子供の食育におすすめの絵本や選び方を紹介!親子で一緒に学ぼう
子供への家庭教育の中で特に重要な位置を占めている食育に絵本は不可欠。食べ物の大切さを知るには様々な知識が必要ですが、幼児や小学生に伝えるとなるとなかなか困難。大人だってまだまだ学ばなければいけない面もあるでしょう。
そこでこちらでは、親子におすすめの食育絵本について年齢別にご紹介していきます。年齢別の絵本選びのポイントについても解説していますので、ぜひ親子の読み聞かせのひと時に役立ててください。
乳幼児期から絵本で食育を行う目的
最近は育児書などでも「食育」という言葉を目にするようなり、漠然と「食べ物を大事にすること」と考えている人も多いでしょう。
けれど食育とは、食べ物の尊さや食材を大切にすることだけでなく、栄養や人体の仕組み、食事のマナー、安全な食材選び、目の前に食材が届くまでに多くの人が関わっていること、食への感謝の心など、人間の健康にかかわる食生活全般に及ぶことを学ぶことで、食べ物の恵みに感謝しながら健全な生活を送れる人間に育てていくことを目的としているのです。
子供にとっての食育は、将来使うか使わないか分からない知識を大した目的もなく学ばせるための教育ではありません。食べることは生きるための基本。丈夫な体と健やかな心を発達・維持させるために欠かせないことですので、幼いうちから絵本などを利用して食育についてしっかりと学ばせてあげましょう。
年齢別!食育に関するおすすめ絵本15冊
食育をテーマにした絵本にはさまざまな種類があります。こちらでは特におすすめの絵本を年齢別にご紹介していきますので、全国の本屋さんやネットで購入する他、図書館で借りたりプレゼントしたり、親子や育児サークルの読み聞かせにも活用してみてください。
入園前の幼児向け5選
絵本はストーリーを読むだけでなく目で見ることでも体感できますので、赤ちゃん期からの食育にも活用できます。
ボードブック いただきますあそび
文・絵:きむらゆういち
偕成社
842円(税込)
若いパパやママの中にも、小さい頃にこの本を読んだ思い出あるというおなじみの食育絵本。ページをめくるたびにさまざまな動物たちが「いただきます」とおいしそうに食事を始めるので、小さな子供でも食べ物の知識とともに食事のマナーも覚えられます。
動物ごとに声色を変えて、リズムよく読み聞かせましょう。
おいしいね おいしいよ
文・絵:わかやまけん
童心社
600円 + 税
こぐまちゃんシリーズでも人気の作者が描いたカラフルで優しいタッチの動物の親子が、それぞれの好物を食べていく絵本。動物も同じように生きて食べていく姿を見ることで、命の大切さを教えることもできます。
それぞれの動物の特徴も教えて「モグモグ、ゴックン!」と一緒に食べる真似をすれば、親子で楽しめます。
なにをたべてきたの?
文:岸田衿子 絵:長野博一
佼成出版社
1,300円 + 税
コロコロとした優しいお顔の子豚が、次々に見つけた美味しいものを食べていくと、お腹の中にどんどん色が増えていくというストーリー。カラフルで子供の興味を惹きつけますし、色が増えていくことで「食べ物=体に良い物」という意識を植え付けることができます。
ページをめくるごとに場面が変わり、リズムよく読めます。
https://www.kosei-shuppan.co.jp
やさいのおなか
文・絵:木内勝
福音館書店
1,000円 + 税
カボチャやピーマンなどの野菜の断面をシルエットで描いてあって、「これ、な~んだ?」とクイズ感覚で読み聞かせができる絵本。ページをめくるとカラフルな野菜が現れて、食べ物の勉強になります。
実際の食事の中でも絵本を見せながら「これが絵本で見たカボチャだよ」と教えていくと、好き嫌いの予防にもいいかも。
いいおかお
文:松谷みよ子 絵:瀬川康男
童心社
700円 + 税
小さな女の子のところにネコや犬、ゾウなどの動物が次々にやってきて、にっこりといいお顔をしながら、仲良くおやつを食べるというストーリーの絵本。食べ物を「おいしいね」と感謝して食べる、優しい気持ちをはぐくみます。
登場人物や動物と一緒に、「おいしいね」とにっこり微笑みながら読み聞かせてあげましょう。
入園後の幼児向け5選
幼稚園に入園すると行動範囲が広がり、子供はなんにでも興味を示します。園でも食育活動を行っていますので、家庭でも食育絵本に興味を示してくれます。絵本を読み聞かせることで想像力が豊かになるだけでなく、好き嫌いや歯磨き、食事のしつけにも役立ちます。
はははのはなし
文・絵:加古里子
福音館書店
900円 + 税
