書き初めの言葉~小学生が書いた今年の願い15選
年の初めに書き初めをされていますか。書いたことがない方も、書いたことがある方も、今年はご家族そろって書き初めに挑戦してみませんか。一年の願いを込めて書き初めを書くと、気持ちが引き締まりますよ。
ここでは、小学生が書いた書き初めの言葉を15人の体験談からご紹介します。選ばれた言葉にはそれぞれに意味があり、「なるほど」と感心させられます。練習の仕方も人それぞれで、決まりごとなどありません。形式にとらわれず自由に気持ちを表現している様子は素敵ですね。
あわせて、学年ごとの課題の傾向、2文字から4文字まで文字数別の言葉の候補、美しい言葉や面白い言葉の選び方、大人が書く場合の言葉、そして上手に書くためのコツまで整理しました。冬休みの宿題で言葉が決まらないときの手がかりにしてみてください。
書き初めはいつ書くの?
お正月の代表的な行事である「書き初め」は、1月2日に行うのが伝統的です。古くは「吉書(きっしょ)」や「初筆(はつふで)」とも呼ばれ、この日に文字を書くと上達すると信じられていました。
書いた書き初めは、地域の神社のどんど焼きで燃やすのが習わしとなっています。「1月2日に始めたことは長続きする」という言い伝えから始まった書き初めには、「今年はこうしたい」「今年はこうなりたい」という願いを込めた言葉を選ぶと良いでしょう。
なぜ1月2日なのか
元日ではなく2日というところが、少し不思議に思えるかもしれません。
元日は年神様を迎える日とされ、掃除も炊事も控えるという考え方がありました。何かを始めるのは、その翌日から。1月2日は、その年に最初に手を動かす日という位置づけだったわけです。
この日に始めたことは上達する、続くという言い伝えがあり、書き初めのほかにも、初商い、初荷、弾き初めなど、2日を「始めの日」とする習慣が各地に残っています。
今は冬休み中に書ければ十分です
とはいえ、実際の家庭で1月2日にきっちり書けるとは限りません。帰省の予定が入っていたり、道具を出す場所がなかったりします。
学校の宿題として出される書き初めは、提出日までに仕上がっていれば問題ありません。体験談を読んでも、1月4日に書いた、冬休みが明ける直前に慌てた、という話が出てきます。
ただ、年が明けてから書くほうが気持ちは切り替わります。年末に済ませてしまうと、どうしても「宿題を片付ける」作業になりがちです。日付にこだわらなくても、年が明けてから、というくらいの意識で十分です。
書いたあとは、どうするか
宿題として提出するものは、学校に持っていきます。校内で展示されたり、地区の展覧会に出されたりすることもあります。
家で書いたものは、しばらく飾っておくのがおすすめです。壁に貼るだけで、その言葉が毎日目に入ります。願いを書いたものであれば、目に入る回数そのものに意味があります。
どんど焼きに持っていく場合は、開催日と受け付けているものを事前に確認してください。地域によって日程も、持ち込める品も違います。
捨てるのが忍びない場合は、写真に撮って残すという方法もあります。毎年撮っておくと、字の変化が記録として残ります。
小学生が書いた書き初めの言葉:体験談15
元気な子
息子が9歳、小学3年生の時、正月家族全員で書き初めをしました。息子が何を書くのかなと見ていると、「元気な子」と可愛らしい文字で書いていて微笑ましくなりました。
息子にその言葉を選んだ理由を聞くと、私がいつも元気でいて欲しいと言うからだそうです。それを聞いて、私は素直な良い子に育ってくれたことをとても愛しく思いました。
ぶっつけ本番で書いたので文字のバランスが悪く、最初に書いた「元」が半紙の3分の1を占め、お世辞にも綺麗な文字ではありませんでした。しかし、息子の性格そのままの元気いっぱいな可愛らしい字でした。
書道教室に通わせていれば、小学3年生でももう少し綺麗な文字が書けそうなので、通わせようかなと思っています。ですが、息子が一生懸命書いた書き初めは、文字の巧拙に関わらず、心に伝わってきました。
まつ
長男が初めて書き初めをしたのは、小学校の一年生の冬休みの宿題です。それまでに彼が書道をした経験と言えば、幼稚園で月に一度くらいのペースで書道の時間があったようで、彼も書道に対してはそれほど尻込みはしていませんでした。
初めての冬休みの宿題だったので、私はてっきりお題が決まっているものと思っていたら、新しい年を祝うようなお題で自由に書かせてくださいとの学校からの指示でした。
結局、彼は「まつ」という字を選びました。理由を聞いてみたところ、自分が幼稚園の年長のときに「まつ組」で、まつという字を書道で書いたことがあるからということでした。妙に説得力のある理由だったので私も賛成しました。
