ギフテッドの特徴って何?幼児期から見られる才能は贈り物かも!?
皆さんは「ギフテッド」という言葉をご存知でしょうか?親にとって我が子は、誰もが「特別な力を秘めた子供」であることは間違いありませんが、中には兄弟や周りの子供に比べて能力が突出している子供もいます。そんな、神様からの特別な才能の贈り物をもらって生まれてくるのが、「ギフテッド」と呼ばれる子供達。
「特別な才能」と聞くと、「いいな~」などと思うママやパパもいるかもしれませんが、実はギフテッドの子供達はさまざまな課題に囲まれていて、パパやママの特別なケアが必要になります。今回は、そんなギフテッドについて詳しくご紹介しながら、特徴や家庭での対処方法などについて解説していきます。
子育て4コマ漫画:耳慣れない言葉「ギフテッド」その特徴とは?
ギフテッドとは
「ギフテッド」とは、幼児期から同世代の子どもと比べて突出した才能が見られる人を示す言葉です。ギフテッドの子供は、次のようなさまざまな分野で高度な才能を発揮します。
- 学問
- 言語能力
- 記憶力
- 芸術性
- 創造性
欧米では特に芸術的才能やスポーツの才能に優れている人を「タレンテッド」、学術的な才能に優れている人を「ギフテッド」と呼んで区別しますが、日本では分野にかかわらずまとめてギフテッドと呼ぶことが多です。
ギフテッドの子供達の才能は、両親からの遺伝などによる生まれついての先天的な才能であるという見解と、環境などの後天的な才能という見解があり、現在ではどちらもあり得るが大きな割合を占めている要素がどちらかは、まだ明らかになっていません。
欧米ではギフテッドの健やかな心身の成長と能力の向上をサポートするために、通常の学校教育とは違う、ギフテッド・プログラムによる教育を実施している国も多いんですよ。
ギフテッドは天才!?
ギフテッドは天才と呼ばれることが多いのですが、ギフテッドである大人に話しを聞くと、神がかり的な才能を持つ天才に比べ、平均以上の能力や高いIQ、創造性、目的達成意識などを持っている存在と捉えている人もいます
日本国内のギフテッド支援
日本でも、ギフテッドの子供達は国の将来を左右する重要人物になる可能性があるとして、大学のスキップ制度や高校の卒業を早める早期卒業制度など、ギフテッドへの支援について国会審議で検討されていますが、定義自体もあやふやですし、支援も欧米には及びません。
カナダのようにギフテッドのための公立特殊学校を設置し、特別なケアを行っている国と比べると、日本のギフテッド教育はかなり遅れているのが実情で、日本国内での教育を断念して海外での教育を求めるギフテッドの子供や親も多いのです。
ギフテッドに幼児期からみられる12の特徴
「生まれついての高い才能やIQ」と聞くと、雲の上の存在のようなイメージを受けますが、アメリカでは学齢期の6~10%にギフテッドの子供がいるとされています。「子供だから」という理由で才能を評価される場に出るチャンスを与えられないだけで、特別な才能を持つ子供は意外と多いのかもしれませんね。それこそ、あなたの身近にいる子供も、特別な才能を秘めているのかもしれませんよ。
ギフテッドの能力は多岐にわたり、才能が花開く分野はひとそれぞれ。「こういった兆候があったら、ギフテッドだ」という明確な定義もありませんし、ご紹介する全ての特徴が、ギフテッドの子供達全員に見られる訳でもありません。けれど、もしかしたら…と気づいてあげられるきっかけにはなりますので、ぜひチェックしてみて下さいね。
1記憶力が非常に高い
私達の脳の記憶力には限界があり、一般的に学んだことや経験したことを全て覚えておくことは難しいのですが、ギフテッドの子供の多くは記憶力が並外れて高く、普通なら忘れてしまう昔のことを詳細に再現できる子供もいます。一般的にIQが130以上がギフテッドの判定基準とされることが多かったのですが、これも近年では「興味の違いによって差がみられるため、指標として不確かだ」と言われています。
すべてのことをよく覚えている子供もいれば、興味のあることしか覚えていない子供もいるので、記憶力の良さも個人差が大きいのです。そのため、ギフテッドの子供は学校の成績がいいと思われがちですが、支援を受けられないため実力を発揮できない子供達も多くいます。
2学習スピードが並外れて早い
