育児と介護の両立に役立つ知恵~他人ごとじゃないママ達の体験談
育児だけでも大変なママにある日突然訪れる介護との両立生活。「うちの両親、まだ元気だから」と思っているママも、義両親や祖父母などの介護をいつすることになるか分かりません。特に入園前の乳幼児を子育て中のママは専業主婦率が高く、他の家族はみんな働いているため頼まれやすいのです。
今回は育児と介護への国の両立支援、現在の介護事情、負担を減らす方法、在宅介護と施設などの情報を体験談と共に見ていきましょう。
育児と介護の両立支援
育児と介護を両立するママは意外に多く、第1子出産時の母親の年齢は1980年からおよそ4歳アップし、高齢出産の割合もママ達が子供の頃に比べて高まっていますので、今後はますます増加することでしょう。(注1)
日本政府は現在、高齢者などの要介護者ができるだけ住み慣れた地域で自立して暮らすことを目指し、医療や福祉サービスの拡充を行っていますが、育児と介護を両立するママ目線ではまだまだ不十分。
育児と仕事、介護と仕事への両立支援については「育児・介護両立支援制度」を整備し、以前よりパパもママも会社を休みやすくなるなど離職せずに育児や介護と仕事を両立しやすくなったのですが、それでも育児と介護と仕事と家事の全て行うのは、現実問題として体力的にも精神的に経済的にも至難の業で、離職せざるをえなくなる女性も少なくありません。(注2)
自分のことを一番に考える
子供は3人いて一番上の子が小学3年生、一番下は4歳のときに育児と介護の両立が始まりました。実家の父が認知症になってしまいました。母は会社の経営があって、そこには兄弟も働いており会社も危ない状況だったので、会社が落ち着くまでは私が父の介護をすることになりました。
仕事が終われば母や兄弟が代わってくれたので介護は基本的に日中だけでしたが、一度行方不明になってしまったことがあり目を離すわけにはいかないので、常に付き添いをしていました。介護が終わって子供たちと接するときが気分転換になりました。
当時一番下が幼稚園に入園したのでスーパーでパートを始めたのですが、休まなくてはいけないことが多くなってしまい結局辞めました。職場の理解はあったほうだと思いますが、私の体力と気力がついていけませんでした。
もし育児と介護の両立をしなくてはいけなくなったら、自分のことを一番に考えてください。無理をして倒れてしまったらもっと大変です。
育児中の妻が一人で介護を行うべき?
今や4人に1人が高齢者の時代。昔は「介護を行うのは嫁(女性)の務め」と言われ、実際に半数を占めていた時代もありましたが、2010年には1割まで減少し、今や夫や息子も介護を行う時代になりました。
ですから「嫁だから、女性だから私がやるしかない」と夫や家族に押しつけられて女性が無理をする必要はないのです。(注3)
ただし介護には体力や家事などの生活スキルが必要になるため、育児中の女性が指名されることがやはり多いです。
年齢な体力の衰えに加えてこれまで妻任せで家事のスキルが不足する舅や実父、仕事中心の夫や兄弟の場合は、病院や施設の手続きを担当してもらうなど話し合ってできることを負担してもらい、家族で協力して育児と介護を行いましょう。
育児と介護の両立を一人で抱え込まない努力をすることも、これからの介護者には大切です。
育児と介護の両立の負担を減らす10の方法
乳幼児の育児と介護は想像以上に大変なのですが「時間や肉体的な負担より、精神的な負担が大きい」と感じる人も多いです。こうした負担を少しでも軽減する方法を知っていると、いざという時に随分楽になれます!
- 買い物はネットスーパーや生協の個配を利用する
- 夫としっかり話し合って理解を得る
- 一人で抱え込まず、家族で情報を共有して協力し合う
- 役所や地域包括支援センターに相談する
- 使える公的サービスは全て使う
- 短くても密度の濃い親子の触れ合いタイムを作る
- 笑顔を心掛け、先回りしすぎない
- 要介護者の要望を無理して全て聞き入れようとしない
- 介護者が無理をしない
- ストレス発散をこまめに行う など
家族を介護中は不謹慎な気がしてストレス発散できない人も多いのですが、子供を他の家族に任せてママだけで出掛けたり、子供と一緒に遊びに行ったりと介護している時間以外を楽しむことでストレス発散をこまめにして、介護にどっぷり浸って精神的に参ってしまわないように心掛けることも、終わりの見えない介護の不安を軽減するコツです。
また先回りして「もしこうなったら」と状況が悪くなったときのことをアレコレ考えすぎと、逆にストレスが膨らんで何もする前から疲れてしまうことがありますので、細かく考えすぎるよりいざという時に必要な情報を提供してくれる相談できる場所を増やすようにしましょう。
介護を受けている人や子供の精神的負担を少しでも軽減しようと、無理をして要求を全て聞き入れようとしてしまうママもいますが、育児と介護を両立するママが最終的に追い込まれてヒステリックになったり過労で倒れたりしてしまうと、要介護者も子供も周囲もとても困ることになります。
無理をしない範囲でお互いに協調し合うことも優しさ、ということを心に留めておきましょう。
必要な我慢は子供の成長に役立ち、ママの笑顔は子供の満足度や周囲の幸福度を高めます。
育児中は在宅介護と施設、どちらがいい?
