乳幼児医療費助成とは:対象年齢・条件・申請方法をやさしく解説
乳幼児医療費助成とは、子どもが医療機関で受けた診療の自己負担分を自治体が助成してくれる制度です。事前に手続きをしておくと、通院や入院のときの家計の負担を抑えられます。
「乳幼児」という名前がついていますが、対象は乳幼児だけにとどまりません。近年は「子ども医療費助成」「福祉医療費助成」といった名称で、対象を小学生・中学生、さらには高校生世代(18歳到達年度末)まで広げたり、所得制限をなくしたりする自治体が増えています。
ただし、制度の名称・対象年齢・助成の範囲・所得制限の有無は自治体ごとに大きく異なります。この記事では全国共通の基本的な仕組みを整理しますので、実際の内容は、お住まいの自治体の窓口やホームページ、こども家庭庁の情報でご確認ください。
ここでは、乳幼児医療費助成とはどのような制度なのか、対象になる条件や申請方法まで、順番にご紹介します。
乳幼児医療費助成制度とは
子育て期は、通院や予防のための受診など、子どもが医療機関にかかる機会が比較的多い時期です。医療費を助成してもらえると、家計の見通しが立てやすくなり安心につながります。まずは、乳幼児医療費助成の全体像からみていきましょう。
乳幼児医療費助成ってどんな制度?
乳幼児医療費助成とは、子どもが医療機関を受診した際に、保険診療の自己負担分を自治体が助成してくれる制度です。助成の内容は各自治体によって異なり、大きく「自己負担なし(無料)」と「一部自己負担あり」の2つのタイプに分かれます。
健康保険を使った場合の自己負担は、義務教育就学前の子どもは2割、小学校1年生以上は3割が原則です。この制度を利用すると、無料タイプの自治体ではその自己負担分が助成の対象となります。
乳幼児医療費助成はどうすれば利用できるの?
制度を利用するには、まずお住まいの自治体に申請します。申請して発行された「医療費受給者証(乳幼児医療証)」を保険証と一緒に医療機関の窓口で提示すると、その場で助成が受けられるのが一般的です(現物給付)。受給者証は即日発行される自治体もあれば、後日郵送される場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
乳幼児医療費助成を受けるための3つの条件
乳幼児医療費助成は、子どもなら誰でも自動的に受けられるわけではありません。一般的に、次の3つの条件を満たしているかどうかがポイントになります。
1.健康保険に加入している
生まれたばかりの新生児であっても、乳幼児医療費助成を受けるには、まず子ども自身が健康保険に加入していることが前提になります。健康保険には、会社員や公務員が加入する健康保険(健保)と、自営業などの方が加入する国民健康保険(国保)があり、通常は保護者の加入している保険に子どもを追加します。
赤ちゃんが生まれたら、出生届や住民登録とあわせて健康保険の加入手続きを行い、続けて乳幼児医療費助成の手続きも忘れずに進めましょう。
2.自治体が定める年齢を満たしている
一般に、乳児は生後0日から満1歳未満、幼児は満1歳から小学校入学前を指します。ただし、乳幼児医療費助成の対象年齢は自治体ごとに定められている点に注意が必要です。就学前までとする自治体もあれば、中学生・高校生世代まで対象を広げている自治体もあり、年齢によって助成される範囲が変わることもあります。利用の前に、必ずお住まいの自治体で確認しておきましょう。
また、次のような場合は助成の対象外になることがあります。
- 健保や国保などの健康保険に加入していない
- 生活保護を受けている
- 乳児院などの施設に入所している
3.所得制限の基準を満たしている
自治体によっては、乳幼児医療費助成に所得制限を設けている場合があります。保護者の所得が基準額を超えると対象外になることがあるため、お住まいの自治体のホームページで確認しましょう。所得の判定には所得課税証明書などが使われます。なお近年は、所得制限を撤廃する自治体も増えていますので、最新の情報を確認することをおすすめします。
乳幼児医療費助成が受けられる範囲
実際に、どのような医療費が助成の対象になるのでしょうか。ここでは、対象となる医療費と、対象にならない医療費の2つに分けてご紹介します。
助成の対象となる医療費
対象となる範囲は自治体によって異なりますが、主に次のような保険診療の自己負担分が助成されます。
- 初診料
- 診察料
- 検査費用
- 薬代 など
他の自治体で受けた治療もカバーされる
里帰り中や帰省先など、受給者証が使えない他県の医療機関にかかった場合でも、あきらめる必要はありません。医療機関や薬局の領収書などを保管しておけば、後日、自治体の窓口で払い戻しの申請ができるのが一般的です。外出時は受給者証を持ち歩いておくと、より安心です。
助成の受け方には、窓口で受給者証を提示してその場で自己負担が助成される「現物給付」と、いったん支払って後日申請する「償還払い」の2つがあります。違いを整理しておきましょう。
| 受け方 | 主な場面 | 窓口での支払い | 手続き |
