夜間保育の実態~本当にかわいそう?実際に預けたママ達の体験談
夜間保育とは、残業・夜勤・出張といった親の仕事の都合などで保育園へのお迎えや、その後の保育が困難な家庭の幼児を、夜間に親の代わりに有料で預かってくれる保育施設のことです。「深夜保育」と呼ばれることもあります。
寂しい・暗い・子供が可哀想といったイメージを持つ人が多く、幼い子供への悪影響を心配するママの声も少なくありません。
そこでこちらでは、夜間保育を行っている施設の種類、夜間保育は認可か無認可か、夜間保育施設の選び方、夜間保育施設の様子がよくわかる映画、実際に子供を預けたママ達の体験談を通して、夜間保育の実態についてご紹介していきます。
夜間に保育を行っている施設の種類
通常の保育時間が終わった夜間の18:30以降に乳幼児を預かってくれる施設には、おおむね19時30分まで預かってくれる保育園の延長保育の他に、トワイライトステイ、家庭的保育、夜間保育(認可)、認可外保育施設(ベビーホテルなど)があります。
トワイライトステイとは?
児童養護施設等で夜間や休日はいつも保育が困難な家庭、あるいは緊急時に子供を預かってくれ夜間養護等事業で、夜18:00~22:00までの4時間の夜間保育や宿泊を行っています。
核家族化が進み、共働きや母子家庭が増加する現代。親が残業や夜勤のある仕事をしている家庭は決して少なくありません。夜間保育施設はそうした家庭への子育て支援施設として大きな役割を果し、保護者からのニーズも高いです。
その反面、労働条件としては決していいとはいえません。短期で子供を預けるご家庭も多く運営は困難。こうした現実から、夜間保育の数は不足しています。
夜間の保育施設は全て認可?
トワイライトステイ以外の夜間の保育施設には、認可と認可外(無認可)があります。
家庭的保育(保育ママ)
家庭的保育とは、いわゆる「保育ママ」のことです。保育者の家やその他の場所を利用し、小規模で0歳~2歳(市区町村によっては3歳)までの異年齢の乳幼児を、家庭的な環境で預かってくれる保育形態です。
1人の保育者が保育できる子供の数は定員3名以下。保育者は全員市区町村の認定を受けていますが、施設には認可と無認可があります。(注1)
夜間保育園
夜間保育を行っている保育園にも、認可と無認可があります。認可されている夜間保育園の保育時間はおおむね11時~22時。定員は20~30人までと決められています。厚生労働省によると、平成26年度時点で認可された夜間保育園所は全国で85ヶ所しかありません。(注2)
一方無認可の夜間保育園の総数は平成28年3月31日の時点で6923ヶ所。宿泊を受け入れている「ベビーホテル」などの施設が含まれているのが大きな特徴です。無認可保育施設の内、ベビーホテルの総数は1579ヶ所。ベビーホテルの入所児童数は30,121人でした。(注3)
ベビーホテルとは?
下記のいずれかの条件を満たして運営している施設です
- 20時以降の保育
- 宿泊を伴う保育
- 半数以上の利用児童が一時預け
夜間保育で預ける際の施設選び
夜間保育には子供が可哀想だという根強い偏見があり、子供以上に親がストレスを感じてしまうこともあります。
そのため基準が厳しく保育料が安い認可保育園を選びたい保護者が多いのですが、夜間保育を行っている認可保育園の少なさ、保育時間の制限、利便性から無認可保育施設にしか預けられない家庭の方が多いのが実情です。
無認可であっても夜間保育所は子育て中のママにとって心強い施設ですので、選ぶ際には頭ごなしに否定せず、まずは検討している施設を信頼できるかを調べて見るとよいでしょう。
無認可保育施設は確かに国の基準が認可施設ほど厳しくありませんが、野放しというわけではありません!厚生労働省による指導監督が定期的に行われています
無認可保育施設であっても、指導監督基準を満たした施設の場合は証明書が発行され、市町村によってはHP等で施設名を公表しています。
さらに東京都のベビーホテルは、東京都福祉保健局市町村のホームページで立入調査結果を公表しています。夜間保育の施設を選ぶ際は、こうした公的機関の情報を確認してみるとよいでしょう。
また一度候補の夜間保育施設を見学しておくことも重要です。預けられている子供の数や様子、先生の対応などを自分の目で確認し、信頼できる施設を選びましょう。
夜間保育施設のチェックポイント
- 子供が落ち着いて生き生きと過ごしているか
- 保育者の子供への接し方など保育中の様子