ですが、いざ書かせてみると、これで本当に提出していいのか?というくらいの出来栄えでした。書道のお手本を書いてくれるようなアプリはないかと探しましたが、なかなか簡単そうなアプリが見つかりませんでした。
アプリは断念して、私がお手本を書くことにしました。もともと小学校時代に書道を習っていたのでそんなに抵抗はありませんでしたが、結局自分があーでもないこーでもないと何枚か書き直している間に、息子は勝手に書き上げて、まあまあの作品を学校に提出していました。
何か賞に入賞するようなことはありませんでしたが、まあそんなものかという具合で、冬休みの宿題だった書き初めは終わりました。
かるた
一年生の冬休みの宿題で出た書き初めのタイトルは「かるた」でした。学年のお題がそれでしたので、特に自分で選んだわけではありません。
それまで筆をもたせたこともなかったので、まずは持ち方、墨のつけ方、文鎮の使い方などから教えました。練習は半紙5枚ほどを余白がないようになるまで行いました。その後、5枚ほどの清書を書いてその中から私が選ぶという方法でした。
何せ初めてなので思うようには書けず、墨をつけすぎる、途中で何度も墨をつける、はねる向きがおかしい、ちゃんと止めないなど、「これが本当にお習字なの?」と思うこともたくさんありました。ですが、何度も書いていくうちに要領がつかめてきたようで、清書から選ぶ時には本当に迷いました。結果、入賞はありませんでしたが、良い経験になったと思います。
お友だち
我が家は毎年お正月に家族全員で書き初めをします。うちの娘はまだ小学3年生の8歳ですが、幼稚園の年中からお習字を習っているので、子供も毎年参加します。今年一年、自分で心がけたいことを筆にしたためます。
主人は「我慢」、私は「健康」、娘は「お友だち」と書きました。みんな練習をせずに、一発勝負で書き上げます。もちろん娘もそうです。その分緊張感も出て、筆に気合が入ります。
我が家では毎年恒例の行事ですが、子供も楽しんでくれています。「今年もお友だちと仲良く、そして大事にしていきたい」という気持ちを込めて書いてくれたそうです。少し緊張が強かったのか文字は震えていましたが、心がこもって上手に書けた一枚だと思います。
お正月
現在4年生の我が子が、3年生の時の冬休みの宿題の課題であった「書き初め」についてお話ししたいと思います。
子供が書いた書き初めの言葉は「お正月」です。書き初めで書く言葉は、自分で選択するのではなく、全員共通の言葉でした。冬休みに入る前に、お手本と清書用の書き初め用紙を5枚もらってきました。
書き初めは、年が明けてから書くものという思いがあったため、1月4日頃に練習をして1日で仕上げました。子供が通う小学校では、3年生から書道を始めるため、我が子にとっては初めての書き初めとなります。
経験がないからか、子供はもらってきた清書用の半紙に、いきなり字を書こうとし始めました。「いつも使っているサイズの半紙で文字の練習をしてから、本番用に書くんだよ」ということから教えることになりました。
約10枚程度、一般的な半紙を本番用の幅に折って練習をしてから、清書に取り掛かりました。「お」という文字のバランスに注意し、「月」の1画目の払いにも注意するように伝えました。5枚の清書のうち、なかなか3文字ともバランスが良く書かれているものがありませんでしたが、一番元気よく書けているものを提出用に選びました。
書き初めは冬休みの宿題だからと子供任せにしておくのではなく、親が横で見てあげて親子の絆を深め、1年のスタートを切ることが大切だと感じています。
新春の光
現在12歳の小学校六年生のお子様のお話です。五年生の時の書き初めの言葉は「新春の光」でした。冬休みの課題の一つで、言葉は学年で指定されていました。毎年小学校で書初め展(体育館に全学年展示)があり、他の方の目に触れるので気合が入るようです。
練習時間はあまりかけないようにさせました。マイペースなので準備に時間がかかりますが、半日で片付けまで終わらせます。集中力がなくなり疲れてくると投げやりになるため、短期決戦にしています。
まずは新聞紙で練習させました。半紙とは感触が違いますが、ウォーミングアップとして黙々と書きます。次に半紙を使います。本番の半紙よりは若干小さいのですが、本番の雰囲気を感じつつ少し練習します。いいものができてきたら本番に移ります。
今年は集中力が切れなかったようで、本人もまずまずの笑顔でした。二枚清書するのですが、毎年言葉と名前が同時にうまくいかないそうです。次の書き初めはどうなるか楽しみです。
輝く日々
今年小学校5年生の娘が選んだ書き初めの言葉は、「輝く日々」でした。毎年冬休みの宿題に書き初めがあるのですが、その言葉は学校で書いたものでもオリジナルで考えたものでも、何でもOKということになっています。
