ワンオペ育児とは?つらさの正体と乗り切る6つの対策・頼れる相談先
ニュースでも取り上げられる労働問題。そのひとつに、聞き慣れない方も多い「ワンオペ」があります。「一人で手術?」と医療現場のことかと誤解されそうですが、数年前にSNSで話題になり、今では子育て中の家庭でも使われるようになりました。
今回は、リアルなワンオペ育児の体験談を通して家庭内のワンオペ問題を解説しながら、ワンオペ育児を乗り切る6つの対策と、ひとりで抱え込まないための頼れる相談先を紹介します。悩んでいる方は、今すぐできる対策から取りかかって、あなたと子どもの心と体を守っていきましょう。
ワンオペとは?どういう意味?
ワンオペとは、すべてを一人で切り盛りしている状態を指す言葉です。「ワンオペレーション」の略で、もともとは深夜の飲食チェーン店などを一人で回さざるを得ない状況を指し、その過酷な労働環境に注目が集まりました。
例えば…
この言葉が転じて、家庭のことにも使われるようになりました。家事や育児をほぼ一人で担い、そのつらさや不安をSNSでつぶやく人が増えています。
例えば…
- ひとり親家庭
- 配偶者が単身赴任中
- 配偶者が家事や育児に関わらない
ワンオペ育児ママの体験談
家事や育児は、夫婦や家族が協力し合えるのが理想です。ですが、家族形態や働き方が多様になったいま、身近な協力を得にくい人も増えています。「もしかして、私ってワンオペ育児かも」と感じながら、日々奮闘しているママたちの体験談を3つ紹介します。
出産直後にワンオペに!
結婚3年目で娘を生み今は生後9ヶ月ですが、うちの旦那は仕事にかかりきりで、家事も育児も私に任せきり。ですから現在ワンオペ育児中です。
ちょうど私が育児休暇中で自宅にいるので、「子供の世話は任せるよ~」なんていって、仕事が休みの日でもダラダラと好きなことしているだけ。まあ、家事に口をださないぶん、楽と言えば楽なのですが…。
ですが、私が乳腺炎で熱を出している時ぐらいは、娘の面倒を見て欲しいと思いました。そこで、乳腺炎が治ってから言ってやったら、少し手を出してくれるようになりました。労働交渉って大事ですね。
一人では目が回ります!
私は中学1年生、小学校5年生、小学校1年生の3人の子供を育てている母親です。2年前に地方公務員の夫が単身赴任になり、3人の子供の面倒は私一人で見ています。同じ県内ですが、高速で2時間位かかる場所に夫は赴任しています。
なかなか帰ってはこられず、日常的には問題がないのですが、運動会シーズンなど子供の行事が重なっている時に夫が帰ってこられないと、私は分刻みで動かなければならず、子供のためにビデオをとってあげることもできずにやっぱり大変です。中学1年生のお兄ちゃんもちょっと難しい年齢なので、ワンオペ育児は厳しいです!
孤独です…
私は東京生まれの東京育ちですが、大学時代に知り合った主人と結婚し、仕事をやめて地方都市で暮らすようになりました。主人の実家は同じ市内にありますが、主人のご両親はお義兄さん夫婦と暮らしていますので、それほど行き来はありません。
我が家には生後6ヶ月の娘がいます。まだ引越しして4ヶ月なので仕方がないのですが、こちらには友達もいませんし、夫も仕事で忙しく、ほぼ一人で家事も育児もしています。娘も大きくなってきたので、公園にでも連れて行けばいいのでしょうが、私はもともと社交的な性格ではなく、とてもじゃないけど初対面の人とは気後れしてしまって話せません。
夫は家事や育児に非協力的というほどではないのですが、日中は仕事に出かけているので、昼間は私一人で子供の面倒を見ています。慣れない土地で暮らしているので、どうにも息が詰まります。
ワンオペ育児の問題点
パートナー自身の意識や、職場・企業の理解不足など、家庭がワンオペになる理由はさまざまです。本来は家族で分け合う家事や育児を一人で担うことは、横のつながりが減った現代では大きな負担になりやすく、さまざまな困りごとの原因になります。
ここでは、パートナーや、家庭を持つ社員への配慮が後回しになりがちな職場にもぜひ知ってほしい、ワンオペ育児の大変さと問題点を紹介します。
1体調が悪くても休めない
育児に休みはありません。着替えや洗濯は毎日山のように出ますし、母乳をあげていると食事にも気を配りたくなります。家事も育児も一人で抱えていると、自分の具合が悪いときでも休みにくく、無理を重ねてしまいがちです。まるで、家庭にいながらブラックな職場で働いているような状態ですね。
