子供の試し行動に関する記事

『子供の試し行動は愛を伝えるチャンス!大人がすべき対応』

「子供の試し行動かも!?」と思う問題行動が子供に見られたら、親の対応を見直してみましょう。幼児の典型的な試し行動や小学生に見られる事例などを紹介しながら、怒って辞めさせる弊害、我が儘になる心配、子供の健やかな成長を促す対応を解説します。

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子供の試し行動には愛で答えよう~ママ、気づいて!7つの対応

子供が悪いことをしつこく繰り返し、わざと親が困るようなことをすると、たとえ血を分けた親子同士であっても、子供の行動が理解できなくてイライラしたり、時には「自分の子供だけど嫌い!」と感情的になってしまったりすることもありますよね。ですが、それは子供にとっても同じ。子供は、周りの愛情を試すために困った試し行動をしてしまうことも多いんです。

今回は、親の愛情を疑いつつも愛情を求めてしまう子供の切ない胸の内や、典型的な試し行動の事例親としての正しい対処法など、子供の試し行動について詳しくご紹介していきます。

子供の試し行動とは

「子供の試し行動」とは、子供がわざと大人が困るようなことをして、大人の反応を見ようとする行動をさします。こうした試し行動は、2歳前後のイヤイヤ期以降に始まることが多く、大人に反発する行動と間違われやすいのですが、試し行動は子供の反発行動とは全く異なる、愛情確認行動です。

子供の試し行動は、程度の差こそあれどんな子供にもみられるのですが、里子などの家族の愛情に恵まれない子供や、ステップファミリーの子供が多く繰り返す傾向があります。そういった環境の子供は、さまざまなトラブルを心に抱えていて、親や周りの大人の愛情を疑い、面と向かって相手に「ボク(ワタシ)の子とが好き?」と聞くことができません。

そのために、わざわざ大人を繰り返し怒らせてその反応を見ることで、「自分に愛情を持っているか」「自分は何をしても受け入れてもらえる存在なのか」を知ろうとするのです。子供にとって大人から叱られることは、本来怖いこと、嫌なこと。ところが、試し行動を繰り返す子供にとって大人の怒りは、「相手の興味が自分に向いている」ということを実感できる、唯一の手段なのです。

幼児に多い7つの試し行動

試し行動と単なる反発を見分けるポイントは、つぎの3つの特徴があるかないかです。

  • 子供自身がその行動を「悪い」とわかっている
  • 大人の顔色を見ている
  • 大人の気を引こうとしている

子供の試し行動は、反抗期の行動のように成長に従って自然に改善されることはなく、親や大人の愛情が実感できるまで、次のようなさまざまな形で繰り返されます。

物を投げる

2歳前後の低年齢の児童の試し行動で最も多いのが、物を投げるという行動です。おもちゃでも、絵本でも手に持てる全てが気に入らないかのように、身の回りの物をなんでも投げたり、同じものを繰り返し投げたりします。それを拾って元に戻す周りの大人は、イライラしてしまいますよね。

物を壊す

物を壊すことも大人の関心を引きやすい、低年齢の子供に多い試し行動の特徴です。大人が見ている新聞や雑誌をビリビリに破いてしまったり、お兄ちゃんが苦労して作った積み木を倒してしまったり、掃除をしたばかりの床に飲み物や食べ物をぶちまけて、親が怒るかどうかをうかがっていることもしばしばありますよ。

泣き叫ぶ

小さな子供がおもちゃ売り場などで、「買って、買って!」とひっくりかえって泣き叫ぶ様子はお馴染みですが、幼児に多い試し行動として、手におえないほど泣き叫ぶことも多いです。どれだけ大人が諭しても、なだめても、一向に親の言うことを聞かず大泣きをして、大人の関心をかおうとしているのです。

噛みつく

泣き叫ぶ子供を抱っこしてあやそうと手を出した瞬間に、子供が試し行動で大人の手を噛むこともよくあります。「痛い!」と反応すると、さらに力を入れて離さなかったり、手で払われても繰り返して噛んだりなど、大人にすれば「一体どうして!?」と思うような、突飛な行動が多いのも、子供の試し行動の特徴です。