- 2方向2箇所の子供が使える避難階段があるか
- 子供1人当たりの保育スペースは狭すぎないか
- トイレや手洗い場の様子
- 保育者の数は十分か
- 施設が掲げる保育理念が、言葉だけではないか
- 代表・概要・サービス等の施設情報を利用者に明確に提供し、契約時にも書面で渡してくれるか
- 保育料に無理はないか など
夜間保育はかわいそう?保育料は?体験談
実際に子供を夜間保育に預けたママ達は、何歳の時にどのような理由で、どれくらい預けたのでしょう?また預けられた子供の様子や保育料はどうだったのでしょう?先輩ママの体験談を聞かせてもらいましょう。
夜勤のときに利用
1歳半の息子がいます。夜間保育に預けたのは1歳になる頃からです。育休から職場へ復帰するときに利用し始めました。夜間保育に預ける時間は夕方の18時から朝の7時までです。認可外の夜間保育園です。
1ヶ月の保育料は20万円と高めの料金です。それでも夜間保育に預けた理由は、夜勤のある仕事をしているためにどうしても預けないといけなかったからです。夜間に預けることに対して罪悪感はありました。しかし、同じ職場のお母さんも預けているし、預けないことには職場復帰出来ないので仕方ありませんでした。
子供は別れ際に泣きますが、保育園の先生が好きなので割とすぐに泣き止むそうです。夜間保育に預けるようになってから悪影響はありません。きちんと決まった時間に寝かしつけてくれて助かっています。始めは慣れなくても、徐々に日中の保育園に預ける感覚になります。
短期間利用してみて
もうすぐ1歳になる双子の男の子が2人います。当時夜間保育を利用したのは、6ヶ月の時でした。退職をしようとしていたのですが、会社の諸事情でできず、接客業でしたので11時まで働いて、買い物を済ませた後、12時子供を迎えにいくという生活リズムでした。
最終的には子供がやはり可哀想になり、3ヶ月だけ認可外の施設でお世話になりました。2人ともまだ小さかったので、機嫌も悪くならず預けている時はなんともなかったのですが、家に帰るとひどく泣いておりました。甘えているような感じで、帰ってくるやいなや母乳を欲しがりました。
旦那や親族、私自身も可哀想になりました。「もう少し頑張ってね」と何回もおまじないのように2人に話していました。夜間保育の保育士さん達は普通の保育士さんと違い、とても気をつけてお世話をしてくれます。そして利用している方ともお友達になれるので、子供に特に悪い影響はないと思います。
それにシングルマザーが増えているという事情や、仕事もしていて家族に頼まない家庭が増えているからか、利用している人も多いです。利用するに当たって必ず見学は行くべきです。「保育士さんが疲労困ぱいで大丈夫?」っていうような認可外の夜間保育施設もあります。
値段はやはり認可外なので高かったです。延長なども合わせて1人5万かかりました。旦那と協力していけば、もう少し料金を抑えられたのではないかと反省しました。
出張により夜間保育へ
現在小学校四年生の娘と、小学校一年生の息子がまだ、保育園に通っていた時の話です。上の娘が年長さん下の息子が未満児の時でした。私が東京の方へ一週間の出張へ行く仕事ができてしまい、実家や義理両親や旦那も仕事が終わるのが遅いため、夜間保育へお世話になりました。
すごくさみしい思いをさせてしまっているのではないかと、私は申し訳なく思っていましたが、預けてみると他のお子さん達も沢山居ました。そのため子供達にとっては昼間と違い特別な気持ちだった様子で、嫌がることなく夜間保育へ通ってくれました。
今でもその時の事はとてもよく覚えている様子で「保育園に夜まで居たの、楽しかった」と話してくれます。夜間保育にはとても不安な気持ちで預けましたが、最後には「また来たい」と言うほど良くお世話をしてくれたんだと感謝しています。保育園にも違いはあると思いますが、とても良い経験となったので、困った際には利用してみてください。
都内でのフルタイム勤務
子供は現在4歳9ヶ月です。1歳5ヶ月~4歳まで、朝7時半~20時まで保育園に預けていました。3歳までは無認可保育園でしたが、3歳からは認可保育園です。埼玉県に住んでいるのですが都内勤務のため、時短を使っても定時保育内のお迎えが無理だったため夜間保育を利用しました。
迎えに行くと入り口まで覗きにきていて、家に着いてからご飯、お風呂になると寝る時間も遅くなるため、かわいそうだと思いました。また子供を迎えに行くとうれしそうにしていたので、寂しかったのだろうと思います。
