【赤ちゃんの人見知りの原因】ママが気にしすぎると悪影響も!?
それまで誰に声をかけられても抱っこされてもニコニコしていた赤ちゃんが、ある日突然ママとパパ以外の人にはギャン泣き!頭では人見知りとわかっていても、ママやパパはもちろん、お祖父ちゃんお婆ちゃんもお手上げになってしまうこともありますよね。
赤ちゃんの人見知りは生後半年~1歳ごろから始まることが多く、2歳頃までにはおさまる子が多い一過性のものですが、人見知りが激しい子のママは、「なんで先週まで喜んで遊んでいたのに、急に泣き出すの?」「これまでは話しかけてもらうと喜んでいたのに、急に怯えて何があったの?」「私の育て方が悪かったの?」と、思うことも少なくありません。
なぜ赤ちゃんは人見知りするのでしょうか?また、なぜ個人差があるのでしょうか?こちらでは、近年明らかになった興味深い赤ちゃんの人見知りの原因に関する研究結果をご紹介します。
赤ちゃんが人見知りする原因
以前は、ママを見分けられるようになり、ママ以外の人との区別がつくようになることで、他人を怖がって人見知りをしていると考えられていました。ところが最近の研究ではさらに、「近づきたいけれど怖い」という赤ちゃんが葛藤する気持ちが原因となっていることが判明しました。赤ちゃんはどうやら、他人に恐怖心だけを感じて泣いているのではないようです。
人見知りの原因には、赤ちゃんの心や脳の発達が関係していると考えられています。赤ちゃんの心や脳が発達すると、人の顔が認識できるようになり、ママと他人の区別がつくようになります。また、「喜び」「怖い」「好奇心」という感情も芽生え始めます。
さらに、生まれ持った気質によっても、感情の強さに差が生じます。これが、人見知りの個人差となって表れるそうです。人見知りの原因が「育て方」とは一概に言えないでしょう。
近付きたいけど、本当は怖い??
これまでは「怖い」という感情が、人見知りし始める時期と同じ生後6ヶ月頃に表れ、ママと他人の区別もちょうどその頃できるようになるため、赤ちゃんが他人を怖がって人見知りをすると考えられてきました。ところが近年の研究では、赤ちゃんは生まれてすぐに、ママと他人を区別する能力が備わっていることが分かってきました。
また、本当に他人を怖がっているのであれば相手を見なければいいのに、人見知りをする赤ちゃんは他人を凝視しながら泣いたり、慣れてくると近寄ったりする行動にも疑問が残るため、これらを踏まえて科学技術振興機構(JST)と東大大学院教授などにより、赤ちゃんの人見知り行動についての共同研究が行われました。
JSTや東大などの研究結果のまとめ
共同研究チームは生後7ヶ月~12ヶ月の赤ちゃん57人と赤ちゃんのママを対象に、赤ちゃんの生まれ持った気質のアンケートと視線反応の計測を行いました。その結果、下記のようなことがわかりました。
研究で分かったこと
- 人見知りが強い赤ちゃんほど、相手を怖がり逃げたいが、より相手に近づきたいと思っている
- 人見知りはこの「怖がり」と「接近」の葛藤状態
- 人見知りが強い赤ちゃんは、最初に目が合った時に相手の目をよく見ている
- 人見知りの弱い赤ちゃんは、まっすぐ顔を見て相手とコミュニケーションをとろうとしている
- 人見知りが強い赤ちゃんは、自分を見ている相手から目をそらし、相手がよそ見している時に相手を観察している
相手の目を凝視しながらも、相手に見られ続けると目をそらしてしまう。逆に、相手が目をそらすと、相手をよく観察するという行動からも、赤ちゃんの人見知りは、「相手に近づきたい」けれど、「怖いから離れたい」という、相反する気持ちが葛藤した状態で起こっていることがよく分かります。
ただ単に怖がりというだけではなく、「好奇心旺盛な気質」と「怖がりの気質」が強い赤ちゃんほど、人見知りは強いということも分かりました。
人見知りをママが気にすることは悪影響!?
人見知りが始まると、誰かと会う時に最初から「泣かせてはいけない」とプレッシャーを感じたりしていませんか?
祖父母やママの兄弟友人の前で赤ちゃんがギャン泣きすると、相手に対して申し訳ない気持ちになり、「早く泣き止ませよう」「早く慣れさせよう」と焦ってしまいがちです。
そんなママの感情は、赤ちゃんにも伝わっています。赤ちゃんはママの目や表情を通して、周りの人との距離感を学んでいきます。ママがリラックスして楽しそうに会話している相手は安全な人だと思い、ママが不安そうだったり怒ったりしている時に一緒にいる相手には、ネガティブなイメージを抱いてしまうこともあります。
人見知りは成長の証で一時的なものです。人見知りは悪いことではありませんから、「今人見知りの時期だからごめんね」と周りの人にはうまくフォローを入れつつ、ママは堂々としていましょうね。
赤ちゃんの人見知り対策方法
人見知り対策で大切なことは、赤ちゃんと周りの人が上手に距離をとることです。慣れるまでは赤ちゃんを主役に会話をせず、ママはいつも通り過ごしましょう。
赤ちゃんが少し慣れて来て、相手に興味があるような素振りが見られたら、少しずつ距離を縮められるようにしましょう。いきなり抱っこはギャン泣きしますし、赤ちゃんに「自分とママを引き離す怖い人」と認定されてしまう可能性があるので、人見知りしている時は気をつけましょう。
人見知りは育て方が原因で起こるわけではありませんが、育て方の中で工夫すれば改善することは可能でしょう。
人見知り対策
- 赤ちゃんを主役にしない(会話の中心や、注目を浴びるようにさせない)
- ママはいつも通り楽しく相手と会話を続ける
- 赤ちゃんに「この人は優しいおばあちゃんよ」「おじいちゃんはあなたが大好きなのよ」など繰り返し説明する
- 慣れてきたら、手と手をタッチ、ほっぺにタッチなど簡単なスキンシップから始める
- 同じくらいの子供が集まる場所に遊びに行く機会を増やす