|---|---|---|---|
| 現物給付 | お住まいの自治体内など、受給者証が使える医療機関 | 助成分は支払い不要(無料または一部負担のみ) | 保険証と受給者証を提示するだけ |
| 償還払い | 県外・里帰り先など、受給者証が使えない医療機関 | いったん自己負担分を支払う | 領収書などを添えて後日、自治体に申請し払い戻しを受ける |
助成の対象にならない医療費
乳幼児医療費助成には適用範囲が定められており、すべての費用が対象になるわけではありません。次のようなケースは対象外となることが多いため、あらかじめ知っておきましょう。
1保険適用外の医療費
次のような保険適用外の費用は、助成の対象になりません。
- 薬の容器代
- 紙オムツ代
- 文書料(診断書など)
- 健康診断の費用
- 入院時の差額ベッド代 など
2医療費が高額になったとき
入院などで自己負担が一定額を超えた場合は、公的医療保険制度の一つである「高額療養費制度」が先に適用されるしくみになっています。この高額療養費でカバーされる部分は、乳幼児医療費助成の対象からは外れるのが一般的です。高額療養費制度は健康保険の窓口(協会けんぽ・健康保険組合・市区町村の国保窓口など)で確認・申請できます。
3ほかの助成制度と重複する場合
自治体には「ひとり親家庭医療費助成」「重度心身障害者医療費助成」など、ほかにも医療費の助成制度があります。これらの助成は基本的に重複して利用できないため、どちらの制度を使うかは窓口で相談して決めましょう。
乳幼児医療費助成の申請方法
申請は、申請書をお住まいの自治体に提出して行います。申請書は自治体の窓口で受け取れるほか、各自治体のホームページからダウンロードできることが多くなっています。
申請の際は、申請書のほかに主に次のものが必要です(必要書類は自治体によって異なるため、事前に確認しておくと安心です)。
申請の際に必要なもの
- 母子健康手帳
- 保護者と子どもの健康保険証
- 印鑑(シャチハタ以外)
- 保護者の預金通帳
- マイナンバーカードまたはマイナンバー通知カード
- 保護者の所得が分かる書類(源泉徴収票や確定申告書のコピーなど)
住所や健康保険が変わった場合は手続きが必要です
引っ越しをした場合、以前の自治体の助成は受けられなくなるため、引っ越し先の自治体で新たに手続きが必要です。転出の際は、交付されていた古い受給資格証を忘れずに返却しましょう。
また、転職などで健康保険が変わったときも同様に、古い受給者証を返却して新たに手続きを行います。
乳幼児医療費助成の申請期限
申請の期限は自治体によって異なりますが、目安として1か月健診までに申請するとされることが多いようです。ただし、1か月健診の無料券を発行している自治体や、そもそも運用が異なる自治体もあるため、事前確認が欠かせません。申請には健康保険証が必要になるので、保険証が手元に届いたら早めに手続きをしておきましょう。
出産後は何かと慌ただしいものです。出産前に必要書類を取り寄せ、記入できる部分を準備しておくと、出産後スムーズに提出できます。あわせて、園や学校でのケガについては、通常こうした自治体の助成より「日本スポーツ振興センターの災害共済給付」が優先されるケースがあるため、園・学校からの案内も確認しておくと安心です。
まとめ
乳幼児医療費助成は、子どもの保険診療の自己負担分を自治体が助成してくれる、子育て家庭にとって心強い制度です。ポイントを整理すると次のとおりです。
- 基本の条件は「健康保険への加入」「自治体が定める年齢」「所得制限(ある場合)」の3つ
- 対象年齢・所得制限・助成範囲は自治体ごとに大きく異なり、高校生世代までの拡大や所得制限撤廃の動きも広がっている
- 県外受診は領収書を保管しておけば後日「償還払い」で申請できる
- 高額療養費や他の医療費助成と重複する分は対象外になることがある
制度は年々見直されています。最新の内容は、お住まいの自治体の窓口・ホームページや、こども家庭庁の情報で確認しておきましょう。
よくある質問
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| 助成は何歳まで受けられますか? | 自治体によって異なります。就学前までのところもあれば、中学生・高校生世代(18歳到達年度末)まで対象を広げている自治体も増えています。お住まいの自治体でご確認ください。 |
| 所得制限はありますか? | 所得制限を設けている自治体と、設けていない自治体があります。近年は撤廃する自治体が増える傾向にあります。所得課税証明書などで判定されます。 |
| 里帰り先や県外で受診したときはどうなりますか? | 受給者証が使えない場合でも、領収書などを保管して後日自治体に申請すれば、払い戻し(償還払い)を受けられるのが一般的です。 |
| 申請はいつまでにすればよいですか? | 1か月健診までを目安とする自治体が多いですが、運用は自治体で異なります。健康保険証が届いたらできるだけ早めに手続きしましょう。 |


