっても、頑張っていることが分かり易い子に良い評価をつけて、アピールがあまりうまくない子は評価が下がることもあります。
だからといって、先生を悪く言うのは避けましょう。小学生は、「先生すごいや!僕も(私も)こんな大人になりたい」と周囲の大人に対して尊敬や信頼、憧れの念を抱く経験を積むことで、自分の人間性をより高めることができ、それが最終的に学習意欲にも繋がっていくからです。
小学生の成績表に納得がいかない時の親の対応は、とっても大切です。ママの一言で、子供の将来に悪影響を及ぼす可能性があることを覚えておきましょう。
どうしても不公平な気がして納得いかない時は、秋の個人面談などを利用して、「子供を伸ばす上でどこが不十分だったのか成績表だけではしっかりと把握できず、学校での様子を教えていただきたかったのですが…」などと聞いてみるとよいでしょう。
また、十分満足できる実力があったのにアピールが苦手で結果に繋がらず、成績表の結果で本人のモチベーションが下がってしまった場合は、ママも個人面談や家庭訪問で「陰で頑張るタイプなのですが、周囲に理解されにくく、本人が傷つくことがあるんです」「◯◯を目標にしているので、家ではこんな風に頑張っています」などと伝えると、先生の理解が深まりますよ。
小学生の通知表への声かけ
保護者にとって小学生の通知表で最も大切なのが「声かけ」です。これは、ママだけでなくパパと統一しておくことが大切です。ママがどんなに子供を伸ばす声かけをしても、パパが台無しにしてしまうこともありますからね。
子供が伸びる声かけのポイント
- 自信を持たせて、勇気づける
- 笑顔
自信を持たせよう!勇気づけとは?
「小学生の通知表を見たママとパパが、これをすれば子供が伸びる!」という声かけが、自信を持たせて勇気づける声かけです。顔が怒っていたり、イラついた表情で「ココ、よく頑張ったね」などと褒められたりしても、子供は自信をもつことができません。笑顔も大切です。
自信のある人は勇気もあります。ありのままの自分の状態を受け入れられる勇気です。ですから、親が通知表を見て自信を持たせる声かけをすることで、子供は勇気づけられて自分の状態を客観的に受け止め、成長するための方法を考えやすくなるのです。
通知表の成績が悪い子への声かけ
「こんなに成績が悪いのに、どうやって自信をつける声かけができるの?」と思っているママ、誰にだっていい所は必ずあるはずですよ。
例えば、学習の意欲や知識が△の子でも、音楽や美術の表現力が二重丸だったり、体育だけはよかったり、あるいは「学校生活の様子」で責任感に◎がついていたり…。前の学期の評価が「◯」で、今回も成績をキープできているというのも、褒めるポイントとなりますね。先生のコメントにも、褒めるべき部分が記載されているはずですよ。
また、成績が悪いと「この子、自分がこれから何を頑張ればいいのか分からないのかも?」などと思い、「ココをもうちょっと頑張れば…」などと親は言いがちですが、それでは子供がやる気を失ってしまいます。また、自分自身で状況を分析する力が育ちません。
自分で気づいて「やろう」と決めるからこそ、努力や結果に繋がるのです。親は子供を信じ、常に自信をつける勇気づけを行い、自己肯定感を高めてあげましょうね。
保護者からのコメント欄の書き方
小学生が通知表をもらってきて、一通り見た後に親が気になるのが「保護者からのコメント欄」の書き方ですよね。何を書けばいいのか、特に新1年生のママは悩んでしまうでしょうが、ポイントを押さえればあまり難しく考えなくてOKです。
先生は保護者に「きちんと子供の様子を把握しようとしているか」「学校と協力して子供をよりよく育てようとしているか」「子供のことをもっと教えてほしい」ということを求めていることが多いです。ですから、次の2点が先生に伝わればよいのです。それに、家庭での休み中の様子や今後への挨拶を付け加えれば十分ですよ。
保護者からのコメントのコツ
- 先生からのコメントをしっかり読みました
- 今後ともよろしくお願いします
先生からのコメントをきちんと読んだかは、コメントの要点を繰り返す(オウム返し)をすれば伝わります。
例えば…
先生:「学習の定着に力を入れてほしいです」
ママ:「学習の定着に力を入れるように、家庭でも見守っていきたいと思います」
と言う感じです。
小学生の通知表は親のテストでもある
小学生の通知表の見方を知らないと、子供を勇気づけるどころか自信ややる気を失い、これからの悪循環を生みだしてしまうこともあります。親にとっては、「良い親として子供をしっかりサポートできるか?」が問われる、テストでもありますね。
あまりに成績が悪くて動揺し、冷静に自信をつける言葉を選べないと思ったら、とりあえずコメントせずに「お腹空いたでしょ。1学期間元気に通えて頑張ったね。お昼にしよう」と笑顔で対応しましょう。自分の想定よりも成績が悪い子は、ママに怒られることを気にして内心落ち込んでいるものです。ママの笑顔が子供への勇気づけになりますよ。
子供を信じるとは、「成績表がいいから」「◯時間勉強しているから」などと根拠があって行うことではありません。本当に子供を信じている親は、「この子は自分の意思で、前に進んでいける」と、根拠がなくても信じようとし、声を掛けられる親ではないでしょうか。そんな親の思いに勇気づけられて、子供は自信を持ち、前に進んでいけるのです。小学生の通知表を通して、そんな機会を増やせるといいですね。