逃げる

問題行動を起す子供を指導しようとすると、子供が逃げるというケースも多いです。大人から完全に逃げおおせて、怒られないために姿をくらますのではなく、大人が追いかけてこられる程度の距離を保って逃げることが多い様子からは、「追いかけてきてほしい」という子供の愛情を求める心がうかがえます。

度をこしたわがままを言う

子供は欲求を抑えられずにわがままを言うものですが、試し行動での子供は「あれが欲しい」「これはイヤ」と、度を越したわがままをしつこく繰り返して、親や大人の忍耐力を試そうとします

大人が忍耐強くわがままに付き合ったからといって子供が満足するわけではなく、「わがままを言ったことで叱られて、より愛情を実感したい」という子供の思いが隠れていることが多いです。

注意されたことを繰り返す

こどもが4歳くらいいなって会話での意思疎通が十分できるようになってくると、一度注意されて悪いことだとわかっていることをしつこく繰り返す試し行動が多くなってきます。

わざわざ親や大人の顔を見ながら悪いことを繰り返すので、大人は「どうしてわかってくれないの!?」と憤ってしまいますが、子供は怒られることで大人の注意を惹きつけようとしているのです。

小学生でもあるある!子供の試し行動

子供の試し行動は、その子供が親や周りの大人の愛情を実感でき、安心するまで続きます。小学生になると言葉の表現力も豊かになってさらに憎まれ口をたたいて大人を試すようになりますし、力や身体能力もあがって、大人が行動を制御できないこともしばしばです。

先輩ママが体験した子供の試し行動の事例をご紹介しますので、自分の子供にも思い当たる行動がなかったか、振り返ってみてくださいね。

K・Y
38歳

なかなか試し行動がやみません

小学校2年生の女の子のママです。私は娘が生後6ヶ月で仕事に復職し、娘が小さい時は、昼間は保育園に、小学生に入ってからは放課後学童にお願いして、フルタイムで働いています。

そんな状況なので娘はちょっと寂しがり屋で、小さい頃は私が抱っこしている時に自分の帽子を遠くに投げて、「とってきて」といい、私がとってきて被せるとまた遠くに投げるという試し行動を繰り返すことがよくありました。不思議なことに、私以外の大人にはそういったことをやらないのですが…。

私も「これは娘の試し行動だな」と思って付き合ってきたのですが、最近また試し行動がひどくなり、スナック菓子やコップに入ったジュースをわざとひっくり返してみたり、湯船のお湯を手桶で廊下にぶちまけてみたりと、なかなか手に負えなくなってきています。

叱ったあとは素直に私に抱っこをせがんでしばらく大人しくなるのですが、なんだか波がありますね。学校のお友達とうまくいかないとかで、ちょっと不安な時は特にひどいです。

A君のババ
58歳

追いかけるのが大変!

娘が昨年シングルマザーになり、小学校3年生になる娘の長男、A君を放課後私が面倒を見るようになりました。私は娘を一人しか生んでおらず男の子の子育ては正直不安だらけで、A君もまた癇癪もちというか、何かと乱暴に振る舞う子なので、私がイライラとして怒ってしまうことも良くあり、二人の関係は決して良いものではありません。

先日もおやつを食べる、食べないで喧嘩をしたら、プイッと出ていってしまいました。しばらくすると外からA君の大きな泣き声が聞こえるので、事故にでもあったらと思って慌てて私が近所を回ったところ、A君は私の顔を見るなり逃げていってしまいました。なのに、大きな声で泣き叫んで私に居場所を知らせ、見つかればまた逃げていくということを繰り返すのです。

正直私も年なので、とてもじゃないけど大きな男の子を追いかけていく体力がありません。
娘は「お祖母ちゃんと仲良くなりたいんだよ」と言いますが、なかなか孫との距離が縮まらず、困ってしまいます。

子供の試し行動を怒ってやめさせようとする弊害

子供の試し行動は、親をホトホト困らせ、イライラさせるものですが、子供の行動をとめようとむやみに子供を怒ってしまうことは好ましくありません。親や大人が怒るだけでは、子供の心から大人への不信感を取り除くことはできませんし、子供の心は愛情を実感することができないので、試し行動が改善されることはありません。

そのままでは、思春期や大人になっても他人と愛情や信頼を交わすことができず、対人関係を構築できなくなってしまうことがよくあります。また、母子分離不安で不登校になることも…。

子供が試し行動をしているとき、子供の心は愛情を疑って不安になりながらも、「これぐらいは許される?」「ここまでやってはダメなの?」と、徐々に親や大人との距離を縮めようと努力をしています。親が子供の心を理解できずに感じる不安は、子供と同じものなのです。

好き勝手させるとワガママにならない?

