子供を成長させる達成感に関する記事

『子供の達成感を奪う親の4つの言動!幼児を伸ばす関わり方』

子供の頃に達成感を得る体験を重ねることで、困難に遭遇しても頑張り抜く力が養えられます。ところが知らずに子供の達成感を奪う接し方をしているご家庭も。子供に達成感を与える接し方を知り、主体的に学べる子に育ててあげましょう。

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子供の達成感を奪っていませんか?自己肯定感を高める親の関わり方をチェック

子供は達成感を得ることで単に嬉しくなるだけでなく、「自分はできる」という自己肯定感や、「自分は誰かの役に立っている」という自己有用感を高め、将来に役立つ意欲や能力を成長させることができます。

ところが残念ながら、子供が達成感を得るチャンスを意図せず奪っている親や大人は少なくありません。

そこで今回は、子供の達成感ややる気を奪ってしまう親や大人の4つの言動、達成感を与えて子供を伸ばす関わり方(動機づけのコツ)、達成感が得やすい習い事や体験の例についてご紹介します。

子供の達成感を奪う!?親や大人のNG言動4つ

行動範囲が狭く、できないことが多い幼児や小学生の場合は特に、親だけでなく園の先生や習い事の指導者など周囲の大人の接し方次第で、達成感を得るチャンスを豊富に持つことができます。

しかし、次のような言動で、子供が達成感を得るチャンスを奪っている大人が意外と多いのです。あなたは大丈夫ですか?

必要以上に手を貸す(過保護・過干渉)

過度に手を貸してもらうことに慣れてしまった子供は、必要以上に甘えが生じてしまい、自立心や自発性が育ちません。

子供の求めに対して過剰に手を貸したり、助けを求められていないのに先回りしたりする過保護・過干渉な親の元では、子供は「自分でやってみよう」という気持ちを奪われてしまいます。そのため、達成感を得られる体験へのチャレンジを拒む傾向があるのです。

大人は時間がかかるボタンの掛け違いなどについ手を貸したくなりますが、温かく見守ることが大切です。

ちょっと手こずっていても「この間できたから大丈夫!あなたならちゃんとできるよ。ママはここで見ているから、慌てないでゆっくりやってごらん」などと、励ましてチャレンジさせてみましょう。

服を着るという大人にとっては些細な行動でも、子供にとっては「できた」という大きな達成感を得られるチャンスなのです。

ご褒美を与え過ぎる

内発的な動機(楽しい、やりたい)で取り組んでいたことに対し、過剰なご褒美(外発的な報酬)を与え続けると、子供は「楽しいからやる」ではなく「ご褒美がもらえるからやる」と考えるようになります。

こうした子供のやる気で得られるはずの報酬を、達成感ではなく物にすり替える対応をして、内側から湧き出るやる気の火を消してしまう効果を、心理学では「アンダーマイニング効果」と言います。

ご褒美は、やる気がないことにチャレンジさせる際の起爆剤としては効果的ですが、「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。

子供が自発的に灯したやる気の火を、過剰なご褒美で消し、達成感を得にくくさせるような対応をしないように注意しましょう。

子供を焦らせる

小さな子供を持つ親は、つい子供を急かしたり焦らせたりしてしまいがちです。ですが子供は焦ると頭が真っ白になって行動が止まったり、記憶力が悪くなったり、自主性を失って萎縮したりしやすくなります。

そのため、頑張って出来たとしても、達成感を得るどころか劣等感を抱いてしまう子供が少なくありません。

日頃から大人は時間を逆算し、まずは親から十分な余裕を持って準備を開始しましょう。親の様子を見ても子供が準備を始めなければ、早めに声掛けをして親子で焦らず行動できるように心掛けることが大切です。

どうしても間に合わず急いでほしい時は、「あなた(YOU)はこうしなさい!」という指示ではなく、「私(I)はこうして欲しい」というアイメッセージ(Iメッセージ)が有効です。子供に「ママは急いでいるから助けて欲しい」「出かけられなくて困っている」など、親の気持ちや急ぐ理由を伝え、自発的な行動を促しましょう。

人と比較する

親は兄弟や同級生など、自分が知っている子供とつい比較しがちですが、子供は大人に比較されることで自信を失い、セルフイメージを下げてやる気を失ってしまいます。

「お兄ちゃんはこんな問題すぐに解けたのに」「お友達の〇ちゃんはもう一人で寝られるって」など、大人は何げなく比較してしまうかもしれません。しかし、何でも早ければいい、一人で出来ればいいというものではありません。

