妊娠中の引っ越しで知っておくべき時期と手続き
出産という人生の一大イベントを控えている妊婦さんですが、その前に引っ越しという大きなイベントを乗り越えなければならない事態になることもあります。引っ越しくらいと簡単に考えてしまいがちですが、家の中のすべての荷物を引っ張り出し、新しい生活を始める環境を整える作業は想像以上に大変です。
ここでは、妊娠中に望ましい引っ越し時期や引っ越しの際の注意点、母子手帳のことなど妊娠中の引っ越しに必要な手続きについて詳しくまとめてみました。妊婦さんの身体に気をつけてストレス無く安全に引っ越しがおこなえるように、前もって心構えができていると安心ですよ。
妊娠中の引っ越し時期はいつがいいの?
妊娠中の引っ越しはできれば避けたいものですが、旦那さんの仕事の都合などでどうしても引っ越ししなければならないときもあります。引っ越し時期を選ぶことが可能なら、安定期に入る妊娠5ヶ月~8ヶ月がおすすめです。つわりにより体調が不安定な妊娠初期や、また臨月に入る妊娠9ヶ月は避けたほうがいいでしょう。
引っ越し時期の調整が無理で、妊娠初期や妊娠9ヶ月以降に引っ越しをしなければならない場合は、引っ越しは旦那さんにすべて任せて、自身はしばらく実家に住ませてもらうというのも一つの手です。その場にいると口も手も出したくなり、妊婦であることを忘れて動き回ってしまいます。思うように動かない身体と、自分ではちょっとの動きと思っているつもりの引っ越し準備が、身体には大きなストレスとなる場合があります。対岸の火事くらいの気分で、実家でのんびり過ごすと良いですね。
妊娠中の引っ越しの注意点
結婚してから初めて引っ越しする人は、独身時代の手軽な単身引っ越しのイメージが強く、何が大変で何が身体に負担がかかるのかを、ちゃんと理解している人はあまりいません。妊娠の身体は普通の状態とは違うので、気をつけなければならないことも沢山あります。ここでは妊娠中の引っ越しの注意点についてみていきましょう。
費用をケチろうと頑張りすぎない
業者に任せる事柄が多ければ多いほど引っ越し費用は嵩みますが、妊娠中なら多少の金額アップは仕方のないこと。健康はお金には代えられないので、費用を浮かせようと自分で何もかもしてしまおうとするのはやめて、すべて業者に任せるくらいの気持ちで引っ越しに望んで下さい。
女性スタッフがいる業者に頼む
引っ越しと言うと力仕事のイメージから男性スタッフばかりだと思いがちですが、最近では男性にはできないきめ細やかなサービスのできる、女性スタッフを常在している引っ越し業者もあります。妊娠中の引っ越しはほとんど業者任せになるので、女性スタッフがいると台所用品や、女性特有のデリケートなものなどの荷造りを安心して任せられます。
重いもの・大きいものは持たない
基本的に荷物は業者に運んでもらいますが、ちょっと物を移動させたいときなど、「少しだけなら」と自分で重いものや大きいものを動かそうとしてしまうこともあります。妊娠中の引っ越しは、王様のように自分で手は出さず、口だけを出してスタッフや旦那さんをコキ使うようにすると良いですよ。
荷造りは身の回りの物にとどめる
妊婦なので何もしなくていいと言われても、周りがせわしく動いていると、自分も動いていないと落ち着かなくなりますよね。そんなときは、衣類や小物など身の回りの細かいものを自分で荷造りするようにしましょう。ただし、あくまで基本は業者任せで自分は「お手伝い」するくらいの気持ちでいると良いですよ。
疲れたら必ず休憩をとる
妊娠中は自分で思っているよりも疲れやすいもの。「さっき休んだばかりなのに」と思うときでも、疲れたと感じたら必ず休憩をとるようにしましょう。車の中や荷物の出し入れがない部屋など、横になれるスペースを前もって確保しておきましょう。暑い季節はこまめに水分補給することも忘れずに。
妊娠中に引っ越す際にすべき手続き
引っ越しの際にはさまざまな公共の手続きが必要とされますが、妊娠中は母子手帳や妊婦健診の補助券などのために、一般的な引っ越しに関する手続き以外に、さらにしなければならない手続きが増えます。どのような手続きがあるのか前もって知っておいて、引っ越し前にできるものから片付けておくと、引っ越ししてから慌てずにすみますよ。
母子手帳への新しい住所の記載
