夫婦別姓の現状と手続きに関する記事

『夫婦別姓の手続き・夫婦別姓の現状とメリット&デメリット』

日本では2種類の夫婦別姓の手続きの方法がありますがそのメリットとデメリットを比較してみました。夫婦別姓の現状も解説。

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結婚後の夫婦別姓は可能?夫婦別姓の手続き

民法では、婚姻届を提出する際に、夫婦の姓を同一にすることが求められます。一般的には男性側の姓を使用することが多く、女性側の姓を使用する場合は「養子」「入り婿」などと特別な呼ばれ方をすることが多いです。つまり、「夫婦別姓」の言葉でイメージされる「入籍後は夫婦が戸籍上同一でない姓を継続する」ことはできません

しかし、仕事などの理由で「結婚前の姓を名乗りたい」と希望する女性も少なくありません。では、このような状況下で夫婦別姓を選択するためには、どのような手続きを行う必要があるのでしょうか?

夫婦別姓とは

2015年現在、法務省では「選択的夫婦別姓制度」を導入するかの審議が行われています。ここで言う選択的夫婦別姓制度とは、結婚すると夫婦同姓になるという制度は現状のままで、希望によっては夫婦それぞれが結婚前の姓を名乗ることも認められるという制度を意味します。

選択的な夫婦別姓ですので、希望しない方は夫婦同姓を名乗ることもできます。夫婦同姓か夫婦別姓かを婚姻時に決定できるのが、「選択的夫婦別姓制度」なのです。

意外に支持が少ない!?選択的夫婦別姓制度

総務省では2012年に、選択的夫婦別姓制度に関して国民がどのように感じているかの世論調査を実施しました。その調査によりますと、選択的夫婦別姓制度を支持した国民が35.5%であるのに対し、現行の夫婦同姓制度のままでよいと答えた国民は36.4%とわずかに多い結果になりました。

年代別にみますと、20代では47.1%もの方が選択的夫婦別姓制度を支持しましたが、60代では33.9%のみの支持となり、若い世代の方が選択的夫婦別姓制度を望む声が多いことが明らかにはなっています。

参考資料:「平成24年度 選択的夫婦別姓制度に関する世論調査」

例外的夫婦別姓制度とは

政府案として、「例外的夫婦別姓制度」も提出されています。例外的夫婦別姓制度とは、原則として夫婦は同姓を名乗るべきですが例外的に別姓も認めることを意味します。戸籍上では、夫婦同姓で登録され、但し書きとして婚姻前の姓を名乗ることもあると記されます。夫婦同姓か夫婦別姓かを選ぶ「選択的夫婦別姓制度」ではなく、あくまでも例外として夫婦別姓が実現するのが「例外的夫婦別姓制度」なのです。

夫婦別姓のメリットとデメリット

フリーランスで仕事をしている方にとっては、姓が変わることは仕事にも大きな影響を与えます。夫婦別姓の最大のメリットは、仕事上の不利益や不便を受けずに済むということにあるでしょう。

ですが、子どもがいる場合、夫婦別姓にすると子どもはどちらの姓を名乗るのかという問題が発生します。父親の姓を名乗るなら、学校行事など母親と活動するときは姓が異なってしまい、子どもにも不快な思いをさせかねません。反対に母親の姓を名乗るなら、父親と行動するときは子どもが疎外感を感じるかもしれません。いずれにしろ、夫婦の姓が異なることで子どもに影響を与えてしまうのが最大のデメリットと言えるでしょう。

海外での事例

現在、アメリカ・カナダ・フランス・イギリス・スウェーデンなど多くの西洋諸国では夫婦別姓が法的に認められています。女性の社会進出や女性と男性の権利を平等にするために、夫婦別姓とする法律が作られてきたのです。また、中国や韓国など婚姻による改姓がない国もありますが、これはかつて妻に家族の財産を相続させないための手段としていた強い男尊女卑の名残による夫婦別姓とも言われています。西洋の夫婦別姓とは考え方も成り立ちも異なると言えるでしょう。

夫婦別姓の2つの方法

現在日本で夫婦別姓を実現するためには、大きく分けて2つの方法のいずれかを選択することになりますので詳しく見ていきましょう。

事実婚として夫婦別姓を実現させる

婚姻届を役所に提出しないで、事実婚として暮らすことで夫婦別姓を実現させている人も少なくありません。ですが、事実婚は法的には「婚姻状態」とみなされないので、子どもは「非嫡出子」扱いとなり、各種手当などを受けることが困難になったり、扶養家族として控除を受けられなかったり等のデメリットがあります。

婚姻届を提出しないので、夫婦別姓にするために特別な手続きは必要ありませんが、子どもが生まれた時には出生届が必要です。

通称として夫婦別姓を用いる

戸籍上は夫婦同姓ですが、仕事の場合に婚姻前の姓を名乗るのがこの「通称夫婦別姓」です。職場でも社員としての登録は戸籍上の姓で行い、現場では旧姓を使用しますので、場合によってはややこしくなってしまうこと、使用範囲が限られることがデメリットとして挙げられます。

法的には夫婦別姓はまだ認められていませんので、役所にも通称で旧姓を使用することを届け出る必要はありません。ですが、社員登録やパスポート・通帳など本人確認が必要な書類に関しては「通称」の使用は不可能ですので、使い分けがややこしく、仕事に大なり小なり影響が出るのは避けられません。

現状の日本においては、夫婦別姓を名乗るのは難しい

事実婚を採用する場合にも、通称を採用する場合にも、いくつかのデメリットがあり決して夫婦別姓は容易な道とは言えません。特に子どもがいる場合には、途中で姓を変える場合には家裁の許可が必要であったり、非嫡出子問題が生じたり、多くの困難を抱えてしまいます。現在の日本においては、特別な事情が無い限りは法改正を待つのがトラブルの少ない選択と言えそうです。

この記事を書いたライター

木村さくら

自称「健康オタクで美容オタク」。最近自家栽培にハマってます。

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