じっくり考える力、人に助けを求められる力もとても大切な能力です。短所は見方を変えれば長所になりますので、親目線で子供を比較して傷つけ、子供のセルフイメージを下げることのないように注意しましょう。心配な子供にはリフレーミングの技法を使ってプラスの声掛けを行うことが大切です。

子供のやる気を伸ばす!達成感への親の関わり方5つ

関わり方次第で、親は子供に達成感を与えることもできます。将来、大きな目標に立ち向かうとき、達成感を得た経験が必ず子供の力になってくれますので、これまでの親の関わり方を見直してみましょう。

「ちょっと難しいこと」からチャレンジさせる

目標を成し遂げたいと思う動機のことを「達成動機」と言います。

アメリカの心理学者J.W.アトキンソンは、達成動機の強さについて、達成したいと思う気持ちの強さだけでなく、「頑張れば達成できるかもしれない」という成功への期待と目標の魅力によって高められると提唱しています。

例えば縄跳びであれば、まずは前飛び、次に後飛びと徐々に難易度を上げて練習させます。いきなり二重飛びをさせては「難し過ぎて僕にはできない」と挫折してしまいます。子供の能力を見極めて、「ちょっと頑張ればできるかも」と思える少し難しい課題(達成期待が持てる目標)からチャレンジさせてみましょう。

目標や目的を明確にする

目標や目的といった目に見えないものは、目に見えるように可視化することでモチベーションをあげやすくなります。特に小さな子供の場合、具体的な数字や期限を可視化した方が理解しやすく覚えやすいため有効です。

例えば「1ヶ月で勉強のワークドリルを終わらせる」と目標を立てたら、どのタイミングで行うかなどを決めさせて書き出し、見えるところに貼っておくとよいでしょう。

中間目標を立てて小さな成功体験を積ませる

中間目標をクリアする度に達成感を得られますので、小さな子供でも大きな目標まで無理なく頑張れます。

例えば「1ヶ月でワークドリルを終わらせる」が大きな目標の場合、子供には1ヶ月の期間やワークドリルの量への理解が難しく高いハードルに感じられることがあります。けれど「毎日2ページワークドリルをする」を中間目標にすれば理解しやすく、小さな達成感を毎日得られ、最終的に大きな目標まで到達しやすくなります。

子供の頃から「大きな目標は中間目標を立てれば達成できる」という経験を積み重ねれば、様々なことにチャレンジできる子供へと成長しやすくなりますので、ぜひちょっとの努力で手が届く中間目標を立ててトライさせてみましょう。

結果だけでなく「努力」と「プロセス」を褒める

親からの良い評価や共感は子供の自信に繋がります。努力を積み重ねて結果を掴み取れたことを、しっかり褒めてあげましょう。そうすることで子供も「頑張ったから結果がついてきたのだ」と理解し、今後の経験にも生きてきます。

特に大切なのは「マラソン大会ではいい成績を収められたね。毎日マラソンを20分頑張ったからだね」と、本人が努力したプロセスについてしっかり褒めてあげることです。

もし結果が出なかった場合も、チャレンジした勇気や努力をしっかりと褒め、子供の年齢によっては「学習曲線」について説明してあげましょう。

 

学習曲線とは?

 

学習成果と学習時間の関係をグラフにしたものが、学習曲線です。

 

何かの学習をする際、理想は努力した時間と比例して実力がつくことですが、現実は学習した時間がある程度積み重ねられるまで実力はあまり変わりません。一定時間の積み重ねの後に、急激に成果の向上が見られるのです。

努力をしたのに結果が出ないと、大人でも諦めてしまいがちになります。ですから親は努力の積み重ねを褒め、もう少し続ければ必ず結果が出て達成感を味わえるのだと示して、勇気づけてあげることが大切です。

競争心は「過去の自分」と刺激する

程よい競争心や負けず嫌いは向上心へと繋がります。小さいうちは「○○ちゃんより早くてすごいでしょ」と他人と比較して自慢してしまいがちですが、子供のライバルは子供自身です。「昨日よりも速く走れたね」などと励まして子供の負けず嫌いを刺激し、自分自身と競争させましょう。

達成感を得やすい習い事や体験の例

次のような体験をすることで、子供は達成感を得やすくなります。ただし親や大人の関わり方によって結果は変わってしまいますので要注意です。習い事をさせる際は、子供の達成感を奪わない指導者を選ぶことも大切です。

