産休中・育休中の資格取得は必要?メリット・デメリットと勉強法、ママに人気の資格10選を徹底解説
産休中や育休中の資格取得に関するCMが話題になり、インターネット上ではパパやママから賛否両論さまざまな意見が上がりました。CMの内容は、産休中のママが赤ちゃんを寝かせてから資格取得を目指して勉強しようとテキストを開き、「無理するなよ」というパパの声に、「楽しいから」とママが答えるというものです。
産休(産前産後休業)は出産の前後8週間、育休(育児休業)は原則子どもが1歳になるまで取得できる休暇です。この期間に資格を取得し、良い過ごし方としておすすめするママも実際にいます。一方で、出産や産後の体調、お子様の個性、家庭環境には個人差が大きく、資格取得への考え方も人それぞれです。
ここでは、CMが「プチ炎上」した背景にある現実的な問題(デメリット)と、実際に資格取得をしたママの意見(メリット)を比較しながら、産休・育休中の資格勉強の是非と、無理なく進めるための具体的な方法について詳しく解説します。
産休・育休中の資格取得に否定的な意見(デメリット)7選
ユーキャンCMに対し、多くのママやパパから寄せられた否定的な意見は、産後の過酷な現実と、「育児はヒマではない」という社会への訴えが背景にあります。これらの意見は、資格取得を検討する際のデメリットやリスクとして捉えることができます。
1トイレに行く暇もないのに資格なんてとれない
産休中、特に産後すぐの育児休業期間は、まとまった勉強時間をとる余裕がありません。生まれたばかりの赤ちゃんを抱えたママは、授乳やおむつ替えなどで常に睡眠不足の状態です。ユーキャンのCMではママの勉強中に赤ちゃんがスヤスヤと眠っていますが、リアルな赤ちゃんの育児はそんなに甘くありません。お腹が一杯でもぐずって抱っこをせがむこともあります。
産休中、特に産後すぐは、ゆっくり資格の勉強をする時間どころか、食事やトイレに行く時間も満足に確保できなかったというママがとても多いのが実情です。スキマ時間を有効活用できるかどうかが鍵となります。
2育児だけでも重労働なのに資格の勉強なんて体がもたない
出産後の体は、全治数週間から数ヶ月を要するほどのダメージを受けています。育児だけでも重労働であるにもかかわらず、資格取得のための勉強をする気力や体力がない人がとても多いです。
体は出産のダメージからまだ回復していませんし、栄養を母乳として赤ちゃんに与えることもあり、睡眠だけでなく栄養まで不足してしまう人もいます。妊娠により運動量が減ってしまったママの場合は、筋肉や体力まで減っています。すべてのママが安産で産後の回復が順調というわけではないのです。
赤ちゃんが寝たら少しでも横になって体を休めたい、早く体調を回復させたいというのが、多くの産休ママの偽らざる本音でしょう。資格取得は心と体の健康が最優先であることを忘れてはいけません。
3育児休暇を「ヒマ」だと思われたくない
大手ブランドがCMを流すことで、「産休中や赤ちゃんを子育て中の女性には、資格取得をするだけの時間や体力的な余裕がある」という勘違いが生まれてしまうことを心配する声も多いです。育児は立派な仕事であり、決して「ヒマ」ではありません。
こうしたCMがきっかけで、「ヒマなら働け」「休暇中に資格をとって会社や社会に尽くせ」と、出産や育児の大変さを知らない人から不要なプレッシャーをかけられるかもしれません。また、「産休中に資格を取る人もいるんだから、家事育児ぐらいやれるよね」と夫に誤解され、ワンオペ育児を押し付けられるリスクを懸念するママやパパも多いのです。
4「頑張れ」というプレッシャーが嫌
ユーキャンのCMの最後には、「頑張るって、楽しい」というママのコメントが入ります。けれどこの「頑張る」という前向きな言葉自体に「これ以上はムリ!」と強いストレスや拒否感を抱くママが多いのも現実です。
CMの中で「頑張りすぎるなよ」と声をかけるパパに対しても、「励ますのではなくて、パパがもっと育児に協力してくれればママが楽になるのに!」という意見が多く上がっています。それほど育休中は体力的にも精神的にも余裕がなくなってしまうのがママ達の偽らざる実情です。
5キラキラしたCMのママと自分を比べて落ち込んでしまう
演技とはいえメイクをしてキラキラと輝きながら勉強と育児を両立させているユーキャンCMのママの姿は、現実とかけ離れ過ぎているという意見もあります。
