我慢できない子供を我慢する子に育てよう~ママもイライラを解消
子育て中は我慢できない子供にママやパパが困ってしまう場面が多々あるものです。けれど我慢できない子供の脳の発達や子供たちの感情について知らないと、ママやパパの精神的な負担はますます大きくなるだけでなく、子供を我慢できる子に育てることが困難になってしまったり、不必要に子供を傷つけてしまったりすることも。
そこで今回は、我慢できない子供とは、我慢できずに反抗する原因、発達の問題、我慢できる子に育てる親の対応、必要な我慢と不必要な我慢、我慢できる子と我慢する子の違いについてご紹介します。我慢できない原因を知り、お子さんを我慢する子に育てましょう。
そもそも我慢できない子供とは?
「何でうちの子は、怒りっぽく、我儘ばかりで、我慢できないのだろう?」
「何でうちの子は、公共の場で騒いで、注意しても聞いてくれないのだろう?」
「何でうちの子は、玩具が欲しいと駄々をこねるのだろう?」
「何でうちの子は、まだ遊びたいと言ってなかなか家に帰れないのはなぜだろう?」
何でうちの子は…。違います!あなたの子供だけではありません。
我慢できない子供とは感情や欲望のままに行動するのを抑え、堪えることができない子供のことを言いますが、子供は感情や衝動などを制御し、高度な思考機能をするときに重要になる脳の中の前頭前野が充分に発達していません。そのため子供が我慢できないのは仕方のないことと言えます。(注1)
子供の脳が我慢できるようになる時期
前頭前野は幼児期から8歳まで年齢と共に緩やかに増大し、8歳から15歳の思春期前後で急速に増大します!
ただし幼児期から前頭前野を鍛えることで、我慢のできない子供を我慢ができる子へと成長させることはできます。
まずは子供がなぜ我慢ができないのか、その原因から向き合ってみましょう。
我慢できない子供が反抗する原因
我慢できない子供に親が一番困ってしまうは反抗する時ですが、子供が我慢を強いられた時に反抗するのは、前頭前野の発達不足だけではなく心理面が関係していることがありますので、まずは子供に次のような様子はないかを親が客観的に見ることが大切です。
1愛情を求めている
お友達が家に遊びに来ても子供は、お友達と一緒に遊ぶことも玩具を貸すこともできず、「ママ、ママ○○してよ」と我儘を言い続けるケースなどはこれに当てはまります。
ママに注目して欲しくて、愛情が欲しくて我儘を言っているケースです。子供は常に注目して欲しく、愛情を求めているのです。この場合の「我慢できない」は子供の愛情不足からくるSOSのサインとも考えられます。(注2)
2してはいけない理由が解らない
静かに待たなければならない公共施設で騒ぐ場合がこのケースに当てはまります。
子供は脳が未発達なためすぐに飽きやすく長時間待つことが難しいのですが、何より騒いではいけない理由が解らないから我慢ができないのです。
3我慢する必要がないと感じている
玩具を買って欲しくて駄々をこねるなど、経験から我慢をしなくて良いと子供が感じてしまっている場合がこれに当てはまります。
これはよく目にするケースですが、駄々をこねて玩具を買ってもらったことがある子供は誤った成功体験が深層心理に記憶されたため、我慢ができないのです。
我慢できない子供にみられる発達の遅れや極端な偏りによって起こる問題
「我慢ができない」「順番が守れない」「ルールが守れない」といった様子は、発達に遅れや極端な偏りがあるゆえに周囲と問題が起こる幼児にもみられる特長です。
肢体に問題は親や周囲には見えますが、発達の遅れなどの問題は発見が遅れがちで、我慢の概念やルールそのものが理解できない、あるいは受け入れがたい苦痛を感じるために起こっているので、適切な周囲の対応が必要です。
年齢相応に我慢できない子供に発達の問題を抱えていると思われる特徴がみられる場合は、乳幼児健診時に相談したり専門家に相談したりしましょう!