我が家では、冬休み中に新年を迎えるということもあり、可能な限り冬や正月に関わるキーワードを選ぶようにしています。今年は「希望がいっぱいでキラキラ輝ける1年になるように」という願いも込めて、娘と一緒に考えこの言葉にしました。
ただ、書き初めを書くにあたり、ちょうど良いお手本がありませんでした。そこで、娘が通っている習字教室の先生に相談して、自主練習という形で半紙に書く字を見てもらいました。そこで、色々注意やご指摘を受けたものを振り返りながら、家で本番に臨むという流れにしました。
字はまあまあうまく書けたのですが、さすがに半紙と書き初め用の紙はサイズが違うので、バランスをとるのに苦労しました。午後いっぱい時間がかかりましたが、出来栄えとしては合格です。ひらがなや画数の少ない漢字で逃げることなく、難しい言葉を書いた娘を、我が子ながら偉いと思いました。
元気
私の子供は小学校1年生です。書道セットを購入して、初めて挑戦した文字は「元気」でした。1年生にしては難しい漢字でしたが、まず初めは自分の名前(※原文では「自分の名前なので」とあるが、文脈から「元気」のことと判断し修正)なので、書いてみようということでした。私たち親世代も、一度は書写展等で書いたことがある文字だと思います。少し難しいんじゃない?と止めてみましたが、言い出したら聞きませんでした。
まずは、鉛筆書きで漢字の練習から始まりました。読むのは簡単なのですが、実際に書いてみると「気」がとても難しいようで、なかなか紙の中に収まりませんでした。30回程書くとようやく形になってきましたので、いよいよ習字紙に。
ところが、初めて握る筆にしどろもどろ。すぐに動かさないといけないのに、じっとしたままで紙が破けたりにじんだり…そしてやっぱり大きすぎて入りません。これまた30枚程書くことになりました。
なんとか出来上がった1枚は、大きさはいびつですが力強く仕上がっていました。記念に額に入れて飾っています。
初もうで
昨年度の冬、小学校3年生の冬休みの宿題に書き初めがありました。課題は先生からすでに決められており、「初もうで」でした。半紙一枚に4文字書きこむものでした。
冬休み明け3日前に書き初めの存在に気付き、休日で家にいた主人に書き初めを見てやるように頼んで仕事に行きました。帰ってから出来上がりを見ると、ミミズが這ったような字が…。普段から汚い字を書く男児でしたが、想像より酷い出来に脱力しました。
聞けば一発で書き上げたとのこと。主人も子供も「これでいいんじゃない?」と妥協していましたが、私はとても提出できる代物ではないと思ったので、どやしつけて10枚ほど書かせました。今年の冬もまた書き初めがあるのかと思うと憂鬱です。
ひろと
1年生のお子様のお話です。うちの子供が初めて書いた書き初めの言葉は自分の名前でした。通っている書道教室の先生が、入って初めて筆を持って書く字は自分の名前と決めている先生でしたので、自分の名前を書いていました。
書き初めを書くにあたっては、練習などはなく、入って初日に筆を渡されて、その流れですぐに置いてある1枚目に書きました。本人的にはあまり上手にはできなかったようですが、初めて筆を使って字を書きましたし、それが自分の名前でしたので、楽しかったようです。
筆で書かれた自分の名前を見て喜んでいましたし、記念に取ってあります。自分の名前はこれから何度も書くので、何度も練習をして、もっと上手に書けるようになって欲しいと思います。
そら
子どもが一年生の時のお正月に書き初めをしました。地域の子ども会の行事でやりました。「そら」とひらがなで書きました。幼稚園の子どもたちもいたので、ひらがなでみんな書きました。雪が降っていて白くなった空が綺麗だったので、その字に決めました。
練習は家で2回くらいしました。私もあまり教えるほど上手ではないので、一緒に練習しました。うちの子は全てが左利きなので、書きにくいかもしれないと思い、何度か練習しました。普段も書道の時も左で書いています。
本番はまずまず上手に書けたと思います。思っていたより字がうまかったのだなと思いました。毛筆は、普段の書き方とはちょっと違うので、練習してからやったほうが良いと感じました。
等価交換
うちの5年生の長男が、書き初めの宿題で書いた言葉は「等価交換」でした。不動産用語と思われがちですが、ケーブルテレビのアニメチャンネルで見た「鋼の錬金術師」に、頻繁に出てくる言葉です。
少し子どもに見せるには躊躇するシーンもあるアニメーションですが、人生の悲哀や家族愛なども描かれているので、長男はすっかりハマり、「好きな言葉を書いていいよ」という先生のお話を聞いたときに、「等価交換」という言葉が真っ先に浮かんだようです。