産休中のママは常にイライラや、不安を抱え込んでいるもの。スキンケアやおしゃれなどに割く時間や余力がないママは、自分のボロボロの姿とCMの女性を比べて引け目を感じてしまうかもしれません。スヤスヤと赤ちゃんを眠らせるママの姿を見ると、自分の育児に自信を失い「育休中に資格なんてムリだし、こんなのリアルじゃない!」とモヤモヤしてしまうのです。産後うつのリスクを抱えるデリケートな時期に、自己肯定感を下げるような情報は避けるべきです。
6自分にあった、自由な働き方を否定されたような不安を抱く
仕事に必要な資格をとることを周りから押し付けられることで、自分の働き方を否定されたような不安を抱く産休中のママもいます。子どもがいてもバリバリと仕事に打ち込みたい女性もいれば、子どもとの時間を楽しみながら、できる範囲で必要最小限のお金が得られれば良いと願うママもいて、子育てや仕事に対する考え方は人それぞれです。
産休中に資格をとるように促されると、自分の願わない働き方しかできないような気分になってしまい、就業意欲を失いかねません。自分のキャリアプランを尊重することが大切です。
7そもそも産休・育休中で金銭的な余裕がない
産休・育児休暇中は、給与が支給されない代わりに出産手当金や育児休業給付金が支給されますが、一時的に収入は減少します。そのため、テキスト代や受講料など、資格取得にかかる費用が捻出できないというママ達の意見も寄せられています。
不安要素の高い資格取得にかける費用があるなら、赤ちゃんのためや家計に使いたいと考えるママは多いでしょう。資格は投資ですが、受講しても必ず資格が取れるという確約はありませんし、資格があるから即採用となるほど甘くはありません。費用対効果を慎重に検討する必要があります。
産休・育休中に資格を取得した賛成派ママの声(メリット)4選
一方で、実際に産休・育休中に資格取得をしたママからは、人生の転機を前向きに捉える声や、自己成長を実感する意見も寄せられています。資格取得がプラスに働く要因は、ママのスキルや生まれた赤ちゃんの性格、家族の協力が得やすいかなどの家庭環境に大きく左右されます。
1忙しくて大変だったけれど報われた
産休中の忙しい育児の合間に自分のための努力をしたことで、資格を取得した時の喜びはより一層大きくなります。資格をとったことで復職後に職場で評価されたときや、資格があることで新しい仕事を得ることができたときの喜びはひとしおです。
今後の生活や子どもの将来を考え、産休中に資格を取得することで大きな満足感や安心感が得られる人もいます。これは、自己肯定感の向上にもつながります。
2育児や職場復帰への不安が紛れてよい気分転換になった
産休中は慣れない赤ちゃんのお世話につきっきりになってストレスがたまり、閉塞感を感じがちですが、資格取得の勉強が育児の息抜きになったという意見もあります。忙しいほうが生活にハリがでる、職場復帰後に産休前のポジションにもどれるのか心配というママには、産休中の資格取得が気分転換になるので、一石二鳥です。
自宅から出なくても取り組める勉強は、社会との繋がりを保つ手段にもなり得ます。
3パパや家族に協力してもらうことで絆が深まった
産休中の資格取得はパパや周りの家族の協力なしではできません。そのため、資格取得をきっかけにパパへ育児を積極的に依頼し、パパへの愛情と信頼感が高まって子育てが上手くいったというママの感想や、ママの勉強が積極的に育児にかかわるきっかけになったという前向きなパパの意見も寄せられています。
勉強や試験で赤ちゃんと離れる時間が、保育園に預ける前の良い練習にもなるでしょう。
4出産や育児で失った自信を資格取得で取り戻せた
出産後は精神的にデリケートになりやすく、気分が落ち込んだり、自己否定をしたりしがちです。産後クライシスや引きこもり育児になるママもいて精神的なストレスが大変だという人は多いのですが、そんなママが勉強して資格をとることは出産や育児で失った自信を取り戻すきっかけになります。
産休中のママは社会から隔絶され、孤独感に悩まされることが多いので、資格を持つことで「まだまだ働ける」と希望をもてるのは嬉しいものです。
産休・育休中に資格取得を目指すママが気をつけるべき5つの注意点と勉強法
産休・育休中の資格取得は前向きに勉強に取り組める状態であれば人生のよい助けになりますが、うまくいかないと精神的にも体力的にも金銭的にもダメージが大きいです。産休中の資格取得を考えている人は、次の5つに特に注意してください。
1家族に資格取得への理解と協力をしてもらう
産休中の資格取得にはパパや家族の協力は欠かせませんから、なぜ勉強をしたいのかを具体的に説明して、理解してもらいましょう。「勉強しているから」を言い訳にして育児や家事がおろそかになるのは絶対に避けるべきです。家族の負担が大きくなると、最終的に協力してもらえなくなってしまいます。
