離乳食の野菜を食べやすくなる5つの技&赤ちゃんの味覚
赤ちゃんが離乳食の野菜を食べないと、初めはミルクや母乳から栄養が取れる安心感もあり「せっかく作ったのに~」と悲しくなっているだけだったママも、次第に「栄養バランスが悪くて、病気になったりしない?」「どうして食べてくれないの~」と心配になってしまいますよね。
今回は、赤ちゃんが離乳食の野菜を食べやすくなる4つの技と下ごしらえの工夫、赤ちゃんの味覚と野菜を食べない理由、初期中期後期完了期からおすすめの野菜についてご紹介します。赤ちゃんの舌は大人より敏感で、年齢と共に変化していきます。様々なテクニックを駆使して、赤ちゃんとの楽しい食卓作りを目指してみましょう。
離乳食の野菜を食べやすくする5つの技
苦手な赤ちゃんが多い苦味や酸味のあるお野菜も調理法を変えることにより、食べやすい味にしてあげることができます。また、味だけでなく赤ちゃんにとっては食感も非常に大切なようです。モサモサ感やパサパサ感はできるだけ減らしてあげましょう。
1圧力鍋を使って調理する
離乳食の野菜を圧力鍋で調理すると、野菜の旨味や栄養素を逃さず短時間で美味しく調理できます。つまり、野菜が甘くなるのです!
圧力鍋を使ったことがなく、よくテレビショッピングで「野菜が甘い」「トッロトロ」と言っているのを聞いて、半信半疑のママ!ぜひ使ってみましょう。圧力鍋が離乳食だけでなく、日頃の料理時間もカットし、忙しいママの強い味方になってくれますよ。
「圧力鍋って危なくない?」と心配なママもいるでしょう。確かに、蓋が天井まで吹っ飛ぶような事故も起きています。けれど、「SGマーク・PSCマークがない」「製造元のメーカーがよくわからない」「加圧中に蓋を開けた」など事故が起きやすい状況にならないように気をつけることで、便利に使いこなしているママも多いのです。
また、最近の圧力鍋は安全性に配慮した構造になっているものが多く、初めての方でも安心して使用できるものが増えていますよ。
圧力鍋のおすすめポイント
- 素材の旨味や栄養素を逃さない
- 短時間調理でガスや電気代を節約できる
- 細かく切る必要がなく、調理時間が短縮できる
- 鍋に残った汁を野菜スープとして離乳食に利用できる
2タジン鍋やシリコンスチーマーを使って調理する
「圧力鍋は価格的にも、安全面でもハードルが高すぎ!」というママの離乳食作りにおすすめなのが、タジン鍋です!
お手頃価格で使い方も簡単!少量の水しか入れていないのに、野菜が甘く美味しくなります。タジン鍋はモロッコ伝統の調理器具で、ほとんど水を使わずに調理しますので、圧力鍋同様に旨みを凝縮して野菜が甘くなりますよ。
ただし、直火で調理する時は、弱火が原則!焦げてしまいますので気をつけましょう。心配な方は、電子レンジ用のタジン鍋やシリコンスチーマーを使うのがおすすめです。
3野菜の食べさせ方を変える
離乳食の野菜を食べてくれない場合、食べさせ方を変えてみると意外と食べてくれることもあります。1週間ほどお休みして久しぶりに出すと、ペロッと食べることもありますので、「全ての野菜を好き嫌いなく食べられるようにしてあげたい」と思っているママは、少しハードルを下げて「好きな野菜を少しずつ増やしてあげよう」と、加点方式で考えることも大切ですね。
- 野菜ステックにして食べやすく(自分の手で食べるという楽しさを味あわせてあげる)
- 気分を変えてお外でランチしてみる
- 家族と一緒の食卓で、家族が美味しそうに野菜を食べる姿を見せる
- 野菜ジュースで野菜の味に慣れさせる
- 食べる順番を変える(空腹時に野菜から食べさせる)
4欠点を打ち消す食材と混ぜる
野菜には青臭さや酸味、苦みがあるため、離乳食期の赤ちゃんが嫌って食べなくなりやすいです。そこで、苦手な野菜の味をごまかしてくれるような食材と混ぜて野菜の味に慣らしてあげることで、次第に野菜嫌いを克服する方法もあります。
離乳食を進ませるのは試行錯誤の連続ですが、味蕾の発達を意識して「野菜本来の味を覚えて欲しい!」と野菜オンリーで食べさせるだけでなく、赤ちゃんの個性を尊重して色々な方法を試してみることも大切です。