普通に幼稚園に通っている子は20時就寝とよく聞くので、小さいうちから寝る時間にこんなに差があるのはよくないと感じていました。また寂しい思いもさせてしまっているので、少なからず気持ち的にも子供に影響はあるのではないかと思っています。
私が利用していた認可の夜間保育園では夜間の子が少なく、うちの子が迎えに行くといつもの先生と2人でテレビをみていました。無認可でも先生の数が少ないので一人遊びをしていることが多く、毎回ごめんねと思っていました。
できることなら利用しないでいたいママがほとんどだと思います。でも経済的に、あるいは家庭の事情で利用が必要なのは仕方のないことなので、自分を責めず家ではお子さんにめいっぱい愛情をあげれば、子供もちゃんと分かってくれると思います。夜間保育の体勢など、国や自治体のサポートはもっと手厚くして欲しいですね。
子供のことを預けておりました
私の娘は今年で3歳になりました。当時娘が2歳のころ、およそ2ヶ月夜間保育に預けておりました。認可保育園だったのですが料金は18時を過ぎると1時間1000円プラスで、私は基本的には20時までには迎えに行くようにしておりましたので、2時間程度の夜間保育でした。1カ月25000円くらいだったと認識をしております。
私は夜のバイトをしていたので、預けざるを得なかったのですが、子供のことを考えると申し訳ないなという気持ちもありましたし、周りからも冷たい目で見られることが多かったです。
当時まだ娘は2歳だったのでそこまで記憶にはないようですが、当時は「行きたくない」と言って寂しそうに泣いていたこともありました。夜泣きなども当時はあったので、かなり悪影響だったと思います。
今現在はそういったことはないです。私は信用できる夜間保育園に預けることができたので、しっかりと体制が整っており満足しておりましたが、先生が少ないのかなとも感じてしまいました。
私は特に不安な気持ちもなかったのですが、初めて預ける方はしっかりと話を聞いて、きちんと体制が整っている、子供のことを見てくれる信用できる人がいる保育園に預けた方がいいと思います。
夜勤がある私にとって夜間保育は救いでした
今娘は6歳になりました。夜間保育に預けていたのは2歳のときで、約半年お世話になっていました。夜間保育に預けるのは夜の9時~朝7時でした。娘が通っていたのは無認可の保育園で保育料は1ヶ月6万でした。
私が夜勤のある仕事だったため、どうしても夜間保育に預けなければ働けませんでした。いつも娘には罪悪感でいっぱいでした。義理母には「夜、ママと一緒に眠れないなんて可哀想」といつも言われていました。
娘は離れるときに泣いてしまいましたが、先生が大好きでしたので楽しそうに過ごしていました。娘は今6歳ですが、夜間保育で預けられていたときのことを今でも覚えていて、「寂しかった」と話しています。やはり母親が一緒に寝てあげられなかったのは、娘にとって悪影響だったのかなと思います。
先生も忙しそうで、ずっと娘の側にはいてもらえませんでした。夜勤がある仕事をする親にとって夜間保育は本当に便利です。不安もあると思いますが安心してお子さんを預けてください。
ママも子どもも頑張る!
現在の子どもの年齢は、6歳です。夜間保育に預けていた頃の子どもの年齢は3歳で、期間は約3ケ月です。夜間保育に預ける時間は18時で、迎えに行く時間は22時です。子どもを預けた夜間保育は、認可外保育園でした。
夜間保育に支払った1ケ月の料金は、30,000円ほどでした。夜間保育に預けた理由は、会社の同じ部署の女性社員が3人産休に入ってしまったため、時短勤務ができずに残業をしなければならなくなったからです。
子どもはかわいそうだと思いましたが、仕事をしている以上は仕方ないと思いました。離れたところに住んでいる両親には「かわいそうだ」と言われ、子どもの様子は寂しそうに見えました。ただ、今の子どもの様子からは夜間保育での悪影響があるようには見えません。
私が感じた夜間保育の実態は、先生方が大変そうだと思いました。やむを得ず子どもを夜間保育に預けなければいけないお母さんは、いろいろと心配も多いと思うので、どこに預けるか決める前にクチコミなどをよく調べてから決めると良いと思います。
共働きなので夜間保育に預けていました
家の子供は5歳で夜間保育に預けて2年経ちました。夜間保育に預ける時間は夕方の5時で迎えに行くのは夜の10時でした。私が夜の交代制の仕事をしていて深夜の仕事をしたりしているので認可外保育園ですが、預かっていただけるだけでも有り難いなと思いました。1ヶ月の料金は4万円でした。
