離乳食のぶりはいつから?生後9ヶ月の後期からスタート
離乳食でぶりを与え始める時期は、生後9か月の後期からとなります。魚は身や皮の色によって離乳食で開始する時期が異なります。
離乳食の魚を「白身魚→赤身魚→青皮魚」の順に進めていくことは厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド(改定版)」にも記されていますが、ガイドや育児本には具体的な魚の種類が記されていないことが多く、「ぶりは白身?赤身?青皮魚?」と種類が分からず悩んでしまうママが多いでしょう。(注1)
身が白い魚は白身魚、身が赤い魚は赤身魚に分類され、赤身魚の中でも皮が銀色や青い魚を青皮魚と言います。赤身魚の一部が青皮魚なので見た目だけでは混乱しやすいのですが、ブリやアジ、サンマ、イワシなどの小型の赤身の魚は青皮魚に分類されるものが多いです。
また、離乳食中期から開始できる身が赤いのに白身魚の鮭、ツナ缶の原材料としても知られているカツオやマグロなどが分類される赤身魚に比べると、ブリはやや脂肪分が多いです。ですから、ぶりは白身魚やカツオ・マグロなどの赤身魚を一通り食べた後、離乳食後期になってから与えるようにしましょう。
離乳食のぶりは鮮度に注意して選んで!購入後もすぐ冷蔵庫へ
ぶりは鮮度が落ちると離乳食だけでなく、大人でも誰でも体調を崩しやすい魚です。特に体力が乏しい赤ちゃんや幼児は体調を崩しやすいので、購入時は新鮮なぶりを選び、購入後もすぐに冷蔵庫で冷やして常温で出しっぱなしにせず、手早く調理しましょう。
ぶりに含まれる赤ちゃんに嬉しい4つの栄養
離乳食では色々な食材からバランスよく栄養を取り入れたいもの。特に離乳食後期になってくると母乳やミルクからだけでは栄養が不足しますので、離乳食からの栄養摂取がより大切になります。ぶりには後期以降の赤ちゃんに不足しがちな栄養素を補うのにうってつけの食材です。
1ビタミンD|最近の乳幼児への不足が指摘されている栄養素
赤ちゃんの歯や骨が丈夫に成長するために必要なカルシウム。急成長する離乳食期に不足しがちな栄養素の一つでもありますね。ぶりに含まれているカルシウムは100gで5~6g。これでは乳幼児に一日に必要なカルシウムの足元にも及びません。
ところが、ぶりにはカルシウムの吸収率を高めるビタミンDが豊富に含まれているのです。ですから、カルシウムが豊富な乳製品などと一緒に食べさせることで、効率的にカルシウムを摂取することができますよ。
2鉄分豊富|血合いには特に豊富
ぶりの身の皮の近くにある赤茶色の部分を「血合い」と言いますが、この血合いには鉄分が豊富に含まれているんです。離乳食期の赤ちゃんは貧血になりやすく、離乳食で鉄分を意識的に摂ることがとても大切。
鉄分と言えばレバーを思い浮かべるママが多いのですが、レバーは過剰摂取に気をつけなければならないため、レバーに偏らず赤身肉や魚の血合いの部分も上手に離乳食にとり入れて、赤ちゃんに鉄分をしっかり摂取させてあげましょうね。
ただし、血合いの臭みが気になって食べたがらない赤ちゃんもいますので、嫌がる場合は無理せずに様子を見ながら少しずつ混ぜてみましょう。
3たんぱく質|赤ちゃんに欠かせない栄養素
赤ちゃんがタンパク質不足になってしまうと健全な成長を遂げられなくなる恐れがあります。そのため、離乳を進めながら月齢にあった量のたんぱく質を意識してとらせる必要があります。
スーパーなどで手に入りやすいブリは、離乳食期のたんぱく源としてとり入れやすい食材ですね。
4DHAやEPA|粉ミルクにも入っている栄養素
魚にはDHAやEPAが豊富に含まれています。DHAやEPAは体にいい油としても知られていますが、実は粉ミルクにも入っているので離乳食では意識してとらせましょう。
離乳食向きの新鮮なぶりの選び方
ぶりの旬は12~2月。寒い季節には一年中手に入る養殖物のぶりではなく、「寒ぶり」と呼ばれる天然物の脂がのって身が引き締まった美味しいぶりを食べることができますよね。
生鮮食品である魚は鮮度が大切ですので、離乳食用のぶりを選ぶ時は身の色やハリをしっかりと見て選びましょう。
新鮮なブリを見分ける方法
- 血合いが鮮やかな赤色
- 身は透明感があるピンク色
- 切り口に張りがある
血合いが黒っぽくなっているぶりや切り口にプリプリとした張りがなくパックの中に水分がたくさんでてしまっているぶりは鮮度が落ちています。
また身が白いぶりは脂が多く、ぶりの脂は体にいい油ではありますが脂っこくてあまり離乳食向きではありません。
離乳食のぶりの下ごしらえと冷凍保存
離乳食後期~完了期に与えるたんぱく質の量は魚の場合1食15~20g。離乳食に使うぶりは少量ですので、1回の献立分だけのぶりを購入することはできませんね。残ったぶりは常温に放置せずにすぐ冷蔵または冷凍保存しましょう。常温に放置するとヒスチジンがヒスタミンに変換されやすくなるため食中毒を発症しやすくなります。