とくに産後は、心も体も回復の途中です。無理をため込むと疲れが抜けにくくなります。「これくらい大丈夫」と我慢しすぎず、つらいときは家族や周りに頼り、体調が気になるときは早めに受診・相談してくださいね。あとで紹介する相談窓口や預け先も、遠慮なく活用しましょう。
2ひと時も気が抜けない
育児中は子どもの安全を常に気にかける必要があり、気が休まりません。緊張が続くと体力も気力も続きにくく、疲れからイライラが募って気持ちが不安定になり、育児がよりつらく感じられることもあります。
とくに睡眠不足や緊張が続く状態が重なると、心身ともに疲れやすくなります。無理は禁物です。少しでも休息をとる、家事の手を抜く、そしてつらさをためこまずに人に話す——こうした小さな工夫が、心と体を守ることにつながります。
3子どもの急な発熱やケガに一人で対応する不安
不安なのは自分の体調だけではありません。子どもは急に体調をくずしたり、ケガをしたりするもの。ワンオペだと人手が足りず、とくに小さな子を何人も見ていたり、車や運転免許がなかったりすると、いざというときの対応に迷いがちです。
子どもの具合は夜間や休日に悪くなることも多く、受診したほうがよいのか、様子を見てよいのかを一人で判断するのは心細いものです。そんなときは、次の窓口を覚えておくと安心です。
- 子ども医療電話相談「#8000」…夜間・休日に子どもの症状で受診を迷ったとき、小児科医師や看護師に電話で相談できます(実施時間は都道府県により異なります)。
- 救急安心センター「#7119」…救急車を呼ぶか、受診すべきか迷ったときに相談できます(大人も対象。地域により実施状況が異なります)。
- 明らかに緊急・重症のとき…ためらわず119番へ。
もう一人大人がいれば心強い場面ですが、一人でも頼れる窓口はあります。あらかじめ番号をスマホに登録しておくと、いざというときに落ち着いて動けますよ。
4育児の悩みを一人で抱え込みやすい
子育ては幸せな経験である一方、決して楽ではありません。成長とともにさまざまな悩みが出てきますが、ワンオペだと身近に相談相手がおらず、孤独を感じやすくなりがちです。
どんな不安でも、少し人に話せるだけで気持ちがラクになり、解決の糸口が見つかることもあります。反対に、一人でため込むとつらさが抜けにくくなります。とくに産後は心身が不安定になりやすい時期。「気持ちが晴れない」「涙が出る」「眠れない」などが続くときは、ひとりで抱え込まず、産後ケアや相談窓口、かかりつけ医などに早めに相談してくださいね(相談先は後半でまとめています)。
5子どもがもう一人の親を恋しがる
子どもが成長し、友達との交流のなかで「家にはパパもママもいるのが普通」と気づくと、「どうしてうちは?」と、離れて暮らす親や関わりの少ない親を恋しがることがあります。そんなとき、どう答えたらよいか困ってしまう人も少なくありません。
一人で愛情を注いでいても、負担が大きいのは事実です。ただ、子どもの育ちは親だけで支えるものではありません。祖父母や地域の人、保育者など、親以外の身近な大人との関わりも、子どもにとって大切な支えになります。完璧を目指しすぎず、周りの手を借りながら、子どもと過ごす時間を大切にしていきましょう。
6成長にともなう悩みに一人では向き合いにくい
小さいうちは無邪気でも、成長すると子どもは親には話しにくい悩みを持つようになります。親一人だと、話題や相手によっては受け止めきれず、子どもも相談しづらくなることがあります。
そんなときは、親以外の相談先を知っておくことが助けになります。学校のスクールカウンセラーや担任、地域の相談窓口、子ども自身が使えるチャイルドライン(18歳まで)など、頼れる先はいろいろあります。親だけで抱えず、いろいろな大人とつながっておきましょう。
学校生活ではさまざまなトラブルが起きやすく、子どもが登校しづらくなることもあります。ワンオペ家庭では、こうした親子ともに負担の大きい問題に、一人では向き合いきれないこともあるので、早めに周囲や専門の窓口とつながっておくと安心です。
ワンオペ育児へのポジティブな捉え方3つ
「私ばかり」と考えると、ワンオペ育児はどんどんつらくなります。そんなときは「物は考えよう」。少しでも気持ちが軽くなる捉え方で、上手に乗り切りましょう。
