スマホ育児との向き合い方:メリットと注意点・上手に使う5つのルール
テレビやネット、新聞などでマイナス面が語られがちな「スマホ育児」ですが、不安を感じつつも上手に取り入れているママ・パパは少なくありません。
ある民間の調査では、スマートフォンやタブレットを育児に使った経験のある家庭は、子どもが2歳までに約6割、6歳までに約7割にのぼると報告されています。もはや「使うか・使わないか」ではなく、「どう付き合うか」を考える時代といえそうです。
そこでこの記事では、スマホ育児のメリットと注意点、そして悪影響を避けるためのスマホ育児のルールを、公的機関の目安も交えてご紹介します。頭ごなしに否定するのではなく、ルールを決めて賢く活用していきましょう。
スマホ育児とは?
スマホ育児とは、スマートフォンやタブレット端末を育児に取り入れることを指し、「スマホ子守り」などと呼ばれることもあります。
スマホ育児には、子どもにスマホを渡して動画や知育アプリで遊ばせることだけでなく、保護者がスマホを操作しながら子どもと過ごすことも含めて語られる場合があります。
成長とともに、これまで使わせてこなかった家庭でも、子どもが保護者のスマホを使いたがるようになり、少しずつスマホ育児が始まるケースもあります。使う家庭が年々増えているのは、こうした背景もあるのでしょう。
ママが頼るのも当然?スマホ育児のメリット
スマホ育児は悪影響が語られがちで、日本小児科医会も「スマホに子守りをさせないで!」というポスター・リーフレットを作成し、安易な利用に注意を促しています。
それでも多くのママ・パパがスマホ育児に頼るのは、たしかなメリットがあるからです。かつては否定的にみられたマンガが、今や日本を代表する文化になったように、スマホも使い方しだい。まずは良い点から確認しておきましょう。
1公共の場で静かに待ちやすくなる
病院の待合室、役所、銀行、きょうだいの習い事の待ち時間など、静かに待ってほしい場面は多いものです。持参した絵本を読み終えてしまったり、おもちゃを忘れてしまったりと、困ることもありますよね。
そんなとき、スマホが子どもの気持ちを落ち着かせる助けになることがあります。短時間なら機嫌よく待てる子も多く、好きな動画やアプリを見ながら待てるので、子ども自身のストレスもやわらぎます。
2ママ・パパが気持ちにゆとりを持ちやすくなる
これは大きなメリットです。息つく暇のない育児のなかで、少しホッとする時間をつくれます。現代は、子育て世帯にとって必ずしも余裕のある環境とはいえません。
「ベビーカーや子連れへの視線」や「ワンオペ育児」が話題になる昨今。公共の場で子どもがぐずって肩身のせまい思いをした経験がある方や、孤立感を抱えながら子育てをしている方も少なくないはずです。
そんなとき、スマホがそっと支えになってくれます。子どもの気持ちを切り替える助けになるだけでなく、SNSで同じ立場の人とつながって孤独感をやわらげたり、育児情報を得たりと、心のゆとりづくりに役立ちます。
3家事がはかどる
夕食の準備中のほんの10分でも、子どもが一人で過ごしてくれると、準備の効率は大きく上がります。
火を使っている最中に泣かれると気が気ではなく、慌てて思わぬ事故につながることも。おんぶや玩具では対応しきれないときの「最後の手」があると思えるだけで、家事がスムーズになり、気持ちもぐっと楽になります。
4遊びながら学ぶきっかけになる
遊びながら楽しく学べるのも、スマホ育児の良い点のひとつ。今では子ども向けの無料アプリも増え、英語・地図・ひらがな・数などをテーマにした学習アプリが数多くあります。
低年齢の子どもは「お勉強」という意識が少ないぶん、遊び感覚で取り組めることも。机に向かわせようと親子でイライラするより、楽しく興味を広げられる場面もあるでしょう。ただし内容は保護者が選ぶことが大切です(詳しくは後半のルールで解説します)。
5子どもの気分転換になる
ぐずっていた子どもにスマホを見せると、気分が切り替わって落ち着いた、という経験があるママも少なくありません。赤ちゃんが喜ぶ動画や音は探しやすく、その子の好みに合うものを見つけやすいのもスマホならではです。
幼児なら好きなキャラクターの動画も豊富なので、飽きずに楽しめることも多いでしょう。
6親子の会話ツールになる
「スマホ育児」というと、子どもに渡して放っておくイメージが強いかもしれません。けれど、子どもと一緒にゲームや動画を楽しみ、親子の会話のきっかけにしている家庭も多いのが実際のところ。テレビを一緒に見て主題歌を歌い、話題にするのと同じように使えます。
