子供に良い影響を与える上手な叱り方:今日からできる7つのポイント
些細なことで子供を叱ってしまい、あとから「言いすぎたかな」と反省した経験はありませんか。叱ることは子育てに欠かせない大切な関わりですが、「この叱り方でいいのだろうか」と不安になることもあるでしょう。伝え方によっては、子供の受け止め方が大きく変わってきます。
ここでは、子供に伝わりやすい上手な叱り方のポイントを紹介します。最初から完璧にできなくても大丈夫。少し意識を変えるだけで、子供の反応は変わってきます。カッとなって口を開く前に一呼吸おいて、できそうなものから取り入れてみてください。
なお、「叱る」と「怒る」は違います。「怒る」は自分の感情をぶつけること、「叱る」は子供に良い行動を教えること。この違いを意識するだけでも、言葉の選び方が変わってきます。
子供を成長させる叱り方7つのポイント
コミュニケーションが上手な人は、同じ内容でも「伝え方」が違います。親が子供を叱る場面は、子供が気持ちを上手に伝える力を学ぶ絶好の機会でもあります。
親は、子供にとって身近なお手本です。「この子が大きくなったとき、自分の思いを穏やかに伝えられるお手本になろう」という気持ちで向き合うと、叱り方も自然と落ち着いてきます。以下の7つを順に見ていきましょう。
1 叱りっぱなしにせず、できたらほめる
叱ったままで終わらせないことが大切です。「次はできるといいね」と前向きに締めくくり、実際にできたときにはしっかりほめましょう。子供は「ちゃんと見てくれている」と感じ、「次もがんばろう」という気持ちになります。
たとえば、おもちゃを片づけられずに注意した翌日、自分から片づけ始めたら「自分で片づけたんだね、うれしいな」と具体的に声をかけます。「ほめる」というより「気づいて認める」イメージです。
すぐにできるようにならなくても焦らないこと。「全部は無理でも、絵本は棚に戻せたね」と、できた部分だけでも認めてあげると、子供は続けやすくなります。
2 問い詰めず、一緒に考える言い方にする
「どうして早起きできないの?」と責める問いは、子供を身構えさせてしまいます。「どうしたら朝すっきり起きられるかな?」と、一緒に考える言い方に変えてみましょう。子供は自分で考え始め、自分なりの答えを見つけようとします。
「早く寝ればいいのかな」「カーテンを開けておく?」と本人がアイデアを出せると、自分で決めたぶん行動に移しやすくなります。
答えが出てこないときは、「〇〇と△△ならどっちがいいと思う?」と選択肢を示して選ばせると、考えるきっかけになります。
3 「何が」「なぜ」を具体的に伝える
「ダメ!」だけでは、何がいけないのか子供には伝わりません。「おもちゃを投げないでね。当たると痛いし、おもちゃも壊れてしまうよ」というように、「何をやめてほしいか」と「なぜいけないか」をセットで具体的に伝えましょう。
幼い子供は抽象的な言葉の理解がまだ難しく、具体的な行動と理由を結びつけて示すほうがすんなり伝わります。
一度にあれもこれもと伝えると混乱してしまうので、今いちばん伝えたいことを一つに絞るのがコツです。
4 気持ちに共感してから伝える
子供には子供なりの言い分があります。頭ごなしに叱るのではなく、まず話を聞いて「そう、一緒に遊びたかったんだね」と気持ちを受け止めてから、「でも順番は守ろうね」と伝えましょう。最初に気持ちを認めてもらえると、子供は注意を受け入れやすくなります。
ポイントは、共感は「気持ちをわかる」ことであって「行動を許す」ことではない、という点です。気持ちは受け止めつつ、してはいけないことの線引きははっきり示しましょう。
5 叱るタイミングと場所を選ぶ
幼児期は、時間がたつと何を注意されたのか結びつけにくくなります。「あの時は〜」と後から言っても、子供には何のことかわかりません。基本はその場ですぐ、短く伝えるのが効果的です。
ただし、みんなの前で叱るとプライドが傷ついてしまうこともあります。できれば少し離れた場所へ移動し、しゃがんで目線を合わせ、落ち着いた声で伝えましょう。
外出先ですぐに移動できないときは、そっと近づいて小声で伝えるだけでも、子供の受け止め方は変わります。
