シムスの姿勢ってなに?効果/やり方/おすすめ抱き枕4選
妊娠中にお腹が大きくなってくると、「あともう少しで赤ちゃんに会える!」と幸せを実感する反面、お腹に圧迫されて眠りが浅くなり、なかなか寝付けないといった睡眠トラブルに悩まされがちです。
特に、お腹が大きくなって身動きが取れない妊娠後期になると「眠りたいのに眠れない!」というジレンマにイライラしてしまうプレママも多いのではないでしょうか。
妊娠中のストレスはお腹の赤ちゃんにも良い影響は与えませんから、グッスリ眠れる方法を探していくことが大切です。
今回は、妊娠中の睡眠トラブルを解決するシムスの姿勢の効果や方法、シムスの姿勢を助ける産後にも活用したいおすすめ抱き枕をご紹介します。
妊婦が寝つきにくくなる理由
寝つきが悪い、眠りが浅い、眠れないなどの睡眠トラブルと妊娠の関係は医学的に解明されてはいません。しかし、妊娠初期から妊娠後期まで、多くのプレママが何らかの睡眠への不安を感じています。
妊娠中に睡眠トラブルが起きるのは身体の異常ではなく、妊娠特有の身体の変化のためなのです。
1ホルモンのバランスが崩れるため

お腹に赤ちゃんを宿すと、妊娠を維持するために女性の身体にはエストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンが大量に分泌され、ホルモンバランスが崩れます。
ホルモンバランスが崩れることで自律神経が不調となり、イライラや気分が沈むなどの情緒の変化が起きやすく、訳もなく不安を感じて眠れなくなる傾向があります。
私たちの身体は体温が高いままだと眠りにつきにくいのですが、妊娠初期に大量分泌されるプロゲステロンは体温を高く保つ働きがあり、不眠を起こしやすくします。
妊娠後期になるとエストロゲンの分泌が増えてくるのですが、このホルモンには眠りを浅くする作用があるため、ちょっとした刺激でも目を覚まして、眠れなくなってしまいがちになります。
2胎動による刺激のため
妊娠中期になると、お腹の赤ちゃんが胎内で動く胎動を感じるようになりますが、胎動もママの眠りを妨げる要因のひとつとされています。
胎動はママが活動している時は微かな動きですが、夜寝ようと静かにしていると感じやすくなり、気になって眠れないと訴えるママも少なくありません。
妊娠後期は赤ちゃんの動きも活発になってきて、「ドン!ドン!」とお腹を蹴るような大きな動きになります。
中には胎動を痛いくらいに感じるママも多く、ビックリして目を覚ましたり、寝付けなくなってしまったりすることも珍しくないようです。
3お腹が大きくなって圧迫されるため

私たちの身体は眠っている間活動を全くしないのではなく、無意識のうちに何度も寝返りを繰り返します。
眠っていると身体が圧迫され、下になっている部分の血流が滞り、熱や水分がこもって寝苦しくなるために寝返りを打つのですが、お腹が大きくなると寝返りがしにくくなります。
また、妊娠後期は体の血液の量も増えてくるので、トイレの回数も自然に多くなりがちですが、お腹が大きくなると膀胱が圧迫されてしまいます。
そのため尿を膀胱に長く溜めておけなくなるため、夜に何回もトイレのために目を覚まし、その結果、目が冴えてしまうことも多いようです。
睡眠トラブルの改善対策は?
お腹が大きくなってくる妊娠後期は、横になるだけでも息苦しく、眠りにくくなってしまいます。そんな時には身体の負担を和らげるシムスの姿勢が効果的です。
プレママの寝苦しさを和らげてリラックスできる姿勢なので、妊娠中の不眠の解消だけでなく、お腹が張っているときや陣痛をやり過ごすときにも効果を発揮します。
シムスの姿勢を維持するためには、クッションや抱き枕を使うとおなかを支えるのがグッと楽になります。
特に、抱き枕は身体にフィットして体重を預けることができる安心感から、妊娠中の不眠改善に高い効果を発揮すると多くのママから支持されています。
妊娠中は、お腹の中の赤ちゃんに栄養を送るために、思った以上に身体を酷使している状態ですから、ママはリラックスしてできるだけ身体を休める必要があります。
眠れない原因をよく理解して、少しでもトラブルを改善していきましょう。
シムスの姿勢以外の改善対策
・寝る前にゆっくり湯船に浸かる
・適度に運動する
・夕方から徐々に部屋を暗くして、眠りやすい環境を作る
・就寝前のスマホや携帯電話はやめる
・妊娠中でもOKなハーブティーを飲む など
シムスの姿勢とは?
シムスの姿勢(シムスの体位、シムス位)とは、片膝もしくは両膝を軽く曲げて横向きに寝る姿勢を言います。
この姿勢で横になるとお腹の圧迫が緩和されてリラックスしやすくなるということで、多くの産院では妊娠中の寝苦しさ対策にシムスの姿勢を勧めています。
シムスの姿勢の歴史
シムズの姿勢は19世紀にアメリカ合衆国の産婦人科医J・マリオン・シムズによって考案されました。
気道を確保しやすく、患者がリラックスしやすい体位であることから、もともとは直腸の検査やこん睡状態の患者の気道確保に用いられてきました。
シムスの姿勢は妊娠中の女性にとっても楽な姿勢だと言われており、実際に「呼吸が楽になった」「寝苦しさが緩和されて熟睡できるようになった」という声も多いようです。
シムスの姿勢の効果