7外出時の荷物を減らせる
子連れの外出は荷物が多く、着替えや飲み物に加えて、機嫌対策の玩具までアレコレ持つとさらにかさばります。その点、スマホはもともと持ち歩くもの。使うか分からない玩具をいくつも持ち歩くより身軽になれる、という声もあります。
気をつけたいスマホ育児の注意点
日本小児科医会が注意を促すのは、使い方しだいで子どもの育ちに影響しうるからです。ポイントは「スマホそのもの」よりも、使う時間や、親子の関わりが減ってしまうことにあります。
赤ちゃんの時期だけ気をつければよいと思われがちですが、行動範囲が広がる幼児期こそ親が見落としやすい時期。次の点を、あらかじめ知っておきましょう。なお、下記はあくまで一般的な傾向で、心配なことがあれば乳幼児健診やかかりつけ医、自治体の相談窓口に相談すると安心です。
1親子の関わり・ことばの育ちの機会が減る
乳幼児は、身近な大人とのやりとりや遊びを通して、ことばや気持ちの土台を育てていきます。スマホに頼りきりになると、こうしたやりとりの時間が減ってしまうことが心配されます。
日本小児科医会は「2歳までのテレビ・ビデオ視聴は控える」「授乳中・食事中の視聴はやめる」といった提言を出しています。子どもに渡すときだけでなく、保護者がスマホに夢中で子どもへの応答が減ることにも気をつけたいところです。まずは、顔を見て話す時間・一緒に遊ぶ時間を大切にしましょう。
2睡眠のリズムが乱れやすい
子どもの成長には十分な睡眠が欠かせません。就寝前に明るい画面を見ると、脳が刺激されて寝つきにくくなったり、生活リズムが後ろにずれたりすることがあります。WHO(世界保健機関)も、質のよい睡眠と、座って画面を見る時間を減らすことの大切さを示しています。就寝前の時間帯は使わせないようにしましょう(後半のルールで具体的に解説します)。
3外遊びや体を動かす時間が減る
画面を見て過ごす時間が長くなると、そのぶん外遊びや体を動かす時間が減りがちです。WHOは5歳未満について「座って過ごす時間を減らし、もっと体を動かして遊ぶこと」を推奨しています。文部科学省も、室内での活動が増え外遊びが減っていることを、子どもの体力の面から課題として挙げています。
体を動かす遊びは、心身の育ちに大切な役割を持っています。スマホの時間を決めつつ、散歩や外遊びの時間をしっかり確保していきましょう。
4使いすぎ・手放せない習慣になりやすい
いつもスマホを触っていないと落ち着かない、といった状態は大人でも起こりがちですが、子どもも長時間の使用で手放しにくくなることがあります。
使いすぎを防ぐには、家庭でルールを決め、スマホ以外の楽しみを一緒に見つけたり、親子のふれあいの時間を大切にしたりすることがポイントです。
5目の疲れや姿勢のくずれに注意
スマホは画面が小さく、つい近づいて見がちです。近くを長時間見続けたり、下を向いた姿勢が続いたりすると、目の疲れや肩・首のこりの原因になることがあります。近視の予防には、画面と適度な距離をとること・こまめに休憩すること・屋外で過ごす時間を確保することが大切だと考えられています。
使うときの姿勢や画面との距離をときどきチェックし、目や見え方で気になることがあれば、眼科や自治体の健診で相談しましょう。
年齢別・視聴時間のめやす
「どれくらいならいいの?」の参考として、WHOと日本小児科医会が示す目安を整理しました。あくまで目安であり、少ないほどよいとされています。家庭の状況に合わせて、ゆるやかにルール化していきましょう。
| 年齢 | 画面を見る時間のめやす |
|---|---|
| 1歳ごろまで | 画面の視聴は控えるのがのぞましい |
| 2歳未満 | スクリーンタイムは推奨されない(できるだけ避ける) |
| 2〜4歳 | 1日1時間未満(少ないほどよい) |
| 共通のめやす | テレビも含めたメディア接触の合計は1日2時間までを目安に |
※WHO「5歳未満の子どもの身体活動・座位行動・睡眠に関するガイドライン(2019年)」および日本小児科医会「子どもとメディア」の提言をもとに作成。アメリカ小児科学会(AAP)は「一律の時間で区切るより、内容の質や一緒に使うことを重視する」とも示しています。
上手に活用するためのスマホ育児5つのルール
「スマホさえあれば子守りは万能」というわけではありません。子どもは興味の対象が多く、年齢によってはスマホだけに長時間集中し続けるのは難しいものです。