産休中の資格取得は、スキマ時間を使うのが基本です。無理なく、周りに迷惑をかけないような方法での取得を心掛けてください。パパや家族が育児に参加できるような具体的な体制づくりが成功の鍵です。
2資格取得の目的を明確にしてから目指す
産後の資格取得は「CMで見て、なんとなく」では勉強が続かず、お金も時間も無駄にするリスクが高いです。自分が何を目的に資格を必要としているのかをはっきりさせておきましょう。
例えば「知識を増やして生活のハリが欲しい」「趣味から仕事にステップアップできればいい」という気持ちなら、受講するだけでOKの認定資格を選ぶなど、自分の将来設計にあった無理なく勉強できる種類の資格を選びましょう。国家資格のように実技講習が必要なものや、長期間の受講が必要なものは、産休・育休期間だけでの取得は難しいことを考慮する必要があります。
3取得しやすく具体的に役に立つ資格を選ぶ
産休・育休中はママが思うほど資格の勉強に時間が取れませんので、身の丈にあった資格を選ぶことが大事です。途中で挫折すると精神的なダメージにつながりますし、頑張っても資格が取れなければ勉強の喜びも半減してしまいます。
自分が今までしてきた仕事のキャリアアップに確実に結びつく実利的な資格、合格率が高く取得しやすいもの、無理なく習得できる難易度が低い種類の資格を選ぶと失敗がありません。難易度と勉強時間のバランスを考慮し、主婦の資格取得の体験談を参考に選ぶのもよいでしょう。
4資格取得のスケジューリングは余裕をもって行う
産休後に復職すると家事と育児の両立で非常に忙しくなるため、産休中に試験まで受けてしまうのがベストです。試験日が年数回に限られている資格も多いため、受講から時間を空けず産休中に試験が受けられるのか、必ずスケジュールを確認しておきましょう。
資格講座のパンフレットに表記されている受講期間は、あくまでも通常の生活を営む人を対象とした計画であり、ママ向けではありません。赤ちゃんのお世話で勉強が思うように進まないことは多いので、余裕をもったスケジューリングで失敗を防ぎましょう。出産予定日より早めに生まれる可能性も考慮し、産休開始から産前期間を有効に使うことが大切です。
5産後の自覚をもって心と体の回復を最優先にする
産休中の資格取得でやってはいけないのが、頑張りすぎて無理をすることです。産休は赤ちゃんのお世話をするためだけの期間でなく、妊娠と出産でダメージを負った自分自身の体を回復させるための休養期間です。この自覚をもって、しっかり食事と睡眠がとれる勉強ペースを維持しましょう。
思うように勉強時間が取れなかったり、定期テストで良い結果がでなかったりすると、イライラして赤ちゃんやパパなどに当たり散らしたくなるかもしれません。「産休中なんだから、勉強できないときもあって当然」と考えて、気持ちに余裕を持って取り組んでください。
産休・育休中の資格取得におすすめ!ランキング常連のママに人気の10種類
産休・育休中の資格取得におすすめしたいのは、受講資格の制限が少なく、初心者でも知識や仕事の幅を気軽に広げられる次の10種類です。無理なく取れて、女性の仕事や生活、子育てや職場復帰にも役立ちます。将来的な昇任や転職を目指す人は、長期間勉強をすることを視野に入れて、産休が明けてからより上の資格を目指してもいいでしょう。
1MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
マイクロソフト社が認定する資格で、WordやExcelなど、一般社会で広く使われているパソコンの利用スキルの証明になります。実用レベルの資格であれば最短1ヶ月で受講が完了し、合格率も高いことから、女性の資格取得の人気ランキングにも入っています。
パソコンスキルは事務職だけでなく、育児の合間にクラウドソーシングを利用した在宅ワークをする際にも自己PRに記載すると有利になります。40歳からの資格取得や出産を機に転職を考えているママにもおすすめです。
2簿記(日商簿記検定)
日本商工会議所が認定する、企業の経理・財務に不可欠な帳簿をつけるために必要なスキルがあることを証明する資格で、これも女性の資格取得人気ランキングの常連です。実用レベルの3級なら3ヶ月程度の受講で初心者から受験が可能で、現在はネット試験(CBT方式)も実施されているため、自分のタイミングで受験しやすいメリットがあります。
簿記は履歴書に記載できる公的資格なので転職や再就職の強みにもなりますし、産休後の家計管理や独立にも役立ちます。