1「あとは下り坂」だと考える
山登りで一番つらいのは、頂上手前の難所。でも登りきれば絶景が待っていて、達成感で気持ちも軽くなりますよね。子育ても同じです。
「つらい!大変!」と感じたときは、育児の山場。「今は難所を登っている最中。ここを越えれば、どんなことも乗り切れる自信がつく。あとはきっとラクになる」と考えて、気持ちを落ち着けましょう。
2育児を楽しむ工夫をする
一人で切り盛りしていると、子どもを「手のかかる相手」と感じてしまいがち。でも、子どもはつらさを分かち合える家族の一人です。どうせなら育児を楽しみましょう。
話せない赤ちゃんの気持ちをアテレコ風に代弁してみたり、いたずらにイラッとしたら一緒になって笑い飛ばしてみたり。ちょっとした工夫で「自分は一人じゃない」と感じられると、気持ちがふっと軽くなりますよ。
3「自分は必要とされている」と考える
やることが山積みで、子どもがまとわりついてくるときは、あなたが必要とされているとき。人は誰かに求められると、幸せを感じやすくなるものです。実は、子どもがママを求めるのは、ママ自身が疲れて余裕をなくしているサインでもあります。
イラッとしたら「私ばっかり」ではなく「人気者だから仕方ない」と考えてみませんか。子どもの「ママ大好き」やスキンシップをごほうびにして、家事はいったん置いて、うれしさを味わっちゃいましょう。
子どもとのスキンシップは、親子どちらにとっても安心感につながるといわれています。ぎゅっと抱きしめる時間を、意識してとってみましょう。
さらに、つらいときこそ、少しだけ笑顔を作ってみるのもおすすめです。笑うと気持ちが少し軽くなることもあります。「つらいから笑えない」ではなく「笑ってみたら少しラクになった」——そんな瞬間を、意識してつくってみてくださいね。
ワンオペ育児を乗り切る6つの対策
前向きに捉えても、物理的な負担が重いままでは、いつか苦しくなってしまいます。ここでは、ワンオペ育児を乗り切るアイデアを6つ紹介します。自分に合いそうなものから試してみましょう。
1お掃除ロボットに「パパ」と名付ける
何でも一人でこなすのは無理があります。パートナーが働いていると分かっていても、「私ばかり…」と気持ちが沈むこともありますよね。そんなときは、思わず笑えてしまうユーモアで日常を演出してみるのはいかがでしょう。
お掃除ロボットに「パパ」と名付けるのです。動く音を聞くたびに「パパ、ありがとう」と心の中でつぶやく。顔や飾りをつけて存在感を出しても楽しいですね。安い買い物ではありませんが、家事の負担が減ると考えれば、じゅうぶん価値があります。
「ありがとう」と口にすると、気持ちが和らぐことがあります。イラッとしたときほど、感謝の言葉を意識してみましょう。
お金で負担を減らせるなら、食洗機でも全自動洗濯機でも、便利な家電をどんどん活用しましょう。将来への貯蓄も大切ですが、子どもが小さい時期はあなたと子どもの健康を守ることが最優先。家電や各種サービスを「もう一人の手」として頼っていいのです。
2身近な支援・公的サポートを頼る
家事も育児も一人で抱えるのはとても大変ですし、一人でやり切る必要もありません。大変だと感じたら、身近な支援を頼りましょう。保育ママ(家庭的保育)や家事代行サービスなどを上手に使って、少しでも負担を軽くしてくださいね。
とくに知っておきたいのが、自治体や国が用意している公的なサポートです。数時間だけ子どもを預けられるファミリー・サポート・センターや一時預かり、産後の体調・育児を支える産後ケア事業、親子で過ごせて相談もできる地域子育て支援拠点やこども家庭センターなど、頼れる仕組みがそろっています。まずはお住まいの市区町村の窓口やサイトで確認してみましょう。
「掃除まで手が回らない、でも散らかっているのはつらい」というときは、家事代行に頼ってもいいのです。やりたくないことを少し手放して心に余裕が生まれると、ワンオペを乗り切る元気もわいてきます。我慢して限界を迎える前に、使えるものは使いましょう。
3完璧にやろうとしない
ワンオペで苦しくなりやすいのは、がんばり屋で真面目な人。能力が高いぶん「一人でも大丈夫」と抱え込んでしまいがちです。自分と子どもを守るために、上手に手を抜くスキルも身につけましょう。100点でなくて大丈夫です。
4予定を早めに立てるクセをつける
