赤ちゃんを知ろう!抱っこで歩くと泣き止むメカニズム
赤ちゃんを寝かしつけようと、抱っこして歩くと大人しくなってウトウトし始め、座ったらまた泣いてしまった。慌てて歩き出したらまた大人しくなった。なんて経験ありませんか!?
「ママ!さぼらないで歩いてよ~」と、思われているような気がしてしまいますね。
ここでは、そんな赤ちゃんの行動を解き明かした理研(理化学研究所)の脳科学研究センターによる研究結果を、解かりやすく解説いたします。
ついに科学的に証明された!赤ちゃんが泣き止む理由
ママが赤ちゃんを抱っこして歩くと、赤ちゃんは次第にリラックスして泣き止むことが科学的に証明されました。このような反応を「輸送反応」と言うそうです。
抱っこして歩かないと泣いてしまうのは、輸送反応が終わったことによる自然な反応であり、「さぼらないで~」と赤ちゃんが思っていたからではなかったようです。
ちなみに、輸送反応はママだけでなく、パパやその他の保護者でもみられるそうです。
理化学研究所による赤ちゃんとママを集めて行った実験結果によると、ママが抱っこで歩いている時は、座っている時に比べて泣く量が平均10分の1に、運動量は5分の1に減ることが分かりました。
また、ママが抱っこして歩き始めると、赤ちゃんの心拍数が3秒で下がることも明らかになりました。
運ばれると心拍数が下がる…つまりリラックス状態になることが証明されたのです。
抱っこして歩けば 赤ちゃんが泣きやむことを多くのママが知っています
理研による素晴らしい発見ではありますが、「そんなの知ってる」と思うママもいるかもしれません。
何故なら子育てをしていれば、抱っこして歩けば赤ちゃんは次第に泣き止むことを経験し、知っているからです。
しかし、今までの赤ちゃんの研究では、抱っこと泣きやむことは関係がないといされていたのです。
将来は子育てのストレスがなくなる!?
この研究結果により、これまであまり研究が進んでいなかった、赤ちゃんが泣きやむメカニズムが1つ証明されました。
このように、今後も赤ちゃんが泣きやむ方法がいくつも科学的に証明されれば、育児のイライラやストレスが減り、赤ちゃんとママ・パパが乳幼児期をさらに楽しく過ごせるようになるかもしれません。
ヒトだけじゃない!輸送反応がみられる哺乳類
ライオンやネコが赤ちゃんを口にくわえて歩く姿をテレビなどで見たことはありませんか?
哺乳類の赤ちゃんは首の後ろをくわえられると、大人しく丸まってしまいますよね。
そこで理化学研究所は、マウスやハツカネズミでの輸送反応も実験しました。すると、マウスの親が赤ちゃんを運び出すと、すぐに赤ちゃんマウスの心拍数は下がり、体を丸めて落ち着いたリラックス状態になることが分かりました。
哺乳類の赤ちゃんに輸送反応が見られるワケ
哺乳類の赤ちゃんに輸送反応が見られるのは、生き残るための本能が関係しているとされています。
もし親にくわえられた状態で赤ちゃんが暴れたら、一体どうなるのでしょう?
親は子供を運びにくくなってしまいます。また、敵に襲われそうな危険な状況だったら…赤ちゃんは親に落とされたり、置いていかれたりと母子ともに命を危険にさらすことになります。
そのようなことにならないよう、哺乳類の赤ちゃんには運ばれるとおとなしくなる、輸送反応が備わっていると考えられています。
赤ちゃんは親に育児協力している!?
このような実験により「輸送反応」は赤ちゃんが親に示す愛着行動、つまり自分を運ぶ親への協力であると結論づけられました。子育ては親だけの力で成り立っているのではなく、赤ちゃんとの相互協力があって成り立っていると言えるでしょう。
生まれてからすぐに自分の力で生きることができない赤ちゃんは、親に温めてもらったり、おっぱいやミルクをもらったり…と誰かのお世話がなければ生き続けられません。
それ故に、本能的に親との良好な人間関係を築き、生き続けようとしていると考えられます。輸送反応をはじめ、ママやパパの顔を覚え慕って人見知りや後追いをしたり、微笑んだり、泣いたりしてアピールするのは、全て生き続けるための子育てへの協力(愛着行動)と言えるのです。