6 「お母さんは悲しい」と自分の気持ちを伝える
思うままに叱っても、子供が意に介さないように見えるときがあります。そんなときは、「そんなことをすると危ないし、お母さんは悲しいな」と、自分の気持ちを言葉にしてみましょう。
「あなたはダメ」と相手を主語にする言い方より、「お母さんは〜と感じる」と自分を主語にする伝え方(アイメッセージ)は、子供を責めずに気持ちが届きやすいと言われています。いつも叱っている人が静かにこう伝えると、子供は何かを感じ取るはずです。
ただし毎回使うと響きにくくなるので、ここぞという場面で使うのがおすすめです。
7 手は出さない
叱っているうちに感情が高ぶり、思い余って手が出そうになることもあるかもしれません。けれど、たたいたり強く怒鳴ったりする対応は、子供に恐怖心を与えるだけで、「なぜいけないのか」は伝わりません。
なお、2020年4月から、親などによる体罰は法律で禁止されています(改正児童虐待防止法・児童福祉法)。厚生労働省も「体罰等によらない子育て」を呼びかけています。たたかない子育ては、いまや社会全体で共有されている考え方です。
カッとなりそうなときの対処法
手が出そうになったら、まずは一呼吸。数十秒その場を離れる、深呼吸をする、水を一口飲むなど、親自身がクールダウンする方法を用意しておくと、衝動的な行動を防ぎやすくなります。ひとりで抱え込まず、パートナーや、お住まいの自治体の子育て相談窓口に頼るのも大切な選択肢です。
つい言いがちな言葉の言い換え例
同じ場面でも、言葉を少し変えるだけで子供への伝わり方は変わります。とっさに出やすい言葉を、前向きな言い方に置き換えてみましょう。
| つい言いがちな言葉 | 言い換えの例 |
|---|---|
| 「早くしなさい!」 | 「あと何分で準備できそう?」 |
| 「どうしてできないの?」 | 「どうしたらうまくできるかな?」 |
| 「ダメ!」 | 「〇〇すると危ないから、こうしようね」 |
| 「何度言ったらわかるの!」 | 「もう一回、一緒に確認しようか」 |
| 「お兄ちゃんはできるのに」 | 「昨日よりできるようになったね」 |
子供に伝わりにくい、やってはいけない叱り方
同じ「叱る」でも、気をつけたい伝え方があります。思い当たるものがあっても大丈夫。今日から少しずつ意識を変えていきましょう。
やってはいけない叱り方
- 感情的にぶつける
- 自分の都合で怒る
- いつまでもしつこく叱る
- 両親そろって責める(フォロー役を残す)
- 関係のない過去を持ち出す
- ほかの子やきょうだいと比べる
- 子供の人格を否定する
特に「あなたはいつもそう」「〇〇ちゃんはできるのに」といった言葉は、子供の自己肯定感を下げてしまいます。叱るのはあくまで「行動」であって、「その子自身」ではない、と心に留めておきましょう。
上手な叱り方に関するよくある質問
つい感情的に怒鳴ってしまったら?
誰にでもあることです。大切なのは、そのあとのフォロー。落ち着いたら「さっきは大きな声を出してごめんね。でも〇〇は危ないから心配だったの」と、素直な気持ちを伝えましょう。親が謝る姿は、子供にとって良いお手本にもなります。
何歳ごろから叱ればいい?
年齢よりも「危ないこと・人を傷つけること」を中心に、その都度短く伝えることが基本です。言葉の理解が進むにつれて、理由を添えた伝え方が届きやすくなります。低年齢のうちは、叱るより「危ないから止める」対応が中心になります。
夫婦で叱り方の方針が違うときは?
子供の前で言い合うと、子供は混乱してしまいます。一方が叱っているときは、もう一方はフォロー役に回り、方針のすり合わせは子供のいないところで話し合うのがおすすめです。
叱ったあとは、しっかり愛情を伝えて
上手な叱り方といっても、実際には難しい場面も多いものです。時には感情的になってしまっても、大好きなわが子だからこそ真剣に向き合っているのです。自分を責めすぎないでください。
叱ったあとは、ギュッと抱きしめて愛情を伝えてあげましょう。「あなたのことが大切だから」という気持ちが伝われば、子供はきっとわかってくれます。少しずつ、よりよい親子関係を築いていきましょう。