核家族化が進む今、スマホ育児を完全に否定するのは現実的ではありません。それよりも、ルールを決めて注意点を避けながら使うほうが、前向きな子育てにつながります。
1アプリと内容を保護者が選ぶ
子どもにとって魅力的なアプリはたくさんありますが、なかには子ども向きでないものもあります。次々に与えるのではなく、保護者が内容を確認して選ぶことが大切です。無料アプリには子どもに不向きな広告が表示されるものもあるため、事前にチェックしておきましょう。
2時間を決めて使う
時間を決めて使わせることは、スマホ育児の基本のルールです。前述の目安を参考に、家庭ごとに上限を決めましょう。始める前に終了時間を伝え、タイマーをセットして「鳴ったらおしまいね」と声をかけると、切り替えがスムーズになります。だらだら見続けないよう、区切りをつくることがポイントです。
3就寝前は使わせない
就寝前に明るい画面を見ると、寝つきや生活リズムに影響することがあります。理想は夕方以降を控えめにすることですが、少なくとも就寝の1時間前からは使わせないようにしましょう。寝室にスマホやタブレットを持ち込まないようにするのも効果的です。
4ロックや管理機能を活用する
スマホを置きっぱなしにすると、子どもが目を離したすきに使ってしまうことがあります。子どもにとってスマホは魅力的なおもちゃのようなもので、悪気なく触ってしまうことも。画面ロックをかけるほか、iPhoneの「スクリーンタイム」やAndroidの「ファミリーリンク」などの保護者向け管理機能を使うと、使える時間やアプリを設定でき安心です。
5できるだけ大人と一緒に使う
子どもに渡して放っておくのではなく、できるだけ大人と一緒に使いましょう。そうすることで不適切なサイトや動画に移動してしまうのを防げるうえ、長時間の使用にも気づきやすくなります。見たものが親子共通の話題になり、そのあとの会話にもつながります。
あわせて、使用中に本体やバッテリーが熱くなったと感じたら、いったん使用をやめて様子をみましょう。充電しながらの使用は避け、ケーブルや充電器は破損のないものを使うと安心です。
目の負担・使いすぎを減らす工夫
気になる目の負担や使いすぎは、ちょっとした工夫でやわらげられます。まずは画面の明るさを下げすぎない程度に調整し、部屋を明るくして見ること。就寝前は、iPhoneの「Night Shift」やAndroidの「夜間モード(読書灯)」など、画面の光を暖色にする機能を使うと、まぶしさをおさえられます。
また、家にいるときはスマホの画面をテレビに映して見せると、画面から離れて見られるため、目の負担や姿勢のくずれをやわらげるのに役立ちます。時間管理には、前述のOS標準の管理機能を活用しましょう。
まとめ
スマホ育児は「悪いこと」と決めつける必要はありません。公共の場や家事、気分転換など、忙しい子育てを支えてくれる場面はたくさんあります。大切なのは、使い方のルールを決めて、親子の関わりや外遊びの時間を減らさないこと。ポイントを整理すると次のとおりです。
- 視聴時間は年齢に応じた目安を参考に、少なめを意識する(2歳までは控えめ、2〜4歳は1日1時間未満、合計2時間まで)
- 就寝前は使わせず、寝室に持ち込まない
- アプリの内容は保護者が選び、管理機能を活用する
- できるだけ大人と一緒に使い、外遊びや会話の時間を大切にする
不安なことや気になる様子があれば、乳幼児健診やかかりつけ医、自治体の相談窓口で相談しましょう。ルールを味方につけて、スマホと上手に付き合っていきたいですね。
よくある質問
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| 何歳から使わせていい? | WHOや日本小児科医会の目安では、2歳ごろまでは画面視聴を控えめに、2〜4歳は1日1時間未満が目安とされ、少ないほどよいと考えられています。家庭でルールを決めて使いましょう。 |
| ブルーライトで目が悪くなる? | 近視の主な要因は、近くを長時間見続けることや外遊び不足と考えられています。特定のグッズよりも、画面との距離・休憩・屋外で過ごす時間の確保が現実的です。気になる場合は眼科や健診で相談を。 |
| 寝る前に見せても大丈夫? | 就寝前の明るい画面は寝つきや生活リズムに影響することがあります。少なくとも就寝1時間前からは使わせず、寝室に持ち込まないのがおすすめです。 |
| 完全にやめさせるべき? | 今の生活で完全にやめるのは現実的ではありません。時間や内容のルールを決め、一緒に使いながら、外遊びや会話の時間を確保するのが無理のない方法です。 |