妊娠中にお腹が大きくなってくると、ママによっては仰向けの寝方により仰臥位低血圧症候群を起こす場合があります。
仰臥位(ぎょうがい)低血圧症候群は、子宮が下大静脈を圧迫してしまうことで急激な血圧の低下や心拍数の減少を引き起こす症状で、その血流の流れをスムーズにさせるのがシムスの姿勢です。
上向きの寝方で意識が遠のくように感じたら、シムスの体位をとることで血液の循環が良くなり、呼吸が落ち着いてリラックスできるようになります。
眠るときだけでなく、お腹が張ってつらいときや疲れたときなど、ちょっと横になって一休みをすることで体の負担を減らしていきましょう。
シムスの姿勢の嬉しい効果
・陣痛中の休息になる
・呼吸が楽になることで寝つきが良くなり、熟睡できる
・血流が促進され、赤ちゃんへの酸素や影響の供給がスムーズになる
・血液の巡りが良くなり、妊娠中のむくみが緩和される など
シムスの姿勢はいつからがおすすめ?
シムスの姿勢が効果を発揮するのは、お腹が大きくなってくる妊娠6~7ヶ月頃からです。
お腹が大きくなっているために、仰向けはもちろん、うつぶせでも眠れない時期ですので、シムス位を試すと楽になりますよ。
シムスの姿勢は介護にも取り入れられている姿勢ですので、「いつから行うべき」「妊娠〇ヶ月はやってはいけない」などの決まりはありません。
お腹がまだ目立たない妊娠初期であっても、寝苦しさを感じるときにはシムスの姿勢を行ってみてくださいね。
シムスの姿勢のやり方
特に自分で意識をしていなくても「食べ過ぎでお腹が苦しいときや気分が悪いときなどに、自然とシムスの姿勢をとっていた」という方も多いほど、シムスの姿勢はとっても簡単です。
ただし、シムスの姿勢を行うときには、向きを間違えないように注意しながらポーズをとりましょう。
1左側を下にして横になりましょう

私たちの身体の一番大きな動脈や静脈は腰のあたりにあるのですが、右側を下にしていると背骨より若干右側寄りにある静脈を圧迫し、心臓へ戻っていく血流が滞ってしまうため、シムスの姿勢は左側を下にして横向きに寝るのが原則です。
左側を下にすることで心臓の負担を軽くし、血管やリンパ管の圧迫がなくなることで酸素の供給や老廃物の排出がスムーズになります。さらに胃の負担も減るのでつわりの症状も楽になります。
2左足をまっすぐ伸ばしましょう
下側になった足は自然にまっすぐに延ばして、やや後ろに下げましょう。足首は曲げても伸ばしてもかまいません。二本の足が重ならず、足の付け根にある大きな血管への圧迫がとれるので、下半身の血流がスムーズになります。
左足をまっすぐ伸ばすことがつらい場合には、右足と重ならないようにずらして軽く曲げてもOKです。
3右足を前に出して膝を曲げましょう
身体の上になった右足は前に出して軽く曲げ、お腹に隙間を作ります。
下半身が自然にうつぶせの姿勢に近くなり、軽く膝を曲げることで膝が支点になりますので、眠る姿勢が安定しやすくなります。
4左手は背中側に、右手は前に置きましょう
身体の下になった左手は背中側に抜いて自然に伸ばし、右手は体の前の方に自然に伸ばします。こうすることで上半身もうつぶせに近くなり、肩の負担が楽になり、眠りやすくなります。
抱き枕を使えばシムスの姿勢が安定します
シムスの姿勢がイマイチしっくりこないのであれば、クッションや抱き枕を使うとよいでしょう。大きくなったお腹まわりの隙間もなくなるので、姿勢がつらくなって目を覚ましてしまう夜のお悩みを解決できますよ。
抱き枕を選ぶポイントは?
抱き枕には形やカバーの素材、内部の素材によっていろいろなタイプがありますが、おすすめは「妊婦用」で作られている抱き枕です。
妊娠期間中の寝苦しさ対策に使った後は形を変えて、産後の授乳クッションや赤ちゃんのお座り期の背もたれクッションに使える機能があるものであれば長く経済的に使えます。
抱き枕を選ぶポイント
・カバー素材の肌触りが良く、汗をよく吸ってくれるものを選ぶ
・肩から膝までをサポートできる大きさ・長さのものを選ぶ
・適度な弾力があり、お腹に当たっても負担にならない柔らかいものを選ぶ
・内部の素材が体圧を分散できる、クッション性のあるものを選ぶ
・カバーが洗濯できるものを選ぶ
・産後には授乳クッションとしても使えるものだとお得 など
ネットショップで選ぶのも便利ですが、素材や使い心地などを実際に触ってみることができないので、口コミをじっくりとチェックしてから選ぶようにしてくださいね。
プレママにおすすめの人気抱き枕4選
妊婦さんのシムスの姿勢をサポートする、口コミで好評のおすすめ抱き枕4選をご紹介します。
1 カシュカシュ オーガニックコットン ママ&ベビークッション ロング

