子供のリズム感を鍛える方法:遊びで育てる運動・音楽・言葉の力
子どもにリズム感があることは、様々な面でメリットをもたらします。リズム感は私たちが日常生活で何気なく利用している便利な感覚ですが、生まれつきリズム感が備わっているように見える子どもがいる一方で、なかなか拍子やリズムを捉えられない子どももいます。
子どもがリズム感を掴めないと集団生活や運動面で親は心配になりますが、リズム感はトレーニングによって鍛えることができます。年齢や発達段階に合わせた遊びを取り入れ、今日からさっそく試してみてください。
子育て4コマ漫画:子供へのリズム感の教育
こんなにある!リズム感を身に着けるメリット
リズム感は、ただ音楽を上手に聴いたり踊ったりするだけでなく、多岐にわたる才能を引き出すのに役立ちます。特に運動能力や言語能力の向上に深く関わっていることが知られています。
スポーツ界が注目!スポーツリズムトレーニング
スポーツリズムトレーニングとは、リズム感を養うことで運動パフォーマンスを向上させるための練習方法です。タイミングを正確に捉える能力(協調性)が向上し、走る・投げる・跳ぶといった基本的な運動のなめらかさにつながるとされ、多くのスポーツ分野で取り組まれています。
子どものリズム感は集団生活にも影響を及ぼします。
例えば、幼稚園や小学校で行われるスキップ、縄跳び、フラフープ、ボール遊び、ダンスなどは、すべてリズム感が求められる遊びです。みんなができることを自分だけできないと楽しさは半減しますが、逆にできれば自己肯定感がアップし、園生活を楽しみやすくなります。
さらに、日本語よりアクセントやリズム感が重要な英会話でも、リズム感がある方が習得は早いと言われています。また、日本語でもリズム感の良さは会話のテンポや間合いの上手さに繋がり、スムーズなコミュニケーションをとる手助けになるなど、子どもの頃にリズム感を身に着けさせることには多くのメリットがあるのです。
もう一つ見落とされがちなのが、見通しを持って動く力との関係です。リズムに乗るという行為は、次の拍がいつ来るかを予測して、その瞬間に合わせて体を動かすことの繰り返しです。「来るぞ、今だ」と先を読んで動く経験は、ボールを受け止める、友達と手をつないで歩く、順番を待って飛び込むといった、日常のあらゆる場面で使われています。
子供にリズム感がないと感じるのはどんな場面か
「うちの子はリズム感がないかもしれない」と親が気づくのは、たいてい特定の場面です。まずはどこでつまずいているのかを切り分けると、家庭で何をすればよいかが見えてきます。
手拍子が音楽から少しずつ遅れていく
曲の頭は合っているのに、進むにつれてじわじわ遅れる。これは拍を予測せず、音を聞いてから手を叩いているために起こります。聞いてから反応する方式では、どうしても一瞬遅れます。
この段階の子には、テンポの速い曲は向きません。ゆっくりした童謡に戻して、「次に叩くところ」を親が先に体で示してあげると変わってきます。
歌は上手なのに、体の動きだけ合わない
耳では拍を捉えられているのに、手足が思ったところに出ない状態です。リズム感の問題というより、体を動かす経験の量が関係している場合があります。
文部科学省の幼児期運動指針では、幼児期の動きは「動きの多様化」と「動きの洗練化」の二つの方向で育つとされ、3歳から4歳ごろの動きには力みやぎこちなさが見られるものの、経験を積むことで無駄な動きが減り、なめらかになっていくと説明されています。つまり、拍に体が追いつかないのは、体の動かし方そのものがまだ育っている途中というだけのことも多いのです。
ダンスで振りは覚えているのに、みんなとズレる
発表会の練習などでよく相談されるパターンです。振り付けは完璧に覚えているのに、周りより半拍早い、あるいは遅い。これは「振りを順番として覚えている」状態で、音のどこで動くかが体に入っていないために起こります。
