赤ちゃんへの果汁はいつから?種類によって違う!時期や作り方
離乳食の準備段階としてそろそろ赤ちゃんに果汁を与えようかと考えているママさんへ。果汁と言っても、どの果物の果汁を与えればよいのか?どれくらい与えればよいのか?色々と心配なことがありますね。
今回は、果汁をスタートする時期・果汁の種類・作り方についてご説明します。なお、果物にもアレルギー反応が出ることがありますので注意が必要です。果汁に対する考え方は、昔と今では違ってきています。きちんと最新の情報を得ておくと、おばちゃんが果汁を飲ませようとした場合にも対応できますよ。
赤ちゃんへの果汁はいつから?昔と違う今の常識

昔は、生後2~3ヶ月頃から離乳食の準備として果汁やスープを与えていました。しかし2007年3月に改定された厚生労働省のガイドラインでは、離乳食の準備段階としても果汁は不要となり、最近では早くから果汁を与えないママも多くなっていて、「いつから果汁を与えていいのかな?」って悩んでしまいますよね。(注1)
果汁を絶対与えてはいけない訳ではありませんが、生後4ヶ月以前はアレルギーを発症する可能性が高くなるため控えてください。また、生後5~6ヶ月に離乳食の準備段階として果汁を与えることも、完全に離乳していない場合には、母乳やミルクから得られるタンパク質やビタミン、カルシウムなど様々なミネラル分の摂取量が減ることが懸念されているため、ミルクや離乳食の代わりに果汁を与えるということは控えるようにし、離乳してから与えるようにしましょう。また、果物の種類により赤ちゃんが食べられる時期が異なったり、離乳食期の赤ちゃんには与えることのできない果物もあったりしますので注意してください。
この果汁はいつから?種類別おすすめの時期
果物の種類によっては食物アレルギーを起こすものもあります。果汁を与える際は、アレルギーの点からも開始時期を守るようにしましょう。
赤ちゃんのアレルギーと果物の種類
離乳食を与える際に気をつけたいのが食物アレルギーです。果汁を与える際に注意したい果物によるアレルギー症状をご説明しておきます。離乳食でよく使われる果物もアレルギー症状を起こすことがありますので、自分の子供に合うのかを見極めて離乳食に果物を取り入れるようにしましょう。
- 口腔アレルギー症候群
口の周囲にかゆみや腫れが起こるアレルギー
原因となる果物・・・メロン・スイカ・バナナ・リンゴ・サクランボ・モモ・キュウイ・マンゴー
- ラテックス・フルーツ症候群
アナフィラキシー症状の原因となるアレルギー
原因となる果物・・・バナナ・キュウイ・パパイヤ・イチジク・メロン・マンゴー
離乳食初期におすすめの果汁

離乳食初期に与える果汁は、私たちが日ごろから食べているような果物がおすすめです。バナナ・りんご・イチゴ・みかん・ぶどうなど比較的手ごろな価格で買える果物からスタートしていきましょう。
離乳食に使用する果物は新鮮なものを選んでくださいね。旬の果物を取り入れるようにして、色々な果物を試してみましょう。
離乳食期に特に注意が必要な果汁
離乳食期にOKとなっている果物の中でアレルギーの可能性が特に高いものは、メロン・サクランボ・桃があります。
これらの果物の果汁を初めて与える際は、少量として飲み終わった後しばらくは赤ちゃんの様子に変わったところがないか注意深く観察してあげてください。万が一アレルギー症状が起こった時のために、かかりつけの小児科の診療時間内に、果汁を与えるとすぐに受診することができますよ。
他に代用できる果物があれば、離乳食初期から急いでこれらを与える必要はないでしょう。また、桃を初めて与える時には加熱して与えるようにしてください。
離乳食期に与えてはいけない果汁

果物の中で離乳食期には避けたいものがあります。パイナップル・マンゴーは、刺激が強いので離乳食には適していません。離乳食が完了した後でもパイナップル・マンゴーを食べさせる際は、少量からとするなど慎重に進めていきましょう。また、グレープフルーツやキュウイは、ビタミンCが多く栄養たっぷりですが、酸味が強いため苦手な赤ちゃんが多いようです。
赤ちゃんの下痢や便秘におすすめの果汁
果汁に含まれる成分が赤ちゃんの下痢や便秘を改善してくれることもあります。離乳食を開始すると赤ちゃんが便秘になってしまうことも多々あります。まだ赤ちゃんには薬を飲ませたくありませんので、果汁で症状が改善してくれるとママも助かりますね。
下痢・便秘に効果がある果汁をご紹介します。
1リンゴ果汁で下痢も便秘も改善!
リンゴに含まれるペクチンは整腸作用があるため、便秘や下痢を改善させる効果が期待できます。便秘や下痢の時は、赤ちゃんの機嫌が悪くなりがちですので、薬に頼らずにリンゴで症状が改善されると嬉しいですね。また、リンゴはビタミンCが豊富なため、胃腸系のトラブルだけではなく、風邪をひいた時に食べさせてあげたい果物でもあります。加熱してもビタミンCは失われないので、離乳食にも使いやすいからオススメですよ。
リンゴは、離乳食初期から与えることができ、果汁だけでなくすりおろしても美味しく食べることができます。1年中食べることができる果物ですので、離乳食に積極的に取り入れたいですね。
2いちご果汁は便秘の薬に効果的