3FP(ファイナンシャルプランナー)
税金や保険、年金などのファイナンシャル・プランニングを行うスキルを証明する資格です。国家資格のFP技能士であれば、日本FP協会が認定する資格なら初心者でも受験ができます。試験は年3回実施されており、6割以上の正解率で合格できるため、難易度はそこまで高くありません。
ただし、受講期間は平均6ヶ月からと長く、産休期間のみの勉強では取得が難しい場合もあります。金融・保険関係の仕事をしている人や、将来的な独立を目指す産休中のママにおすすめします。
4医療事務
ユーキャンのCMで産休中のママが勉強しているのが医療事務であることからも分かるように、標準的に4ヶ月程度でカリキュラムが終了する医療事務は、子育て中のママに人気の資格です。病院での受付や会計、医療費の計算をするのに必要なスキルを証明する民間資格です。
再就業の強い味方になる資格で、認定講座を受ければ在宅受験が可能なものも多いため、小さな赤ちゃんを抱える産休ママに人気があります。
5介護事務
介護施設の受付や請求事務を行うスキルを証明する資格で、標準4ヶ月で受験ができ、テキスト持参で試験が受けられるという気軽さから、ママ達の間で人気が出始めています。受験資格が必要ないので誰でも学べます。
高齢化社会で介護福祉系の仕事は求人が伸びていますが、デスクワークの介護事務なら体力的な負担が少なく、子育て中のママでも安心して仕事ができるのでおすすめです。
6調剤事務
調剤薬局での受付や調剤報酬明細書の作成を行うスキルを証明する民間資格です。薬局は全国どこにでもあり、子育て中のママでも働きやすい職場なので、女性の資格取得人気ランキングにも入っています。
標準受講期間は3ヶ月と短期で、マークシート方式の試験を毎月実施している団体も多く、認定講座を受ければ在宅受験が可能なものもあります。医療系初心者のママでも安心して挑戦できます。
7食生活アドバイザー
一般社団法人 FLAネットワーク協会が認定する民間資格で、栄養学から食習慣、食品のマーケティングまで、食べ物にかかわる様々な仕事に役立つスキルを証明します。調理師と違って受験資格がなく、標準4ヶ月で誰でも受験できますし、難しい実技試験もありません。
飲食業界や給食施設などの仕事に活かせるほか、赤ちゃんの離乳食作りや食育にも役立つ知識が身につくため、生活に密着した資格として人気があります。
8TOEIC(英語)
英語の知識や英会話のスキルを証明する資格です。「〇級」という区分がなく、取得点数で英語の実力を証明することができるため、受講期間の制限がありません。赤ちゃんのお世話をしながらでも気軽に学ぶことができ、年10回試験を開催しているので、英語の資格の中でもチャレンジしやすい種類にはいります。
外国人旅行者や就業者が増えていますから、英語はこれからの社会で必須のスキルです。仕事に生かせるだけでなく、自分自身が海外旅行をするときや、子どもが大きくなって英語の勉強をするときにも役立ちます。
9Webライター(認定資格)
近年、インターネット上の記事作成やコンテンツ制作の需要が高まっており、Webライティングのスキルを証明する認定資格や通信講座が増えています。特別な受験資格は不要で、在宅で仕事を見つけやすいため、子育て中のママに特に人気があります。
文章力はどの仕事にも役立ちますし、時間や場所に縛られずに働くことができるため、育児と両立しやすいキャリアを築きたいママにおすすめです。
10保育士(国家資格)
保育士は国家資格であり、合格率は決して高くありませんが、子育て経験を活かして復職や転職を確実なものにしたいと考えるママに人気があります。保育士資格を取得すれば、保育園、幼稚園、児童養護施設など幅広い施設で働くことができます。
試験は筆記と実技があり、長期的な計画が必要ですが、社会的ニーズが高く、一旦資格を取得すれば再就職に非常に有利なため、挑戦する価値は十分にあります。
産休中の資格取得は産前か夜の睡眠がとれるようになってからにしよう
産休中のママは体の回復を進めることが大事なので、資格取得は出産前の余裕のある時期を上手に利用するか、無理をせず、夜の睡眠がしっかりとれる状態になったら本格的に始めることをおすすめします。
産休中の資格取得には賛否両論ありますが、産休・育休中はママと赤ちゃんの健康を優先し、ストレスは少なめで過ごすことが第一です。
産休中に「資格をとらなきゃ」と考えるとストレスになってしまう人もいれば、勉強が良い気分転換になってストレス発散につながる人もいます。自分にあった過ごし方で産休・育休を乗り切りましょう。