つまずきの場所で対処は変わります
拍がわからないのか、拍はわかるが体が追いつかないのか、体は動くが音と結びついていないのか。この三つはまったく別物です。同じ「リズム感がない」でも、必要な遊びが変わってきます。
子供のリズム感がないと感じる4つの背景
なぜその子が拍を取りづらいのか。背景がわかると、親の焦りはかなり軽くなります。
一つ目は単純に経験が少ないことです。音楽に合わせて体を動かした回数が少なければ、拍を感じる機会そのものが足りていません。二つ目は拍より旋律を聞いているタイプです。メロディーを追いかけるのが好きな子は、その下で刻まれている拍に注意が向いていないことがあります。歌が上手な子ほどこの傾向が出ます。
三つ目は失敗したくない気持ちが強い場合です。間違えるくらいなら動かないでおこう、という判断が働くと、体が固まります。年中から年長にかけて周りが見えるようになると、急に踊らなくなる子がいるのはこのためです。
四つ目はその場が楽しくないという、身も蓋もない理由です。ここが最も多いかもしれません。大人が「鍛えなければ」という顔をしていると、子どもは敏感に察知します。
ここで大切なのは、なぜ子どもがその行動をとるのかを考えることです。踊らない、手を叩かない、途中でやめる。こうした行動は反抗でも無関心でもなく、ほとんどの場合「今の自分にはこの課題が大きすぎる」という表明です。子どもは自分の力量を意外なほど正確に把握しており、届かないと判断したものからは静かに距離を取ります。ピアノの下に隠れる、部屋から出ていく、別の遊びを始める。これらはすべて「もう少し簡単なところから始めてほしい」というサインなのです。逆に、自分にもできそうだと感じられる課題であれば、子どもは驚くほど何度も繰り返します。だからこそ、リズム感を伸ばしたいときにまず調整すべきは子どもの態度ではなく、課題の難易度と場の雰囲気ということになります。テンポを落とす、拍数を減らす、親が先に楽しそうにやってみせる。この三つで、動き出す子はかなりいます。
子どものリズム感はいつから鍛えられる?習い事と発達の目安
子どもの才能を開花させたいと考える親御さんは多く、リズム感を鍛える習い事の代表格といえばリトミックやピアノです。しかし、早期教育を始める時期については、習い事と子どもの発達段階を考慮した文部科学省の見解で、少し異なっていることを知っておきましょう。
リトミックの幼児教室は、0歳からスタートできるものもある
0歳から習えるリトミックの中には、生後2ヶ月からスタートできる幼児教室もあります。リトミックは、音楽を通して感受性や表現力を育むことを目的としています。
ただし、優れたリズム感を持つプロのスポーツ選手や音楽家、語学力の高い人の全てが、生後間もない赤ちゃんの時期からリズム感の早期教育を受けていたわけではありません。
ママの体調がまだ回復していないうちから無理に幼児教室に入れる必要はありません。幼児教室でリトミックを習わせたい場合は、ママの体調が回復し、赤ちゃんと一緒に過ごす楽しみを増やしたいという心の余裕が出てきてからにすることをおすすめします。
リズム感が身につく音楽教室は、おおむね1歳以上から
ヤマハとカワイでは1歳から、島村楽器では1歳半から通うことができるコースがあります。
乳幼児の脳の発達面から考えると、早くから音やリズムを使って楽しむ体験をさせるのは、リズム感や運動神経の発達にとても効果的ですので、習い事を検討している場合はおすすめです。
ただし、子どもによっては嫌がることがありますので、必ず体験レッスンを受けさせ、自ら進んで取り組む様子が見られるかを確認しましょう。
早すぎても子どものリズム感は身につかない!?