好きな言葉ですから、私が買ってきた半紙を30枚くらい使って3日間練習し、本番の学校の半紙に書いていました。出来はなかなかのもので、今まで書いた字で一番きれいに仕上がったかもしれません。
「好きな言葉を書いていい」と言われると、ウケをねらう児童もいて問題視する意見も時には出ますが、好きな言葉だからこそ一生懸命書く場合もあるので、やはりある程度の自由はあってもいいのかな、と思いました。
小川
娘が小学校3年生の時に初めて書いたのが「小川」という言葉でした。この文字は、小学校の担任の先生が指定したもので、当時の国語の教科書から抜粋した文字だと聞いています。「小川」という字は止め、はね、払いが全て入っているので、授業の総復習にもなり良いのではないかと思います。
学年で上手に書けた子は校内の審査を経て、市内の書き初め展に出展されるということで、学校の授業や冬休みの期間中何枚も練習を重ねていたようです。冬休み中の練習は、実際に娘が書いた字と学校で配られた手本と見比べ、注意点・良かった点等を一緒に考えて1枚1枚丁寧に練習をさせました。
学校に提出する前日は、何枚も書いた中から一番良かったものを提出しました。子どもはコツをつかむとかなり上達します。練習前よりも、上手に出来上がりました。
絶対合格
きぼう
娘が小学校二年生のときに書いた書き初めの言葉は、「きぼう」です。二文字の「もち」や「こま」もお正月らしくて良いので迷いましたが、三文字の方がバランスが取りやすく、言葉も好きだと娘が言うので「きぼう」になりました。
幼稚園で習字を教えていただいていましたが、小学校に入ってからは習い事で習字は習っていません。ですから、筆の持ち方などは知っているものの、なかなか思ったように書けないようでした。
私は習字を習っていたので、筆の運び方を教え、お手本を書いてやりました。何枚も練習して上手くなってきたので、本番を書いてみようと言いました。しかし、娘は書いた字が気に入らないようで、あきらめかけていました。
私は娘を励まそうと、筆を少し運ぶたびに、「そう!少し斜め上にあげる」とか「この辺りまで伸ばしてみて」など細かく指示しました。できあがった字は、かなりうまく書けていました。そして賞を取りました。娘は喜んでいましたが、半分は私の力だったので、なんとも後味が悪かったです。
15人の言葉を並べて、見えてきたこと
15人の体験談を、言葉の中身ではなく形で並べ直してみると、いくつか傾向が見えてきます。言葉を決めかねている方には、この傾向そのものが参考になります。
文字数は、4文字がいちばん多い
| 文字数 | 人数 | 実際の言葉 |
|---|---|---|
| 2文字 | 4人 | まつ、元気、そら、小川 |
| 3文字 | 4人 | かるた、お正月、ひろと、きぼう |
| 4文字 | 7人 | 元気な子、お友だち、新春の光、輝く日々、初もうで、等価交換、絶対合格 |
4文字が半分近くを占めています。学校の課題として指定される場合、4文字が選ばれやすいという事情がありそうです。
2文字と3文字は、低学年か、家庭で自由に書いた場合に多くなっています。文字数は学年の目安になっていると考えてよさそうです。
課題を指定された人と、自由だった人
15人のうち、学校や先生から言葉を指定されていたのが5人。自由に選べたのが10人でした。
指定されたのは「かるた」「お正月」「新春の光」「初もうで」「小川」の5つです。どれもお正月か、季節にまつわる言葉になっています。
自由に選んだ側は、内容がばらけます。願いを書いた人、好きな作品から取った人、自分の名前を書いた人。自由と言われたほうが、かえって迷うという様子も、いくつかの体験談から伝わってきます。
学校からのお便りを、まず確認してみてください。指定があれば悩む必要はなく、練習に時間を使えます。自由なら、この記事の後半にある文字数別の一覧を見ながら決めていくことになります。
練習量の差が、かなり大きい
| 練習量 | 人数 | 備考 |
|---|---|---|
| 練習なし、一発勝負 | 4人 | 家庭の行事として書いた場合に多い |
| 数枚から10枚程度 | 4人 | 宿題として仕上げる標準的な量 |
| 30枚以上 | 2人 | 初めての毛筆、または本人が乗り気だった場合 |
興味深いのは、練習量と満足度が必ずしも一致していないことです。一発で書いた作品を「心がこもっている」と評価している方もいれば、30枚書いて「力強く仕上がった」と書いている方もいます。
家庭の行事として書くのか、宿題として提出するのか。目的が違えば、必要な練習量も変わります。提出するものなら、最低でも数枚は練習しておくと形になります。
