赤ちゃんの声がかれる理由に関する記事

『赤ちゃんの声がかれる声枯れの原因は?声のかすれの治し方』

赤ちゃんの声がかれる原因は?自然に治るのか受診かの目安、適切な対処法など、赤ちゃんの声枯れについて知っておきましょう。

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赤ちゃんの声がかれるのはなぜ?知っておくべき声枯れ(嗄声)の原因と対処法、病院受診の目安

喉に違和感があったり喉が痛かったりしても、赤ちゃんは言葉で症状を伝えられませんし、見た目にも分かりにくいものです。そのため、赤ちゃんの声がかれていていつもと違っていると、ママやパパは非常に心配になってしまいますよね。また、その声のかれが単なる泣きすぎによるものなのか、それとも病気のサインなのかどうかを判断することは難しいです。

赤ちゃんの声がかすれる状態は、医学用語で嗄声(させい) と呼ばれます。ここでは、赤ちゃんの声がかれる主な原因や、家庭でできる声枯れの対処法、病院を受診する際の目安、そして注意したい喉の病気についてなど、赤ちゃんの声がかれることについて詳しくみていきましょう。

普段、赤ちゃんの声を一番聞いている保護者だからこそ、小さな変化に気づくことができます。声の枯れについて正しい知識を持っておくことで、過度な不安を避け、適切なタイミングで医療機関を受診できるようになり、安心につながります。

赤ちゃんの声がかれる仕組み(嗄声のメカニズム)

声のかれやかすれなど、普段の声と違うようになる状態、すなわち嗄声(させい) には、喉の奥にある声帯という器官が深く関わっています。声帯は、発声器官である喉頭(こうとう) の中にあり、V字型をした二枚の粘膜のひだ(帯状)で構成されています。

  • 呼吸時: 声帯は開いて、空気を吸い込みます。
  • 発声時: 声帯は閉じ、肺から吐き出された空気がこの閉じた声帯の隙間を通り抜ける際に声帯を振動させることで声が出る仕組みになっています。

しかし、声帯に何らかの異常(炎症、腫れ、結節など)が起こることで、声帯がうまく震えなかったり、左右の声帯がしっかり閉じなかったりすると、通常のように発声できなくなり、声のかすれ(嗄声) が起こるのです。赤ちゃんの声帯は大人に比べて小さく、デリケートなため、わずかな変化でも声がかれやすい特徴があります。

赤ちゃんの声がかれる主な3つの原因

声がかれるのは声帯に何らかの異常が起こっているからですが、赤ちゃんの場合、特に風邪や泣きすぎといった原因で声がかれることが多く見られます。その点について詳しく解説していきましょう。

1. 泣きすぎや大声による声帯の酷使

赤ちゃんが激しく泣きすぎたり、長時間にわたり大声を出したりなど、無理な発声を続けると、声帯が過度にこすれ合って負担がかかった状態になります。その結果、声帯の粘膜が炎症を起こして腫れてしまい、うまく閉じなくなったり、振動が妨げられたりして声がかれることがあります。

この原因による声のかすれは、喉を安静にする(泣く時間を減らす) ことで、比較的早く元の声に戻ることが多いです。しかし、喉への負担があまりにも大きいと、声帯にこぶのようなもの(声帯結節) ができてしまい、声のかれが長引く原因となることがあります。

2. 風邪(ウイルス・細菌感染)による喉の炎症

赤ちゃんは免疫力が未熟なため、風邪をひきやすいです。風邪をひくと、喉の咽頭や喉頭(声帯のある部分)の粘膜に、ウイルスや細菌が付着して炎症を起こします。この炎症が声帯に波及すると、声帯が腫れてうまく振動しなくなり、声がかれる原因になります。

この炎症による声枯れは一時的なものですが、赤ちゃんの場合は、咽頭や喉頭が炎症を起こしていても構わず泣いたり大声を出したりと喉を酷使するため、炎症がなかなか治らず、声枯れが長引くことがあります。発熱や鼻水、咳などの他の風邪症状を伴う場合は、この喉の炎症が原因であることが考えられます。