病院や療養型施設に入所していれば24時間体制で行う在宅介護ほどの負担はありませんが、それでも小さな乳幼児を連れて病院や施設の手続き、洗濯物の交換などをこなしながらの育児は大変なことです。
療養型施設数は不足していて、満足する施設を選ぶと費用が高額になるため在宅介護を選ぶご家庭もありますが、在宅介護ともなれば入院中と違って通院する回数は減るものの、要介護度が高くなってくると昼夜を問わず介護が必要になることもありますので、寝不足でママが参ってしまい、最終的に施設への入所を検討することも多々あります。
どちらが楽かは家族のサポートや要介護度にもよりますが、選ぶ際は一時の感情に流されず、要介護者だけでなく介護するママ、子供、家族の全員が笑顔でいるには何が一番いいのかをしっかりと家族で話し合って考慮することが重要です。
ヘルパーなど使えるものは使いまくり、施設検討は早めにする
うちは一人っ子なのですが、娘が2歳の時に私の祖父、娘にとっては曽祖父が脳梗塞を起こし要介護5になり、入所はさせたくないということで在宅介護になり、介護職を経験したことがあり仕事をしていなかった私が介護をすることになりました。
私の母や叔母など適任者はいたのですがただ介護職を経験したという理由だけで、ケアマネとの面談や訪問入浴やヘルパーなどの福祉サービスの検討まで全て育児中の私がすることになりました。
ヘルパーさんが1日1時間ほど家事または身体介護をしてくれる合間に、家に急いで戻って掃除や洗濯をしていました。祖父との同居は叔母がしていましたが、日中は仕事でいないため祖父の家に行く際は2歳の娘を連れていっており、満足に遊んであげられなかったことを今でも後悔しています。
これにプラスして外で働いていたら過労で倒れていたと思います。育児と介護の両立が大変で、夜帰宅してからようやく朝から何も食べていないことに気づき、3合もご飯を食べたこともありました。
そんな生活が半年ほど続き、夜しかみていない叔母が「耐えられない」と騒ぎ、たまたま待機が少ない施設に空きがすぐでき、現在祖父は施設に入所しています。
今働きながら育児に介護にと奮闘されている方は、本当に辛くなる前に施設入所を早めに検討しておいた方がいいと思います。入れたいからといって、すぐ入れるものではありません。
Q育児と介護を乗り越える心構えや方法、その時の様子を教えて!
育児と介護を両立するママの中にはパートや仕事を持っている人、家族の協力が得られない人、要介護者と離れて暮らしている人など様々。小さな乳幼児を育児しながらどのように苦境を乗り越えたのか、経験者や現在介護中のママさん達に教えてもらいましょう。
家族の協力なしの育児と介護の両立
区のボランティアサービスを利用する
子どもは1人で3歳の時、育児と介護の両立が必要になりました。当時72歳だった実母が股関節の疾患で手術をすることになり、父は早くに亡くなっていて母は1人暮らしだったため、私が介護をしました。
夫は単身赴任中という状況で、1人で育児と介護をするしかありませんでした。
在宅時は病院の送迎と家事、入院後は様々な手続きや付き添いなどの介護を行いました。
3歳の子どもは幼稚園児だったので、延長保育を頻繁に頼まなければならず、寂しい思いをさせてしまったと思います。ただ仕事はしていなかったので、子どもが幼稚園にいる間になんとかやっていましたが、週に1度は母の介護を区のボランティアサービスにお願いしました。
1時間700円で高齢者の家事や通院の付き添いなどを手伝っていただけるサービスです。その日は子どもが幼稚園から帰るまではゆっくり家のことができるし、午後は子どもとの時間を大切にすることができました。実際週1午前中だけでは家事だけで終わってしまい自分のための時間にはならなかったのですが、子どもが好きなことをし、好きな場所にお出かけすることが私の気分転換にもなりました。
育児と介護の両立は気が抜けるときがなくとても大変です。どうしても自分の時間か皆無に等しい状態になってしまいますが、私は週1のボランティアサービスに救われました。積極的に外部の協力を得られるよう、役所などに問い合わせてみると良いと思います。
必ず誰か協力者を作って!
