保活はいつから?具体的な活動と保育園の入園条件
今や「保活」は、出産後に働きたいママが気になるワードの1つのはず。「保育園落ちた…」と職場復帰の道を断たれることは、何としても避けたい状況ですよね。ところが、入所を希望すればすんなりと入ることができる地域がある反面、待機児童が多い地域では、働きたくても子供が保育所に入ることができず、結果的に仕事に就くことができないという状態が今もなお続いています。
育休制度によって出産後も仕事を続けたい女性が増える一方で、地域によっては保育所が足りないことが大きな壁となっていることから、子供を保育所に入所させるための「保活」を始める人が増えています。そこで今回は、「保活ってどうやってするの?」「いつから始めるの?」などの疑問にお答えするための、保活についての基礎知識をご紹介します。
「保活」とは?
就職するため活動を「就活」、結婚するための活動を「婚活」というように、最近は「保活」という言葉が一般的になりつつあります。保活とは、子供を保育所に入所させるために保護者が行う活動のことで、特に都市部では、定員に対して入所希望者の数が多いことから、入所が困難なケースが増加しているため保活を行うママが増えています。
保活では、入所選考に有利になるための活動が一般的。待機児童が多い地域では、保護者は子供を保育所に入れるために、就活や婚活に劣らないくらいの試行錯誤を繰り返しながら、狭き門となっている保育所への入所を叶えよう努力しているのです。
保活で行われている主な活動
保育所への入所は決して早い者勝ちというわけではなく、入所選考によって入所できるかできないかが判断されます。待機児童にならないためには、この入所選考をいかにして乗り越えるかということに尽きるのです。保育所への入所を現実のものにするためにどのような活動があるのか、次の4つの具体例をみていきましょう。
1情報収集
職場復帰の時期が決まっている産休や育休を取得中のママや、経済的に再就職が迫られているママにとって、保活は時間との戦い。闇雲な保活は避けるために、まずは情報収集からはじめることが大切です。自宅や職場のあるエリアにはどのような保育所があるのか、待機児童がどれくらいいるのかなど、前もって知っておくと活動しやすくなります。
インターネットで検索するほか、お住まいの地域の役所や福祉事務所に足を運んで応募状況を確認したり、実際に気になる保育園の見学を申し込むなどして、保活のための正確な情報を集めましょう。
2入所しやすい地域への引っ越し
都道府県知事から設置認可を受けている認可保育所の場合、自治体によって管理されているので、お住まいの地域の保育所でなければ入所することができません。地域によっては、定員に対して入所希望者が多く入所が難しい低い地域があれば、入所希望者が少なく簡単に入所できる地域があることから、最近は子供を保育所に入所させるために、わざわざ入所しやすい保育所がある地域に引っ越しする人が増えています。
3産前のフルタイム勤務
パパとママがフルタイムで働くためには、子供を保育園に預ける必要があります。逆をいえば、入所を希望する保護者のほとんどが、夫婦ともにフルタイムで働いています。そのため入所選考の際、どうしてもフルタイムで働くママに比べて、パート勤務のママや妊娠によって時短勤務に切り替えたママは不利になることも…。
待機児童が少ない地域ではあまり影響はありませんが、競争率が高い保育園に入るためには勤務時間が重要なポイントになります。
4認可外保育園への入園
認可外保育所に預けている場合、保育の必要性があるとみなされることから、入所選考の際に加点ポイントとなる自治体がほとんどです。そのため、中には認可保育園に入所させるために、職場復帰の時期を早めて、先に認可外の保育所に預ける保護者もいるようです。
1歳児よりも、0歳児の定員が多く入所しやすい保育所の場合、子供の1歳の誕生日を待たずに職場復帰するのも一つの手段です。子供の年齢ごとの定員は自治体によって異なることから、事前に調べておくと、保活をはじめる時期の参考にもなりますよ。
保活はいつから始めればいいの?
出産後、産休や育休明けに職場復帰を予定している場合、保活は妊娠中に始めるのがベストだといえます。認可保育所の場合、次年度の春に入所するための募集は10月に始まりますが、情報収集や保育所見学などはそれよりも早く始めて損はありません。
産後は、慣れない育児で情報収集の時間を確保するのも難しく、赤ちゃんを連れての外出は大変になるので、出産前にできることは早めに始めておくことをおすすめします。
保育所に入所するための条件
保育所に入所するためには、希望する保育所が所在する地域に住んでいるほか、自治体に支給認定の申請を行い、支給認定証を交付してもらう必要があります。認定を受けるためにはどんな条件があるのか、順を追ってみていきましょう。
支給認定とは
地域の幼稚園や保育所などの保育施設の利用を希望する場合、自治体から利用するための認定を受ける必要があります。認定は、年齢と「保育を必要とする事由」の有無によって、1号認定から3号認定までの3つ認定区分に分けられます。
保育を必要とする事由
・保護者が働いている(フルタイム・パートタイム・夜間・居宅内の労働など)
・保護者が産前産後である
・保護者が病気やケガをしていたり、障害がある
・保護者が親族の介護・看護をしている
・災害に遭い、復旧のため子供の面倒がみられない
・保護者が就活を行っている
・保護者が就職のために学校に通っている
・育児休業取得中に、既に保育を利用している子どもがいて継続利用が必要であること
保育所を利用するためには、2号認定または3号認定を受けなければならないことになっています。認定区分の詳細は次のとおりです。
1号認定(教育標準時間認定)
子供が3~5歳で「保育を必要とする事由」に該当しない場合、1号認定を受けることになります。1号認定の場合は、利用できる施設は幼稚園のみですが、保育を必要とする共稼ぎ家庭でも、幼稚園に通わせることを希望する場合は1号認定を受けることができます。
2号認定(保育認定)
子供が3~5歳で「保育を必要とする事由」に該当する場合、2号認定が受けられます。2号認定の場合は、保育所のほか認定こども園の利用が可能です。
3号認定(保育認定)
子供が0~2歳で「保育を必要とする事由」に該当する場合、3号認定を受けられます。3号認定の場合は、保育所・認定こども園・地域型保育の利用が可能です。地域型保育とは、保育所よりも少人数の施設のことで、次の4つのタイプがあります。
・家庭的保育
・少人数保育
・事業所内保育
・居宅訪問型保育
保育所の入所基準とは?
