子供の自転車保険はどうする?既存保険の内容もチェックして、お得な加入を!
手軽で便利な自転車ですが、実は自動車の仲間だということをご存知でしょうか?自転車は法律的な扱いとしては「軽車両」、れっきとした車なのです。
当然、自転車にも車と同じように交通ルールがあるのですが、小さい子からお年寄りまで大勢の人が乗り回している現状では、皆がみなきちんとルールを守って運転しているとはいい難いものがありますね。
自転車が関わる交通事故は、近年の取り締まり強化の影響もあり、件数自体は減っています(注1)。しかし、時には
不注意による事故で多額の賠償金を支払わねばならないケースも見受けられます。お子さんに支払い能力がない場合、賠償金を支払わなくてはならないのは、監督義務を怠ったとみなされる保護者です。
子供の自転車保険は、もはや常識!
保険の選び方やおすすめ保険の内容もご紹介します。
子供の自転車保険は加入必須?高額賠償、条例化の流れが加速中!
安全な自転車運転をすることはもちろんですが、万が一、事故を起こした時のために、自転車保険の必要性は年々高まってきています。
自転車事故で高額な賠償金を支払うことになった判決例
自転車で事故を起こした場合は刑事上の責任が問われますが、それとは別に被害者が民事訴訟で損害賠償請求をする可能性があります。
2013年、神戸地方裁判所は、自転車事故の加害者となった少年の母親に約9520万円という多額の賠償金を支払う旨の判決が下しました。当時小学5年生だった男児が帰宅途中に自転車を走行中、散歩中の老人女性をはね、女性はそのまま意識不明の状態になったというのが事故の内容です。
少年が坂道を高速で下っていた点が危険行為とみなされ、前方不注意が事故の原因と結論づけられました。母親は、普段からライトの点灯やヘルメットの着用を促していたと主張しましたが、事故時にヘルメットは未着用だったことなどから、監督義務を果たしていないという判断が下されています。
自転車保険の加入が条例により義務化
自転車運転の取り締まり強化、高額賠償の流れを受けて、自転車保険は既に一部の地域では条例により義務化されています。2017年3月現在、大阪(注2)・兵庫(注3)・滋賀(注4)の関西3府県では自転車保険の加入が義務化されています。
自治体のホームページでも、条例の詳細や自転車保険の種類、連携協定を結んでいる保険会社や県民共済の詳細がわかりますので、上記の地域にお住まいにも関わらず、未加入の方は急いで確認してみてください。
自転車保険は、今後他の地域でも同じように義務化される可能性は十分にあります。自転車で事故を起こした場合、車と同じように責任を問われるということを肝に銘じておきましょう。
自転車保険の補償内容は大きく2つ!
自転車保険は、実際の事故が起こってしまった時どんな補償をしてくれるのでしょうか?実は、より大切な補償内容は子供自身がケガをした場合ではなく、相手にケガをさせてしまった場合、つまり自分の子供が加害者となってしまったケースを想定することです。
個人賠償責任補償
自転車保険にとって、もっとも重要なのが個人賠償責任補償です。自転車事故で被害が及ぶのは自分だけではありません。自分が加害者となり、他人にケガなどをさせてしまった場合の損害賠償金をカバーしてくれるのが「個人賠償責任補償」です。
先ほどご説明した通り、ここ数年で自転車事故による高額な賠償金支払いが続いています。自転車運転の取り締まりも強化されていますので、自転車で加害者となってしまった場合は、車と同じように相応の責任や支払いが求められることを覚悟しなくてはいけないのです。
条例化されている地域では、対人補償・対物補償のうち、「対人補償」は最低限補償をつけなければなりません。対物補償は任意となっています。
ちなみに条例化されている地域でも、自動車保険や火災保険などに個人賠償責任補償をつけている場合は、保険加入として認められます。
傷害補償
自転車に乗っていて、自分がケガをしてしまった時、治療費をカバーしてくれるのが「傷害賠償」です。
しかし、健康保険制度には、ひと月の医療費が一定限度額を超えると超えた分が返ってくる高額療養費制度がありますし、子供の場合、多くの自治体では中学3年生くらいまでの子供には医療費助成がありますので、傷害賠償保険は不要と考えるご家庭も多くあります。
ただし、毎日の通院にかかる交通費、付き添いの親が仕事で得るはずだった賃金、個室での入院ベッド代など、不測の事態には何かと出費がかかります。傷害賠償で日額補償してもらえると、金銭面での安心感があるのは確かです。
自転車保険を掛ける対象は?車両ではなく、「乗る子供」に掛けた方がお得!?
自転車保険は、車両にかけるか、乗る人間にかけるか、保険対象によって2つのタイプに分かれます。自転車保険に、子供の傷害補償もつけようと考えているのなら、おすすめは人にかける保険です。
実は「乗る人」にかける自転車保険は、「自転車」という名前を使いながらも、自転車事故以外も補償してくれるものが多く出回っています。これを「交通事故損害保険」とも呼び、保険の適応範囲を乗り物の乗車中などに限定しているので、普通の傷害保険よりも掛け金は安いものが一般的です。
交通事故損害保険が適応されるケース
交通事故損害保険が適応されるケースには以下のようなものがあります。どれも子供がやりがちな事故やケガだと思いませんか?