息子が1歳になってから音楽教室のリズム教室に行ってみました。ところがうちの子には早すぎたのか、先生が音楽をかけて踊りに誘導したところ、ピアノの下に隠れてしまい嫌がって帰りたがってしまいました。
「そのうち慣れますよ」と言われて半年間通い続けましたが、とにかく嫌だったようで最後まで踊らず、家でも一緒に踊ろうとすると嫌がるようになってしまいました。
その頃の息子は外遊びが大好きで毎日のように連れて行っていたので、狭い場所に知らない人と一緒にいなければならないリズム教室が嫌だったのだと思います。
文部科学省の幼児期運動指針では、4~5歳からリズム遊びを推奨
運動機能の発達という観点から考えると、4~5歳からのリズム感の教育でも充分間に合います。
文部科学省では3~4歳では動きが未熟なため、リズム遊びに取り組むのは4~5歳からという考え方を示しています。5歳未満の子どもにリズム感がなくても落ち込まず、まずは遊びを通して楽しくリズムに触れさせてあげることが大切です。
また同じ幼児期運動指針では、幼児が体を動かす時間の目安として「毎日、合計60分以上」が示されています。これはリズム遊びに限った時間ではなく、外遊びも含めた一日の合計です。特別な練習時間を作らなくても、公園で走る、階段を上る、お風呂で水を叩くといった動きの積み重ねが、拍に合わせて動く土台になっていきます。
5歳でリズム感がないと感じたときに確認したいこと
年長になると発表会や運動会でみんなと動きを揃える場面が一気に増えるため、5歳前後で相談が集中します。ただし、この時期に周りとズレて見えるのは、リズムの問題ではなく周りを見る余裕がないことが原因のケースが少なくありません。
「音は聞こえてる?」と聞いてみると、「聞こえてるけど、先生の方見てたら足がわかんなくなった」と返ってくることがあります。目からの情報と耳からの情報を同時に処理しようとして、容量を超えているわけです。
この場合は、家で目をつぶって手拍子だけをする時間を作ると変化が出ます。情報を一つに絞れば、拍を捉える力そのものは足りていたと気づけることが多いのです。
CDをかけっぱなしにするのは効果的?
CDによるリズム感の習得への科学的根拠は明らかになっていません。むしろ子どもが静寂や音を探す楽しみを味わいにくくなるため、一日中音楽の中に晒すのはもったいないという意見もあります。
子どもにリズム感を身に着けさせるためには、リズムを意識させることが必須です。そのため、CDをかけるだけでリズム感を習得できる子とできない子がいます。
子どもに意識してCDの音楽を聴いてもらうためには、まず音楽を好きになってもらうことや興味を持ってもらうことが大切です。なぜなら子どもは好きなことにしか興味を示さない傾向が強いからです。CDは一日中かけっぱなしにせず、音を楽しむ体験に上手に取り入れていきましょう。
好きなジャンルでリズム感を身に着けた方がお得
私は子どもの頃歌ったり踊ったりすることが大好きだったので、長男にもリズム感を身に着けさせるために、1歳になった頃からNHKの「おかあさんといっしょ」を毎日つけて、息子を抱っこして歌ったり、テレビを真似て踊って見せたりしました。
でも息子はいつまでたっても踊ってくれませんでしたし、私のアクションが迷惑だったようで、おもむろに逃げるようになりました。「何が嫌なんだろう?」と思いながらも、何日か経ってからまた誘うのを繰り返しましたが、彼はどうしても歌いたくも踊りたくなかったようです。
ところが1歳9ヶ月頃、小児歯科での歯科健診でたまたま「きかんしゃトーマス」を観てから、息子はトーマスや列車にどっぷりハマり、それからは音楽CDをかけると自分がトーマスになった気になれるのか、大喜びで家の中を走り回るようになりました。音楽が大好きになったんです。