子供の試し行動は受け入れた方がいいとはいいますが、「受け入れる」ことと、「子供の好きにさせる」ということは違います。子供の心が満足するまで行為を受け入れてあげるのは親として大事なことですが、子供にしてはいいけないことや危険なことを教えるのも、親の大事な責任ですよね。

子供の試し行動がエスカレートすると、大人が子供のわがままに振り回されてしまうことがあります。すると、最低限の指導ができなくなり、子供は自分の行動が良いことなのか、悪いことなのか判断できなくなってしまうのです。試し行動をしている子供は、「してはいけないこと」をしっかり理解しています。それをあえて指導しないのでは、子供は「怒られない=愛されていない」と思い込んで、行動がエスカレートしてしまうかもしれません。

試し行動を無視して好き勝手にさせることは、愛情を疑っている子供の心を絶望に突き落とし、あなたとの信頼関係の構築や愛着形成に重大な障害を与えます。子供の試し行動に対処する時は、ダメなことはダメとしっかり伝え、粘り強く子供に向き合っていきましょう。

ただし、里親の場合の試し行動と、実の子の場合の試し行動は、全く同じとは言えないでしょう。里親の場合は、とにかく赤ちゃん返りや試し行動が過ぎるまで、全て受け止めます。また、ステップファミリーの場合は、父親の協力が重要です。実の子であっても、母親が病気入院しているなど愛情不足を親が確認するような事情がある場合は、一時期子供の気持ちを汲み取り、受け止めてあげることが必要なケースもあります。

子供の試し行動に親がすべき7つの対応

親や周りの大人の愛情を試す行動をする子供への対応を考えたとき、傷ついてしまった子供の心のケアを優先させて考えていくことは当然のことですが、だからと言って子供自身の心や体の成長を妨げてしまってはいけません

「子供に嫌われたくないから」「もうこれ以上反発されてつらい思いをしたくないから」と、子供の試し行動に対して後ろ向きになってしまえば、お互いの関係を改善させることが困難になります。今はお互いにつらくても、近い将来は笑って抱き合えるように、試し行動が激しい子供へは、次の点に注意しながら対応をしていきましょう。

子供の行動にビクビクしない

子供の試し行動にはハッタリでもいいので「あら、これぐらいなんでもないわ!」という大人の余裕を見せて、子供の不安を解きほぐしていきましょう。

子供が大人をわざと怒らせるような行動をする時、子供自身は「こんな事をやっても、好きでいてくれる?」と内心不安な思いをしています。わざと大人が嫌がる顔をすることを繰り返す背景には、大人を信用できてないことによる強い不安があるのです。ですから、大人が子供の顔色をうかがい、やられたことに大騒ぎして動揺すれば、子供はさらに大人を信用できなくなり、不安が強くなってしまいます。

毅然と対応する

子供の試し行動の中には、物を壊す、暴れて他人を傷つけるといった社会通念上してはいけないことが多いです。こういった悪い行動を許してしまうことは、親として好ましくありません。親は、未熟な子供を守り導く存在。試し行動だとわかっていても、悪いことは悪いのです。してはいけない事には「NO!」と毅然と対応しましょう。

こういった大人の毅然とした態度に、最初は子供も反発しますが、めげてはいけません。何度か繰り返すうちに、子供は「自分のことを本気で怒ってくれるのだ」と気付き、親や大人の愛情に目が行くようになってくれるはずです。

ただし、怒鳴ったり叩いたりする必要はありませんよ。長々と説教するのも逆効果。「その行為を私は許しません。それは許される行為ではありませんよ!」という、大人の毅然とした意志を、子供は大人の目つきや落ち着いて凛とした口調から感じ取ることができますので、すぐに態度が改善されないから伝わっていないと決めつけず、長い目で毅然とした態度を貫きましょう。