我慢できない子供が発達の問題を抱えている場合、幼稚園や保育園の先生には隠さず伝え、集団生活ではしっかりと様子を見て連絡してもらい、家庭や園では叱るのではなく具体的に指示し、言葉や文字ではなく絵や写真で伝えるなどの伝わりやすくなる工夫をする対応が重要になります。(注3)
我慢できない子供をできる子に育てるための6つの対応
子供は大人が思うより賢く、身に着けてしまえば我慢することは可能になります。親が適切な対応を行うことで、子供の我慢力や忍耐力をより早く育ててあげましょう。
1スキンシップや言葉で子供に伝わるように愛情を伝える
子供が求めるものが愛情ならば、時間の許す限り子供が安心できるように「大好き」といった言葉がけや子供を抱きしめる等の言動に表してみましょう。
沢山のスキンシップをすることで子供のイライラが収まり、次第に我儘できる子になっていきますし、ママのイライラを落ち着かせるのにも役立ちます。
2必要性を事前に説明して納得させる
公共の場で騒ぐ場合や公園から時間になっても帰れない場合は、我慢する必要性を事前に子供に説明し、子供に納得させてから出かけることが大切です。「なぜ騒いではいけないの?」「なぜ公園から帰らなければいけないの?」といった子供が納得できない理由をしっかりと話してあげましょう。
経験から我慢ができない場合も同様です。きちんと子供に話してあげましょう。まずは欲しいと子供が思う気持ちに「そうだね。美味しそうだね。」などと共感し、その後に毎回は買えないことをしっかり伝えましょう。
3子供が我慢しやすくなる準備をする
長時間待たなければいけない場合、小さな子供は理由が分かっていても我慢することが困難です。子供が集まる場所にはキッズスペースが設けられていたり絵本が置いてあったりしますが、それだけでは飽きてしまうこともあります。
ですから、子供と外出するときは子供の好きな玩具や絵本をマイリュックに準備して持たせるなど、子供を飽きさせない対策を取るようにしましょう。
4かんしゃくを起こしても流されない
例えお店でヒートアップして泣き続けても、親は子供に流されないことが重要になります。甘えと甘やかしの違いが分からず子供の言いなりになってしまうと、子供は我慢することを家庭で学べず、我慢できない子供として次第に自信も失っていくことになりかねません。
怒鳴ったり、叩いたり、脅したりする必要はありません。ただ落ち着いて受け入れなければ、子供は次第に「何をしても買ってもらえない時がある」と学んでいきます。
また周囲への迷惑が気になる場合は、車の中や会場の外などの人気のないとこりに連れていき、こどもが自分で気持ちをコントロールするのを待ちましょう。
5我慢ができたらしっかりと褒める
我慢ができた場合は、大げさなぐらいしっかり褒めてあげましょう。子供は親にしっかりと褒められることで我慢することを学んでいきます。
勿論、最初はスムーズに言うことは聞いてくれませんが、何度も繰り返すことで前頭葉も鍛えられ、徐々に子供が我慢をすることを身に着けていきます。
6「ダメ」は最終手段に
「ダメ」「我慢しなさい」と頭ごなしに押し付けるのは、その場しのぎの対応にしかなりません。頭ごなしに我慢させるのは最終手段と考えましょう。
我慢できない子供には沢山話して一緒に解決策を探す姿勢が重要です。その時、子供に「○○ちゃんはこう思うんだね」と共感してあげることを忘れないでください。意外と3歳児でも自分の気持ちを伝えることができ、きちんと納得できるものです。
必要な我慢と不必要な我慢
我慢と言っても、実は必要な我慢と不必要な我慢があります。「トイレに行きたい」と子供が言うケースで考えてみましょう。
例1:体調不良の子供が「トイレに行きたい」という場合
例2:嫌いな習い事の途中で子供が「トイレに行きたい」という場合
例1が不必要な我慢であり、例2が必要な我慢であることが分かります。
小さな子供が嫌なことから逃げる行為などは我慢させる必要があり、こういった場合はしっかり大人が対応をする必要があります。全て我慢させるのではなく年齢や状況も配慮しつつ、必要、不必要をきちんと周りの大人が見極めてあげたいものです。
我慢できる子と我慢する子
一見すると同じように感じますが、全くの別物です。
我慢する子は親に言われたから我慢をする子供のことを言い、我慢できる子は自発的に自分で考えて行動した子供のことを言います。
我慢できる子に育てることで、最終的に自分で考え感情をコントロールして行動できる子になりますので、小さいうちから繰り返し我慢する訓練をさせて、我慢できる子へとステップアップできるようにしていきましょう。
我儘は主体性が育ってきている証
幼児期の子供が我慢できないということは「自分はああしたい、こうしたい」と感じる「自我の芽生え」が順調に進んできている証拠です。つまり最初から全てを我慢できる子供はいないのです。
家族は手がかかり大変だと感じることもありますが、我慢できない経験を沢山した子供は、その分多くの問題を解決した経験を積み重ねることができるため、感情を上手にコントロールできるように育ちます。
今は人間力を磨いている時期です。子供の感情が上手にコントロールできるようになるまで何回も付き合うのには、親にも我慢や忍耐が必要になりますが、気が付けば我慢できる子供へ成長しています。
「何でうちの子は」と思わず、「主体性が育っているのだな」と感じながら子供と接することで、対する家族も少し楽になるはずです。(注4)
参考文献