里芋はいつからOK?離乳食にピッタリの効能5つと段階別レシピ
離乳食作りに使う食材の中でも里芋は、加熱するとつぶしやすくちょっとしたコツをつかめば大活躍する食材の一つです。縄文時代に日本に伝わり、稲作が始まるまでの日本人の主食として食べられていたという説があるほど、歴史も持っているんですよ。「ぬめりが苦手で調理したくない…」と思っているママ、栄養もたっぷりですので使わないのはもったいない!
そこでこちらでは、秋が旬の里芋はいつから離乳食で与えられるか、食物不耐症、赤ちゃんへの効能、下ごしらえや保存のコツ、段階別離乳食レシピをご紹介します。
赤ちゃんに里芋はいつから?食物不耐症に注意
里芋を調理中にかゆくなったことがあるママは、赤ちゃんに里芋を食べさせるのに不安を感じますよね。逆に、軟らかいので離乳食初期から与えたくなるママもいるでしょう。確かに里芋は軟らかく赤ちゃんには食べやすい食材ですが、肌が赤くなり、かゆみが出ることがありますので、初期は控えて生後7ヶ月以降の中期から与えた方がよいでしょう。
里芋には「アセチルコリン」という、アレルギー症状を起こす仮性アレルゲンが含まれています。里芋による皮膚のかゆみや赤みは、食物アレルギーではなく「アセチルコリン」による食物不耐症、つまり中毒がほとんど。食物不耐症は鮮度が落ちると起こりやすいので、里芋は買ったらできるだけすぐに調理しましょうね。
食物不耐症のもととなる仮性アレルゲン
- ヒスタミン
肉類、青魚(サバ・さんま・マグロなど)、ほうれん草、トマト、ナス、発酵食品(醤油やみそなど)
- アセチルコリン
タケノコ、トマト、ナス、ソバ、山芋、里芋
- セロトニン
トマト、アボガド、バナナ、パイナップル、メロン、キウイ
食物アレルギーの場合、体内に侵入した食品に免疫システムが過敏に反応して起こりますが、食物不耐症は食べ物そのものの作用で起こる反応。里芋による反応を食物アレルギーと勘違いするママが多いのですが、どちらかは検査しないと分かりにくいです。症状が長く続く場合は食物アレルギーの可能性が高いのですが、どちらにしても症状が出たら小児科医に相談しましょうね。
里芋を食べた赤ちゃんへの5つの効能
里芋はイモ類の中でも特に低カロリーですが、栄養価が高い食材。与え始める時期に気を付ければ、肥満気味の赤ちゃんでも安心して食べられますね。もちろん、産後ダイエット中のママにとっても嬉しい食材。一体、赤ちゃんにどのような効能があるのでしょう?
1熱中症予防!カリウム
里芋にはカリウムが豊富に含まれています。カリウムには摂りすぎた塩分(ナトリウム)を体の外に排出するといった、体内のナトリウムバランスを整える働きがありますが、カリウムが不足して体内のナトリウムが多くなってしまうと、喉が渇いたり、むくんだり、血圧があがったりし、血圧や腎臓、心臓などの病気になってしまいます。逆に、ナトリウムが不足すると、脱水症状や食欲不振、精神障害、意識低下、循環不全などの危険な状態を引き起こす恐れも…。
カリウムが過不足のない一定のナトリウムバランスを保つことで、赤ちゃんは健康を維持できますが、カリウムが不足するとナトリウムバランスを崩し、体調不良を引き起こしてしまいます。赤ちゃんは代謝がよく汗っかきのため、おしっこや汗と一緒にカリウムが体外に排出されて不足しがち。熱中症や脱水症状予防のためにも、夏場は特に水分補給だけでなく、里芋などの離乳食でしっかりカリウムを補給するようにしましょうね。
2便秘解消!食物繊維
里芋のあのネバネバには、水に溶けやすい水溶性食物繊維が含まれていて、粘膜を保護して胃腸の機能を高める働きがあり、ガラクタンには、腸の働きを活発にして便秘を改善する働きがあります。
離乳食期の赤ちゃんは便秘になりやすく、悩んでいるママも多いですよね。水分と食物繊維を多く含む里芋を積極的に離乳食に使い、赤ちゃんの便秘解消に役立てましょう。