けれど入園後も頑なに踊ろうとせず、どうやらダンスは嫌いだったようなので、ピアノを習わせることにしました。入学後はリレーの代表になったりノリノリで歌ったりなど、リズム感も運動神経もバッチリですが、本人いわく「踊りは楽しくないから嫌い」だそうです。
子供のリズム感を鍛える習い事は何を基準に選ぶか
「リズム感の習い事といえばリトミック」と決めてしまう前に、その子が何を楽しいと感じるタイプかを考えてみてください。同じリズム感でも、入り口はいくつもあります。
| 習い事 | 向いている子 | 家庭での声かけ例 |
|---|---|---|
| リトミック | 音に合わせて自由に動くのが好き。集団の中でも物おじしない | 「今日はどんな動物さんになったの」 |
| ピアノ | 一人でコツコツ取り組める。音の高さや響きに反応する | 「今の曲、右手と左手が違うことしてたね」 |
| ダンス | 体を大きく動かすのが好き。友達と一緒だとやる気が出る | 「あの振り、どこで足を出すの。教えて」 |
| 体操 | 踊るのは苦手だが走る跳ぶは好き。じっとしているのが苦手 | 「跳び箱の助走、トントントンって数えてた?」 |
体験レッスンで見るべきは、上手にできたかどうかではありません。終わったあとに子どもが何を話すかです。
「またやりたい」と言えば文句なしですが、それ以外にも判断材料はあります。
「先生の靴、キラキラしてた」と関係ないことを楽しそうに話すなら、その場を安心できる場所として受け止めた証拠です。逆に「疲れた」しか出てこない、帰り道に無口になる、翌日「行かない」と言い出すなら、まだ早いか、その形式が合っていないかのどちらかです。
「みんなできてたのに、ぼくだけできなかった」という言葉が出たときは要注意です。ここで「そんなことないよ、できてたよ」と返すより、「一番前に立ってたもんね、よく見えたよ」と、できた事実ではなく取り組んだ事実を返すほうが、子どもの表情はやわらぎます。
家庭で子供と楽しもう!リズム感を鍛える8種の遊び
子どものリズム感を鍛えたいけれど、どうやって教えればよいのかと戸惑うママも多いでしょう。
実は家庭でも簡単にリズム感を鍛えられる遊びがあるのです。子どもと一緒に楽しく遊びながら自然とリズム感を鍛えられますので、ぜひトライしてみてください。
1童謡に合わせて歌う・手拍子・ダンス
まずは音楽を聴きながら、子どもと一緒に手拍子をして拍をとってみましょう。
ここで大事なのは正確に拍をとることもそうですが、何よりも子ども自身が音楽に参加して楽しむことです。音に合わせて歌ったり踊ったりしても良いのです。
まだ難しい赤ちゃんであれば、リズムに合わせて赤ちゃんの体にタッチをしたり、体を揺らしたり手を動かしてあげるなどして、音楽に触れさせてあげましょう。曲はバラードなどよりもリズムがわかりやすい童謡がおすすめです。
うまくいかない典型は、親が正しい拍を教えようとしてしまうパターンです。「違う違う、こう」と手を取って直された瞬間に、多くの子は手を引っ込めます。ズレていても最後まで一緒に叩き切って、「ぴったり合ったとこあったね」と合った部分だけを拾うほうが、次も付き合ってくれます。
2ママと一緒に歩きながら歌ってリズムを楽しむ
子どもとお散歩する時や買い物に行く時などは、一緒に歩きながら歌ってみましょう。
ここで重要なのは、歩くリズムに合わせて歌うことです。となりのトトロの「さんぽ」や、「あめあめふれふれかあさんが~」でお馴染みの「あめふり」など、4拍子の曲で子どもの歩幅に合うリズムの曲を選びましょう。
この遊びの良いところは、道具も時間も追加で必要ないことです。保育園からの帰り道、信号までの数十メートルだけでも成立します。歩幅と歌が噛み合った瞬間、子どもの足取りが急に軽くなるのがわかります。
3メトロノームに合わせて手拍子