親がどこまで手を出すか
15人の話には、親の関わり方がはっきり出ています。手本を書いた、横で指示を出した、選ぶのを手伝った、夫に任せた、何も言わずに見ていた。
そして、細かく指示を出して賞を取ったという方が、後味が悪かったと正直に書いています。ここは、多くの方が一度は考えるところではないでしょうか。
どこまで手を出すかに正解はありません。ただ、判断の目安として「本人が納得しているかどうか」を置いておくと、迷いが減ります。子供が自分で書いたと思えているなら、多少の助言は問題になりません。
小学生の書き初め課題は、学年でどう変わる
書き初めの課題は、学年によって内容も文字数も変わっていきます。何年生でどのくらいのものを書くのか、目安を知っておくと準備がしやすくなります。
毛筆は3年生から始まります
小学校で毛筆を使った書写の指導が始まるのは、第3学年からです。文部科学省の小学校学習指導要領で、毛筆は第3学年以上で指導すると定められています。
ですから、1年生と2年生の書き初めは、硬筆、つまり鉛筆やフェルトペンで書く形が基本になります。学校によっては、この時期の書き初めを「新年のめあて」として文章で書かせるところもあります。
体験談を読むと、1年生でも毛筆で書き初めをしている例が出てきます。家庭の行事として書いた場合や、幼稚園や書道教室で経験がある場合です。学校の宿題として毛筆が出るかどうかは、学年と学校の方針によります。
3年生になると、はじめて毛筆の書き初めに取り組むことになります。体験談に「3年生から書道を始めるため、我が子にとっては初めての書き初めとなります」とあるとおりです。ここが最初の山になります。
学年別の、文字数と課題の目安
| 学年 | 書き方 | 文字数の目安 | 課題の例 |
|---|---|---|---|
| 1年生 | 硬筆が中心 | 2文字から3文字 | ひらがなの短い言葉 |
| 2年生 | 硬筆が中心 | 3文字から4文字 | ひらがな、やさしい漢字 |
| 3年生 | 毛筆が始まる | 3文字から4文字 | ひらがなと漢字の組み合わせ |
| 4年生 | 毛筆 | 4文字 | 漢字とひらがなの4文字 |
| 5年生 | 毛筆 | 4文字から5文字 | 季節の言葉、熟語 |
| 6年生 | 毛筆 | 5文字から6文字 | やや長い句、四字熟語 |
学年が上がるほど文字数が増えるのは、紙の配分が難しくなるからです。2文字なら1文字が大きくなり、6文字なら小さくまとめる必要があります。文字数が増えるほど、全体の配置を考える力が求められます。
この表はあくまで目安です。学校や地域の書き初め展の規定によって変わります。学校から配られるお手本があれば、それが正解です。
小学3年生の書き初めは、ここでつまずきます
3年生は毛筆の最初の年なので、体験談にもつまずきの話が集まっています。
まず、いきなり本番用紙に書こうとすること。清書用の紙は枚数が限られているのに、練習だと思わずに使ってしまいます。最初に「これは本番用」と分けて置いておくと防げます。
次に、半紙と書き初め用紙のサイズが違うことに戸惑います。授業で使う半紙は正方形に近い形ですが、書き初め用紙は細長い形です。同じ感覚で書くと、字が横に広がりすぎます。
対策として、体験談に出てきた方法が使えます。普通の半紙を本番用紙の幅に折って練習する、というやり方です。これなら紙を無駄にせず、細長い形に慣れることができます。
そして、墨の量です。つけすぎるとにじみ、少なすぎるとかすれます。3年生では、まだこの加減がつかめません。硯のふちで筆をしごくという動作を、最初に教えておいてください。
文字数から、書き初めの言葉を選ぶ
言葉が自由に選べる場合、まず文字数を決めてしまうと候補が絞れます。学年の目安に合わせて、そこから中身を考えていく順番です。
文字数と紙のサイズの関係
先に、紙のことを押さえておきます。
小学校で使う書き初め用紙は、八つ切りと呼ばれるサイズが一般的です。幅がおよそ17センチから18センチ、長さがおよそ68センチの細長い紙です。
この紙に何文字入れるかで、一文字の大きさが決まります。2文字なら一文字が大きく、6文字なら小さくなります。名前を書く場所も必要なので、下から10センチほどは空けておく計算になります。
紙を縦に折って、文字数分の区切りをつけてから書くと、配置が崩れにくくなります。折り目は薄くつけるだけで十分です。
書き初め言葉:2文字(小学生向け)
2文字は、低学年か、家庭で書く場合に向いています。一文字が大きくなるので、堂々とした仕上がりになります。
ひらがな2文字の候補です。
そら、ゆめ、はな、ゆき、うみ、こま、もち、たこ、ひかり(3文字)を除いて、やさしく書けるものが並びます。お正月らしさを出すなら、こま、もち、たこ、はねが向いています。