母子健康手帳とも呼ばれる母子手帳は妊婦さんの必需品ですが、母子手帳をもらうときにお住まいの市町村に届け出たことが記憶に新しい人もいるのでしょう。そのため、引っ越しして住んでいる市町村が変わると、母子手帳を引越し先で再交付してもらう必要があるように感じてしまいますが、その必要はありません。
母子手帳の表紙は市町村によってさまざまなデザインがありますが、内容は全国共通です。引っ越し先でもそのまま使えるし、住所変更届などを提出する必要もないのです。ただ、母子手帳の1ページ目にある居住地欄に、新しい住所を追記することを忘れないようにしましょう。
母子手帳は妊娠経過や胎児の様子を記録する役目だけでなく、妊婦の名前やパートナーの名前、生年月日や居住地、連絡先などを記載することができるので、緊急時に他の医療機関にお世話になるときにも役に立ちます。妊婦さんは常に携帯しておくことはもちろん、住所や連絡先などを正確に記載しておく必要があります。もらいっぱなしで「一切内容を見たことが無い!」という人はいないと思いますが、もう一度確認しておきましょう。
妊婦健康診査受診票(助成券)の交換
「妊婦健康診査受診票」と聞くと耳慣れない単語ですが、「補助券」と聞くと分かる人もいるでしょう。妊婦健康診査受診票は補助券のことで、これを使用すると妊婦健診の際に妊婦健康診査助成金制度により妊婦健診の費用が市町村から助成されるのです。しかしここで注意したいのは助成の内容は市町村によって異なるということです。
助成の内容が市町村によって違うため、母子手帳は他の市町村に移ってもそのまま使えるのですが、補助券は使うことができません。引っ越し先の市町村に転入届を提出する際に、妊婦健診費用助成の申請を再度行うことが必要で、その際は必ず母子手帳と引っ越す前に使っていた補助券を持参するようにしましょう。
転院の手続き
引っ越し先が遠いことで、今まで妊婦健診で通っていた産婦人科に通院できなくなるなら、引っ越し先から通える距離の産婦人科に転院しなければなりません。そこで、どのような手順で転院の手続きをしていけばよいのか、産婦人科選びから新たな産婦人科を受診するまでを詳しくみていきましょう。
1新しい産婦人科を探す
引っ越し前に通院していた産婦人科も、最初は情報や口コミを集めてよく吟味して選んだ病院だと思いますが、その病院を選んだときに自分が重視していた条件や、実際に通院してみて考えが変わったことなどを参考に、新たに信頼できる産婦人科を探しましょう。知らない土地での産婦人科探しは大変ですが次のようにポイントを絞ると良いですよ。
引越し先の産婦人科探しのポイント
- 家からの距離は重視せず、病院内の雰囲気やスタッフの印象を重視する
- 妊娠トラブルがある場合、その出産リスクに対応できる医療設備が整っているかどうか
- 上の子がいて家族がお見舞いに来ることが多い場合、個室があるかどうか
- 自分のバースプランに沿った分娩方法が可能かどうか
- 助産師外来、母乳育児など自分なりのこだわりが叶う病院であるかどうか
- 分娩料や入院費用はどのくらいなのか
2紹介状を書いてもらう
現在通っている産婦人科に転院の旨を伝え、紹介状を書いてもらいます。紹介状によって妊娠経過や検査結果、注意点などを新しい産婦人科に引き継ぐことができ、紹介状があれば検査を改めて受けなおす必要もありません。紹介状作成には時間がかかる場合があるので、あらかじめお願いしておくようにしましょう。
3新しい産婦人科に予約をする
病院が決まったら、引っ越し後に受けるための予約をしておきましょう。また、病院によっては予約がいっぱいで、実際に診察してもらうまでに時間がかかる場合もあるため、病院が決まった時点で早めに予約をしておくと安心です。また、妊娠初期から通院している人が優先で、分娩予約がなかなかできないところもあるので、その際に分娩の予約状況の確認も一緒にしておきましょう。
4引っ越し後に新しい産婦人科を受診する
新しい病院を受診する際は、紹介状と前の病院での検査結果を持参するようにしましょう。紹介状によって妊娠経過などだいたいのことは新しい産婦人科に引き継ぎされていますが、持病や気になる妊娠経過や症状などがあれば、自分の方からも新しい先生に伝えるようにしましょう。
初回受診時には保険証や母子手帳も忘れずに持参しなければなりませんが、意外に見落としがちなのが保険証の住所記載の欄です。前の住所を二重線で消して、新しい住所を書いておきましょう。母子手帳についても前述したとおり、新しい住所をきちんと記載しておきましょうね。