ギフテッドの子供は得意な分野の学習には熱心に取り組み、学習スピードが速いために、優れた成果や結果に結びつけやすいという特徴があります。ただし、通常の子供と一緒に学習していると学習スピードのギャップが大きすぎて、授業がつまらなく周りからは「怠けている」とみなされることもあります。
日本の通知表の評価では、意欲や関心が強く見られるとよい成績がつきやすい項目がありますので、定期テストの点数が良いのに通知表が「◎」にならないお子さんは、能力が高すぎるギフテッドの可能性も否定できませんね。
3語彙が多く精神年齢が高い
得意な分野にもよりますが、ギフテッドの子供は幼児期から物を学ぶことに熱心で、テレビや本から驚くほどの知識を級数していくため語彙数が多く、精神年齢も高すぎることが多いです。そのため、年齢にそぐわない会話をすることも…。その結果、子供の頃は周囲と話が合わずに孤立することがあります。
4洞察力・推理力に優れている
ギフテッドの子供は洞察力や推理力に優れていて、幼児期から数学の難しい証明を理解したり、パズルなどを一人で楽しんだりすることができる子供が多いです。ゲームなども得意で、大人でも難しいチェスなどの大会で堂々と優勝するギフテッドの子供もいます。
5感情の起伏が激しい
ギフテッドの子供は、一般的に他の子供よりも感覚が過敏なため、過度な反応をしてしまう傾向があります。そのため、ときに感情の起伏が大きくなってしまい、周りの子供からは「付き合いづらい」と思われて仲間外れになることも…。
6社会環境への姿勢が厳しい
ギフテッドの子供は、得意な分野の学習だけでなく経済や政治など、自分を取り巻く社会にも高い興味を示します。正義感が強いギフテッドの子供も多く、社会の不正などに対しても大人顔負けの厳しい意見を言うこともあって、周りの大人を驚かせます。
7好奇心・探求心が強い
ギフテッドの子供の学習能力は、本人の好奇心の高さや探求心の強さによって裏付けられています。一般の子供のように用意されたプログラムを指示に従って学んでいくだけでなく、自分の意思でどんどんと先へ学習をすすめていくことができます。
8集中力が高い
一般的に、人間は年齢が低いほど集中力が続く時間が短いのですが、ギフテッドの子供は集中力が高く、特に自分が得意とする分野の学習には、長時間集中して学習をすることができます。興味を惹かれれば飽きるということがないので、周りの子が別の行動を始めても、一人で自分の好きなことをしているという印象を与えることもしばしばあります。
9独創性が高い
いわゆる「天才肌」ともいえますが、ギフテッドの子供の知能は高く、独創性が高い傾向があります。独特な色遣いや独自のこだわり、普通は考えつかないような理論を発揮して周りを驚かせることもあるのですが、一方で周りに迎合しづらく、周りから理解を得られずに孤独に追い込まれてしまうことも多いようです。
10責任感やリーダーシップがある
ギフテッドの子供は、その突出した才能から周りに受け入れられにくいという面もありますが、一般的に責任感が強く、グループ内のトラブルを仲裁するなどの優れたリーダーシップを発揮する子供も多いです。そのため、社会の次世代を担う人材とし、高い関心と期待を寄せられています。
11感覚と感情が過敏
ギフテッドの子供は、感覚や感情が過敏(過度激動)であることが多いです。例えば、少し強い口調で言われたことを、雷が落ちたように感じたり、花の匂いに頭痛や吐き気を感じたり、チョットした痛みをひどく辛い痛みに感じたり…。つまり、悲しみや怒り、楽しみ、共感、愛着、責任感などが人よりもかなり強いという特徴があり、疲れやすく特別な支援が必要なのです。
12完璧主義
ギフテッドの子供は、並外れた能力を持つにもかかわらず、完璧主義のため間違いを気にして満足することができないという特徴が見られることが多いです。完璧主義が災いし、周囲が褒めても自分のささいなミスを引きずり、「自分はできないダメな人間だ」と感じやすく、自己肯定感が低くなり、その能力を活かしきれない子供も多いのです。
ギフテッドとアスペルガーとの違い
ギフテッドであるかどうかの判断は、IQ値や学力検査などのだけでなく、本人や親の観察や心理学者の分析などを総合的に判断して決定していきますが、突出した才能と感覚過敏があるギフテッドは、対人関係がうまくいかないことが多く、アスペルガー症候群と診断されることもあります。
アスペルガー症候群によく見られる、高い知性と発達障害を持つ子供を、現在では2つの例外(Exceptional)を持つ「2E」と呼ぶようになってきました。