フィセル
ナチュラルな風合いがインテリアにも馴染みやすい、オーガニックコットン100%のロングクッションは、授乳クッションとしても活躍してくれる優れもの。ヌードクッションは手洗い、カバーはそのまま洗濯機で洗うことが可能です。
2 スネイルボディピロー

MOGU
マイクロパウダーをたっぷり詰めた、柔らかく体圧が分散できるボディピローです。
女性に嬉しいちょっと小さ目のサイズで、他の抱き枕にはないカタツムリのようなくぼみがついていて、大きなおなか周りに無理なく隙間を作って膝の固定がしっかりとできます。カバーは付け替え可能なのでいつでも衛生的に使えます。
3 丸洗いできるマルチクッション(本体+カバー1枚)

たまひよSHOP
シムスの姿勢を取りやすいデザインに作られた、産前の抱き枕から赤ちゃん用のおすわりクッションにも使えるマルチクッションです。クッションの内部は乾きが早く弾力性の良い機能繊維なので洗濯機で丸洗いできますし、カバーは取り外しができますので、いつでも清潔に使えます。
4 【産婦人科医廣瀬一浩先生監修】妊婦さんのための抱き枕

EMOOR(エムール)
産婦人科医の先生が監修し、シムス位が取りやすく設計された「マムピロー」も、妊婦さんの抱きまくらとして大変人気の商品です。抱き枕のへこみ部分がシムスの姿勢を取る際に心地よくフィットし、ママの身体をサポートしてくれます。
※抱き枕カバーは別売り2,700円です。
中にはシムス位が合わない人も…先輩ママの体験談
シムスの姿勢は睡眠トラブルに悩むプレママに効果的ですが、その一方でシムスの姿勢の効果には個人差があり、「効果がイマイチわからない」といったプレママも多いようです。
シムスの姿勢が辛い場合には、腕や肩、頭や足、お腹などの部分の高さが合っていない可能性があります。先輩ママ達はどのように対処したのか、参考にしてみましょう。
Aお腹の苦しさは出産の度に違う?
腕白盛りの男の子二人のママです。
一人目の時に産院で抱き枕を勧められて購入したら、とても具合が良くて、妊娠7ヶ月頃から出産まで長く愛用しました。
ちょっと安価なものだったからか中綿がヘタってしまったので、次男の時は同じものを新しく買い替えましたのですが、何故か体に合わず…。
次男は経産婦ということでお腹の伸びが良く、成長が良かったためかクッションの厚みが合わなかったんですね。結局、抱き枕に薄い座布団をかませて厚みを調整しました。
出産は一人ひとり違うので、抱き枕はクッションの調整ができたり、マイクロビーズのように形を調整できるものがおすすめですよ。
A赤ちゃんが元気すぎて…
妊娠5ヶ月頃からなかなか眠れなくて、口コミで人気のあるマタニティ用の抱き枕を買いました。
初めのうちは「まあ、眠りやすいかな?」という感じだったのですが、赤ちゃんの胎動が始まると必ず寝ている時に恥骨のあたりを蹴ってくるので、とっても寝ていられなくて…。
シムスの姿勢はうつぶせ寝に近いので、その分お腹の中の赤ちゃんが圧迫されるのかなと思い、足の間に挟む部分に座布団を二つ折りにしたものを挟んでみました。ちょっと硬めなので定期的に足をずらさないといけないのですが、胎動の痛みは少し楽になったような気がします。
妊娠中に寝苦しさを感じたらシムスの姿勢を試してみましょう
妊娠中の睡眠トラブルはママにとって辛いものですが、お腹の中の赤ちゃんが順調に大きくなって、もうじき赤ちゃんに会えるという証でもあります。
なかなか眠れないことに不安にならずに、シムスの姿勢など自分に合った楽な姿勢を見つけて、少しでも身体を休めるよう工夫しましょう。
お気に入りの抱き枕を活用して、残りの妊娠期間をできるだけリラックスして過ごせるとよいですね。