3. 稀に注意が必要な喉の病気

声枯れの原因はほとんどが泣きすぎや風邪によるものですが、稀にクループ症候群や急性喉頭蓋炎といった喉の重い病気、あるいは先天的な声帯の異常が原因となっている場合があります。特に「ケンケン」という特徴的な咳(犬の鳴き声のような咳) や、呼吸が苦しそうな様子が見られる場合は、緊急性の高い病気の可能性もあるため、すぐに医療機関を受診する必要があります。

赤ちゃんの声の枯れの対処法【家庭でできるケア】

赤ちゃんの声の枯れに気づいたら、症状を悪化させず、声帯の回復を促すためにも、喉を安静に保つことが大切です。そこで、赤ちゃんの声が枯れた時の正しい対処法についてみていきましょう。

1. 病院を受診する目安を確認する

声の枯れの他に、発熱・鼻水・咳などの風邪の症状が見られる場合は、早期に症状を改善するためや、他の症状の悪化を防ぐためにも、かかりつけの小児科を受診した方が安心です。風邪の症状自体は改善しても、声のかれは炎症が引くまでにしばらく続くこともありますが、大抵は自然に治癒しますので、心配しすぎないようにしましょう。

2. できるだけ大泣きさせないようにする

泣きすぎによる声のかすれは、声帯に大きな負担がかかっている証拠ですので、第一に声帯を安静に保つことが大切です。しかし、泣くのが仕事である赤ちゃんを、全く泣かせないようにするのは至難の業です。泣かせないようにと気を遣い過ぎると、ママもストレスがたまってしまいます。

大切なのは、声帯に負担がかかるくらいの激しい大泣き(ギャン泣き)を防ぐことです。大泣きになる前のぐずぐず泣いている段階で、抱っこやおもちゃ、授乳などで早めにあやし、気持ちを切り替えてあげるようにしましょう。大人が常にしゃべらないようにすることができないのと同様に、赤ちゃんも全く泣かないようにすることは不可能です。激しく泣くのを防ぐくらいの気持ちでいることが、ママ自身の心の負担を減らすことにもつながります。

3. 部屋の湿度を適度に保つ

乾燥した空気は喉の粘膜を乾燥させ、炎症を悪化させる原因になります。そのため、室内の湿度を適度に保つようにしましょう。特に冬場の寒い時期や、暖房などを使用する際は空気が乾燥しやすくなります。

加湿器を使用したり、濡れたバスタオルを室内に干したりするなどして、湿度を40%~60%くらいに保つことで、喉の乾燥を防ぎ、声帯への刺激を軽減することができます。適切な湿度を保つことは、喉の乾燥を防ぐだけでなく、ウイルス感染の予防にもつながると言われています。

4. 水分をこまめに補給する

喉の乾燥を防ぎ、声帯の潤いを保つために、水分をこまめに摂るようにしましょう。授乳期であれば母乳やミルクで水分補給ができますが、離乳期に入っていれば、白湯や麦茶、乳幼児用のイオン飲料などを少しずつ飲ませる習慣をつけておくと便利です。特に発熱などで汗をかいている時は、脱水症状の予防のためにも水分補給は重要です。

5. 鼻水を吸引して口呼吸を防ぐ

鼻が詰まっていると、赤ちゃんは口呼吸になりがちです。口呼吸をすると、喉が乾燥しやすくなるだけでなく、鼻の奥から喉に鼻水が流れ込み(後鼻漏)、喉の粘膜にからんで炎症や咳症状を招くことがあります。こまめに鼻水を鼻吸い器などで吸引してあげるように気をつけましょう。

また、鼻炎や風邪など、鼻水の原因になっていることを改善するためにも、鼻づまりがひどい場合は医療機関を受診することもおすすめします。

病院を受診する3つの目安【小児科・耳鼻咽喉科の使い分け】

赤ちゃんの声枯れの症状が、喉の重い病気が原因であるケースは稀で、大抵は自然に治るものですが、病院を受診した方が良いケースもあります。「声がかれているくらいで病院に行ってもいいの?」と迷ってしまいますよね。そこで、病院を受診すべき目安についてみていきましょう。

1熱が38度以上ある場合や全身症状がある

声枯れの症状に加えて、38度を超える発熱症状が見られる場合は、喉がウイルスや細菌に感染し、炎症を起こしている可能性が高いです。症状を悪化させないためにも、かかりつけの小児科を受診しましょう。発熱を伴う病気は、長引くと赤ちゃんにもママにも負担がかかるので、早期に適切な治療を開始することが大切です。

