新生児模倣~赤ちゃんがママやパパのまねをする理由
生まれたばかりの赤ちゃんは、何もできないように見えて、実は、大人がびっくりするような意外な能力を持っています。その中の、「新生児模倣」という様子をご存知ですか?
まだ小さな体で、一生懸命ママやパパの動きを真似る仕草は、見ていてとても愛らしいものですが、生まれたばかりの赤ちゃんが、小さい時期から周りの真似をするのはなぜなのでしょうか。
今回は新生児模倣についての解説を中心に、新生児期の成長や特徴などについてまとめました。ここで紹介する新生児模倣を実際に試して、赤ちゃんが得意な模倣を見つけましょう。
新生児模倣とは?
新生児期の赤ちゃんが、ママなどの目の前にいる人と同じ表情や動作をすることを新生児模倣といいます。「小さいのにすごい!」と思われるかも知れませんが、実は赤ちゃんが自分でマネをしようと思っている訳ではありません。
生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ上手に筋肉を動かすことができない状態のため、真似をしようとして意図的に模倣をしているのではなく、反射的に起こるのが新生児模倣の特徴です。
新生児模倣は、赤ちゃんが相手の表情や動作につられるように行っていることから、「共鳴動作(きょうめいどうさ)」とも呼ばれています。
新生児期の赤ちゃんが反射的に行う動作には、新生児模倣のほかに、モロー反射などの原始反射や新生児微笑などがあります。
新生児微笑とは?
新生児微笑とは、感情に関係なく自発的におこる、新生児にみられる笑顔のことです。さらに、生後2~3ヶ月になると、顔の筋肉を上手に動かせるようになるので、社会的微笑と呼ばれるあやし笑いを始めるようになります。
赤ちゃんはどんな模倣をするの?
赤ちゃんが真似をする様子を見たいと思っているママは、赤ちゃんが真似しやすいような動作をすると、一緒にやってくれるかもしれませんよ。ママが次のような表情をすると、赤ちゃんが新生児模倣を行う場合があります。
- 口をあける
- 舌を出す
- 唇を突き出す
実際に、ママがここで紹介したような表情を行って見せると、赤ちゃんの新生児模倣が見られる場合があります。その際は、赤ちゃんからママの顔がはっきりと見えるように、顔を近づけて行うのがポイントですよ。
新生児の目はどれくらい見えるの?
新生児の視力は0.02程度しかないといわれています。視力が0.02というと、1m先のものが何となくぼんやり識別できる程度のため、目の前にあるものはなんとなく見えても、部屋の中の様子などは、はっきりと見えていない状態です。
また、生まれたばかりのころは、色の違いが分かりにくいモノトーン状態で、生後3~4カ月になると徐々に色の違いが分かるようになります。さらに、生後4ヶ月を過ぎると、赤ちゃんの視力は0.1程度にまで上がります。
ママの顔が離れすぎていると、赤ちゃんからはよく見えない状態なので、20cmほどの距離に近づけて顔を見せてあげるといいですね。ママの顔の動きがよく見せることが、新生児模倣をうまく引き出すためのコツです。
新生児模倣はいつまで?
新生児模倣は、生後2ヶ月をすぎると消失します。見られる時期はとても短いため、見逃さないように赤ちゃんの様子を楽しみましょう。
その後、生後3ヶ月くらいになると、顔の筋肉の動かし方が身につくことで表情が豊かになって、いろいろな表情を見られるため、ニコニコして見せたり、声を出して笑ったりするようになります。
さらに、アイコンタクトによって、ママと赤ちゃんの気持ちを共有することによって、赤ちゃんと気持ちが通じ合っているに感じるようになるでしょう。
新生児模倣をしないのは自閉症のサイン?
自閉症の子供はコミュニケーションが困難なため、相手の動きを自分に置き換えるのが苦手です。人の真似が上手にできないため、手遊びやごっこ遊びをしない、逆さバイバイをするという特徴が見られます。
そのため、赤ちゃんが新生児模倣をしないと、「自閉症かも?」と不安になるママもいるかもしれませんね。しかし、新生児模倣は、新生児期に起こる反射的な模倣のため、新生児模倣をしないからといって、自閉症だとは限りません。
ただし、一般的に1歳以降の子供が行う、次のような意識的な模倣を行わない場合は注意が必要です。1歳をすぎたら、子供の生活や遊びの様子を観察して、このような行動が見られるかチェックしてみてください。
直接模倣
ママやパパ、兄弟など、周囲の人がする行動を見て模倣することを「直接模倣」といいます。「ごはんを食べる」「おもちゃで遊ぶ」など、目の前で行われていることを手本として模倣することにより、1つずつ身につけていきます。
上にお兄ちゃんやお姉ちゃんのいる子は成長が早いといわれていますが、身近にお手本があるので、直接模倣がしやすいかもしれませんね。
延滞模倣
「延滞模倣」とは、一度見た動作や聞いた言葉を、時間を置いて後から思い出して模倣してみることで、一般的に1歳半くらいから始まります。
例えば、電車を実際に見た後で、積み木で電車に見立てて動きを再現する、自分がいつもママから言われていることを、人形を相手に言う、ママがいつも言っている口癖を口にする等が延滞模倣に当てはまります。
他にも知っておきたい!そのほかの新生児の特徴
新生児模倣のほかにも、この時期の赤ちゃんに見られる特徴がいくつかあります。この時期限定のため、知らないと気づいたときには、もう見られなくなっているかもしれないので要チェックです。
その中で、代表的なものは次のとおりです。
情動伝染
「情動伝染」とは、感情が周囲の人に伝染するという心理学用語です。大勢の赤ちゃんがいる場合、一人が泣き出すと他の赤ちゃんもつられて泣き出してしまうような状態のことをいいます。
赤ちゃんの情動伝染は生後数日後には現れるといわれています。生後間もない赤ちゃんは、自分と他人との区別を付けにくいことから、情動伝染がおきやすいのです。
特に、双子や三つ子をもつママは、それまではスヤスヤ寝ていたのに、一人が泣き出して別の子も泣き出した…というような情動伝染を経験する機会が多いではないでしょうか。
エントレイメント
「エントレイメント(entrainment)」とは、entrain(引っ張る)という動詞の名詞形で、ママと赤ちゃんのお互いの働きかけのことをいいます。
例えば、ママが赤ちゃんに言葉をかけることによって、「手足をバタバタして反応する」「安心して眠る」など、赤ちゃんに対して何らかの作用を及ぼします。
反対に、「赤ちゃんが泣くとおっぱいが出る」「乳首を吸われると後陣痛が促される」など、赤ちゃんからママに作用していることもいろいろとあります。
ギャラン反射
「ギャラン反射」とは、赤ちゃんに生まれつき備わっている原始反射の一つで、お尻をプリプリする可愛い反射が特徴的なので、最近、動画を撮っているママが増えています。
ギャラン反射を調べることによって、脊髄に異常がないかどうかが分かります。赤ちゃんの背骨のあたりを擦ることで確認することができるので、実際に試してみてはいかがでしょう?
背骨の右側を上から下に擦ると体を右側に、背骨の左側を上から下に擦ると体を左側に傾けることから、これを交互に行うと、お尻をプリプリさせる様子を見ることができます。