必要以上に甘やかなさい

試し行動をする子供は甘やかして欲しいのではありません。親や大人のごく普通の愛情、誰もが味わえるような優しさが欲しいのです。子供が満足するように、特別視ではなくごく普通の、当たり前の扱いを心がけましょう。

「愛情をかける」ということを、子供を甘やかして何でもいうことを聞いたり、子供の欲しがるものを際限なく与えたりすることと勘違いしてしまうパパやママもいますが、愛情を疑っている子供を必要以上に甘やかす行為は、「物で自分を懐柔しようとしている」という疑念を、子供に植え付けてしまいやすいです

子供の嫌がることは強要しない

試し行動に対して毅然とした態度をとることは、むやみに子供を厳しくすることではありません。「○○したくない!」という自己主張は、一見子供のワガママと捉えられてしまいがちですが、親の様子をうかがったり、わざと繰り返したりする素振りがなければ、無理強いをしないで「今度やってみようね」と子供の気持ちも受け入れて、次回につなげていきましょう。

試し行動がなかなか改善されない子供は、強い不安やストレスを抱えてします。そんな糸がピンと張った状態の時に無理を重ねてしまうと、心身共に負担が大きくかかってしまい、鬱病などを発症してしまう恐れもありますので、可能であれば子供の嫌がることは強要せず、子供の負担を軽くしてあげることが大切です。

「ダメ!」よりも「ダメ?」を上手に使う

子供の試し行動は親や大人にとっては理不尽なことで、ついついイライラと「○○してはいけません!」とダメばかりを連発してしまいがちですが、実はこれ、子供を喜ばせてしまって、行動にブレーキを掛けられない原因の一つなんです。

物は言いよう。否定する言葉を使うよりも、誘いかける言葉に変えたほうが、断然子供は言うことを聞くようになってくれますよ。

例えば、「○○してはいけない」をひっくり返して、「△△してくれないかな?」と誘いかける言葉に変えることで、子供はそれまでにない「自分は必要とされている」と思えるようになり、意欲的に親や大人のいう事を聞けるようになっていきます。

根気強く付き合う

年齢が高くなった子供の試し行動の裏側には、長年積み重なってしまった親や周りの大人への疑いや不安などがあり、一朝一夕に改善されることはありません。子供に反発されて困らされると、大人は辛くてストレスが溜まりますが、大人があきらめてしまったら、子供の不信感はさらに募ってしまいます

試し行動で大事なのは、大人があきらめないで根気よく子供の困った言動につきあうこと。イラッとしたときは、一つ深呼吸をして心を落ち着けて、子供にあきらめない姿勢を見せて安心させてあげましょう。

良いところは積極的に褒める

試し行動をする・しないにかかわらず、子供を育てるために一番良い方法は、積極的に子供を褒めることです。特に試し行動をする子供は、自分への愛情に自信が持てず、常に「こっちを向いて欲しい」「認められたい」と願っていますので、子供が良いことをした時は少し大げさなくらいでいいので、たくさん褒めてあげましょう。

子供の良いところを見つけて褒めるだけでなく、子供がお手伝いをしてくれた時や言うことを聞いてくれた時に、「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えることも大事ですよ。こういった子供を伸ばすやり取りを続けていくと、子供は安心して、自分が愛されていることを受け入れていくことができるようになります。

子供の試し行動も成長の過程の一つ

子供が親の愛情を疑っている、愛情を試していると知ってしまうと、親は「こんなに愛しているのに、どうしてわかってくれないの?」なんて不安に思うかもしれません。ですが、大人が子供の心を完全に理解できないように、子供に大人の愛情が伝わらないことは、決して珍しいことではないんです。

子供の試し行動は、特別な環境に置かれた子供だけがおこす行動ではなく、すべての子供に見られる成長一過程です。むしろ、子供の情緒が順調に成長し、目に見えない感情を感じ取れるようになった成長の証しでもありますので、子供に愛情を伝えるチャンスと捉え、不安に思わず冷静に子供の試し行動に対処していけるといいですね。

この記事を書いたライター

羽根田るみこ

第一子から15年間保育園に通い続け、まだまだ記録更新中です!