3貧血予防!葉酸や鉄、銅
里芋には鉄分と葉酸、銅が含まれており、貧血予防には最適なのです!鉄分は、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンになるため、貧血予防に大切な栄養素であることは広く知られていますよね。鉄分が不足すると、体全体に十分な酸素が運ばれなくなり、赤ちゃんに元気がなくなったり、顔が青白くなったりする貧血症状を引き起こしてしまいます。
一方、葉酸や銅で貧血を予防できることは、あまり知られていませんよね。実は、葉酸は血液中の赤血球を作る大切な栄養素であり、銅はヘモグロビンを作るために、鉄を必要な場所に運ぶ役割をしているのです。鉄があっても銅が不足していると貧血になってしまいますので、偏った栄養素ではなく、バランスよく離乳食から栄養を取り入れるようにしましょうね。
4脳を活性化!ビタミンB1、B6
脳の栄養となるブドウ糖をエネルギーに変えるビタミンB1と、神経伝達物質を作るビタミンB6。この二つの脳の働きに不可欠な栄養素が、里芋には豊富に含まれています。ビタミンB1には、脳の神経細胞を活性化させる働きもあります。
赤ちゃんにビタミンB1やビタミンB6が不足すると、脳の働きが悪くなり、赤ちゃんはイライラしたり、怒りっぽくなったり…。すると、機嫌が悪くグズる赤ちゃんのお世話で、ママはさらにヘロヘロになってしまいますよね。ですから、赤ちゃんの脳の働きを正常に保つためにも、里芋を離乳食にとりいれて、しっかり食べさせてあげましょうね。
5味の違いが分かる子になる!亜鉛
味は、舌の表面にある味蕾(みらい)という部分で感じとっていますが、亜鉛が不足すると味蕾を新しく作り出すことができなくなります。発達段階の赤ちゃんの味蕾をきちんと育てるためには、離乳食で亜鉛を食べさせることが必要不可欠。
亜鉛は細胞の生まれ変わりに関わる大切な栄養素でもあり、免疫力をアップして体を強くしてくれる効能もありますので、里芋の離乳食できちんと亜鉛を摂取させてあげたいですね。
里芋の下ごしらえや保存方法
里芋は、あの独特のぬめりから、皮がむきにくい食材ですよね。調理を避けているママも多のではないでしょうか。でも、加熱することでツルリと簡単に皮が剥けるんですよ。こちらでは電子レンジを使った簡単な下ごしらえの方法や、保存法をご紹介します。
電子レンジでの簡単下ごしらえ
生の里芋の下ごしらえは、ぬめりによってすべることによる皮の向きにくさだけでなく、皮をむく時に感じるかゆみも調理時の不快感の原因ですよね。このかゆみは、シュウ酸カルシウムの結晶が針状のため、皮膚が刺激されて起こるのです。
かゆみは手に酢水をつけて下ごしらえすることである程度抑えられるのですが、もしかゆみが出ても水で洗えばなくなりますので心配はいりません。里芋で作る離乳食の下ごしらえをする場合は、電子レンジで加熱して下ごしらえすれば、簡単に皮がむけますし、かゆみも出ませんよ。
電子レンジで簡単!里芋の下ごしらえ
- 泥を洗い流し、皮のままフォークで数か所穴をあける
- 耐熱容器に入れてラップをかけ、600wの電子レンジで1個につき1分ほど加熱
- 加熱後、ボールに入れて流水で急激に冷やし、アク抜きをしながら皮をむく
※加熱時間は里芋の大きさや、同時に加熱する数により異なりますので、時間を調整してください
里芋の保存方法
里芋は、乾燥や低温に弱いので冷蔵庫での保存には向いていません。そのままで保存する場合、適度な湿り気を逃がさないよう、泥がついたまま紙袋に入れたり、適度に湿った新聞紙で包んだりして、日の当たらない風通しのいい場所に保存するようにしましょう。傷みやすいので、2~3日で使い切るようにしましょうね。
離乳食など少量しか使わない場合、できるだけ買ってきてからすぐに下ごしらえをして冷凍保存しておくと便利です。その際、次のような離乳食の段階に応じた方法で里いもを保存してください。