子供を家に一人で居させられない家庭環境だったので、かわいそうだとは思いましたがグッとこらえました。周りの親戚や親には「かわいそうだ」と言われたことがあります。うちの子は、最初は泣いていましたが、預けて1年たって楽しそうにしているのを見て、親としてホットしました。
でも家に帰って夜寝る時になるととても寂しそうな顔をするので、本当は寂しいんだなと私まで泣いてしまいました。仕事を転職した方がいいなと思いました。
夜間保育の保育士さんは1人体制の時があるんだなと分かった時はビックリしました。本当にやむ終えない事情がない限りは、夜間保育はやめた方が良いのかなと思った時がありました。
一緒にいる時間を大事にして乗り切った
2歳になる息子が、生後3ヶ月から1歳2ヶ月の間、夜間保育に預けていました。電車で1時間半かかる職場に復帰したためで、預けていたのは夜7時半頃までです。認可保育園では、0歳児クラスの延長保育できないので、仕方なく無認可の延長できる夜間保育園にお願いしていました。
平日は朝から夜までフルで預けたので、1ヶ月で7万円以上かかり、かなりきつかったです。息子には悪いと思ったし、周囲からも「かわいそう」と言われましたが、息子にお金の面で不自由させないためにも、主人と話し合って出した結果です。
まだ生後3ヶ月であまり理解できていない時から預けたので、特に泣いたりすることはありませんでした。保育園もとても親身になってくれる先生ばかりで息子も楽しそうでしたし、夜や土日に目一杯スキンシップを取ることで健やかに育ってくれています。
小さい時は親と一緒がいいと周りは言いますが、努力次第でいくらでもフォローできます。信頼できる園を見つければ、決して悪いことではないと思います。
寂しい思いの後遺症
現在娘は5歳になりました。娘を夜間保育に預けていたのは、1歳から3歳までの丸3年間でした。当時、シングルマザーで出産して何の取り柄もない自分は、夜の世界でしかお金を稼ぐことができませんでした。19時出勤だったので、18時に娘を夜間保育に連れて行き、午前2時か3時に迎えに行っていました。
職場のすぐ近くの認可外保育園で、月に200時間預けられて月に3万円前後でした。子供は可哀想だと思いました。夜、眠くなる時間に甘えられる母親がそばに居ないことで、幼いながらに毎日我慢する生活をさせてしまい、申し訳ないと思っています。
今は資格を取得したので日中に稼げるようになったので、娘は幼稚園に通っていますが、夜は不安になるらしく「抱っこ、抱っこ」と甘えてくる後遺症があります。
悪影響ではなかったと思いますか、幼い娘の心のケアが足りなかったと反省しています。夜間保育にあずけるなら日中はたくさん遊んで、お子さんの心を満たしてあげてほしいです。
夜間保育施設の実態を物語る映画
日中は親と離れて過ごす子供達。暗く静かで不安になる夜は、やっぱりママやパパに甘えて充電したい!だからこそできれば預けたくない、可哀想というイメージを抱いて心配する人も多いのですが、夜間保育は必ずしもマイナス面ばかりではありません。
実際に利用したママからは、必ずしも可哀想とは言い切れないとういう声も聞かれ、かわいそうと感じたママの場合も他の人から指摘された、あるいは可哀想という固定観念をもって子供を見ている様子が伝わってきます。
親の不安は子供に伝染しやすいため、寂しそうな姿は夜間保育に限らず日中の幼稚園や保育園でも同様にみられます。幼い子供を預ける親にとっては不安でいっぱいなのですが、夜間保育に預けなければならない事情を抱えた人は、あなた以外にも大勢います。子供を預けながらも懸命に働く人たちに支えられて、今の日本社会は成り立っているのです。
夜間保育はマイナスばかりじゃない!
寂しさは喜びを大きくし、大切さに気付かせてくれる感情です。快適過ぎる環境が必ずしも子供のプラスになるとは言えず、何ごともバランスが大切なのです。親が愛情不足への不安や罪悪感といった負の感情を抱いても、子供は喜びませんし子育てにも役立ちません。
子供が過ごしやすく信頼できる夜間保育施設を選んだら、一緒に過ごす時間を子供にとってより充実した温かく密度の濃い時間となるように、子供の話をよく聞いて共感し、スキンシップをたっぷりとって、愛情のバランスをとることにエネルギーを注ぎましょう。
不安を払拭するのにおすすめの映画がありますので、自宅近くで上映されている場合は、ぜひ見に行ってみましょう。
参考文献