2呼吸が苦しそう、咳が異常な場合

鼻づまりがひどく、呼吸が苦しそうな様子が見られる時や、「ケンケン」という犬の鳴き声のような特徴的な咳(クループのサイン) が出ている場合は、喉頭や気管の狭窄が疑われます。鼻がつまっていると、口呼吸になって喉に悪影響を及ぼすだけでなく、鼻の中にたまった病原菌が副鼻腔炎などを引き起こす原因にもなります。

特に呼吸困難を伴う場合は、緊急性の高い病気の可能性があるため、ためらわずにすぐに医療機関を受診してください。風邪などが原因で鼻がつまるのであれば、小児科で適切な処置や薬の服用を行い、赤ちゃんの鼻づまりが悪化しないように注意しましょう。

3声のかすれが1週間以上改善しない

泣きすぎや風邪が原因である場合の声のかすれ症状は、数日から長くても1週間程度で自然に回復していくことがほとんどです。しかし、一向に声のかすれが改善しないときや、一度治まったのに繰り返すときには、小児声帯結節やその他の喉の病気の可能性も考えられます。

このような慢性的な声枯れの場合は、一度かかりつけの小児科を受診し、必要であれば喉の専門である耳鼻咽喉科を紹介してもらうと安心です。

声のかすれは何科を受診すればいいの?

声のかすれ症状が出た場合、何科を受診すべきか迷うところですが、赤ちゃんはウイルスや細菌に感染しやすく、声のかすれは喉の炎症(風邪など)が原因であることが多いため、まずはかかりつけの小児科を受診するのが一般的です。

小児科では、発熱や鼻水、咳など全身の症状を総合的に診てもらうことができ、ウイルスや細菌に感染しているかどうかの判断をしてもらえます。

しかし、風邪の症状が見られず、明らかに泣きすぎが原因で声がかすれている場合や、小児科で診察を受けたものの声枯れだけが長引いている場合などは、喉の専門である耳鼻咽喉科を紹介してもらうと、声帯の状態をより詳しく診てもらえるため安心ですよ。

赤ちゃんの小児声帯結節に要注意!治療法は?

「大声を出す」「長時間声を出し続ける」 などの声帯の使いすぎによって、声帯が過度にこすれ合う回数が増え、声帯の粘膜の一部が硬くなり、小さなこぶのようなもの(ポリープ状の隆起)ができることを、小児声帯結節(しょうにせいたいけっせつ) と言います。これは良性のポリープで、主に男の子に多く見られる症状です。

声帯結節の基本的な治療は、音声治療(声を出さないように喉を安静に保つ) です。赤ちゃんはよく泣くため、喉を安静に保つのが難しいですが、泣く頻度を減らすための工夫をすることが重要です。炎症を抑える薬の服用や、薬を霧状にして喉に噴射するネブライザー治療をおこなったりすることがあります。

一般的に、声帯結節の治療には数ヶ月から一年程度かかることもあり、根気強い対処が必要です。長期間にわたり改善がみられない場合や、日常生活に支障をきたすほど症状が重い場合は、外科手術(ポリープ切除術) を検討することもありますが、これは稀なケースです。まずは喉を安静にする生活指導が最も大切です。

赤ちゃんのハスキーボイスは治らないの?心配しすぎずに見守りましょう

赤ちゃんのハスキーボイスが「このまま治らなければどうしよう」と心配になることもあるでしょうが、病気が原因でなければ基本的には自然治癒するので大丈夫です。心配し過ぎて、ママのストレスにならないようにしましょうね。そのハスキーボイスは、この時期にしか聞けない貴重な声だと思って、記念に録音しておくのも良いかもしれません。

赤ちゃんは大人と違って、飴を舐めさせたりマスクを着用させたりなど、喉を保護する対処が難しく、また泣くのを止めるように言うわけにもいかないため、多少症状が長引くことがあります。声帯に負担をかける激しいギャン泣きは、なるべくさせないように気をつけながら、根気強く見守る姿勢が大切です。もし不安が続くようであれば、いつでもかかりつけの医師に相談してください。

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