現在2人の子どもの育児をしています。上の子どもが7歳、下の子どもが2歳の時に育児と介護を両立した時期がありました。介護をしたのは義祖母です。
普段は義母が介護を行っていたのですが、義母がメニエール病にかかってしまい、介護をすることが不可能になってしまったので、嫁である私が義母の看病と合わせて義祖母の介護を行うことになりました。
自宅には他にも義父や夫がいますが、二人とも普段から義祖母に関わることが少ないため手伝うことはなく、私が1人で義祖母の食事や洗濯など身の回りのことをしていました。途中で義祖母が膵炎になってしまい、入院が必要になったので入院の付き添いや手配も私がしました。
当時まだ2歳児を預ける先が確保できなかったので、仕事はしていませんでした。1日中義祖母の介護を中心に育児や義母の看病と忙しく駆け回っていて、疲れていても何をしたいという気力もなく、乗り切るための工夫は何も思いつきませんでした。
私の場合は協力者が誰もいませんでしたが、1人で育児も介護も家事もやっているとその時はよくても必ず後で体調を崩すなどの悪影響が現れます。なので、必ず誰かしらの協力が得られるようにしてほしいと思います。
もし見つからなければ、育児中であれば子育て支援を行っている部署が相談に乗ってくれるのでぜひ利用してください。
家族の協力があった育児と介護の両立
一人っ子ママさんはパパと話し合って理解を得て!
子どもはひとりで現在6歳になりますが、3歳頃から育児と介護を両立することになりました。そもそも実母が病弱で病院と縁が切れない生活でしたが、それを支えていた実父もガンが見つかり、まずは父が手術を含む入退院を繰り返すようになりました。その後母の病状も進み透析が始まり、老老介護にも限界がきました。
私は一人っ子ということもあり別世帯で暮らしてはいましたが、このようなこともある程度想定して近所に住んでいたため介護に関わるようになりました。父母同時に別の病院に入院することもあり、入退院の手続きや付き添い、面会、病院とのやりとりなど複数の病院を行ったり来たりしました。加えて入院中の洗濯物をし、実家のペットの世話などの雑務も意外と時間を取りました。
主人は忙しい仕事の合間を縫って車を出してくれたり、子供の面倒を見てくれたりとサポートに徹してくれました。私は好きなドラマを録画して自宅の家事をこなしながら見てストレス解消をしていました。
介護を乗り切るには、しなければならない事を整理して効率のよい動きをすることです。
けれど最も大切なことは夫とよく話をして理解を得ることだと思います。物理的なものはいざとなれば外注するなど対策はありますが、自分の精神面の支えを確保することはなかなか他にはできないからです。幸せな家庭こそが介護を乗り越えるには大切です。
育児と介護の両立には家族の連携と公的支援が必須
私が33歳から34歳までの1年間、祖父の介護をしたことがあります。娘が3歳の頃でしたが、孫が来ることで祖父もだいぶ嬉しかったようです。
私以外は仕事をしていたこともあり、主に日中食事作りをしていました。他の家族も、それぞれできる範囲で協力しながら介護をしたので、あまり負担感はありませんでした。
短期間で家族内の連携、介護保険の活用もしていたので、特に疲れを感じることはなく、自分の役割を果たせたと感じています。私が作った料理を祖父が「美味しい」と言って食べてくれることが、何よりも私にとってのご褒美でした。
これから育児と介護の両立をする場面があれば、家族内の連携と、必要な公的支援などをうまく活用していくことが大切だと感じています。
家事は手を抜き、自分も要介護者も許す気楽さが大切です
上の子が6歳、下の子が3歳の時に主人の母が大きな手術をしました。と同時に当時一人で住んでいた義母は介護が必要になり同居することに。主人は一人っ子なので、いずれは私が介護するだろうとは思っていましたが、手術をするまではかくしゃくと1人で生活されてきたので戸惑っていました。
主人は仕事が忙しく、まだケアマネジャーさんとの二人三脚でした。病院へは主人が仕事を休んで送迎、私が付き添いなどを行っており、自宅ではヘルパーさんと私でお世話をしていました。私は当時仕事をしておらずずっと家に居ましたので、べったり義母に付き添うことができたのです。