漢字2文字の候補です。
元気、努力、勇気、希望、感謝、笑顔、挑戦、前進、飛躍、一歩、大空、青空、新年、初日、正月、友情、目標、決意、成長、自信。
季節を出したいなら、初春、新春、迎春、初日、雪山、寒空といったところです。
2文字は、実は簡単ではありません
文字数が少ないから楽だろう、と思われがちですが、逆の面もあります。
2文字だと、一文字ずつのごまかしが効きません。4文字なら多少形が崩れても全体でまとまって見えますが、2文字は一文字の出来がそのまま作品の出来になります。
また、紙の縦の長さに対して2文字は少ないので、大きく書く必要があります。大きく書くほど、筆の運びの粗さが目立ちます。
それでも2文字を選ぶなら、画数の少ない字がおすすめです。「そら」「ゆめ」のようなひらがなや、「一歩」「大空」のように線の少ない漢字なら、形を整えやすくなります。
書き初め言葉:4文字(小学生向け)
4文字は、学校の課題としていちばん多い形です。体験談でも7人が4文字を書いていました。
漢字とひらがなを組み合わせた4文字の候補です。
元気な子、お友だち、初もうで、明るい心、光る太陽、雪の朝(3文字)を除いて、美しい心、大きな夢、強い意志、新しい年、楽しい日。
漢字だけの4文字の候補です。
新春の光(5文字相当)のような助詞を含むものもありますが、純粋な漢字4文字なら、一致団結、初志貫徹、切磋琢磨、日進月歩、心機一転、七転八起、有言実行、明朗快活、笑門来福、文武両道。
季節のものでは、新春吉日、初日の出(5文字)、迎春万福といった言葉があります。
四字熟語を選ぶときの注意
四字熟語は見た目に立派ですが、選ぶ前に確認しておきたい点があります。
ひとつめ。意味を子供が説明できるかどうかです。書いた本人が意味を知らないと、先生に聞かれたときに答えられません。書く前に、どういう意味か話し合っておいてください。
ふたつめ。画数です。「切磋琢磨」のように画数の多い字が並ぶと、細長い紙の中で真っ黒になってしまいます。小学生が書くなら、一文字あたり10画程度までを目安にすると形になります。
みっつめ。習っていない漢字が含まれていないかです。学校によっては、その学年までに習った漢字で書くよう指示がある場合があります。お便りを確認してください。
3文字と5文字の言葉
3文字は、意外とバランスが取りやすい文字数です。体験談にも「三文字の方がバランスが取りやすく」という記述がありました。
3文字の候補としては、お正月、きぼう、かるた、初夢、日の出、新しい、はつ春、たこ揚げ、鏡もち、ふじ山、青い空、白い雪。
5文字になると、高学年向けになります。新春の光、明るい未来、大きな希望、白い富士山、心に太陽、雪山の朝日、初日の輝き。
5文字は、紙の上下にゆとりが少なくなります。最初の一文字を書き始める位置を、上から少し余白を取ったところに決めてから書き出してください。上に寄りすぎると、最後の文字が入りません。
美しい言葉を書きたいとき
せっかく書くなら、字面も響きも美しい言葉を選びたい。そう考える方も多いはずです。
美しい言葉には、いくつかの系統があります
ひとつめは、自然を描いた言葉です。春の海、山の緑、雪明かり、朝の光、白い富士、青い空。情景が浮かぶので、書いていても気持ちが乗ります。
ふたつめは、心のありようを表す言葉です。清らかな心、和の心、静かな朝、優しい心。落ち着いた印象になります。
みっつめは、季節の言葉です。初春、迎春、小春日和、新春万福。お正月らしさが出ます。
よっつめは、四字の熟語から選ぶ形です。花鳥風月、山紫水明、明鏡止水、風光明媚。高学年や大人向けになりますが、字面の美しさでは群を抜きます。
美しく見える言葉の、共通点
意味だけでなく、書いたときの見た目も考えてみてください。
まず、画数のばらつきが少ないほうが整って見えます。一文字だけ極端に画数が多いと、そこだけ黒く沈んで見えます。
次に、縦線が多い字が入ると、細長い紙の中で流れが出ます。「小川」に止め、はね、払いがすべて入っているという体験談の指摘は、まさにこの視点です。
そして、ひらがなが一文字か二文字混じっていると、全体がやわらかくなります。漢字だけだと硬い印象になるので、低学年ほどひらがなを混ぜたほうが見栄えがします。
音の響きも選ぶ手がかりになります
声に出してみると、選びやすくなることがあります。
「はつはる」「ゆきあかり」「あさのひかり」のように、やわらかい音でできている言葉は、口にしたときの印象も穏やかです。
反対に「絶対合格」「一致団結」のような言葉は、音が強く、勢いがあります。願いの種類によって、音の性質を合わせると納得のいく一枚になります。