また、10℃以下の冷蔵庫内でもヒスタミンに変換されることがあるため、購入したらできるだけ早く冷凍するか食べるようにしましょうね。
一度ヒスタミンが蓄積したぶりは加熱してもヒスタミンが分解されないため、ヒスタミン中毒を発症する恐れがあります!鮮度が落ちたぶりは食べずに処分しましょう
ぶりの下ごしらえ
ぶりの骨は大きいのでサンマやアジなどに比べると取り除きやすいのですが、離乳食用におすすめしたいのは下ごしらえが楽なお刺身用のぶり。皮と骨を取り除く手間を省くことができますよ。
ぶりは臭みが気になりやすい魚ですので下ごしらえとして調理前によく塩を振りますが、離乳食ではあまり塩を使いたくありませんよね。そのため下ごしらえとして調理前に一工夫して臭みを減らすことが美味しく仕上げるコツ。ひと手間を加えることで塩をつかわなくてもぶりの臭みが減り、あかちゃんが食べやすい離乳食になりますよ。
ぶりの臭みを減らす方法
調理前に3秒流水で表面を洗い、キッチンペーパーですぐに水分を拭き取る
また離乳食に使用する場合は余分な脂肪や臭みを取るために、沸騰したお湯で下茹でしてから使うことも大切です。
ただし、茹で時間が長すぎるとDHAなどの栄養素も流れてしまいますし、身がパサパサになって赤ちゃんが食べにくくなりますので注意しましょうね。
火の通りが不安な場合は完成後にレンジでチンしたり、片栗粉をまぶしてから下茹でしたりすると美味しく仕上がりますよ。
ぶりの電子レンジでの下ごしらえ
耐熱皿にお刺身用のぶりを一切れ置いたら、大さじ1の水を振りかけて30秒程度加熱するだけ!ただし、電子レンジの機種によって加熱時間に違いがありますので、様子を見ながら加熱時間を調節しましょうね
離乳食のぶりの冷凍と解凍
ヒスタミン生成菌は冷凍すると安定するため増えませんが、解凍すると働きが活発になりヒスタミンを増やしてしまいます。そのため常温で解凍するのはNG!1回分に小分けして冷凍し、冷蔵庫の中で使う分だけを解凍しましょう。一度解凍したものは再凍結せずに使い切りましょうね。
【離乳食のぶり】段階別おすすめレシピ
ぶり大根やぶりの照り焼きなど、ぶりと言えばご飯が進む献立が思い浮かびますね。ぶり照りなど大人向けに思えるメニューも、少しアレンジすれば離乳食として美味しく食べさせてあげることができますよ。
【離乳食後期】ぶりレシピ
離乳食後期になると「そろそろ手づかみ食べを練習させてみようかな」と考えるママが増えますが、ぶりをそのまま出すと身が崩れて手づかみが難しいですね。そこでおすすめしたいのがぶり団子。団子にしておくと赤ちゃんが手づかみ食べしやすいですよ。
こちらでは、手づかみメニューのおすすめぶり団子のレシピと、取り分けメニューのおすすめぶり大根のレシピをご紹介します。
ぶり団子のレシピ
材料:ぶり40g、卵1/4個、ほうれん草10g、片栗粉小さじ2
※作りやすい分量(2~3食分、6個程度)
- 臭み取りをしたぶりを下茹でし、すり鉢などでフレーク状にする
- ほうれん草の葉の部分を茹でたら、水にさらしてアク抜きしてみじん切りにする
- ボウルに全ての具材を入れてよく混ぜる
- 小判状に丸め、フライパンで両面を焼く
ぶり大根のレシピ
材料:ぶり15g、大根30g、昆布だし200cc
- 臭み取りをしたぶりを下茹でし、食べやすい大きさにほぐす
- 大根は皮をむいて食べやすい大きさに切り、柔らかく茹でる
- お鍋に昆布だしを入れて加熱し、1のぶりと2の大根を加えて味をなじませる
【離乳食完了期】ぶりレシピ
離乳食も完了期になると大人のメニューに近づきますが、まだまだ濃い味付けの物を食べさせることはできません。調理酒の使用はまだ早いので、美味しいぶりの照り焼きにはノンアルコールで赤ちゃんにも飲める甘酒を使用するのがおすすめ。
ぶりのしゃぶしゃぶ鍋なら素材をそのまま離乳食に使えますが、赤ちゃんにはしゃぶしゃぶではなく、しっかりと加熱したぶりを食べさせてあげましょうね。
こちらでは、甘酒を使ったぶりの照り焼きのレシピと、ぶりのしゃぶしゃぶ鍋からの取り分けでできるぶり鍋のレシピをご紹介します。
ぶりの照り焼きのレシピ
材料:ぶり20g、ノンアルコールの甘酒、しょうゆ少々
- 臭み取りをしたぶりを食べやすい大きさに切り、熱湯で下茹でする
- フライパンを熱してぶりを入れ、甘酒としょうゆをふりかけて両面を焼く
※くっつくフライパンの場合は、表面にキッチンペーパーで薄く油を敷いてから焼きましょう
ぶり鍋のレシピ
材料:ぶり15g、大根・人参・白菜などの野菜40~50g、水500cc、だし昆布
- 鍋に水とだし昆布を入れておく
- 臭み取をしたぶりを食べやすい大きさに切り、下茹でする
- 大根・人参・白菜を食べやすい大きさに切る
- 鍋の昆布だしを火にかけて沸騰直前に昆布を取り出し、野菜を入れて柔らかく煮る
- 最後にぶりを入れて加熱する
参考文献