- バスの急停止により、転倒し、ケガをした
- エスカレーターでの転倒によるケガ
- 自動車のドアに指を挟めた
- 通学途中に車にひかれた
家族全員が対象となる自転車保険も
自転車乗車以外にも適応範囲がある「交通事故損害保険」を考える場合、ネックになってくるのが月々の掛け金です。普通の障害保険よりも安価ではありますが、純粋な自転者乗車時のみの傷害補償に比べると、やはり少し高額に設定されています。
ならばこの際、その補償を家族全員が受けられるタイプの保険も検討してみてはいかがでしょうか?パパやママが自転車を日常的に使っている場合や家庭に子供が複数いる家庭にとっては、結果的にお得になるケースもあり得ます。
子供の自転車保険の選び方~加入の前に既存の保険内容もチェック!
自転車保険への加入を決めたら、次はどこの保険サービスにするか選ばなくてはなりません。「子供 自転車保険」と検索すると様々なサービスがヒットしますが、実はそれは最終手段です。
補償内容をよく精査してみると、意外にももうすでにかけている保険の適応範囲内だったり、特約として追加で安く加入できる場合もあります。次の順番で確認していきましょう。
お家の自動車保険などの付加サービスを確認
乗り物に関する保険ということで、お家ですでに自動車を保有している方は、加入している自動車保険のサービスを確認してみてください。もしかすると、特約としてオプション加入できる自転車保険があるかもしれません。
その場合は、自動車保険を基本としているので、少しの追加料で自転車事故への補償が受けられる可能性があります。
医療保険などと二重補償にならないかチェック
ケガや病気などで入院した時などの治療費をカバーしてくれる医療保険に加入しているなら、自転車保険に加入する際に「傷害補償」を付ける必要性は薄いでしょう。学資保険には、子供の傷害補償が既についている場合もありますので、保険内容を確認しましょう。
既に医療保険や学資保険などによって、子供の傷害補償が十分な場合には、個人賠償責任補償だけがどこかで補えないか考えることをおすすめします。実は、自転車保険へ加入しなくて、個人賠償責任補償は、自動車保険や火災保険、クレジットカードのオプションとして付帯できる可能性が高いのです。また、個人賠償責任保険は、世帯を同じくする家族全員が補償の対象であることが大半です。
自転車保険単体での加入
ここまで見てきて何も見当たらない場合には、自転車保険単体での加入が現実的な候補に上がってきます。自転車保険の個人賠償責任補償は、先ほどご説明した2013年の神戸地裁の一件以来、最高1億円までの損害賠償を想定するプランが数多く登場しています。
示談代行サービスがついている保険もありますので、ご家庭の状況にあったプランを組んでいきましょう。
子供におすすめの自転車保険を比較しよう
子供におすすめの自転車保険をピックアップしました。補償内容を確認してみましょう。
TSマーク付帯保険
自転車にかける保険といえば、TSマークがで有名です。TSマークは、車両につけるタイプの自転車保険です。
もともとTSマークは、自転車安全整備士が道路交通法令等に則って自転車を正しく点検・整備した証。点検時に整備・点検代金として1050円を支払うと、1年間の保証期間がつく仕組みです。
TSマークには赤色と青色の2種類があり、赤色の方が補償額が大きいのが特徴です。赤色も青色も、傷害補償が付いています。
赤色TSマーク付帯保険
公益財団法人日本交通管理技術協会
年間1050円(店舗により若干の差はあり)
賠償責任補償 最大5000万円
示談代行なし
通院補償なし
県民共済
子供にとりあえずかけておこうと思って思いつくのが「県民共済」です。掛け捨て感覚であっても、お手頃な掛け金で昔から定番の保険です。
自転車保険加入が義務化された3府県のうち、兵庫・滋賀では、県民共済に、新しく自転車向け保険が登場しています。傷害補償がつかず、個人賠償責任補償のみの最低プランでも、年間1000円で1億の補償がつきます。3名以上の家族は年間3000円で家族全員のサポートも可能です。
ひょうごのけんみんの自転車保険 プランA
兵庫県民共済
年間1050円(店舗により若干の差はあり)
賠償責任補償 最大5000万円
示談代行なし
通院補償なし
au損保「自転車向け保険 Bycle」
補償内容と掛け金のバランスが良いと評価されているのが、auが提供するこちらの保険。携帯代と一緒に引き落としができますので、auユーザーにとっては有難いですね。もちろんauユーザーでなくとも加入できます。オプションで家族も補償対象にすることも可能です。
Bycleシルバー
au
年間6620円
賠償責任補償 最大1億円
示談代行あり
通院補償・ロードサービスあり
セブンイレブン「自転車向け保険」
最寄りのセブンイレブンで保険の加入ができる手軽さが魅力の自転車保険。人気保険ランキングでも上位に入っています。取り扱いはセブンイレブンですが、引受保険会社は、三井住友海上火災保険ですので、通常の保険となんら変わりありません!年間7210円で家族全員を補償対象に変更することも可能です。
セブンイレブンで入る保険 お1人様プラン
井住友海上
年間3990円
賠償責任補償 最大3億円
示談代行あり
http://jitensya.ehokenstore.com/
安全な自転車の乗り方の指導も必須!「万が一」の時のための自転車保険
親御さんが見てわかる通り、子供の自転車運転とはまだまだ頼りないものです。子供が引き起こす事故には、以下のようなものが多いので、しっかり自転車の乗り方の指導を行うことも大切です。
- 夢中になって走っているうちに、横から来た通行車に気づかずぶつかる
- 左右を確認しないまま飛び出して衝突
- 前かごに乗せていた荷物が前輪に絡まって転倒
自分の子供が被害者にならない、加害者にさせないのが1番。しかし、もしもの時を考えて、ご家庭の保険状況や、家族構成、希望の補償範囲などを総合的に考慮して、無駄なく賢く自転車保険を選びましょう!
参考文献