例えば、離乳食のきゅうり!青臭さを消すためにりんごと混ぜてみると、食べやすくなりますよ。ほうれん草の苦みが苦手な場合は、トウモロコシのコーンクリーム缶と混ぜると、コーンの甘みで苦さを感じにくくなり、たべてくれることもあります。
- お粥やパン粥などペースト状のものに混ぜる
- 赤ちゃんが好きなベビーフードと混ぜる
- 粉ミルクと混ぜる
- お好み焼きやハンバーグ、パンケーキに混ぜる
5野菜の下ごしらえ方法を変える
赤ちゃんが野菜を嫌いになるのは、大人同様に理由があります。そこで、赤ちゃんの敏感な舌でも受け入れやすい味になるように、下ごしらえの方法を工夫してみましょう。次の項目で、離乳食で嫌われやすい野菜を食べやすくする下ごしらえの工夫を、食材ごとに解説しますのでぜひ試してみて下さいね。
離乳食の野菜を食べやすくする下ごしらえの工夫
子供の食事作りでは舌ざわり・味・香り・噛み応えなどの調理の工夫をし、褒めながら少しずつ苦手を克服できるようにサポートしてあげるのが基本ですので、離乳食段階から意識してトライしてみましょう。
1ピーマン
赤ちゃんが嫌いな野菜の代表的存在とも言えるピーマン。独特の苦みがありますがい、体内でビタミンAへと変換されるカロテンを豊富に含む緑黄色野菜です。
風邪予防や美肌に効果のあるビタミンCも豊富に含まれている野菜ですので、離乳期から味に慣らしてあげたいですね。また、ピーマンに比べパプリカの方が、栄養価が高く甘みが強いので、まずはパプリカから慣らすのも手ですよ。
ピーマンを食べやすくする下ごしらえ
- ピーマンを縦半分に切る
- ヘタ、種、ワタを取る(ワタは苦いのでしっかり取り除く)
- ピーマンを沸騰させたお湯で軽く茹でる
- 冷水にさらす
- 皮を取り除く
2青菜(ほうれん草・小松菜など)
鉄分を多く含む青菜は、赤ちゃんに食べてほしい野菜としてよくあげられますね。でも、アクや食感が苦手という赤ちゃんも多く、お困りのママもいるのではないでしょうか。
青菜は鮮度が落ちる程苦みが強くなるため、できるだけ新鮮なものを買いすぐに調理してあげることも、食べやすくする大切なポイントです!
青菜を食べやすくする下ごしらえ
・茹でたら冷水にさらし、アクしっかりと抜く
3トマト
離乳食のトマトの酸味、種や皮の食感、青臭さは、赤ちゃんにとって苦手になる原因になりやすいです。加熱調理することで酸味が抑えられますが、下ごしらえでもちょっとした工夫をすることで食べやすくなります。
野菜を食べない赤ちゃんには、ひと手間かけた工夫をすることでより食べやすい離乳食にしてあげましょう。また、トマトピューレを作って冷凍しておき、少量ずつ加えて慣らすのもおすすめです。
トマトを食べやすくする下ごしらえ
- 皮を湯剥きする
- 種の部分をスプーンでくりぬく
4きゅうり
きゅうりは皮が固く青臭くて離乳食では食べにくい食材ですが、実は離乳食だからこそ食べさせてあげたい食材でもあります。離乳食期の野菜は加熱調理が基本ですよね。普段から生で食べるトマトやレタス、もちろんきゅうりも加熱して食べなければなりません。
ところがきゅうりは加熱することで苦みが減って柔らかくなる野菜ですので、離乳食ならではの調理法は赤ちゃんが食べやすくなる工夫にもなっているんです。離乳食期から少しずつ味に慣らしてあげましょう。
きゅうりを食べやすくする下ごしらえ
- ピーラーで皮を剥く
- 軽く茹でるか、レンジで加熱する
- 種が気になる場合は、その部分をカットして調理に使う
赤ちゃんの味覚と離乳食の野菜を食べない理由
人の味覚には、「甘み」「酸味」「苦味」「塩味」「旨味」の5つがあります。赤ちゃんはこの5つの基本味に加え、食べ物の「食感」「香り」「見た目」などを合わせて「味」として味わっています。赤ちゃんの味覚の敏感さは、年齢が上がるにつれて変化していきます。赤ちゃんの味覚とその変化について理解しておくと、赤ちゃんが離乳食を食べないことを心配する気持ちが、少し軽くなりますよ。
赤ちゃんの味覚は大人に比べて敏感です
産まれたばかりの赤ちゃんは、原始反射的な味の識別能力を持っていて、その識別能力は大人と比較して敏感であるとされています。つまり赤ちゃんには、生まれながらに「毒」を反射的に見分ける能力が備わっているのです。