イチゴにはペクチン・ビタミンC・キシリトールが豊富に含まれています。りんごと同様にペクチンの整腸作用は、便秘や下痢を改善する効果があります。ビタミンCには、美白効果だけでなく腸内のビフィズス菌を増やす作用もあり、腸内環境を整えることで便秘になりにくい腸にすることができます。また、虫歯予防の効果で知られるキシリトールにも整腸作用があります。ただ、キシリトールとビタミンCに摂り過ぎると、下痢になってしまう働きがあるため、下痢の時にイチゴを食べさせるのと悪化する危険性があるため控えましょう。
3みかん果汁は便秘におすすめ!
みかんは、ビタミンCが豊富に含まれています。ビタミンCには、肌のトラブルを解決してくれる働きだけでなく、整腸作用もあるので、沢山みかんを食べさせたいと思うママも多いでしょう。ただ、ビタミンCを過剰摂取すると下痢や吐き気を引き起こす可能性があるため、国立健康・栄養研究所の定める通り、赤ちゃんには1日の目安量40mgを超えないように食べさせましょう。(注2)
温州みかん100gの栄養成分(Mサイズ1個)より、およそ32~35mgのビタミンCが含まれていますので、一日1個は摂り過ぎ!他の野菜にもビタミンCは含まれていますので、あっという間に40㎎をオーバーしてしまいます。ビタミンCの摂り過ぎには十分注意を!
赤ちゃんの果汁の作り方
赤ちゃんに与える果汁の作り方は、果物によって異なります。果物にあった方法で作ってあげましょう。離乳食期の赤ちゃんには、ストレート果汁は胃腸への刺激が強くまた濃い味に慣れてしまうと離乳食を食べなくなる原因にもなり困りますので、湯冷ましで2~3倍に薄めてから飲ませるようにしましょう。
1絞ってからこす

みかんなど柑橘類の果汁は、絞って作ります。柑橘系の果物は、赤ちゃんによっては酸っぱく感じられることもありますので、様子を見ながら与えてくださいね。柑橘系の果物ならまずは、みかんから与えてみることをおススメします。赤ちゃんに果汁を飲ませる前に、濃さの確認のためにも、まずはママが味見をするようにしましょう。
絞ってこす果汁の作り方
- 果物をきれいに洗う
- 皮をむかずに横半分に切る
- レモン絞り器で絞る
- 絞った果汁を布巾やガーゼ、茶こしなどでこす
- 湯冷ましで2~3倍に薄める
2つぶしてこす

イチゴ・ぶどう・スイカなどは、つぶしてからこしてあげると楽です。果物によっては皮の周りは酸味が強くなっていますので、皮を厚めにむいてから潰すようにしましょう。スイカは、皮の周りよりも中心部の方が甘みは強くなっています。赤ちゃんの果汁用には、中心部を使ってあげると良いでしょう。
つぶしてこす果汁の作り方
- 果物をきれいに洗い、皮を厚めにむく
- 茶こしに入れてスプーンなどでつぶす
- 潰して出た果汁、潰した果物を、ガーゼなどでこす
- 湯冷ましで2~3倍に薄める
3おろしてこす
りんごや梨など固い果物はすりおろしてからこしましょう。りんごは、切ってから塩水に少しつけると変色を防げますが、赤ちゃん用なので塩分には注意しましょう。また、りんごは傷みやすい果物ですので、傷んでいる部分は取り除いてから使用してくださいね。
おろしてこす果汁の作り方
- 果物をきれいに洗い、皮をむきすりおろしやすい大きさに切る
- すりおろし器ですりおろす
- すりおろしリンゴを布巾や茶こしなどでこす
- 湯冷ましで2~3倍に薄める
赤ちゃんへの果汁の与え方
赤ちゃんに果汁を与えすぎると、ミルクや母乳を飲む量が減ってしまう可能性がありますので、飲ませ過ぎることのないように注意しましょう。
おすすめの果汁の与え方としては、哺乳瓶に入れて飲ませると量が多くなる恐れがあるので、スプーンで少しずつ飲ませてあげてください。赤ちゃんによっては初めのうちは、上手にスプーンでゴックンできないこともありますが、慣れてくると上手に飲めるようになります。果汁は、栄養補給や水分補給の役割を果たすものではありませんので、嫌がるようでしたら無理に飲ませる必要はありません。
おばあちゃんが果汁を与えようとしたらどうする?

おばあちゃん達が子育てをしていた時代は、離乳食を始める前に果汁を飲ませるのが一般的でした。おばあちゃんによっては、赤ちゃんに果汁を与えるように、アドバイスをしてこられる方もいらっしゃるかもしれません。
ママから否定しづらい場合は、健診や産院でもらったパンフレットなどを見せてあげて、果汁に関する考え方が昔と今では異なっていることをわかってもらいましょう。また、健診などに一緒に行って、医師からの話を直接聞いてもらうのが、一番良いかもしれません。
ただ、それでも果汁を与えてしまうこともあるでしょう。少量でしたら問題ありませんので、ママもあまり神経質になることのないようにしましょう。できれば、母乳やミルクを飲ませた後にしてもらうとよいですね。
赤ちゃんに果汁は必須?
現在では、果汁の栄養面での必要性はなくミルクや母乳の摂取量が減ってしまう恐れがあることから、離乳食開始前に果汁を与えないことが多くなっています。厚生労働省のガイドラインでも果汁の必要性は認めていません。
もし赤ちゃんに果汁を飲ませみて、飲まないようなら無理に与える必要はないでしょう。離乳食開始前の赤ちゃんであれば、ミルクや母乳をしっかりと飲んでいるようであれば問題ありません。
参考文献
- 注1: 厚生労働省 「授乳・離乳の支援ガイド 離乳編」
- 注2: 国立健康・栄養研究所 「ビタミンC解説」