それでも慣れない同居にお互いちゃんと気持ちを伝えられなくて泣いたこともありました。それは義母も同じで、なんでも自分でできた義母も下の世話を嫁にやってもらうことに、辛い思いをしていたと思います。
それから3ヶ月後、容態が急変して亡くなりました。ちゃんと私は義母にしてあげられたのかと自問自答する日々でしたが、義母が友達に私の自慢をしてくれていたことを知り感謝したものです。
育児をしながらの介護、また仕事もあってとなると相当疲れることになります。うまく家事も手を抜きながら、自分を許して介護者の方のことも許して、楽な気持ちで接してあげられたらと思います。
ネットスーパーや家族の協力でストレスを小出しに発散
2人の息子を産み、長男が2歳半、次男が4ヶ月のときに育児と祖母の介護を両立することになりました。90歳になる祖母は私が小さい頃から一緒に住んでいる父方の祖母で、急に足腰が悪くなり車椅子なしでは生活できなくなりました。
私は結婚をして離れて住んでいましたが、介護する予定の私の母親が首の手術をして3ヶ月ほど入院することになり、私が息子2人を連れて実家に戻り、祖母の介護をすることになりました。
父親と私の弟はまだ現役で働いていたので、育児も介護も平日は全く手伝いができませんでしたが、週末は祖母の着替えやお風呂などを手伝ってくれました。祖母は、足腰以外は元気だったので、トイレとお風呂と着替えの手伝いと散歩などが介護のメインでした。
当時私は専業主婦だったので、毎日自宅にいることができました。ネットスーパーでオムツや食品、日用雑貨などを買い、買い物はとても楽をできました。
疲れた時は週末に父親と弟に祖母と子供2人を任せて1人でカフェにいき、好きなランチやケーキを食べてリフレッシュしました。
介護と育児の両立は本当に大変ですが利用できるものはすべて利用して、なるべくストレスを小出しに発散して溜めこまないことが大切です。
任せられる介護は全てプロ、育児は自分が担当するのが楽
息子が6ヶ月の頃に独居の父が倒れて介護がスタートしました。住まいから片道2時間近くかかる実家に赤ちゃんを連れて行くのは簡単ではないので、父は嫌がりましたが市役所に相談してケアマネジャーをつけて、父の様子を見に行ってもらいました。
うちは旦那に安心して子どもを預けられないのもあり、ケアマネジャーさんは身内よりも親身になって父のサポートをしてくれました。最初はケアマネジャーさんを嫌がっていた父も、今ではとても信頼しています。
息子が1歳になった時に、脳のトラブルで半年以上寝たきりになりました。実家に通うのが難しいため、私の住んでいるエリアの老人健康施設に入所してもらい、身の回りのものは私が届け、通院など子連れで行けない部分は弟が担当しました。
今は奇跡的に回復し、身の回りのことは自分でできるようになったので、自宅に戻っています。デイサービスに週3通い、訪問看護週1、ヘルパー週2、残りは私か弟が様子をみに行っています。父に関しては受けられるサービスをフルに使うようにしています。
ファミリーサポートは料金が高いのと、父の用事を済ませるのに時間が読めないので、登録だけしましたが私は連れて歩く方が楽でした。
私はワンオペ育児なので、介護を任せられることに関してはプロにお任せして、育児は自分自身でするというスタイルはバランスが取りやすいです。
育児・介護・仕事の両立
笑顔でそれぞれの喜びを見つけることが大切
私は1人いる子どもが3歳の時に介護と育児を両立することとなりました。私の祖父が介護が必要になったからです。私は元々介護の仕事に就きたいと思っていたので祖父の介護を引き受けました。私以外の家族は声かけたり風邪を引いた人にする程度の手助けはしてくれましたが、あまり手伝ってはくれませんでした。
排泄、お風呂、食事などほとんどのことを介護することが私の仕事でした。育児と介護以外にスーパーのレジのパートもしていましたが、パートにも出たり電話で友達と話したりといった他の人との交流があったので、介護そのものが嫌になったり疲れを感じたりすることはありませんでした。
育児も介護もどちらにも喜びを感じる場所が絶対にあると思います。口角を出来るだけあげて笑顔で自分を救えます。