メトロノームのリズムに合わせて、足踏みや手拍子などをしてみましょう。最初は4拍子、テンポは60~90くらいが良いでしょう。
「チッチッチ」の部分は足踏みをし、「チーン」の部分で手拍子をするなど、ルールを決めて挑戦させてください。
慣れてきたら、テンポを早くしたり遅くしたり、3拍子や5拍子にして変化をつけて楽しみます。
「メトロノーム – ビート, テンポ と リズム」
アナログのメトロノームのアニメーションが見られるので、耳だけでなく目でもリズムを確認することができます。リズム遊び以外にも子どもがピアノの練習をする時など、色々な場面で活用することができます。
4簡単な楽器を使ってリズム取り
太鼓やタンバリン、カスタネット、ペットボトルにビーズなどを入れた手作りマラカスなどで、音楽に合わせてリズムをとってみましょう。
ママもパパも参加し、色々なリズムを組み合わせると楽しみが広がります。
手作りマラカスは中身を変えると音が変わるので、それ自体が遊びになります。米、小豆、ボタン、丸めたアルミホイル。振ってみて「これは雨の音」「これは砂利道の音」と名前をつけていくと、子どもは音そのものに興味を持ち始めます。音に興味が向いた子は、拍にも自然と耳を向けるようになります。
52人でリズムを合わせる手遊び
2人のリズムを合わせることでできる手遊びは、1人でする手遊びよりも子どもが熱中してくれます。
「アルプス一万尺」や「おちゃらかホイ」「お寺の和尚さん」など、パパとママが小さい頃に遊んでいた手遊びを思い出して、子どもと一緒に遊んでみましょう。
慣れてきたら、どんどん速度を上げていきましょう。さっきまでできていた同じ曲でもリズムを取るのが難しくなり、子どもは集中してチャレンジしますし、大興奮して遊んでくれます。
ここで効くのが、親がわざと間違えることです。「あー、まただ」「今度こそ」と親が悔しがると、子どもは自分が上の立場になれるので夢中になります。教える役から一緒に失敗する役に回ると、続く時間が倍近く変わります。
6大勢でリズムを楽しめる昔の遊び歌
お友達が家に遊びに来たら、ぜひ教えてあげたいのが昔の遊び歌です。
「ずいずいずっころばし」や「かごめかごめ」「あんたがたどこさ」など、人が多ければ多いほど楽しめる遊び歌で、みんなでわいわいしながら子どものリズム感を鍛えましょう。
大勢でやると、拍を自分で数えなくても周りの声と動きに引っ張られて合ってしまうのが利点です。一人だと合わない子が、集団の中ではきれいに揃うことがよくあります。
7子どものリズム感向上におすすめの「縄跳び」
縄跳びにはリズム感が非常に重要です。等間隔のリズムで飛ぶことができないと、上手く飛び続けることができません。
飛べるようになるまでには順を追って練習する必要がありますが、上手く飛べないからと途中で投げ出してしまわないよう、しっかりと子どもをサポートしてあげましょう。
軽い縄跳びよりも、ある程度重みのある紐の縄跳びや縄部分にビーズが通してあるビーズロープだと、地面に当たった音でリズムをとりやすいです。初めて挑戦する場合は縄跳びの教え方のコツと共に、子どもに合う縄跳びもチェックしておきましょう。
8メトロノームを使った言葉遊び
まず、メトロノームのテンポを96くらい、4拍子にして鳴らします。「チッチッチ」の部分で3文字の言葉を言いましょう。「チーン」の部分はお休みです。
2人で順番に言い合い、リズムとずれたり、言葉が思い浮かばなくなったりした方の負けです。
「ん」が入った言葉は子どもにとってはリズムが上手く取れなくなってしまう場合があります。「メロン」や「とんぼ」など、「ん」の入る言葉を使った場合も負け、というルールにしてみましょう。
この遊びは、言葉のリズムと体のリズムを結びつけられるのが大きな利点です。慣れてきたら「果物だけ」「動物だけ」とジャンルを決めると、小学生でも十分に手応えを感じられる遊びになります。