それに対し、ギフテッドの子供は、高い知能と過度激動の2つの特徴を持つと捉えられています。どちらの子供も、生きにくさがあるため、特別な支援が必要とされています。そのため、「2E」にはギフテッドも含まれると考えている人もいます。
ギフテッドの特徴がみられる子供の育て方
ギフテッドの子供は才能にあふれる反面、同年代の子供や通常の学校教育になじめず、社会的に不利な立場に立たされることも多いです。日本ではサポート体制が整っていないので、そういったギフテッドの子供を理解して、支えてあげられるのはパパやママにかかっています。
子供のために海外に出ることも確かに有効な手段ではありますが、まずは家庭で出来ることから、子供を支えて、才能をさらに伸ばしながら、健全な成長を促していきましょう。
1積極的に教育を受けさせる
ギフテッドの子供の才能は生まれつきのものですが、どんな宝石も磨かなくては光りません。「天才だから、教育を受けなくてもいい」という考え方ではなく、ギフテッドの子ともには年齢に関係なく、興味のある分野の専門的な教育や体験学習をさせ、より多くの才能を花開かせることができるように導いてあげましょう。
2世間の偏見から守る
ギフテッドの子供は、同年代の子供とのギャップや大人の奇異な目にさらされて、心に傷を負うリスクが高いです。ギフテッド教育が一般的ではない日本では、天才児よりも「他の子と違う」とか、「変わっている子」という偏見の目で見られることも多いので、子供を偏見から守って安心させてあげましょう。
3子供の良い面を尊重する
日本では「平等で画一的な教育」が一般的ですが、ギフテッドの子供の才能はある一部分だけに突出して現れることが多いです。それなのに何でも平均的に伸ばそうとすると、得意な分野が抑圧されてしまいますので、興味のある良い面をより多く伸ばすつもりでサポートしていきましょう。
4新しいことにもチャレンジさせる
親は子供の才能の全てを把握できるわけではありませんよね。ギフテッドの子供の能力を伸ばすには、子供がどの分野に秀でた才能を持っているのか、様々な新しい経験をさせることによって知ることが大切です。
「この子はこれが得意だからこれだけさせておけばいい」と、視野を広げるチャンスを奪ってしまうのではなく、「この本も面白いから読んでみない?」と声を掛けるなど、広い視点で才能を伸ばしていきましょう。
5子どもをたくさん褒める
ギフテッドであるかどうかにかかわらず、子供の才能を一番伸ばすのは親が褒めてあげることです。特に得意な分野の成果を褒めてあげることで、子供はさらに学習意欲を高めて能力を開花させていけます。ギフテッドの子供は、完璧主義という特徴のために自己肯定が低くなりやすいので、得意な分野は集中的に、苦手な分野でも子供の取り組む姿勢や努力を褒めて、子供の気分を盛りたててあげましょう。
6子どもと積極的に会話をする
ギフテッドの子供の才能は大人を凌ぐこともしばしばあり、親であっても専門的な会話についていけないことも多いのですが、子供の得意なこと子供の関心のあることに対しては、積極的に話しを聞いてあげましょう。
ギフテッドの子供が求めるのは、周りからの理解ですので、一番身近なパパやママが積極的に子供とコミュニケーションを摂ることで、子供の才能を伸ばしていきましょう。
7リラックスできる環境をつくる
ギフテッドの子供は、過度激動という感覚も感受性も過敏な特徴があるため、幼稚園や学校でとても疲れやすいという特徴があります。ですから、できるだけ家庭ではリラックスして穏やかに過ごせるように、環境を整えてあげましょう。悪いことをしたからと親が怒鳴ってしつけても効果はなく、むしろ疲れさせて子供をうつ状態にしてしまうこともあるので注意しましょうね。
特別な愛情でギフテッドの子供をサポートしましょう
ギフテッドの子供は一見我が道を行くタイプに見えますが、実は自分と周りの違いに敏感です。同年代の子供とのギャップに苦しんで、自分の才能に自信を失ったり、嫌悪感を持ってしまったりすることで才能を伸ばすことをあきらめてしまう子も多いのです。
どんな分野においても、本人が自分の才能を愛し、自分の不利な面を受け入れて行かなくては、才能を花開かせることはできません。子供が自分自身を愛せるように、パパやママがたっぷりと愛情を示し、子供の優れた才能を子供に理解させて自信を持たせてあげましょうね。