保育所への入所申込者が定員を上回った場合、ほとんどの自治体では入所優先順位を決めるために、基準指数と調整指数を用いて審査します。これらは、入所選考において最も重要視されることから、基準指数や調整指数を考慮しながら保活を行う人は多いようです。
保育所に入所するための基準指数
基準指数とは、保護者が子供を保育できない時間や頻度を指数化したもので、就労時間や日数によって点数が変わります。それに対して、調整指数とは、家庭の状況や保育支援状況を指数化したもので、兄弟が入所している・母子家庭または父子家庭・子供に障害がある等、それぞれのケースごとに基準指数に加点されます。
例えば仙台市の場合、同じ週5日の勤務だとしても、1日の労働時間が7時間以上なら基準指数は10ポイント、4時間以上5時間未満なら7ポイントとなるため、1日の労働時間が長い人の方が基準指数は高くなるのです。
また、調整指数は、兄弟がすでに入所している場合は+2ポイント、65歳未満の祖父母と同居している場合は-1ポイントとなることから、保育の必要性が高いと思われる人ほど、調整指数として加算されるポイントが高いといえます。
点数が高いほど優先順位は高い
基準指数と調整指数の合計指数が高いほど、「保育に欠ける程度」が高いと判断されることから、優先的に保育所に入所することができます。自治体によっては基準指数や調整指数を公開しているので、お住まいの地域の指数についてネットで確認してみるとよいでしょう。
それでは、世田谷区の利用基準を例に、実際に合計指数を計算してみましょう。
ケース1.父・母・子の3人家族で両親がフルタイム勤務
パパとママがともに週5日の8時間勤務の場合、次のような合計指数になります。
・基準指数:父50ポイント+母50ポイント=100ポイント
・調整指数:0ポイント
⇒2つの合計指数は100ポイントです。
ケース2.父・母・子2人の4人家族でママがパート勤務
パパが週5日の8時間勤務、ママが週4日の1日あたり5時間のパート勤務で、子供が1人はすでに入所している場合は、次のような合計指数になります。
・基準指数:父50ポイント+母25ポイント=75ポイント
・調整指数:5ポイント
⇒2つの合計指数は80ポイントです。
以上のように、ケース1の両親がフルタイム勤務の家庭の方が、ケース2のママがパート勤務の家庭よりも合計指数が高いことから、フルタイムの共稼ぎ家庭の方が優先的に入所することができるのです。
知っておくべき保育所の種類!認可と認可外の違いとは
子供を預かってくれるなら、保育所の種類にはこだわらないというママもいらっしゃるかもしれません。しかし、保育所は種類によって、それぞれ異なる特徴があります。具体的にどのような違いがあるのかを知って、賢く保育所を使い分けることも大切です。
保育園と保育所って何が違うの?
働くパパママが子供を預ける施設のことを「保育所」と呼んだり、「保育園」と呼ぶことってありますよね。実は、「保育園」というのは世間で一般的に使われている呼び名で、児童福祉法では「保育所」が正式名称なんです。施設の名前を「○○保育園」としている保育所もあれば、公立は保育所・私立は保育園を使い分けているという地域もありますが、2つの名称には明確な違いはありません。
ただし、一般的には「保育園の入園手続き」「保育園への通園」という使い方は問題ありませんが、自治体によっては「保育所」で統一されている書類があるため、手続きの際などに間違いのないようしっかりと確認しましょう。
認可保育所と認可外保育所の3つの違い
保育所には大きく分けて、認可保育所と認可外保育所の2種類があります。児童福祉法に基づいて国が認めた設備や職員数などの条件をクリアした、自治体の認可を受けている認可保育所に対して、認可外保育所は認可を受けていない非認可の施設です。
認可保育所は、自治体が運営する公立保育所と社会福祉法人などが運営する私立保育所の2つのタイプがありますが、どちらも公費によって運営されています。一方、認可外保育所は基本的に公費では運営されていませんが、公的な援助をうけている施設もあります。
1.手続きの方法の違い
認可保育所に入所するためには、基準指数と調整指数の合計が高い方から選考されますが、認可外保育所は直接、保護者が保育所と入所手続きを行います。ほとんどの場合は入所選考のようなものはないため、認可外保育所には空きがあれば申し込み順で入所することができるのです。
2.保育料の違い
認可保育所は、世帯の収入に応じて保育料が定められているのですが、認可外保育所では施設が自由に保育料を設定できるのが特徴です。そのため、認可外保育所の利用料は一律同額ですが、基本的には認可保育所よりも認可外保育所の保育料の方が高くなるケースが多いようです。
例外として、地方公共団体の地方単独事業で実施された、自治体が定めた基準を満たしている認可外保育所については、認可保育所と同じように保育料の上限が定められています。
3.保育時間の違い
認可保育所では自治体によって保育時間も定められているため、たとえ延長保育をしても預かってもらえる時間には限りがあります。それに対して認可外保育所では、夜間や早朝の預かりが施設のほか、24時間対応な施設もあることから、勤務時間が不規則なママにとっては大助かりですよね。