ダンスでリズム感がない子供に試したい3ステップ
ダンスの練習でみんなとズレるとき、振り付けを繰り返し練習しても改善しないことがあります。順番は覚えているのですから、練習すべきは順番ではなく、音と体の結びつきです。
ステップ1:曲を流したまま、その場で足踏みだけする
振り付けを一度すべて捨てます。曲を流して、拍に合わせてその場で足踏みするだけ。手も動かさず、顔の向きも気にしません。1曲通してこれができるようになるのが最初の目標です。
「え、踊らないの」と子どもが聞いてきたら、「今日は足だけ。足がプロになったら手も出してあげる」と伝えると、たいてい面白がって乗ってきます。
ステップ2:足踏みしながら、手拍子を1か所だけ足す
足踏みが安定したら、サビの頭など曲の中で一番わかりやすい一か所にだけ手拍子を入れます。全部に入れないのがコツです。一か所を確実に当てられる経験のほうが、全体をぼんやり合わせるより自信になります。
ステップ3:手拍子の場所を振り付けに置き換える
ここでようやく振り付けが戻ってきます。手拍子を入れていた位置に本来の動きを入れ、それ以外は足踏みのまま。これを少しずつ増やしていけば、順番として覚えていた振りが、音の位置と結びついた振りに変わります。
この方法の良いところは、毎回「今日はここまでできた」と目に見えることです。「昨日は2か所だったのに、今日3か所いけたね」という声かけができると、子どもは練習そのものを楽しみ始めます。
年齢別:子供にリズム感をつける関わり方
同じ遊びでも、年齢によって親の役割は変わります。
0歳から2歳ごろ:子どもの動きに大人が合わせる
この時期は、大人が拍を教える時期ではありません。抱っこして揺らす、おむつ替えのときにトントンと体を叩く、階段を上りながら「いち、に、いち、に」と声をかける。生活の中に拍を混ぜるだけで十分です。
むしろ有効なのは、子どもが自分で出したリズムに大人が合わせることです。テーブルを叩き始めたら同じ速さで叩き返す。すると子どもは「自分の音に世界が応えた」ことに気づき、何度も繰り返します。
3歳から4歳ごろ:ズレを気にせず量を確保する
動きにまだ力みが残る時期なので、正確さは追いません。走る、跳ぶ、転がる、ぶら下がるといった多様な動きをたくさん経験することが、結果的にリズムに乗る体をつくります。
「合ってないよ」は禁物です。この時期の子は、指摘されるとその遊びごと手放してしまいます。
5歳から6歳ごろ:合った瞬間を言葉にして返す
周りが見えるようになり、自分だけできないことに気づき始める時期です。ここで必要なのは、できていない部分の修正ではなく、できた瞬間の指摘です。
「今の3回、全部ぴったりだった」と具体的な回数で返すと、子どもは自分の成功を自覚できます。漠然と「上手」と言われるより、はるかに効きます。
小学生:本人が選んだジャンルに寄せる
好みがはっきりしてくるので、親が良いと思う音楽より、本人が好きな曲を使うほうが効率的です。好きな曲であれば、何十回でも繰り返し聴きます。その繰り返しがそのまま練習になります。
やってしまいがちな声かけと、望ましい言い換え
親の言葉一つで、子どもがリズム遊びを好きになるか避けるようになるかが変わります。
| 避けたい声かけ | 望ましい言い換え | 理由 |
|---|---|---|
| 「ずれてるよ、こう」 | 「今のとこ、合ってたね」 | 修正より成功の指摘のほうが繰り返す意欲につながる |
| 「お姉ちゃんはできてたよ」 | 「先週より速い曲でやれてるね」 | 比べる相手を他人から過去の本人に変える |
| 「ちゃんと聞いて」 | 「目つぶってやってみようか」 | 情報を減らすほうが拍を捉えやすくなる |
| 「もう1回、ちゃんと最後まで」 | 「じゃあ最後の8つだけ」 | 区切りを短くすると達成感が積み上がる |