お子さんに何案か声に出して読んでもらって、いちばん気に入ったものを選ぶ。この方法は、意味を説明するより早く決まります。
面白い言葉を書きたいとき
「好きな言葉を書いていい」と言われたとき、笑いを取りにいく子がいます。これをどう扱うかは、判断が分かれるところです。
面白い言葉には、2つの方向があります
ひとつは、笑いを取りにいく方向です。予想外の言葉を書いて、周りを驚かせるというもの。
もうひとつは、意外性がある方向です。書き初めらしくない言葉だけれど、本人にとっては意味がある。体験談の「等価交換」は、こちらに当たります。
この2つは、似ているようで違います。前者は反応が目的で、後者は言葉そのものが目的です。後者のほうが、結果的に良い作品になることが多いようです。理由は単純で、本人が真剣に書くからです。
選ぶときに、確認しておきたいこと
面白い言葉を書きたいと言われたら、いくつか一緒に確認してください。
まず、提出するものかどうか。学校に出すもの、展示されるものであれば、見る人がいます。家で飾るだけなら、自由度は上がります。
次に、その言葉が誰かを傷つけないか。人の名前や特徴をからかう言葉は避けます。
そして、書ける画数かどうか。面白い言葉は難しい漢字が混じることがあります。書けなければ意味がありません。
この3点を通れば、あとは本人に任せてよいのではないでしょうか。体験談の方も、「好きな言葉だからこそ一生懸命書く場合もある」と書いています。
面白さと真剣さは、両立します
変わった言葉を選ぶと、ふざけていると受け取られるのではないかと心配になります。
ただ、実際に半紙を30枚使って3日間練習し、それまででいちばんきれいに書けたという体験談があります。言葉に思い入れがあるほど、練習が続くということです。
無難な言葉を渋々書いて数枚で終わるより、好きな言葉を何十枚も書いたほうが、身につくものは多くなります。どちらが良い経験になるかという視点で考えてみてください。
大人の書き初めの言葉
お子さんに付き合って、大人も一枚書いてみると、思いのほか楽しいものです。体験談にも、家族全員で書いているご家庭が複数ありました。
一文字で書くという選択
大人の書き初めでは、一文字だけを大きく書く形がよく選ばれます。
候補としては、志、和、進、健、粋、挑、耀、静、結、贈、続、整。
一文字にすると、その年に何を大事にするかがはっきりします。文字数が少ないぶん筆の運びは難しくなりますが、迷いのない一枚になります。
二文字と四文字の候補
二文字なら、飛躍、精進、感謝、初志、不動、泰然、円満、健脚、挑戦、継続、再開、余白。
四文字の熟語なら、初志貫徹、一意専心、質実剛健、明鏡止水、七転八起、点滴穿石、温故知新、不撓不屈。
大人の場合、その年に実際にやることを書くと、あとから見返したときに意味を持ちます。抽象的な言葉より、具体的な行動を表す言葉のほうが、一年の終わりに振り返りやすくなります。
子供と一緒に書くときの進め方
家族で書くなら、同じ道具を使って、同じ時間に書くのが盛り上がります。
体験談にあるように、家族それぞれが違う言葉を書くと、その人らしさが出ます。「我慢」「健康」「お友だち」と並んだ一家の書き初めは、それだけで家族の記録になります。
順番は、子供を先にするほうがうまくいきます。大人が先に上手な字を書いてしまうと、子供が萎縮することがあります。
書き上がったら、全員分を並べて壁に貼ってください。並べて見ると、それぞれの字の違いが分かって面白くなります。
上手に書くための、具体的なコツ
言葉が決まったら、あとは書くだけです。仕上がりを一段良くするための、実際の手順をまとめます。
始める前に、場所を作ります
意外と見落とされがちですが、書く場所と乾かす場所の両方が必要です。
書き初め用紙は68センチほどの長さがあるので、机の上では収まりません。床に新聞紙を敷いて広げるのが現実的です。
乾かす場所も先に決めておいてください。書いたそばから床に並べていくと、あっという間に場所がなくなります。10枚書くなら、10枚分の面積が要ります。
墨が飛ぶので、周囲には新聞紙を広めに敷いておきます。汚れてもよい服に着替えておくのも忘れずに。
筆の持ち方と姿勢
筆は、紙に対して垂直に立てます。鉛筆のように寝かせると、線が細くかすれます。
持つ位置は、軸の真ん中あたりです。下のほうを持つと細かく書けますが、大きな字には向きません。
姿勢は、背筋を伸ばして、脇を軽く開けます。肘を体につけないことが大事です。肘が固定されると、腕全体で線を引けなくなります。
床に紙を置いて書く場合は、正座か、片膝をついた姿勢になります。紙の真上から見下ろす位置に体を持ってくると、線がまっすぐ引けます。