- 下ごしらえした里芋の水分をキッチンペーパーで拭きとってから、冷凍用保存袋で冷凍保存
- 下ごしらえ後につぶした里芋を、製氷皿に入れてラップをして冷凍保存
- 下ごしらえ後につぶした里芋を、冷凍用保存袋で薄くのばして冷凍保存
【里芋の離乳食】段階別おすすめレシピ
里芋でつくる離乳食は、皮つきのものを買うのもいいですが、子育て中は冷凍里芋を使っても便利です。すりつぶしてポタージュ、マッシュにしてサラダやグラタンなど、なかなか買い物に行けないママも手軽に利用できますよ。
【離乳食中期】里芋レシピ
離乳食中期は歯ぐきで押しつぶして食べるように練習する時期ですが、里芋は粘り気が強く、赤ちゃんが飲み込みにくいので、中期でもすりつぶしてから与えるようにしましょうね。この時、赤みが出ないか様子を見ながら与えていきましょう。
今回は、電子レンジで下ごしらえをした里芋を、マッシュして作る簡単ポタージュの作り方をご紹介します。赤ちゃんへの牛乳は生後8ヶ月~となりますので、生後7ヶ月までは豆乳や粉ミルクを使って作るとよいでしょう。また、伸ばす豆乳を少なめにすると簡単ホワイトソースになるので、シチューやグラタン、ドリアといった料理にも応用できますよ♪
里芋のポタージュのレシピ
材料:里芋15g、豆乳(調乳済みミルク、または牛乳)大さじ2
- 下ごしらえ済みの里芋を、かたまりがなくなるまで潰す
- 鍋に1と豆乳を入れ、よくなじむまで混ぜながら弱火でひと煮立ち
【離乳食後期】里芋レシピ
離乳食後期になると加熱した里芋の柔らかさならば、モグモグと食べられるようになりますので、里芋をさいの目状に切って出してあげましょう。ただし、のどに詰まらせないように、他の食材同様に大きさには注意してくださいね。大人用の煮物を味付けする前に、赤ちゃん用の里芋だけを取り出し、マッシュして与えてもOK!
こちらでは、電子レンジでできる簡単ホワイトソースを使った、グラタンのレシピをご紹介します。里芋をマッシュして混ぜるだけなので手間もかかりません。ツナとチーズの味がしっかりとしているため、味付けも不要。里芋をマッシュをせずに輪切りにする、大人用のおかずにもピッタリなレシピです♪
里芋とツナの豆乳グラタンのレシピ
材料:里芋30g、ツナ10g、粉チーズ適量、パン粉適量、豆乳50㏄、小麦粉大さじ1
- 下ごしらえした里芋を粗くつぶす
- ボウルに豆乳と小麦粉を入れて混ぜ、ラップをして電子レンジ500wで1分間加熱
- ツナは湯通しをしておく
- 耐熱皿に里芋とツナを混ぜて入れ、ホワイトソース、粉チーズ、パン粉をかけて180℃のオーブンで8分加熱
※ホワイトソースはとろみがつくまで20秒ごとに様子を見ながら加熱。ラップに箸で穴をあけると破裂しません。
【離乳食完了期】里芋レシピ
1歳を過ぎたら、大人の食事を食べる練習をする時期です。指先の動きが発達していくので手づかみ食べができるような、おやきなどを作ると喜びますよ。また、おやつが必要になる時期ですので、里芋を蒸して皮をむいたものをそのまま与えてもよろこびますよ。ただし、熱いまま与えてヤケドをさせないように注意しましょうね。
今回は、手づかみ食べができる里芋を使った簡単コロッケの作り方をご紹介します。鶏肉の代わりにツナなどを使ってもOK!パン粉を付けずにそのまま焼いたら、おやきにもなりますよ。家にある食材を使って調理してくださいね。
里芋のコロッケ
材料:里芋40g、鶏肉ミンチ10g、水で戻したひじき小さじ1、コーン小さじ1、パン粉適量、油適量
- 里芋を下ごしらえしてマッシュする
- 鶏肉のミンチと水で戻したひじきをフライパンで軽く炒める
- 1に2とコーンを入れ、食べやすい大きさにまとめる
- パン粉を薄くまぶして、熱したフライパンに油をひき、両面に焼き色がつくまで焼く