新生児期の赤ちゃんに食塩水を飲ませる実験をしたところ、嫌そうな表情をしたという実験結果があります。この実験結果からも、肝臓の機能が未熟な赤ちゃんが、肝臓に負担のかかる塩分を反射的に拒否したのだと考えられますね。
赤ちゃんだけでなく人間の脳は、「酸味=腐ったものや未熟なもの」「苦味=毒」と判断する傾向があります。そのため、赤ちゃんは苦味のあるピーマンやゴーヤー、酸味のあるトマトなどを嫌い、離乳食の野菜を食べなくなりやすいのです。
味覚の発達には個人差があり、日々変化している
赤ちゃんの味覚は、日々変化していきます。食塩水の実験をさらに同じ新生児にしたところ、「1週間経過するだけで、食塩水に対する拒否反応が弱くなった」という実験結果になりました。ですから、昨日まで食べてなかった料理を急に食べ始めたり、逆に、今まで好きだったものを急に食べなくなったりというケースもあります。
また、離乳食の進むスピードも赤ちゃんによって様々ですので、育児書通りに進めていても、自分の成長とは合っていない離乳食のため野菜を食べないこともあります。あまり焦らず、赤ちゃんの成長に合せて進めてあげましょうね。
離乳食で野菜を食べない時は、段階に合うかチェック
離乳食の野菜を食べない理由として、赤ちゃんの離乳食の段階に合っていない野菜を選んでいるということも考えられます。もう一度確認しておきましょう。
離乳食初期からおすすめの野菜
離乳食初期の野菜は、食物アレルギーを起こす心配も少ないため、できるだけ色々な種類を経験させてあげたいですね。ただし、大人が生で食べる野菜も、皮や種を取り除いて加熱し、ポタージュスープやヨーグルトくらいの食感にしないと食べられません。食感も確認してみましょう。
・かぼちゃ
・トマト
・きゅうり
・とうもろこし
・ほうれん草
・小松菜
・チンゲン菜
・水菜
・白菜
・キャベツ
・レタス
・玉ねぎ
・人参
・大根
・かぶ
・ブロッコリー
・カリフラワー
離乳食中期からおすすめの野菜
離乳食中期になると食べられる野菜が増えますが、アクや粘り、香りが強いものや、かゆみが出る物もあります。かゆみが出るとその野菜の味を嫌いになってしまうこともありますので、里芋をあげる時は気をつけましょう。
また、この頃から離乳食の野菜嫌いが始まる子も多いので、無理をさせないように進めたるとよいですね。
・ナス
・オクラ
・ズッキーニ
・もやし
・春菊
・さといも
・さやえんどう
・しいたけ(1mm程度に小さく刻んで使う)
・ピーマンやパプリカ(生後8ヶ月から)
離乳食後期からおすすめの野菜
離乳食後期からは、繊維の多い野菜も食べられるようになります。噛みにくく繊維が口の中にいつまでも残ってしまいがちですので、他の野菜よりも細かくカットしたり、すりおろして何かに混ぜたりしてもよいでしょう。山芋や長芋は、かゆみが出やすいので十分に気をつけて、少量ずつからスタートしましょう。
・アスパラガス
・ネギ
・ニラ
・れんこん
・ごぼう
・山芋
・長いも
離乳食完了期からおすすめの野菜
満1歳になると、野菜が生で食べられるようになります。ただし、いきなり生野菜サラダを出されても、大人と違ってドレッシングをドバドバかけると、内臓に負担がかかってしまいますし、味覚の発達にもよくありません。生野菜になった途端に、全く食べられなくなった子は、加熱時間を短くするなど、工夫して食べさせてあげましょう。
・セロリ
・たけのこ
・エリンギ
離乳食の野菜嫌いは楽しい食卓で克服しよう!
食事を好きになるには、楽しく食べることが大切!赤ちゃんのうちから、食事の大切さと楽しさを教えてあげられるといいですね。離乳食の段階から食育は始まっていると言ってよいでしょう。
最近は、3食ともママと赤ちゃんだけの食事になってしまうというご家庭も多いようです。パパの帰宅が遅いご家庭では、朝食を家族そろって食べるようにするとよいでしょう。また、食事中はテレビやスマホをお休みし、家族で会話を楽しみましょう!
おせち料理や七草粥、節分の恵方巻きなどの古くからの食にまつわる伝統行事を、祖父母などと一緒に体験させてあげるのも、離乳食の野菜嫌い克服にはおすすめです。