行き当たりばったりだと、ワンオペの負担はさらに増します。子どもの予定を早めに把握しておくと、心の準備と時間の余裕ができて、焦りやストレスが減ります。
お出かけや行事の前は、早めに計画を立てるクセをつけて、自分の負担を減らしていきましょう。
5育児グッズを活用する
家事や育児をラクにしたいなら、便利な「モノ」を活用しましょう。一人でのお風呂が大変なら、上がりにサッと着せられる子ども用バスローブやベビーバスチェアが便利です。
子どもの服も、2〜3日洗濯しなくても足りるくらい多めにあると、あわてずに済みます。費用が気になるなら、ベビー用品のアウトレットなども活用を。精神論よりモノに頼って、大変な時期を上手に乗り切りましょう。
6子どもを安心して遊ばせられるお出かけ先を選ぶ
お出かけするなら、少しでもママがラクになれる、子どもを安心して遊ばせられる場所を選びましょう。
例えば、キッズスペースのある飲食店や、道路に接していないのびのび遊べる郊外の公園など。木のおもちゃで遊べる木育スペースや一時預かりのある店舗を選べば、ゆっくり食事をしたり、ひと息ついたりする時間もとれますね。
困ったときの公的な相談先・支援先
「ひとりで抱え込まない」ためには、頼れる窓口を知っておくことが大切です。無料・匿名で使えるものも多いので、気軽に活用してください。
| 相談先・支援 | 番号・窓口 | こんなときに |
|---|---|---|
| 子ども医療電話相談 | #8000 | 夜間・休日に子どもの症状で受診を迷うとき(小児科医師・看護師が対応) |
| 救急安心センター | #7119 | 救急車を呼ぶか、受診すべきか迷うとき(大人も対象) |
| 緊急・重症のとき | 119 | 明らかに急を要すると感じたとき |
| ファミリー・サポート・センター/一時預かり | 市区町村の窓口 | 数時間だけ子どもを預けたいとき |
| 産後ケア事業 | 市区町村の窓口 | 産後の体調や育児のサポート(宿泊・日帰りなど) |
| 地域子育て支援拠点・こども家庭センター | 市区町村の窓口 | 子育ての相談や、親子の居場所として |
| よりそいホットライン | 0120-279-338 | 24時間、暮らしや子育ての悩み全般(電話・チャット等) |
| まもろうよ こころ(厚生労働省) | 電話・SNS相談 | つらい気持ちを相談したいとき |
| 児童相談所相談ダイヤル | 189 | 子育てに行き詰まったとき(匿名可・無料) |
※電話番号や実施時間は地域や時期によって変わることがあります。詳しくは各窓口やお住まいの市区町村でご確認ください。
【FAQ】ワンオペ育児のよくある疑問
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| ワンオペ育児ってどういう意味? | 家事や育児を、一人でほぼ担っている状態のこと。ひとり親家庭のほか、単身赴任や、パートナーが家事・育児に関わりにくい家庭でも起こります。 |
| つらいとき、まずどうすればいい? | 「完璧」を手放し、家電やサービス、家族を頼ることから。気持ちがつらいときはよりそいホットラインやまもろうよこころ、子育ての相談は地域子育て支援拠点・こども家庭センターへ。 |
| 子どもの急な発熱で受診を迷ったら? | 夜間・休日はまず#8000(子ども医療電話相談)へ。救急車を呼ぶか迷うときは#7119、明らかに緊急なら119を。 |
| ちょっとだけ子どもを預けたいときは? | ファミリー・サポート・センターや一時預かり、産後ケア事業が使えます。お住まいの市区町村の窓口で確認しましょう。 |
ワンオペ環境は「改善」も忘れずに
近年よく耳にする「ワンオペ」。日本では「家のことは母親が」という意識がまだ根強く、出産を機に家庭内ワンオペに陥りやすいのが実情です。「母親なら乗り切れて当然」という声もありますが、つらいものはつらいのです。がまんせず、声をあげていきましょう。
今回はワンオペ育児を乗り切るヒントを紹介してきましたが、職場の労働問題と同じで、ワンオペは本来「改善すべき環境」です。自分で乗り切る工夫と同時に、パートナーと話し合い、周りや公的支援を頼りながら、少しずつ環境を変えていくことも忘れないでくださいね。あなた一人でがんばりすぎなくて、大丈夫です。