墨の量を、最初に決めます
墨を筆につけたら、硯のふちで軽くしごきます。この一動作があるかないかで、書き出しが変わります。
目安は、筆先が三角にまとまる程度です。しずくが落ちるようなら多すぎます。
一文字ごとに墨をつけ直すと、濃さがばらつきます。基本は一枚を通して二回か三回。どこでつけ直すかを、練習のうちに決めておいてください。
大きな字を書くときは、筆の根元まで墨を含ませます。先だけだと、途中でかすれます。
練習の進め方
いきなり本番用紙に書かないこと。これが最も大事です。
まず新聞紙で、腕を動かす練習をします。感触は違いますが、大きく書く感覚をつかむには十分です。
次に、普通の半紙を本番用紙の幅に折って、細長い形で練習します。この形に慣れておくと、本番で戸惑いません。
そして本番用紙へ。ここで一枚目は捨て紙のつもりで書いてください。一枚目からうまく書ける人はいません。
集中力が続くのは、そう長くありません。体験談にあったように、半日で片付けまで終える短期決戦のほうが、だらだら続けるより良い結果になることがあります。
名前を書くところまでが本番です
最後に落とし穴があります。名前です。
体験談にも「毎年言葉と名前が同時にうまくいかない」という話がありました。本文がうまく書けて安心したところで、名前で崩れる。よくあることです。
名前は、本文の3分の1程度の大きさで、左下に書きます。細い筆に持ち替えると書きやすくなります。
名前の練習も、本文と同じくらいしておいてください。本文だけ練習して名前をぶっつけで書くと、そこだけ雰囲気が違ってしまいます。
書く位置も先に決めておきます。本文の最後の文字から、少し間を空けたところ。紙の下端からは、指2本分ほど上げると収まりが良くなります。
書き初めについてよくある質問
Q1. 書き初めはいつ書くのが正しいですか。
伝統的には1月2日とされています。元日は年神様を迎える日なので、翌日から物事を始めるという考え方によるものです。ただし学校の宿題であれば、提出日に間に合えば問題ありません。年が明けてから書くと、気持ちが切り替わります。
Q2. 小学1年生でも毛筆で書きますか。
小学校で毛筆の指導が始まるのは3年生からです。文部科学省の学習指導要領で、毛筆は第3学年以上で指導すると定められています。1年生と2年生の書き初めは、鉛筆やフェルトペンで書く形が基本です。家庭で毛筆に挑戦するのは自由です。
Q3. 何文字の言葉を選べばいいですか。
学校から指定があればそれに従います。自由な場合は、低学年で2文字から3文字、中学年で4文字、高学年で4文字から6文字が目安です。文字数が増えるほど紙の配分が難しくなるので、学年に合わせて決めてください。
Q4. 2文字の言葉には何がありますか。
ひらがななら、そら、ゆめ、はな、ゆき、こま、もち、たこ。漢字なら、元気、努力、勇気、希望、感謝、笑顔、挑戦、前進、飛躍、一歩、大空、初春などがあります。2文字は一文字が大きくなるので、画数の少ない字を選ぶと形が整いやすくなります。
Q5. 4文字の言葉には何がありますか。
漢字とひらがなの組み合わせなら、元気な子、お友だち、初もうで、明るい心、美しい心、大きな夢。漢字だけなら、一致団結、初志貫徹、心機一転、七転八起、有言実行、笑門来福などです。四字熟語を選ぶ場合は、意味を子供が説明できるかどうかを先に確認してください。
Q6. 面白い言葉を書きたいと言われました。
提出するものかどうか、誰かを傷つけないか、書ける画数かどうか。この3点を確認して問題なければ、本人に任せてよいと思います。好きな言葉だからこそ何十枚も練習した、という体験談もあります。思い入れがあるほど練習が続きます。
Q7. 半紙と書き初め用紙は何が違いますか。
授業で使う半紙は正方形に近い形ですが、書き初め用紙は幅17センチから18センチ、長さ68センチほどの細長い形です。同じ感覚で書くと字が横に広がるので、普通の半紙を本番の幅に折って練習しておくと、感覚がつかめます。
Q8. 親はどこまで手伝っていいですか。
正解はありませんが、本人が納得しているかどうかを目安にすると迷いが減ります。手本を書く、選ぶのを手伝う、横で見ているだけ。体験談でも関わり方はさまざまでした。細かく指示して賞を取ったけれど後味が悪かった、という声もあります。
Q9. 書いたあとはどうすればいいですか。
提出するものは学校へ。家で書いたものは、しばらく飾っておくと言葉が毎日目に入ります。どんど焼きに持っていく場合は、日程と持ち込めるものを事前に確認してください。写真に撮って毎年残しておくと、字の変化が記録になります。
今年はどんな言葉を選ぶでしょうか。決まったら、まず新聞紙を広げるところから始めてみてください。