「あはははっ」と笑うと見える歯は食べ物をかみ切り、栄養を吸収するために欠かせないもの。歯が痛くなると痛いだけでなく、ごちそうまで食べられなくなってしまうという、食べ物や体の役割をわかりやすく学べます。
食育になるだけでなく、歯磨きトレーニングの勉強もできるので、歯磨き嫌いの子供にもおすすめです。
たべるのだいすき!―みんなげんき―
文:吉田隆子 絵:せべまさゆき
金の星社
1,300円 + 税
「げんきをつくる食育えほん」のシリーズの絵本で、食べ物を4色のグループに分けて解説しながら、子供の「これ食べたい!」という気持を養います。
食べ物の栄養を教えるのにも役立ちますし、食べ物が体の中でうんちになるところまで解説しているので、トイレットトレーニングにもなるとパパやママから人気です。
たべもの たべたら
文:中川ひろたか 絵:藤本ともひこ
保育社
1,200円 + 税
口から食べたとうもろこしが、翌日うんこになってお尻から出てくる。食べ物の栄養や体の中で果たす役割や、身体が食べ物を消化するメカニズムまで楽しく学べます。
子供は「うんこ」などのキーワードに敏感に反応するので、いま一つ絵本や食育に興味を示さない子供でも、喜んで読んでくれるおすすめ絵本です。
きょうのごはん
文・絵:加藤休ミ
偕成社
1,296円(税込)
ネコがご近所をパトロールして、それぞれの家庭の夕飯を見ていくストーリー。インパクトのある表紙からもわかるように、食べ物や料理の絵がとってもリアルでおいしそう。読めばお腹がすいて、食欲が出ること間違いなし。
一緒に読みながら食材や料理の作り方などの話をして、実際に親子で食事を作ってみるのも楽しそうです。
月ようびはなにたべる?
絵:エリック・カール 訳:もりひさし
偕成社
1,296円(税込)
「はらぺこあおむし」でも有名な作者の絵本で、カラフルでグラフィカルな絵が特徴。アメリカのわらべ歌をモチーフに、ページをめくるごとにさまざまな動物がどんどん食事をしていくストーリー。読むことで仲良く食事をする楽しさを教えてくれます。
巻末に楽譜が付いていますので、親子で歌って楽しく食育をしましょう。
小学生向け5選
小学生になると学校での読み書きの学習が始まり、音読が宿題になる学校が多いです。そのため絵本を自分で読むこともできますが、この時期もまだまだ読み聞かせは効果的。信頼を寄せるパパやママと一緒に学ぶことで、健全な食生活の基礎を養うことができます。
たべもののたび
作:かこさとし
童心社
1,300円 + 税
私たちが食べた物が食道を通り、胃袋や腸で消化されながら排泄されるまでの仕組みを説明した絵本。文字は多めなのですが、表現は語りかけ口調でわかりやすく、小学校低学年からでも読むことができます。
体の中をトンネルやジェットコースターに見立てた表現も面白く、食事の大切さを楽しく学ぶのにおすすめです。
いのちをいただく
原案:坂本義喜 作:内田美智子 絵:魚戸おさむとゆかいななかまたち
講談社
1,400円 + 税
この絵本は実際に解体業に携わる人の体験をもとにかかれていて、全国の親子の感動を呼んだロングセラー作品。生き物の命を奪うことで自分の命を生かすという仕組みを知ることで、食べ物に感謝する気持ちや命を大事にする心を学ぶことができます。
大人にとっても心に響く絵本ですので、ぜひ読んで親子で読んで、話をしてみてください。
http://bookclub.kodansha.co.jp
給食番長
作:よしながこうたく
好学社
1,500円 + 税
腕白すぎて、給食の時間に食べ物を大事に食べない子供達。怒った給食のおばちゃんがある日家出をしてしまい、給食番長を筆頭に子供達が自分たちで給食を作ることに…。
ダイナミックでコミカルな絵柄で惹きつけて、飽きさせずに食べ物の大切さや集団のルールやマナーを学ぶことができる、大人も共感できる一冊です。
やきざかなののろい
作:塚本やすし
ポプラ社
1,300円 + 税
主人公の男の子が食べ散らかした焼き魚がお風呂にも、寝床にもついてきて、「きらわないで食べてくれ?」と迫り、好き嫌いをしないことを諭してくれます。
箸を上手に使えなかったり、小骨の舌触りが嫌だったりで、焼き魚が苦手な子供におすすめの絵本。読んだ後は、焼き魚が大好きになること請け合いです。
やさいだワッショイ!おいしさとどけ隊
作:サトシン 絵:ドーリー
文溪堂
1,300円 + 税
野菜を乗せた車でやってきた八百屋のおじさんが、さまざまな動物たちに野菜の栄養を説明しながら、食べ方を教えていくストーリー。おじさんと野菜たちのノリノリの掛け合いが面白く、ダジャレとともに小学校低学年でも難しい栄養の基礎知識が身につきます。
読後に親子で実際に料理を作ってみるのも、食育におすすめです。
絵本の読み聞かせは食育にも効果的!