| 「才能ないのかな」 | 「まだ体が覚えてる途中だね」 | 固定的な評価を、変化する過程の話に置き換える |
子どものリズム感向上におすすめ!EテレやリトミックDVDの活用
子どもにリズム感をつけさせるための習い事といえばリトミックですが、習いに行くとなるとママだけでなく子どもにとっても負担は少なくありません。
幼児期は興味を持てる物事に自ら取り組み、様々な体験を通して五感を鍛えていく時期です。早期教育であまり忙しくなり過ぎると、子どもが自分のペースで自由に物事を考えたり取り組んだりする時間が持てなくなってしまうことがあります。
そこでおすすめしたいのがEテレやリトミックDVDの活用です。テレビやDVDはつけっぱなしにすると子どもが自分で遊びを見つける時間が減ってしまいますが、メリハリをつければよい教育媒体になります。
「おかあさんといっしょ」「みいつけた!」「いないいないばあっ!」といったEテレの子供向け番組には、必ずリトミックのコーナーがありますので、毎朝親子でリズム体操をしたり、子どもに人気のアンパンマンのリトミックDVDを利用して楽しく自由に踊らせるのもよいでしょう。
「楽しい=スキルアップ」が子どもの向上パターンですので、特に未就園児の場合は親子で無理なくリズム感を鍛えいくことが大切です。
画面を使うときのコツは、親が一緒に映る側に立つことです。ソファから「ほら、踊ってごらん」と言うのと、隣に立って先に踊り出すのとでは、子どもの反応がまったく違います。3分の1曲でいいので、親が全力でやってみせる。これが家庭でできる最も手軽なリズム教育かもしれません。
子供のリズム感についてよくある質問
Q1:リズム感は生まれつきで決まってしまいますか
入り口の得意不得意には個人差がありますが、経験によって変わっていく部分が大きい力です。文部科学省の幼児期運動指針でも、幼児期の動きは適切な経験を積むことでぎこちなさが減り、なめらかになっていくとされています。今できないことが、この先ずっと続くわけではありません。
Q2:何歳から始めるのが一番良いですか
「この年齢から」という決まりはありません。0歳から通える教室もありますが、運動機能の面から見れば4〜5歳からのリズム遊びでも十分です。むしろ大切なのは、始める年齢よりも、その子が今それを楽しめる状態かどうかです。
Q3:毎日どれくらい練習させればよいですか
練習という枠を作らなくて構いません。幼児期運動指針が示す「毎日、合計60分以上」は、外遊びを含めた体を動かす時間全体の目安です。その中に手拍子や歌が数分混ざっていれば十分で、机に向かうような練習時間を確保する必要はありません。
Q4:親自身がリズム感に自信がないのですが、教えられますか
教えなくて大丈夫です。親に求められているのは正確な見本ではなく、一緒に楽しむ相手役です。むしろ親が失敗して笑っている家庭のほうが、子どもは長く続けます。
Q5:ダンスを習わせればリズム感はつきますか
ダンスは音と動きを結びつける機会が多いので有力な選択肢ですが、本人が体を動かすこと自体を楽しめるかどうかが分かれ目です。踊るのは苦手でも走るのは好きという子なら、体操や縄跳びのほうが結果的に拍に強くなることもあります。
今日の3分から始めてみる
リズム感を鍛えると聞くと、教室や教材が必要な気がしてしまいますが、実際に効くのは、帰り道に歌いながら歩く、お風呂で交互に湯船を叩く、寝る前に手遊びを一つやる、といった小さな積み重ねです。
そして何より、子どもが「合っていないこと」を気に病まない空気をつくることが、遠回りに見えて一番の近道になります。ズレたまま楽しく叩き続けている子は、いつの間にか合うようになっています。
今日の帰り道、4拍子の歌を一曲だけ。そこから始めてみてください。