スポーツ

スポーツは、中間目標を立てやすく、日々達成感を積み重ねやすい分野です。

例えばサッカーの場合、最終目標を「試合のレギュラーになる」にしたとしましょう。「毎日リフティングを連続5回」など、自主練習の中間目標も立てられます。

他にも野球、テニス、バレエ、体操教室などの様々なスポーツの少年団や習い事がありますが、子供の興味に合わせてスポーツをさせることで、楽しみながら達成感を味わいやすいのでおすすめです。

登山

頂上まで登りきった時、大人でも子供でも大きな達成感を得ることができます。登山は達成感だけでなく、子供を一回りも二回りも成長させてくれます。

ただし子供が登山できる山でも危険はつきものです。ルートや服装、飲料水、食料、救急セットなど事前にたくさんの用意が必要になります。

準備の時点から子供と一緒に行い、疲れても自分の足で最後まで登りきることを事前に約束したうえで、ちょっと頑張れば登れる山から挑みましょう。

勉強(学習)

子供はできることが増えると、明確に達成感や自分の成長を実感することができます。

ただし入学準備のひらがな学習や入学後の自主学習などは、子供によっては高すぎるハードルです。ですから勉強が習慣化するまでは親が側に付き添い、褒めたり励ましたりして子供の情緒をサポートしましょう。

また、「やりなさい!」と親が押し付ける勉強はNG!将来勉強嫌いになってしまう子がとても多いです。「楽しい!面白い!できる!」と感じる勉強時間を積み重ねることで、子供は次第に勉強が好きになり、自分一人で机に向かうようになっていきます。

 

塾のテストは達成感を与える?奪う?

 

全国統一小学生テストなどの進学塾のテストは、先取り学習をしている子供に有利な内容となっていることが多く、受験者は自宅や公文などで先取り学習をしてきた子供や、先取り学習を進める塾に通う子供など、勉強に自信がある子ばかりのケースがあります。

 

そのため入学直後にテストを受けて努力が報われず、逆に達成感が奪われて親子で落ち込んだり、子供だけがやる気を失ったりしてしまうケースもあるのが実情です。

最近は親に促された詰込み学習よりも、自分で考えて問題を解決できる地頭力や自由な発想力、コミュニケーション力などの非認知能力が社会から求められる時代に変わってきていて、今後ますますその傾向は高まります。

知識はコンピュータやロボットで代替できますが、新しい物事を生み出すことはコンピュータにできないからです。

ですから勉強で達成感を与えたい場合、親は焦らず子供が楽しく自主的に継続することに主眼を置いてサポートしましょう。

ピアノ

1曲弾けるようになるたびに先生からの「合格」がもらえ、次の曲に進めるピアノは、特に初心者が間違えずに演奏できたかが「合格」のチェックポイントになるため、子供に分かりやすく達成感を味わいやすいです。

発表会に向けての練習は特に、期限が決まった目標があるため、充実した練習をしやすくなります。

ただしその一方で、親や先生の関わり方や子供の性格によって、子供がピアノを練習せずに悩んでしまうケースも少なくありません。

親が指摘して教え込もうとしたり、練習を強要したりせず、お風呂上りなどの自分で決めたタイミングで毎日ピアノの椅子に座る、1小節だけ練習するなど、出来そうなレベルに目標を下げて取り組ませることで、達成感を得られるチャンスを増やし、徐々にハードルを上げていきましょう。

ゲーム(ボードゲームなど)

大人に勝つことで、子供は大きな達成感を得られます。最初はハンデをつけて勝負をするのも良いでしょう。ルールに慣れたら徐々にハンデを減らし、最後に真剣勝負に切り替えるのもおすすめです。

勝てないことに癇癪を起し泣き叫ぶ子もいるかもしれませんが、そんなときほど自分の気持ちをコントロールする方法を教えるチャンスです。「次はどうすれば勝てると思う?」などと伝え、考えたことや発想を褒め、子供の成長につなげましょう。

幼児期から達成感を体験させ、自立へのエネルギーを育もう

幼児や小学校低学年から達成感を得られる経験をすることで、小さなつまずきに子供自ら考え立ち向かう姿勢が身につきます。

嫌いな食べ物の克服も、形が分からないまま食べた時より、形が分かる状態で食べられた時の方が達成感は得られます。

達成感によって高められる子供の自己肯定感や自己有用感は、自立へのエネルギーとなります。本人の意思を無視して親が先回りせず、生活の中にちりばめられた達成感を得られるチャンスを有効活用し、幼児期から体験させてあげましょう。

この記事を書いたライター

小森ひなた

子育てと仕事に頑張る共働き主婦です!ルンバ貯金始めました♪