食育絵本を読み聞かせることで、パパやママも知識をブラッシュアップできますし、物語を共有して親子で同じ知識を得るだけでなく、お互いへの信頼感が高まるという嬉しい効果が期待できます。
またイラストや写真が多くわかりやすい表現の食育絵本には、主人公の行動を疑似体験させたり、ストーリーを通して食の大切さを身近なものと受け止めさせたりと、子供にも理解しやすく記憶しやすいというメリットがあります。
幼児や小学校低学年の子供は親の言うことを比較的素直に聞いて好奇心を示しやすい年齢のため、食育をしっかりと行いたいところ。ですが残念ながら言葉からの理解や記憶が残りにくく、集中力がない時期でもありますので、食育絵本の読み聞かせが大いに役立ってくれるのです。
年齢別!食育絵本の選び方のポイント
子供の食育に絵本を選ぶポイントは、年齢や発達段階にあったテーマの本を選ぶこと。子供の心身の発達は個人差が大きく、食べ物に対する意識や興味もさまざまです。
まずは食べ物の種類やマナーなどの基礎的なものから教えていき、経験が増えて心が発達してきた段階で、命の大切さや感謝の気持ちを体感できるような絵本へと、ステップアップさせていきましょう。
入園前はカラフルな絵本を!
食育のスタート期である入園前の幼児の場合は、食べ物を知ることが第一。最初はカラフルなものを選んで、パパやママが「これはトマトだよ」とか、「バナナは甘くておいしいね」などと説明を加えながら知識を広げていき、「いただきます」や「ごちそうさま」などの食事のマナーの学習に導いていきましょう。
興味をなかなか示さない子供には、アッと驚く面白さでひきつける仕掛け絵本もおすすめです。
入園後はストーリーのある絵本を!
自分が食べている肉や魚などのルーツ、お米や野菜などを作る人がいるということも理解できるほどに成長してきますので、食べ物の大切さや体との関係、食べる意味を教えられる簡単なストーリー性のある絵本を選びましょう。
絵本を通して親子で共感しながら、食べ物に感謝をする気持ちも伝えてあげるとよいでしょう。
小学生には感謝を学べる絵本を!
私たちを支える食べ物となるたくさんの生き物や、食産業にかかわる多くの人に関する絵本を選び、感謝の気持ちを学べるようにしてあげましょう。
小学生になるとより心の機微がわかるようになってきますので、小学校の図書室にも産業や絵本のコーナーなどに食育に関する書籍や絵本が揃っています。小学校教育では授業を通して子供達の興味関心や豊かな心を育てることが、知識以上に重要となってきます。
子供は年齢が低いほど興味の持続が難しい傾向がありますので、一冊で食べ物の知識からマナー、感謝の気持ちまで複数のテーマを取り扱った難しい本を選ばないのがコツ。内容の濃すぎる絵本は子供がパンクして、興味を引かないことも。1つのテーマに内容を絞った絵本を選び、それぞれのテーマごとに何冊かを段階的にそろえていくことをおすすめします。
なぜ?食育が今になって注目される理由
「食育」という言葉は比較的最近になって注目され始めた言葉ですが、なぜ今この言葉が注目されるようになったのでしょう?
それは私たちの社会が急激に変化しているからです。経済の発展により食べ物が巷に溢れ、食の欧米化により食事の内容が変化して昔ながらの伝統的な食文化は失われつつあります。過度な痩身志向やファストフードによる子供の栄養失調、栄養過多による小児肥満や成人病の増加、食の安全性など、いま子供達はさまざまな職に関する問題に囲まれています。
きちんとした食事をとることは、健康的な生活を営むための基本。食や健康に関する知識を授けるはずのパパやママが食の重要性を理解していないと、子供を孤食に追いやってしまったり、飽食の時代なのに栄養失調を起こさせてしまったりする恐れもあります。
昔ながらの三角食べの是非など、食事の仕方もどんどん変化していますから、食育は子供だけでなくパパやママも一緒に学んで、家族揃って健康な生活を心掛けましょう。